令和 8 年改定|リハ・栄養・口腔連携加算の見直し

制度・実務
記事内に広告が含まれています。

令和 8 年改定(案)|リハ・栄養・口腔の「一体的取組」加算は“要件見直し+対象拡大”へ

令和 8 年度 診療報酬改定に向けた資料では、高齢者の生活を支えるケアとして、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的な取組をさらに推進する方向性が示されています。具体的には、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の算定要件を見直すこと、地域包括医療病棟の同加算も同様に見直すこと、さらに地域包括ケア病棟でも算定可能とすることが明記されています。

点数や細かな要件は今後の議論で具体化されますが、現場で先に整えておく価値が高いのは「誰が・何を・いつまでに揃えるか」という運用の型です。本記事では断定を避けつつ、読み取れる範囲で「変更が起きやすい論点」と「今から揃える最小セット」を整理します。

改定対応は「制度の暗記」より、院内の運用を同じ言葉に揃える方が早いです。

PT キャリアガイドを見る(運用の型を整える)

結論|「一体化」は“対象設計+期限+記録の統一”で回る

この論点は、単に「リハ・栄養・口腔をやっている」だけでなく、一体的に回っている(連携が機能している)ことを評価へ近づける流れです。現場での最短ルートは、①対象の選び方、②立ち上げの期限、③介入のつなぎ方、④記録の残し方を、チームで同じ言葉に揃えることです。

特に「いつまで算定できるか」「いつを起算日にするか」が入ると、運用は一気にズレます。まずは起点( 48 時間)→計画→ 14 日を軸に、やることを最小セットに落とすのが近道です。

何が変わり得る?(資料に明記された“見直し”の要点)

今回の資料では、次の 3 点が明確に書かれています。点数の上下より先に、まずは要件を満たす運用の形が問われやすくなります。

表:資料から読める「変更の方向性」(確度が高い部分)
論点 書かれている方向性 現場でブレやすい所 先に決める“型”
要件の見直し 連携体制加算の算定要件を見直す 対象・期限・カンファ・記録の粒度 対象基準/起点/ 1 行テンプレ
病棟の広がり 地域包括医療病棟も同様に見直し 役割分担が“人”依存で詰まる 職種別の最小タスク表
算定可能の拡大 地域包括ケア病棟でも算定可能 引き継ぎで分断(病棟をまたぐ) 引き継ぎ 3 点セット

運用で一番ズレる所|「起点( 48 時間)」「起算日」「 14 日上限」を先に固定する

資料には、連携の取組を計画に落として算定する運用として、計画作成日から起算して 14 日を限度とする考え方や、入棟後 48 時間の扱いが示されています。ここが曖昧だと、算定の有無以前に運用が崩れます。

表:期限まわりで迷わないための「院内ルール」最小セット
決めること 院内の言い回し(例) 記録で残す一言
起点(いつ立ち上げる?) 「入棟後 48 時間以内に起点カンファを実施」 起点日時+参加職種
起算日(いつから数える?) 「原則は計画作成日。やむを得ず 48 時間超なら“入棟後 3 日目”を起算」 起算日の根拠( 1 行)
上限(いつまで続ける?) 「計画から 14 日を上限に、短期ゴールで区切る」 短期ゴール+次回条件

「一体化」を機能させる体制は“役割の最小化”がコツ

資料の記載からは、医師・看護に加えて、病棟の PT/OT/ST、管理栄養士など多職種で評価と計画に基づいて進める形が想定されています。現場で詰まるのは、役割が多いことではなく「誰が何を持つか」が曖昧なことです。

表:多職種連携を止めない「最小タスク」割り当て(例)
職種 まず持つ 1 つ 次回につなぐ 1 行
PT/OT/ST 離床・活動量/摂食動作・機能の課題を 1 つに絞る 「離床段階/摂食課題:〇〇。次回は△△条件で実施」
管理栄養士 摂取量と栄養設計の“優先 1 本”を決める 「摂取量の目安+補助策。次回は□□で再評価」
看護 実施場面(食事・離床)の観察ポイントを 1 つ固定 「観察所見 1 つ+中断条件」
口腔(歯科・口腔ケア) 口腔の課題を 1 つに絞り、介入頻度を合わせる 「口腔の課題:〇〇。次回は頻度△△で継続」

院内で先に揃える「最小セット」:これだけで運用が回り出す

制度の細部が固まる前でも、院内で整える価値が高いのは“抜け漏れ防止”です。ここを先に揃えると、後で要件が変わっても修正が効きます。

表:一体的取組を回すための最小セット(院内テンプレ)
項目 決めること 現場の言い回し(例)
対象抽出 誰を優先して一体化の対象にするか 「低栄養リスク+口腔課題+活動量低下」を優先
立ち上げ期限 誰がいつ連携を起動するか 入棟後 48 時間以内に“起点カンファ”
共通ゴール 短期ゴールを 1 つに絞る 「摂取量を保ちつつ離床段階を 1 つ上げる」
期限の運用 起算日と上限( 14 日)を揃える 「計画日を起算、最大 14 日で区切る」
記録の型 1 行で“つながる記録”にする 「目的→内容→反応→次回条件」を固定

なお、同じく改定(案)で議論されている書類の見直しと合わせて読むと、運用設計の誤解が減ります:リハ書類の簡素化(Ⅲ-4-(5))

現場の詰まりどころ(よくある失敗)

失敗 1:対象が広すぎて回らない
「一体化は大事」と全員に広げると、連携は形骸化します。まずは対象を絞り、“効果が出る患者”に集中投下して、回ってから拡張する方が早いです。

失敗 2:期限が曖昧で、立ち上げが遅れる
起点( 48 時間)と、起算日・上限( 14 日)の扱いが曖昧だと、計画と実施がズレます。起点カンファの実施日と起算日だけは、先に固定すると詰まりにくいです。

失敗 3:記録が増えるだけで、つながらない
書類を増やすより、既存記録を「目的→内容→反応→次回条件」に揃える方が効率的です。長文より、短く具体的な一言が回ります。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. これは確定情報ですか?

A. いいえ。現時点は資料段階で、点数・細目は今後の議論で具体化されます。ただし「連携体制加算の要件見直し」「地域包括医療病棟も同様に見直し」「地域包括ケア病棟でも算定可能」は方針として明記されています。

Q2. まず何から着手すればいいですか?

A. 対象を絞る → 起点( 48 時間)を決める → 起算日・上限( 14 日)の扱いを揃える → 記録の 1 行テンプレを固定、の順が最短です。点数が動いても、ここは揺れにくいです。

Q3. 記録が増えそうで不安です

A. 書類を増やすより、既存記録の“型”を揃える方がラクです。「目的→内容→反応→次回条件」を固定すると、引き継ぎがつながりやすくなります。

次の一手(この順でやる)

おすすめは、①対象基準を 1 枚化 → ②起点(起点カンファ)を固定 → ③期限(起算日・ 14 日)を揃える → ④記録の 1 行テンプレを統一、の順です。

運用を揃える段階で「抜け漏れの棚卸し」が必要なら、共有用のチェック素材があると進めやすいです。無料チェックシートで“院内の型”を揃える

参考資料

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のアイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

運営者について編集・引用ポリシーお問い合わせ

タイトルとURLをコピーしました