最終更新:2026年9月12日(令和8年度診療報酬改定・関係通知・疑義解釈を確認)
摂食嚥下機能回復体制加算は、摂食機能療法に加えて、摂食機能または嚥下機能の回復に必要な指導管理を行った場合に算定する加算です。令和8年度診療報酬改定では、加算1・2の言語聴覚士(ST)の要件が「専従」から「専任」へ見直され、加算3では鼻腔栄養・胃瘻から経口摂取のみへ回復した患者も前年実績に算入できるようになりました。
結論からいうと、点数は加算1が210点、加算2が190点、加算3が120点です。加算3で特に迷いやすいのは「前年実績2名以上」に誰を数えるかで、鼻腔栄養では経鼻経管抜去後、胃瘻では胃瘻抜去術または胃瘻閉鎖術後に、1か月以上にわたり経口摂取のみとなったかまで確認します。
この記事では、1・2・3の点数、2026年の変更点、STの兼務、加算3の実績要件、VF・VE、FIM・FOIS、診療録・摘要欄の要件まで、院内で確認しやすい順に整理します。
令和8年度リハ改定の全体像から確認したい方へ
2026年リハ改定の全体像を確認する摂食嚥下機能回復体制加算2026|1・2・3の点数
摂食嚥下機能回復体制加算は、加算1が210点、加算2が190点、加算3が120点です。施設基準に適合して届け出た医療機関で、摂食機能または嚥下機能の回復に必要な指導管理を行った場合に、患者1人につき週1回に限り算定します。
| 区分 | 点数 | 算定頻度 | 主な確認ポイント |
|---|---|---|---|
| 加算1 | 210点 | 週1回 | 摂食嚥下支援チームに加え、経口摂取回復率など所定の実績要件を確認 |
| 加算2 | 190点 | 週1回 | 所定の摂食嚥下支援体制・算定要件を確認 |
| 加算3 | 120点 | 週1回 | 療養病棟入院料1・2を現に算定する患者が対象。前年実績2名以上などを確認 |
2026年改定で特に押さえたいのは、単なる点数変更ではなく、加算1・2のST配置要件と、加算3で前年実績に数えられる患者の範囲です。
2026年の変更点|STは専従から専任へ、加算3の実績対象も拡大
令和8年度改定の重要な変更は2点です。1つ目は加算1・2の摂食嚥下支援チームにおけるST要件の見直し、2つ目は加算3の前年実績に算入できる患者の拡大です。
| 論点 | 改定前 | 2026年改定後 |
|---|---|---|
| 加算1・2のST | 専従の常勤ST | 専任の常勤STでも可 |
| 疾患別リハとの兼務 | 従来は兼務に制約があった | 摂食嚥下支援チーム業務に支障がない範囲で、疾患別リハの専従・専任STとの兼務が可能 |
| 加算3の前年実績 | 中心静脈栄養を終了した患者を評価 | 鼻腔栄養・胃瘻から経口摂取のみへ回復した患者も算入可能 |
加算1・2のSTは「専従」から「専任」へ
加算1・2の摂食嚥下支援チームについて、令和8年度改定ではSTの専従要件が見直され、専任の常勤STでも施設基準を満たせるようになりました。
ここでいう「専任」は、その業務だけに常時従事する「専従」とは異なります。ただし、他業務を自由に兼務できるという意味ではなく、摂食嚥下支援チームに求められる業務を適切に実施できる体制が前提です。
疾患別リハのSTとの兼務は可能?
可能です。令和8年度改定の疑義解釈では、摂食嚥下支援チームの業務に支障がない範囲であれば、専任の常勤STが、疾患別リハビリテーションの専従または専任STを兼ねることは差し支えないと整理されています。
そのため院内では、「専任になったから兼務できる」という整理だけで終わらせず、VF・VEへの対応、カンファレンスへの参加、計画の見直しなどが実際に回る勤務体制になっているかを確認する必要があります。
加算3の実績要件|前年2名以上は誰を数える?
加算3では、療養病棟入院料1または2を算定する病棟の入院患者について、所定の条件を満たす患者の前年実績が合計2名以上必要です。
2026年改定後は、中心静脈栄養を終了した患者だけでなく、鼻腔栄養または胃瘻から経口摂取のみの栄養方法へ回復した患者も実績に含められます。
| 開始時の栄養方法 | 実績に算入するために確認すること |
|---|---|
| 中心静脈栄養 | 嚥下機能評価を実施した上で嚥下リハビリテーション等を行い、嚥下機能が回復して中心静脈栄養を終了した |
| 鼻腔栄養 | 嚥下機能評価・嚥下リハビリテーション等を行い、嚥下機能が回復し、経鼻経管を抜去した上で1か月以上、栄養方法が経口摂取のみとなった |
| 胃瘻 | 嚥下機能評価・嚥下リハビリテーション等を行い、嚥下機能が回復し、胃瘻抜去術または胃瘻閉鎖術を実施した上で1か月以上、栄養方法が経口摂取のみとなった |
つまり、加算3では「中心静脈栄養を終了した患者」と「鼻腔栄養・胃瘻から経口摂取のみへ回復した患者」の前年実績を合計して2名以上であるかを確認します。
「経口摂取のみ」の1か月条件をどう考える?
加算3で鼻腔栄養・胃瘻からの回復患者を実績として数える際は、単に「経口摂取を開始した」「必要量を口から食べられるようになった」という段階だけでは判断しません。
令和8年度の様式43の6の2では、「経口摂取のみの栄養方法を行っている状態」について、次のように整理されています。
- 鼻腔栄養:経鼻経管を抜去した上で、1か月以上にわたり栄養方法が経口摂取のみである
- 胃瘻:胃瘻抜去術または胃瘻閉鎖術を実施した上で、1か月以上にわたり栄養方法が経口摂取のみである
なお、内服薬または水分を不定期に経口摂取以外の方法で摂取する状態は、この「経口摂取のみ」の状態に含まれるとされています。
ここが実務上のポイントです。
「食事を経口で開始した日」と「加算3の実績として経口摂取のみへ回復した患者に数えられる状態」は同じとは限りません。鼻腔栄養では経鼻経管の抜去、胃瘻では抜去・閉鎖に加え、その後1か月以上の経過まで確認します。
算定要件|VF・VE、計画書、週1回カンファレンスを確認する
摂食嚥下機能回復体制加算は、チームを設置しただけでは算定できません。患者ごとにVFまたはVEの結果に基づいて摂食嚥下支援計画書を作成し、その後も定期的な検査とカンファレンスを続けます。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 対応開始時 | 内視鏡下嚥下機能検査(VE)または嚥下造影(VF)の結果に基づいて摂食嚥下支援計画書を作成する |
| 患者・家族への説明 | 計画書の内容を患者または家族等に説明して交付し、その写しを診療録等に添付する |
| VF・VE | 対応開始後も月1回以上実施する |
| カンファレンス | VF・VEの結果等を踏まえ、計画書等の見直しに係るカンファレンスを週1回以上行う |
| 計画の見直し | 嚥下調整食、摂食方法、口腔管理などを必要に応じて見直す |
| 評価尺度 | FIMおよびFOISを測定する |
特に混同しやすいのがFIM・FOISです。これらは単に「経過を追うと便利な評価」ではなく、摂食嚥下機能回復体制加算を算定するに当たり、FIMおよびFOISを測定することが求められています。
FIM・FOISは何を記録する?
FIMとFOISは、開始時とその後の状態を同じ条件で追えるように記録します。届出・報告様式でも、開始時と直近のFIM・FOISを確認できる形になっています。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| FIM | 開始時と直近の値を記録し、機能・ADLの変化を追う |
| FOIS | 開始時と直近の経口摂取レベルを記録する |
| 測定時期 | 開始時と直近を対応させ、経時変化を確認できるようにする |
加算3の実績判定では、FIM・FOISだけで「経口摂取のみ」と判断するのではありません。開始時の栄養経路、嚥下機能評価、嚥下リハビリテーション等の実施、経鼻管の抜去や胃瘻の抜去・閉鎖、経口摂取のみとなった期間まで一連で確認します。
診療録・摘要欄には何を残す?
算定時は、「何を実施したか」だけでなく、評価結果から計画をどう見直したかまで追える記録が必要です。
| 記録先・項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 摂食嚥下支援計画書 | VF・VEの結果を踏まえた支援計画 |
| 診療録等 | 摂食機能療法の効果・進捗、VF・VEの結果、カンファレンスの概要 |
| 計画見直し | カンファレンス結果を踏まえた計画書、食事形態、摂食方法、口腔管理等の見直し内容 |
| 評価 | FIM、FOIS |
| 診療報酬明細書の摘要欄 | VFまたはVEを実施した日付、カンファレンスを実施した日付 |
| 加算3の実績管理 | 開始時の栄養経路、嚥下機能評価、嚥下リハビリテーション等、中心静脈栄養終了・経鼻管抜去・胃瘻抜去または閉鎖、経口摂取のみの継続期間 |
加算3では、年末になってから対象患者を探すと、経鼻管を抜去した日や胃瘻を閉鎖した日、その後1か月の栄養方法が追えないことがあります。対象になり得る患者は、栄養経路が変わった段階から経過を追えるようにしておくと確認しやすくなります。
加算3の施設基準|人員とカンファレンスも確認する
加算3は「前年2名以上」だけを満たせばよいわけではありません。所定の人員配置と、VF・VEの結果を踏まえたカンファレンス体制も確認します。
| 項目 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 人員 | 専任の常勤医師、専任の常勤看護師または専任の常勤STが1名以上勤務している |
| カンファレンス | 担当する医師・看護師・STが、VFまたはVEの結果を踏まえて実施する週1回以上のカンファレンスに参加する |
| 前年実績 | 中心静脈栄養終了患者と、鼻腔栄養・胃瘻から経口摂取のみへ回復した患者の合計が2名以上 |
施設基準と患者ごとの算定要件は別に確認する必要があります。「施設として加算3を届け出られるか」と「その患者について今週算定できるか」を分けて考えると整理しやすくなります。
届出様式|43の6・43の6の2・44の2を確認する
届出時は、厚生労働省または管轄する地方厚生局で令和8年度の最新版様式を確認してください。摂食嚥下機能回復体制加算では、主に次の様式を使用します。
| 様式 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 様式43の6 | 摂食嚥下支援チーム等の体制に関する事項 |
| 様式43の6の2 | 経口摂取回復率や、加算3の前年実績に係る患者数など |
| 様式44の2 | 医師その他の従事者の氏名、勤務態様など |
特に様式43の6の2では、加算3について「中心静脈栄養から回復した患者」と「鼻腔栄養・胃瘻から経口摂取のみへ回復した患者」を分けて記載し、その合計2名以上を確認できる構成になっています。
様式や通知は訂正される場合があるため、院内に保存してある過年度版だけで判断せず、届出時点の最新版を確認してください。
院内では何から確認する?3つに分ける
2026年改定への対応は、新しい院内チェックシートを増やすより、既存運用を「人員」「患者ごとの算定」「加算3の実績」の3つに分けて確認すると整理しやすくなります。
- STの配置を確認する:加算1・2では専任STとしての配置と、疾患別リハとの兼務が摂食嚥下支援チーム業務に支障を生じていないかを確認する。
- 患者ごとの算定要件を確認する:VF・VE、摂食嚥下支援計画書、週1回以上のカンファレンス、FIM・FOIS、診療録・摘要欄までつながっているかを見る。
- 加算3の前年実績を確認する:中心静脈栄養だけでなく、鼻腔栄養・胃瘻から経口摂取のみへ回復した患者も抽出し、合計2名以上になるか確認する。
摂食嚥下支援では、嚥下機能だけでなく栄養状態・口腔状態・活動性を多職種で共有する必要があります。院内の連携体制まで整理したい場合は、リハ・栄養・口腔の一体運用もあわせて確認してください。
よくある質問
Q1. 摂食嚥下機能回復体制加算1・2のSTは疾患別リハと兼務できますか?
A. できます。令和8年度の疑義解釈では、摂食嚥下支援チームの業務に支障がない範囲であれば、疾患別リハビリテーションの専従または専任のSTを兼ねることは差し支えないとされています。
Q2. 加算3の「前年2名以上」は中心静脈栄養の患者だけを数えますか?
A. いいえ。2026年改定後は、中心静脈栄養を終了した患者に加えて、鼻腔栄養または胃瘻から経口摂取のみの栄養方法へ回復した患者も実績に算入できます。所定の条件を満たす患者の合計が2名以上であることを確認します。
Q3. 胃瘻を残したまま全量を経口摂取できれば、加算3の実績になりますか?
A. 令和8年度の様式43の6の2で示される「経口摂取のみ」の状態として胃瘻患者を扱うには、胃瘻抜去術または胃瘻閉鎖術を実施した上で、1か月以上にわたり栄養方法が経口摂取のみであることを確認します。そのため、胃瘻を残したまま経口摂取量が増えただけでは、この条件とは同じ扱いになりません。
Q4. 鼻腔栄養は経鼻管を抜去した時点で実績に数えられますか?
A. 抜去した時点だけではありません。経鼻経管を抜去した上で、1か月以上にわたり栄養方法が経口摂取のみである状態を確認します。
Q5. VFまたはVEは毎月必要ですか?
A. 加算を算定する患者については、対応開始時にVFまたはVEの結果に基づいて計画書を作成し、その後も月1回以上VFまたはVEを実施します。その結果等を踏まえた計画見直しのカンファレンスは週1回以上行います。
Q6. FIMとFOISはどちらか一方を測定すればよいですか?
A. いいえ。摂食嚥下機能回復体制加算を算定するに当たっては、FIMおよびFOISの測定が求められています。
まとめ|2026年はST専任化と加算3の「2名」の数え方を確認する
摂食嚥下機能回復体制加算は、加算1が210点、加算2が190点、加算3が120点で、患者1人につき週1回に限り算定します。
令和8年度改定では、加算1・2のST要件が専従から専任へ見直され、摂食嚥下支援チームの業務に支障がない範囲では、疾患別リハの専従・専任STとの兼務も可能になりました。
加算3では、中心静脈栄養を終了した患者だけでなく、鼻腔栄養・胃瘻から経口摂取のみへ回復した患者も前年実績へ算入できます。特に鼻腔栄養では経鼻管抜去後1か月以上、胃瘻では胃瘻抜去術または閉鎖術後1か月以上の経口摂取のみという条件まで確認することが重要です。
院内では、「STの配置」「患者ごとのVF・VE、計画書、カンファレンス、FIM・FOIS」「加算3の前年実績」の3つに分けて確認すると、2026年改定の変更点を実務へ落とし込みやすくなります。
参考資料
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について. 2026.
- 厚生労働省保険局医療課. 令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】. 2026.
- 厚生労働省保険局医療課. 疑義解釈資料の送付について(その1). 2026.
- 厚生労働省保険局医療課. 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて. 2026.
- 厚生労働省保険局医療課. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について. 2026.
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関・介護福祉施設・訪問リハの現場経験をもとに、医療従事者が臨床や制度確認で迷いやすい評価・リハビリテーション関連情報を整理しています。
脳卒中認定理学療法士、褥瘡・創傷ケア認定理学療法士、登録理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、福祉住環境コーディネーター2級を保有。脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸、栄養、摂食嚥下などを中心に執筆しています。

