令和 8 年「療法士の指導等」を病棟でどう残す?実務整理

制度・実務
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令和 8 年改定の論点は「療法士の指導」を病棟アウトプットとして見える化することです

令和 8 年度改定では、療法士の専門性を活かした指導等を、病棟の中でどう位置づけ、どう見える化するかが重要な論点になりました。現場で見るべきポイントは、「新しい言葉が出たか」よりも、誰が・どこで・何を残すと病棟のアウトプットとして説明しやすいかです。

令和 8 年改定(リハ)の全体像から押さえる

改定(リハ)の要点をまとめて確認

関連:疾患別リハの専従・上限を先に整理
続けて読む:計画・運用の簡素化論点

本記事では、制度文言の解釈で終わらせず、① 何が論点として示されたか② どこまでが確定資料で具体化しているか③ 病棟で共有しやすい記録テンプレまで、現場の「迷い」を減らす形で整理します。

最終更新:2026 年 5 月

結論|独立加算より「病棟で回る記録と共有」を整える視点が重要です

今回の論点は、「療法士の指導」だけを独立評価する話として読むより、病棟専従 PT / OT / ST の専門性を、病棟運用・共有・再評価まで含めて見える化する流れとして整理すると実務へ落とし込みやすくなります。

特に現場では、① 指導内容をどこへ残すか② 病棟スタッフへどう共有するか③ 再評価へどうつなぐかを先に揃えると、制度変更に振り回されにくくなります。

何が示され、何が確定したか

「療法士の指導等」をどう読むか:議論の整理と確定資料のつながり
段階 示された内容 実務での読み方 先に決めること
議論の整理 病棟内に限らず専門性を活かした指導等を推進する方向性 「指導」を病棟アウトプットとして整理する必要がある 何を “指導” として残すか定義する
確定資料 A233 / A304 / A308-3 で兼務規定・診療録記録・算定制限が具体化 まずは病棟で回るルールを作る 兼務表・病棟共通欄・短文テンプレを固定する

確定資料で現場影響が大きい 4 点

病棟専従療法士の運用で先に揃えたいポイント
論点 確定資料で見えること 現場で詰まりやすい点 最小対策
兼務規定 病棟専従者の兼務可否が整理 兼務 OK / NG が部署でズレる 兼務区分表を 1 枚化
指導内容の記録 診療録への記録が明記 指導したのに残らない 病棟共通欄へ集約
3 日以内開始割合 早期開始割合が評価対象 介入が病棟アウトプット化しない 開始日・共有欄を統一
疾患別リハ算定制限 病棟専従者の算定上限整理 病棟業務と個別リハの境界が曖昧 置き場所を分ける

対象になりやすい「指導等」を PT・OT・ST で整理します

「指導等」は、患者本人への説明だけでなく、家族・病棟スタッフへの教育、環境調整、退院後の自己管理設計まで含めて整理すると実務で使いやすくなります。

療法士の「指導等」例
職種 指導の例 記録の要点 患者アウトカム
PT 離床・移乗・歩行・自主練 介助量・禁止条件・運動量 転倒予防・活動量維持
OT ADL・環境調整・家族指導 危険動作・介助手順 在宅生活の安定
ST 嚥下・食形態・コミュニケーション 誤嚥リスク・実施条件 肺炎予防・摂取安定

疾患別リハと病棟運用は「記録の置き場所」を分けます

現場で最も混乱しやすいのは、同じ指導をどこへ残すかです。個別リハ記録と病棟共有欄を分けると、監査・申し送り・再評価が整理しやすくなります。

療法士の指導等を病棟アウトプットへ変える流れ
疾患別リハと病棟運用での “置き場所” の分け方
観点 疾患別リハ側 病棟共通欄 分け方
主役 評価・介入・反応 病棟共有事項 病棟で回すかで分ける
指導内容 患者別条件 夜間動作・食事姿勢 複数職種で使うなら病棟側
監査視点 実施整合性 病棟アウトプット 配置効果を残す

現場の詰まりどころ:指導をしているのに評価されにくい理由

多くの病棟で指導自体は実施されています。それでも評価につながりにくいのは、記録形式と共有単位がズレているためです。

ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、書き方や知識だけでなく、教育体制・共有文化・相談環境など職場側の影響を受けている可能性もあります。

PT キャリアガイドを見る

よくある失敗(NG)と、通る形(OK)の置き換え

よくある失敗と改善例
失敗 NG OK 記録ポイント
感想止まり 転倒注意を説明 夜間歩行は FWW 見守り 条件・基準を書く
共有されない 個人メモのみ 病棟共通欄へ転記 共有場所を固定
退院後へつながらない 運動継続を指導 頻度・強度・中止基準を記載 量と条件を残す

そのまま使える:病棟共有の記録テンプレ

監査や共有で通りやすいのは、長文より「抜けの少ない短文」です。

PDF を開く(病棟共有テンプレ)

中身をプレビューする

PDF を表示できない場合は こちら から開いてください。

テンプレ 1:患者・家族への指導

  • 目的:転倒予防・誤嚥予防
  • 内容:姿勢・手順・ペース
  • 条件:疼痛・SpO2・ふらつき
  • 宿題:頻度・回数・強度
  • 理解:復唱・実演

テンプレ 2:病棟スタッフへの共有

  • してよい:日中歩行見守り
  • 禁止:夜間単独歩行
  • コール基準:呼吸苦・疼痛増悪
  • 観察:むせ・眠気・介助量増

テンプレ 3:退院後につなぐ

  • 想定生活:屋内杖・屋外 FWW
  • リスク:段差・夜間動作
  • 対策:動線変更・手すり
  • フォロー:訪問・外来

テンプレ 4:病棟共通欄「3 行版」

  • 目的:転倒・誤嚥予防
  • 指導:夜間単独不可・ふらつき増でコール
  • 観察:むせ・眠気・介助量増

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 独立の新設加算ですか?

A. 現時点では、「療法士の指導等」単独より、病棟専従者の運用整理として読む方が安全です。

Q2. 指導等は患者説明だけですか?

A. 家族・病棟スタッフ教育、環境調整、自主練設計まで含めて整理すると実務で使いやすくなります。

Q3. 疾患別リハ記録だけで十分ですか?

A. 個別記録だけでなく、病棟共通欄へ集約すると病棟アウトプットとして説明しやすくなります。

Q4. 最初に整えるべきものは?

A. 共有欄、短文テンプレ、兼務表の 3 点から始めると整理しやすいです。

次の一手


参考資料

  • 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定に係る議論の整理.PDF
  • 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定について【医科全体版】.PDF
  • 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について.PDF

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のアイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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