リハビリ情報提供書(リハサマリー)の書き方|項目・例文

制度・実務
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リハビリ情報提供書・リハサマリーには何を書く?

リハビリ情報提供書(リハサマリー)では、評価値を並べるだけでなく、次の支援者が「現在どこまでできるか」「どんな条件なら安全か」「何を継続して確認するか」を再現できる情報へ整理することが重要です。特に、移動・ADL、介助量、補助具・装具、注意点・リスク、残存課題、本人・家族への指導内容は、退院・転院時点の状態が分かるよう具体化します。

この記事では、PT・OT・STがリハビリ情報提供書を書くときに確認したい項目、曖昧な表現を具体化する方法、項目別の記載例、宛先による強調点を整理します。記事内容に対応したExcel・PDFテンプレートも用意しています。

最初に押さえるポイント

「歩行見守り」「移乗軽介助」といった介助量だけでは、退院後の場面を再現できないことがあります。動作方法+補助具+介助量+介助が必要になる条件までセットで記載すると、次の支援者が患者像を把握しやすくなります。

リハビリ情報提供書に書く主な項目

リハビリ情報提供書では、すべての評価結果を書くのではなく、退院・転院後の支援へ影響する情報を優先して整理します。実際の項目名や書式は施設によって異なるため、自施設の正式様式がある場合はその様式を優先してください。

リハビリ情報提供書で確認したい主な項目
項目 書く内容 特に伝えたいこと
経過・リハ経過 発症・受傷、治療、リハ開始後の主な経過 現在の状態へ至った経過が分かる範囲に絞る
移動・基本動作 起居、移乗、立位、歩行、車椅子など 方法、補助具、介助量、危険になる条件
ADL・IADL トイレ、更衣、入浴、食事、屋外移動など 「自立・介助」だけでなく具体的な場面
補助具・装具・環境 杖、歩行器、車椅子、装具、手すり等 実際に使用する物品と使用場面
心身機能 運動機能、認知、高次脳機能、嚥下など 退院後の活動・介助へ影響する所見
注意点・リスク 転倒、疼痛、呼吸循環、禁忌・制限等 どの場面で何に注意するか
本人・家族への支援 介助指導、福祉用具説明、生活上の説明 説明した内容と実際に再現できる範囲
残存課題・継続事項 未解決の課題、継続して確認したいこと 次の支援者に何を引き継ぐか
退院後の支援・連携 利用予定サービス、リハ継続先、連携事項 決定済みと未確定事項を区別する

厚生労働省の介護保険「退院・退所情報記録書」の標準様式でも、ADL・IADL、リハビリテーション、禁忌・留意事項、本人・家族の意向、退院後の課題など、退院後の支援へ必要な情報を複数の視点から整理する構成になっています。

リハビリ情報提供書は、このような公的様式と同一の文書という意味ではありません。自施設の様式・運用を優先したうえで、次の支援に必要な情報が不足していないかを確認する視点として活用してください。

「見守り・軽介助」だけで終わらせず、条件まで書く

リハサマリーで特に意識したいのは、介助量のラベルだけで終わらせないことです。同じ「見守り」でも、使用する補助具、距離、環境、疲労、方向転換、時間帯などによって実際の支援内容は異なります。

リハサマリーでは介助量だけでなく動作方法・補助具・介助量・介助が必要になる条件まで具体的に書くことを示した図
「歩行:見守り」だけでなく、動作方法・補助具・介助量・介助が必要になる条件まで具体化すると、次の支援者が支援方法を再現しやすくなります。
抽象的な記載を具体化する例
抽象的な記載 具体化した記載例 追加した情報
歩行見守り T字杖で屋内約50m歩行可能。直線歩行は安定しているが、方向転換時にふらつきがあり見守りを要する。 補助具・距離・危険場面
移乗軽介助 ベッド―車椅子移乗は手すり使用。通常は見守りで可能だが、疲労時は立ち上がり時に骨盤誘導を要する。 方法・通常時・介助が必要な条件
トイレ自立 日中はT字杖でトイレまで移動し一連動作は自立。夜間は眠気とふらつきがあり見守りを要する。 時間帯・環境条件
入浴介助 洗体は座位で自立。浴槽またぎは下肢挙上が不十分なため介助を要し、退院後はシャワーチェア使用予定。 自立部分・介助部分・退院後の方法
転倒注意 方向転換と急いで立ち上がる場面でふらつきあり。移動開始前に杖を手元へ準備し、夜間移動は見守りを要する。 危険場面・具体的な対応
家族指導済み 妻へベッド―車椅子移乗の介助方法を説明・実技練習。見守り下で一連の介助を実施できることを確認した。 対象・指導内容・確認できた範囲

記載例は、そのまま定型文として使用するためのものではありません。患者ごとの実際の方法・環境・介助量に置き換えてください。

項目別|リハサマリーの書き方と例文

自由記載欄では、入院中のすべてを時系列で書くよりも、「現在の状態」と「次の支援へ必要な経過」が分かるように絞ると読みやすくなります。

経過・リハビリ経過

経過では、発症・受傷から現在までのうち、リハビリテーションの方針や現在の能力を理解するために必要な情報をまとめます。

記載例:右大腿骨頸部骨折に対し人工骨頭置換術施行後、当院へ転院。入院当初は移乗に介助を要したが、疼痛軽減とともに基本動作が改善し、現在はT字杖を使用して病棟内歩行を行っている。

日付や評価値を多数並べるより、次の担当者が「どのように改善し、現在どこに課題が残っているか」を追える情報を優先します。

移動・ADL

移動・ADLは、リハサマリーの中でも退院後の支援へ直結しやすい項目です。能力だけでなく、実際に使用する方法と介助条件を記載します。

記載例:起居動作はベッド柵使用で自立。ベッド―車椅子移乗は見守り。屋内歩行はT字杖で約50m可能だが、方向転換時にふらつきがある。トイレ動作は日中自立、夜間は移動時のみ見守りとしている。

補助具・装具・福祉用具

「杖使用」とだけ書くのではなく、種類、使用場面、装着・管理上の注意点があれば併記します。

記載例:屋内はT字杖、長距離外出時は車椅子を使用。退院後も同条件を予定している。杖は本人所有。車椅子は介護保険サービスで準備予定。

注意点・リスク

注意点は「転倒リスクあり」のような抽象語だけでなく、どの場面で変化が起きやすいか、どのような対応をしているかまで書くと引き継ぎやすくなります。

記載例:疲労時に歩幅が小さくなり方向転換でふらつきが増える。長距離移動では休息を挟み、歩容が崩れた場合は車椅子へ切り替えている。

医学的な禁忌・運動制限・荷重制限などがある場合は、リハ職の判断だけで独自条件を加えず、医師の指示や診療記録と整合させます。

認知・高次脳機能・コミュニケーション

検査得点だけでは生活場面の支援方法が伝わりにくい場合があります。生活や介助へ影響する反応と、有効だった関わり方を補足します。

記載例:複数の指示を同時に伝えると手順が混乱しやすい。一工程ずつ短く提示すると動作可能。トイレ・更衣では同様の声かけを行っている。

本人・家族への指導

「指導済み」だけではなく、誰へ何を説明し、どこまで確認できたかを記録します。

記載例:妻へ車椅子移乗と玄関段差の介助方法を説明し、病棟内で実技練習を実施。車椅子移乗は一連の介助を再現できた。玄関段差は退院後も家族介助を予定している。

残存課題・継続してほしい支援

「今後もリハ継続をお願いします」だけで終えず、何を継続して確認してほしいかを具体化します。

記載例:屋内歩行は安定してきているが、屋外の不整地と長距離歩行は未評価。退院後は実際の生活環境での歩行状況と、疲労時のふらつきを継続して確認していただきたい。

FIM・BBS・MMTなどの評価値はどこまで書く?

評価値は、次の支援者が患者の状態を把握するために必要なものを選んで記載します。測定した尺度をすべて列挙する必要はありません。

評価結果を書くときの考え方
情報 記載の考え方 補足したいこと
FIM・BI等 ADL全体の推移を伝える必要がある場合 点数だけでなく、重要な介助場面を補足する
BBS・TUG・歩行速度等 移動能力や経過を共有する意味がある場合 使用補助具や測定条件も確認する
ROM・MMT 動作制限や今後の介入に関係する場合 生活動作とのつながりが分かるようにする
認知・高次脳機能検査 今後の支援方法へ影響する場合 検査値と実生活上の反応を区別する

例えば「BBS 40点」とだけ記載しても、次の支援者が知りたい介助方法までは分かりません。必要に応じて「方向転換時にふらつきがある」「杖を忘れて歩き出すことがある」など、実際の支援につながる情報を併記します。

宛先によって強調する情報を変える

患者情報そのものが変わるわけではありませんが、誰が何のために読むかによって、優先して伝える情報は変わります。同じ長文をそのまま全員へ渡すのではなく、相手が次に行う支援を考えて情報の粒度を調整します。

宛先・共有相手によって強調したい情報
相手 優先して伝えたい情報 書き方のポイント
転院先・リハ職 経過、評価、介助条件、補助具、残存課題 次の評価・介入へつながる条件を具体化する
施設職員 ADL、介助方法、危険場面、福祉用具 日常のケアで再現できる表現を優先する
ケアマネジャー 生活上の課題、介助量、福祉用具、必要な支援 サービス調整へ必要な情報を専門用語に偏らず示す
本人・家族 介助方法、生活上の注意、補助具、相談が必要な変化 専門職向けサマリーをそのまま渡すのではなく、説明内容を生活場面へ置き換える

家族への説明資料、施設への申し送り、ケアマネジャーへの情報提供は、それぞれ目的が異なる場合があります。自施設で使用する正式な書式や情報提供ルートを確認し、必要な文書を使い分けてください。

Excel・PDF|リハビリ情報提供書・リハサマリーテンプレート

記事で整理した内容を確認しながら使えるよう、Excel版とPDF版の「リハビリ情報提供書・リハサマリーテンプレート」を作成しました。

移動・ADL、補助具・装具、注意点・リスク、残存課題、本人・家族への支援、退院後の連携事項を整理でき、記載例と提出前チェックも確認できます。

リハビリ情報提供書・リハサマリーテンプレート

Excel版は入力・編集用、PDF版は印刷・確認用として利用できます。

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PDF版を開く・ダウンロードする

※本テンプレートは、リハビリ情報を整理するための補助資料です。厚生労働省・自治体・医療機関・施設等が定める正式様式を置き換えるものではありません。指定様式がある場合はそちらを優先してください。

提出前は「最新・具体性・引継ぎ」を確認する

リハサマリーを作成したら、情報量を増やす前に、退院・転院時点の状態と一致しているかを確認します。特に、文書作成後にADLや補助具が変更された場合は注意が必要です。

リハビリ情報提供書の提出前チェック
確認項目 チェックすること
最新情報 現在の介助量、移動方法、食事・嚥下条件などと一致しているか
補助具・装具 退院後に実際に使用する物品・条件になっているか
具体性 「見守り」「介助」「注意」だけで終わっていないか
リスク 危険になる場面と対応が分かるか
残存課題 次の支援者が何を継続して確認するか分かるか
未確定事項 未決定の事項について、誰が・どこで確認するか分かるか

退院直前は、すでに作成した書類をゼロから書き直すのではなく、その後に変更された情報が残っていないかを確認します。古い介助量や補助具のまま提出されると、文章自体が詳しくても次の支援へつながりません。

リハサマリーでよくある書き方の失敗

情報提供書は長ければ詳しいとは限りません。次の支援者が必要な情報を見つけやすいかという視点で見直します。

リハサマリーで避けたい記載と修正方法
よくある記載 問題 修正するポイント
評価点を多数並べる 現在の介助方法が分からない 生活場面への影響を補足する
「歩行見守り」のみ どこで見守るか分からない 補助具・距離・危険場面を書く
入院経過が長い 退院時の状態を探しにくい 現在の支援に必要な経過へ絞る
「転倒注意」のみ 対応方法が分からない 危険場面と現在の対応を書く
「家族指導済み」のみ 何を確認できたか分からない 対象・内容・再現できた範囲を書く
古い介助量のまま 退院時の状態と食い違う 提出前に最新情報へ更新する

よくある質問

リハサマリーはどのくらいの長さにすればよいですか?

一律の文字数で決める必要はありません。入院中の情報を網羅するより、退院・転院後の支援に必要な経過、現在の能力、介助条件、リスク、残存課題が読み取れることを優先します。長くなる場合は、現在の状態を前半に置き、経過は必要な内容へ絞ると整理しやすくなります。

FIMやBBSなどの評価点は必ず書いた方がよいですか?

使用する様式や施設の運用を優先します。評価値を記載する場合も、点数だけでは実際の介助方法が伝わらないことがあります。次の支援へ影響する項目については、生活場面での具体的な状態を補足すると伝わりやすくなります。

ケアマネジャー宛とリハ職宛は同じ内容でよいですか?

患者の状態そのものは共通ですが、強調する情報は変わります。リハ職には評価・介助条件・残存課題、ケアマネジャーには生活上の課題・福祉用具・必要な支援など、相手が次に行う業務へ必要な情報を優先します。自施設の正式様式や情報提供ルートがある場合は、その運用に従ってください。

退院直前に介助量や補助具が変わった場合はどうしますか?

作成済みの情報提供書と現在の状態が一致しているかを再確認します。特に移動方法、トイレ、食事・嚥下、補助具、家族への説明内容など、退院後の生活へ直接影響する変更は提出前に反映します。未確定事項は、決まっていないことが分かるようにし、次に誰が確認するかを共有します。

次に確認したい記事

リハビリ情報提供書は、退院支援全体の中では「次の支援者へ最新情報を引き継ぐ」工程に位置づけられます。書類対応全体や、退院直前の最終確認も必要に応じて整理してください。

まとめ|次の支援者が再現できる情報へ具体化する

リハビリ情報提供書・リハサマリーでは、評価結果を並べるだけでなく、現在の移動・ADL、使用する補助具、介助が必要になる条件、注意点、残存課題を具体的に伝えることが重要です。

「見守り」「軽介助」「転倒注意」「家族指導済み」などの表現を使う場合は、どの場面で、どのような条件なら支援が必要なのかを補足します。次の支援者が患者の生活場面をイメージし、必要な介助や評価へつなげられる情報になっているかを提出前に確認しましょう。

参考文献

  1. 厚生労働省. 介護保険 退院・退所情報記録書の標準様式. https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001333536.pdf
  2. さいたま市. 入退院支援ルールについて. https://www.city.saitama.lg.jp/002/003/003/002/005/p086323.html
  3. Kripalani S, LeFevre F, Phillips CO, Williams MV, Basaviah P, Baker DW. Deficits in communication and information transfer between hospital-based and primary care physicians: implications for patient safety and continuity of care. JAMA. 2007;297(8):831-841. doi: 10.1001/jama.297.8.831
  4. Kattel S, Manning DM, Erwin PJ, Wood H, Kashiwagi DT, Murad MH. Information transfer at hospital discharge: a systematic review. J Patient Saf. 2020;16(1):e25-e33. doi: 10.1097/PTS.0000000000000248

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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