データ提出加算(A245)の経過措置【2026】対象入院料と届出フロー

制度・実務
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A245 データ提出加算は「 2026 年 5 月 31 日までの経過措置 」と「 6 月 1 日までの届出 」を分けると理解しやすいです

このテーマは、期限が似た話が多く、しかも外来・在宅・リハビリテーションのデータ提出加算とも混同しやすいのが難しいところです。ただ、現場でまず知りたいのは、自院の入院料が対象か、いま何を出す段階か、6 月以降も継続算定できるかだと思います。

結論からいうと、経過措置は 2026 年 5 月 31 日までで、経過措置終了後も対象入院料を続けて算定するには、原則として 2026 年 6 月 1 日までに A245 データ提出加算の届出が必要です。この記事では、対象入院料、様式 40 の 5 → 試行データ → 様式 40 の 7 の流れ、回復期リハビリテーション病棟との関係、2026 年春時点での実務判断を整理します。

制度対応を「読むだけ」で終わらせたくない方へ

診療報酬の届出は、制度の理解だけでなく「現場で誰が何を確認するか」まで見えて初めて動きます。病院リハ部門の働き方やキャリアの整理も含めて見直したい方は、PT 向けガイドも先に確認しておくと全体像がつかみやすいです。

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先に結論:いま押さえたい 3 点

最初に押さえたいのは 3 点です。1 つ目は、経過措置の期限が 2026 年 5 月 31 日だということです。2 つ目は、継続算定には原則 2026 年 6 月 1 日までの届出が必要だということです。3 つ目は、新規届出の通常フローでは 様式 40 の 5 の最終期限が 2026 年 2 月 20 日だったため、2026 年 3 月以降に未着手だと通常スケジュールでの対応余地がかなり限られる、という点です。

つまり、「まだ 5 月末まである」とだけ考えると遅れやすいテーマです。実務では、5 月 31 日だけでなく、そこに至るまでの開始届出・試行データ・本届出を逆算して確認する必要があります。

A245 データ提出加算とは

A245 データ提出加算 は、入院基本料等加算のひとつです。ここが、外来・在宅・リハビリテーションのデータ提出加算と混ざりやすいところです。今回の記事は入院料側の A245 を扱っており、先に公開した リハビリテーション医療の影響評価調査 は、外来/在宅/リハビリテーション データ提出加算の側を扱っています。

そのため、「データ提出加算」という語だけで検索すると、読んでいる資料がどちらの制度か分かりにくくなります。病院リハ部門の実務では、入院料の施設基準としての A245 と、外来等の調査参加としてのデータ提出加算を最初に分けて考える方が混乱しにくいです。

どの入院料が対象か

説明資料では、データ提出加算の届出を要件とする入院料の範囲が見直されています。リハ部門に近いところで特に押さえたいのは、回復期リハビリテーション病棟入院料 1〜4 は既にデータ提出が必須で、回復期リハビリテーション病棟入院料 5 は経過措置付きで必須化対象に入っていることです。

また、精神科系の一部入院料には別建ての経過措置もあります。自院がどの入院料で届出しているかを整理せずに「うちは精神科ではないから関係ない」「うちは回リハだからもう済んでいるはず」と思い込むと、確認漏れが起きやすくなります。

表は横にスクロールして確認してください。

A245 データ提出加算まわりで押さえたい対象入院料の整理
区分 主な入院料 実務で見るポイント
既に提出必須 急性期一般入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟)、専門病院入院基本料( 7 対 1・10 対 1 )、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料 1〜4 、地域包括医療病棟入院料 新規対応というより、継続提出体制の維持が中心
経過措置付きで必須化 地域一般入院基本料、療養病棟入院基本料、専門病院入院基本料( 13 対 1 )、障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料 5 、特殊疾患病棟入院料、緩和ケア病棟入院料、精神科救急急性期医療入院料 2026 年 5 月 31 日までの経過措置が関係しやすい
精神科系の別経過措置 精神病棟入院基本料( 10 対 1・13 対 1 )、精神科急性期治療病棟入院料、児童・思春期精神科入院医療管理料 こちらも 2026 年 5 月 31 日までの経過措置対象
別期限が設定されたもの 精神科地域包括ケア病棟入院料( A315 ) 2025 年 9 月 30 日までの経過措置で、現在は終了済み

リハ部門が特に気にしたいのは「回復期リハ 5 」です

リハ部門の読者にとって、今回のテーマで見落としやすいのは 回復期リハビリテーション病棟入院料 5 です。回復期リハ病棟と聞くと「もともとデータ提出が必要な領域」という印象を持ちやすいのですが、説明資料では 1〜4 5 で位置づけが分かれています。

そのため、病棟種別の認識があいまいなまま「うちは回リハだから当然対応済み」と思ってしまうと危険です。医事課・病棟管理・リハ部門で、自院の届出区分が 1〜4 なのか 5 なのかを先にそろえておくと、確認が速くなります。

届出の流れ:様式 40 の 5 → 試行データ → 様式 40 の 7

新規に A245 を届け出る病院で、2025 年 6 月 1 日時点で DPC 対象病院・ DPC 準備病院でない病院は、まず様式 40 の 5 を提出し、その後に試行データを作成・提出し、データ提出の実績が認められてから様式 40 の 7 で本届出に進む流れです。

ここで大事なのは、 40 の 5 を出しただけでは A245 を算定できないことです。試行データが適切に提出され、事務連絡を受けたうえで 40 の 7 を届け出て、はじめて加算算定に進みます。順番を飛ばして理解すると、院内説明でズレが出ます。

A245 データ提出加算の新規届出フロー
段階 内容 実務メモ
1 様式 40 の 5 を提出 開始届出。まずここが入口
2 試行データを作成 案内メールに従って作成する
3 試行データを提出 適切な提出実績が必要
4 データ提出事務連絡を受ける ここで実績認定を確認
5 様式 40 の 7 を提出 受理後、翌月 1 日から加算開始が基本

様式 40 の 5 の締切と、2026 年春時点での見方

関東信越厚生局の案内では、様式 40 の 5 の届出期限は、2025 年 5 月 20 日、8 月 20 日、11 月 20 日、2026 年 2 月 20 日の 4 回です。試行データの対象月もそれぞれ決まっていて、4 回目だけは 2026 年 2 月分・3 月分が対象になります。

したがって、2026 年 3 月時点で未着手の施設は、通常の新規届出スケジュールで考えるとかなりタイトです。この記事では断定は避けますが、「 6 月 1 日までに出せばよい 」だけでなく、 40 の 5 の締切がすでに過ぎているかも見ておく必要があります。未着手なら、院内判断だけで進めず、早めに厚生局へ確認した方が安全です。

様式 40 の 5 の届出期限と試行データ対象月
様式 40 の 5 届出期限 試行データ作成対象月
第 1 回 2025 年 5 月 20 日 2025 年 6 月分、7 月分
第 2 回 2025 年 8 月 20 日 2025 年 9 月分、10 月分
第 3 回 2025 年 11 月 20 日 2025 年 12 月分、2026 年 1 月分
第 4 回 2026 年 2 月 20 日 2026 年 2 月分、3 月分

経過措置の期限と 6 月以降の扱い

厚労省の 2025 年 10 月 30 日事務連絡では、令和 6 年度改定でデータ提出加算の届出を要件とする入院基本料の範囲が拡大され、そのためのデータ作成期間を考慮して 2026 年 5 月 31 日までの経過措置が設けられていると整理されています。

さらに、経過措置終了後の 2026 年 6 月以降も引き続き当該入院基本料を算定するには、一部の医療機関を除き、 2026 年 6 月 1 日までに A245 を届け出る必要があると示されています。実務では、「 5 月 31 日まで猶予がある」だけでなく、「 6 月 1 日時点で届出が間に合っている必要がある」と読む方がズレません。

現場の詰まりどころ:よくある失敗は「届出日だけ見て、開始届出を見落とす」ことです

このテーマでよくある失敗は、本届出の話だけを見て、様式 40 の 5 の段階を見落とすことです。特に、経過措置の期限だけを院内で共有すると、「 5 月末までに何か出せばよい」と誤解されやすくなります。実際には、その前の開始届出と試行データが入っています。

もうひとつは、病棟区分の認識がそろっていないことです。回復期リハ 5 を運用しているのに、病棟側は「回リハだから既に提出必須のはず」と考え、医事課は「経過措置対象」と見ていると、動き出しが遅れます。まずは病棟区分、届出状況、開始届出の有無を 1 枚にまとめると整理しやすいです。

A245 で起きやすい詰まりどころと対策
詰まりどころ 起こりやすい理由 先にやりたいこと
経過措置の期限だけ見て安心する 5 月 31 日だけが印象に残る 40 の 5 と 40 の 7 の順番まで共有する
回復期リハ 5 を 1〜4 と同じ感覚で考える 「回リハ」という言葉で一括認識してしまう 自院の入院料区分を再確認する
試行データの準備を後回しにする 本届出だけ見てしまう 開始届出後の試行データ工程を可視化する
メール確認担当が曖昧 医事課とベンダー任せになりやすい 連絡担当者を固定し、確認頻度を決める

2026 年 6 月 1 日までに院内で確認したい最小チェック

このテーマは、制度資料を読んでも院内の状況が分からないと動けません。まずは、自院の入院料区分、現在の届出状況、開始届出の有無、担当者の 4 点を最小セットで確認すると進めやすいです。

下の表は、そのまま会議メモとして使える形にしています。空欄が残るところが、そのまま「いま未整理の論点」です。

A245 データ提出加算の最小チェック
確認項目 確認内容 記録メモ
対象入院料 自院がどの入院料で届出しているか ex) 回復期リハ 5 を算定中
現在の届出状況 A245 を既に算定中か、経過措置中か ex) まだ本届出未了
開始届出 様式 40 の 5 を提出済みか ex) 2026 年 2 月 20 日締切で提出済み
試行データ 作成対象月と提出状況 ex) 2 月分・3 月分の確認中
担当者 医事課、病棟、リハ部門、ベンダーの窓口 ex) 一次窓口は医事課、病棟区分確認はリハ部門

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

A245 は外来・在宅・リハビリテーションのデータ提出加算と同じですか?

同じではありません。A245 は入院基本料等加算で、外来・在宅・リハビリテーション データ提出加算とは別の制度です。言葉が似ているため混同しやすいですが、届出の流れも参照する資料も分けて考えた方が安全です。

回復期リハビリテーション病棟入院料 5 も対象ですか?

はい。説明資料では、回復期リハビリテーション病棟入院料 5 は、経過措置付きでデータ提出加算の届出が必要となる入院料に含まれています。 1〜4 と 5 は整理のされ方が異なるため、区分を分けて確認することが大切です。

経過措置は 2026 年 5 月 31 日までなら、5 月末に動けば大丈夫ですか?

その理解は危険です。経過措置の期限だけでなく、開始届出、試行データ、本届出の順番があります。特に新規届出の通常フローでは、様式 40 の 5 の最終期限が 2026 年 2 月 20 日なので、 2026 年春時点では余裕が大きくありません。

提出が遅れたり、継続提出で問題が出た場合はどうなりますか?

厚生局ページでは、各調査年度において累積して 3 回のデータ提出の遅延等が認められた場合などに、辞退届の提出が必要になる取扱いが案内されています。新規届出だけでなく、継続提出体制の維持も重要です。

次の一手

最初にやることは 3 つです。① 自院の対象入院料を確認する、② A245 の現在の届出状況を確認する、③ 40 の 5 を含めた工程表が残っているか確認する、この順番なら話が前に進みやすいです。

続けて読むなら、制度の違いを整理する意味で リハビリテーション医療の影響評価調査 をあわせて確認すると、A245 との違いがつかみやすくなります。


参考資料

著者情報

rehabilikun のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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