通信機能付き福祉用具は介護保険の給付対象?対象外費用も整理

制度・実務
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通信機能付き福祉用具は何が給付対象?結論は「通知機能」と「費用」を分けて見る

通信機能付き福祉用具は、介護保険でどこまで給付対象になるのかが分かりにくいテーマです。結論からいうと、「通信できること」自体ではなく、位置情報通知や維持管理・使用状況把握に資する通知かどうかが重要です。一方で、通話・チャット・動画、通信費、アプリ利用料、端末費などは対象外として整理されます。この記事では、PT・OTが在宅支援や福祉用具選定で説明しやすいように、給付対象・対象外・導入前の確認ポイントを整理します。

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このテーマの現在地

通信機能付き福祉用具は、2026年3月30日の第255回社会保障審議会介護給付費分科会で「報告」として整理された内容が土台です。現場では、すでにすべての運用が細かく確定したと考えるより、今後の通知やQ&Aで具体化される前提で押さえる方が安全です。

この記事では、制度背景を広く解説するのではなく、現場で迷いやすい「給付対象になる機能」「対象外の機能・費用」「説明と同意で確認すること」に絞って整理します。令和8年改定全体の差分を追いたい場合は、令和8年改定の更新差分もあわせて確認してください。

最初に押さえる線引き

通信機能付き福祉用具は、「用具本体の機能」と「通信にかかる周辺費用」を分けて考えることが重要です。

給付対象として整理されるのは、福祉用具の位置情報を通知する機能や、維持管理・修理交換・使用状況把握に資する通知機能です。一方で、通信費、アプリ利用料、端末費、通話やチャットなどのコミュニケーション機能は対象外です。

通信機能付き福祉用具の給付対象と対象外を整理した早見図
通信機能付き福祉用具の給付対象と対象外を整理した早見図です。

スマホでは表を横スクロールできます。

通信機能付き福祉用具の基本的な線引き
区分 対象になり得るもの 対象外として整理されるもの
機能 位置情報通知、維持管理通知、使用状況通知 通話、チャット、動画、バイタル変化通知
費用 福祉用具本体に内蔵された対象機能部分 通信費、アプリ利用料、端末費、通信環境整備費
対応 メンテナンスや使用状況通知後の貸与事業所の対応 位置情報通知後の駆けつけ、安否確認などの追加サービス

給付対象として考えやすい機能

給付対象として考えやすいのは、福祉用具の安全な使用や維持管理に直接つながる通知機能です。

具体的には、福祉用具の位置情報を家族や隣人等へ通報する機能、バッテリー状態・異常・故障・使用状況などを通知する機能が中心です。通信機能が付いているかどうかではなく、その通知が福祉用具の本来機能や安全な継続使用にどう関係するかを確認します。

給付対象として整理される主な通知機能
機能 現場での意味
位置情報通知 福祉用具の位置情報を家族等へ通知する 屋外移動や徘徊時の位置把握につながる
維持管理通知 バッテリー低下、異常、故障を通知する 修理交換や安全な継続使用につながる
使用状況通知 福祉用具の使用状況を把握する 適切に使えているか確認しやすい

対象として考えられる福祉用具の例

通信機能付き福祉用具は、認知症老人徘徊感知機器だけでなく、杖、車いす、歩行器、特殊寝台などでも論点になります。

ただし、GPS付きの車いすや通信機能付き歩行器であれば自動的に対象になる、という意味ではありません。確認すべきなのは、福祉用具のどの機能が給付対象として整理されるのか、通信費やアプリ利用料などの周辺費用が含まれていないかです。

給付対象外の機能・費用

給付対象外で特に注意したいのは、便利な機能ほど保険給付と混同されやすいことです。

通話、チャット、動画などのコミュニケーション機能、体調変化を検知して通知するバイタルセンシング機能は対象外として整理されます。さらに、通信料金、ソフトウェア・アプリの導入費や利用料、サブスクリプション費、スマートフォンやタブレットなどの端末費、モデム・ルーターなどの通信環境整備費も対象外です。

給付対象外として説明しておきたいもの
区分 対象外の例 説明時の注意点
機能 通話、チャット、動画、バイタル変化通知 便利でも介護保険給付とは分けて説明する
費用 通信費、アプリ利用料、サブスク費、端末費 契約前に自己負担部分を確認する
通信環境 スマートフォン、タブレット、モデム、ルーター 福祉用具本体と周辺機器を混同しない
追加サービス 駆けつけ、安否確認、ナビゲーション等 自己負担契約になる可能性を確認する

通知後の対応は誰が行うか

通信機能付き福祉用具では、通知後の対応範囲まで確認しておく必要があります。

位置情報の通知後に行う駆けつけや安否確認などの緊急時対応は、保険給付内の役務ではなく、自己負担による契約サービスとして整理されます。一方で、メンテナンスや使用状況通知後の対応は、福祉用具貸与事業所の本来業務として考えられます。

つまり、「通知される」だけでは不十分です。誰が通知を受けるのか、通知後に誰が動くのか、費用はどこから発生するのかを、導入前に確認しておくことが大切です。

PT・OTが見る選定ポイント

PT・OTは、制度そのものを説明するよりも、生活場面で通信機能が本当に必要かを整理する役割を持ちやすいです。

臨床では、機能が多い福祉用具ほど「安心だから入れたい」という話になりやすい一方で、通知先が曖昧だったり、自己負担部分の説明が不足したりすると、導入後のトラブルにつながります。療法士は、移動場面、介助量、家族の見守り体制、故障時の生活影響を言語化して共有すると、選定の質を高めやすくなります。

PT・OTが確認しておきたい選定ポイント
視点 確認すること 理由
生活場面 屋内外の移動、移動距離、見守り体制 必要性の低い機能追加を避けやすい
安全性 故障やバッテリー異常がADLにどう影響するか 転倒や介助遅れの予防につながる
通知先 家族、貸与事業所、ケアマネの誰が受けるか 通知後の役割分担を明確にできる
費用 保険給付と自己負担の範囲 導入後の説明トラブルを減らせる

導入時は、必要性、活用方法、給付対象となる費用、事業者の業務範囲、個人情報の取り扱いを説明し、利用者・家族の同意を得ることが重要です。

特に位置情報や使用状況は、生活に関する情報です。療法士が関わる場合も、「便利です」で終わらせず、どの生活課題に対して必要なのか、どの情報が誰に通知されるのか、自己負担になる部分は何かを共有しておくと安全です。

現場で起こりやすい誤解

通信機能付き福祉用具で起こりやすい誤解は、「通信できれば全部対象」「通知後の駆けつけも保険給付」「端末費も含まれる」という3つです。

この誤解を防ぐには、導入前にOK・NGを簡単に共有しておくことが有効です。

通信機能付き福祉用具で起こりやすい誤解と整理
場面 OK NG
機能説明 位置情報通知と維持管理通知に分ける 通信機能付きだから対象と一括で説明する
費用説明 本体部分と通信費・端末費を分ける 自己負担部分を後から伝える
役割分担 通知先と通知後の対応者を決める 家族や事業所の役割が曖昧なまま導入する
個人情報 位置情報や使用状況の扱いを説明する 便利さだけを優先して同意を曖昧にする

導入前の確認フロー

通信機能付き福祉用具は、制度を読むだけでなく、現場で説明できる順番に落とし込むことが大切です。

  1. 生活上の課題を確認する
  2. 必要な通信機能を1つずつ整理する
  3. 給付対象の機能と対象外の機能・費用を分ける
  4. 通知先と通知後の対応者を決める
  5. 利用者・家族へ必要性、費用、個人情報の扱いを説明する
  6. 貸与事業所、ケアマネ、療法士で活用場面を共有する

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

GPS付きの車いすや歩行器は、すべて介護保険の給付対象になりますか?

いいえ。通信機能が付いていること自体ではなく、位置情報通知や維持管理・使用状況把握に資する通知など、対象として整理される機能かどうかで判断します。

通話やチャット機能も給付対象ですか?

いいえ。通話、チャット、動画などのコミュニケーション機能は給付対象外として整理されています。

通信費やスマートフォン代も介護保険で出ますか?

出ません。通信費、アプリ利用料、端末費、通信環境整備費は給付対象外です。

通知を受けた後の駆けつけ対応は給付対象ですか?

位置情報通知後の駆けつけや安否確認は、保険給付内の役務ではなく、自己負担契約によるサービスとして整理されています。

PT・OTはどこまで関わればよいですか?

制度判断そのものはケアマネや福祉用具専門相談員との確認が必要ですが、療法士は生活場面、移動能力、見守り体制、故障時の影響を整理し、必要な機能を共有する役割を担いやすいです。

次の一手

通信機能付き福祉用具は、機能名だけで判断せず、給付対象の通知機能と対象外の費用を分けて確認することが重要です。制度全体の位置づけと、関連する実務対応もあわせて確認しておきましょう。


参考資料

  1. 厚生労働省. 通信機能を備えた福祉用具について(報告). 第255回社会保障審議会介護給付費分科会 資料4. 2026年3月30日.
  2. 厚生労働省. 第255回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料. 2026年3月30日.
  3. 厚生労働省. 通信機能を備えた福祉用具について. 第247回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3. 2025年9月5日.
  4. 厚生労働省. 介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会.

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

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