離床あり/なし判定フロー【比較・使い分け】疾患別リハ実務

制度・実務
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離床あり/なし判定フロー【比較・使い分け】疾患別リハ実務

制度対応は「点数」より、判定・除外・摘要の型を先にそろえると迷いません

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まず全体像を確認:このページは「判定実務」に特化しています。制度論点の全体はハブ・親記事で先に押さえると迷いが減ります。

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結論はシンプルです。離床あり/なし判定は、当日にベッド上から移動していないか主目的訓練様式(他動的訓練のみか)の 3 点で先に線引きし、次に非該当を弾き、最後に単位と記録(診療録+摘要)を揃えます。

加えて、2026 年 3 月 31 日公開の疑義解釈その 2 では、1 単位の一部にベッド上でのポジショニングや拘縮予防等を主目的とした他動的訓練が含まれても、それ以外の訓練が適切に行われるなら「特定の患者」に当たらないこと、また具体例 6 パターンのうち ⑥のみが該当することが示されました。したがって、現場では「ベッド上で実施した」だけで離床なし扱いにせず、その日の訓練全体で判定する必要があります。

本ページは、現場でブレやすい「判定」と「説明可能性」を 1 枚化する目的でまとめます。現在は告示・留意事項に加えて疑義解釈その 2 まで出ているため、院内ルールもこの時点で更新しておくと運用が止まりにくくなります。

最終更新:2026 年 4 月 1 日(厚労省 留意事項・疑義解釈その 2 反映)

1 分で結論:判定は 6 ステップで揃える

離床あり/なし判定の 6 ステップ(実務版)
ステップ 確認すること 判定の要点
1 その日にベッド上から移動していないか 当日の移動がある場合は、この区分の適合性が下がるため先に再確認する
2 訓練の主目的は何か ポジショニング又は拘縮予防等が主目的かを確認する
3 訓練様式は他動的訓練のみか 内容欄で「他動的訓練のみ」と説明可能にする
4 非該当に当たらないか 救急・集中治療系管理料対象や早期加算算定患者などを先に弾く
5 20 分以上・単位上限の確認 要件充足時は「所定点数の 90 %」「 1 日 2 単位」を同時に確認する
6 診療録+摘要で追えるか 対象理由・内容・時間を第三者が追える形で残す
離床あり/なし判定(実務)6 ステップと対象・除外の早見図
図:離床あり/なし判定(実務)6 ステップと対象・除外の早見

対象患者と非該当の早見

迷いを減らすコツは、適合条件の暗記よりも「対象の考え方」と「非該当」を先に固定することです。ここが揃うほど、返戻・修正コストが下がります。

対象/非該当の早見(判定の入口)
区分 要点 現場での言い換え
対象 個別療法を実施する日に、ベッド上から移動せず、ポジショニング又は拘縮予防等を主たる目的とした他動的な訓練のみを行う入院患者 「当日はベッド上から移動なし」+「目的が維持・予防」+「他動のみ」を 3 点セットで説明できる
非該当 1 救命救急入院料、 ICU 、 HCU 、 SCU 、 PICU 、 NICU などの管理料対象患者、または早期リハ・初期加算・急性期リハ加算を算定している患者 救急・集中治療系や早期加算算定中は、この区分に当てはめない
非該当 2 疾患及び状態によりベッド上からの移動が困難な 15 歳未満の小児患者 小児は別扱いを先に確認する
非該当 3 ベッド上からの移動が困難で、個別療法を 3 単位以上行うことが医学的に必要と医師が特に認めた患者 この場合は別扱い。医学的理由・長時間必要性・訓練内容を診療録と摘要に残す

判定フロー( 5 分で実施)

実務では「迷ったらフローに戻る」を徹底すると、評価者間のブレが減ります。次の Yes / No で判定してください。

離床あり/なし判定フロー( Yes / No )
質問 Yes のとき No のとき
Q1. その日にベッド上から移動していないか Q2 へ進む 離床あり側で運用し、この区分の適合性を再確認する
Q2. 主目的はポジショニング/拘縮予防等か Q3 へ進む 離床なし区分の適合性は低い。目的を再確認する
Q3. 訓練様式は他動的訓練のみか Q4 へ進む 内容を再分類する
Q4. 非該当に該当しないか Q5 へ進む この区分に当てはめない運用へ
Q5. 20 分以上の個別療法か Q6 へ進む 要件未達。実施計画と記録を調整する
Q6. 1 日 2 単位以内か、摘要記載まで追えるか 算定・記録の実行へ 実施前チェックに戻る

疑義解釈その 2 で具体化された 6 事例

2026 年 3 月 31 日の疑義解釈その 2 では、離床を伴わないリハビリテーションに該当するかどうかが、 6 事例で具体化されました。ここで押さえたいのは、ベッド上で実施したことだけでは足りず、「ベッド上のみ」かつ「ポジショニング又は拘縮予防等を目的とした他動的な訓練のみ」かどうかで見る点です。

疑義解釈その 2 の 6 事例:該当/非該当の早見
事例 判定 見るポイント
① 最初の 1 単位はベッド上、 2 単位目の途中から車椅子移乗して計 6 単位 非該当 車椅子に移乗しており、「ベッド上のみ」ではない
② ベッド上で自ら膝の曲げ伸ばし等の運動や排痰を促す訓練 非該当 「他動的な訓練のみ」ではない
③ ベッド上でギャッジアップし、高次脳機能障害や構音障害等に係る言語療法 非該当 ポジショニング又は拘縮予防等を目的とした他動的訓練のみではない
④ 離床を目指して臥位から座位へ進めたが、結果的に端坐位に至らず終了 非該当 離床を目指した訓練であり、他動的訓練のみではない
⑤ 車椅子に移乗して訓練室へ移動し、訓練室ベッド上で他動的関節可動域訓練のみ 非該当 車椅子へ移乗しており、「ベッド上のみ」ではない
⑥ ベッド上で主に拘縮予防や褥瘡予防を目的とした他動的 ROM ・ポジショニングのみ 該当 「ベッド上のみ」かつ「他動的な訓練のみ」に当たる

つまり、1 単位の一部にベッド上でのポジショニングや拘縮予防等を目的とした他動的訓練が含まれても、それ以外の訓練が適切に行われるなら、この区分の「特定の患者」には当たりません。逆に、ベッド上のみで、拘縮予防や褥瘡予防等を目的とした他動的訓練のみであれば、この区分を考えます。

非該当を先に弾く手順

誤判定を減らすコツは、適合条件より先に非該当条件を確認することです。対象外を早く弾くほど、返戻リスクが下がります。

非該当チェックの実務運用
確認項目 実務での見方 運用ポイント
管理料・加算 救急・集中治療系管理料対象や、早期リハ・初期・急性期リハ加算算定患者に当たらないか オーダー時点でチェック欄を必須化する
当日の移動 当日の移動が本当に無かったか 離床レベルの院内定義を先に統一する
訓練全体の中身 一部に他動訓練が含まれても、他の適切な訓練が入っていないか 1 単位の内容をまとめて見て、「他動のみ」か確認する
医学的必要性 3 単位以上が必要な別扱い患者に当たらないか 医師判断の導線を指示簿・診療録・摘要で固定する

現場の詰まりどころ/よくある誤判定( OK / NG 比較)

ここだけは固定: 回避手順(記録テンプレ)へ進むFAQ を確認する

離床判定の OK / NG 比較(現場の詰まりどころ)
場面 NG(誤判定) OK(回避手順)
判定の入口 「ベッド上でやったから離床なし」で確定する 当日の移動の有無+主目的+他動的訓練のみ、で 3 点セット判定する
単位内の一部訓練 一部に他動的訓練が入っただけで離床なし扱いにする 1 単位全体を見て、それ以外の訓練が適切に行われていれば非該当とする
非該当確認 非該当を後回しにする 非該当条件を先に弾いてから適合判定する
時間要件 20 分以上が読み取れない記録 開始/終了または合計時間を必須入力する
単位上限 実施後に上限超過へ気づく オーダー・実施入力・レセ前の 3 点で上限チェックする
摘要 診療録のみで摘要が空欄 対象理由・内容・時間の定型文を摘要へ反映する

診療録+摘要の記録テンプレ(そのまま実装可)

制度改定のたびに有効なのは、記録の粒度を揃えることです。下表を院内テンプレにすると、説明可能性が上がります。

離床判定を支える最小記録テンプレ(分類 → 目的 → 内容 → 量 → 結果)
書く内容 記載例
分類 離床あり/なし(根拠付き) 離床なし:当日ベッド上から移動せず、拘縮予防目的の他動的訓練のみで実施
目的 主目的を 1 行で明示 拘縮予防、ポジショニング調整、呼吸介助量低減の前提づくり
内容 実施タスクを具体化 関節可動域、他動運動、体位調整、呼吸介助など
時間・回数・介助量・条件 20 分(個別)/回数/介助量/環境条件
結果 所見・数値・変化 NRS、関節可動域、呼吸苦、介助量、バイタル変化
摘要 対象理由・内容・時間を定型で記載 離床困難の医学的理由、訓練目的、訓練内容、実施時間

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. ベッド上で実施したら必ず「離床なし」ですか?

A. いいえ。当日の移動の有無だけでなく、主目的と訓練様式(他動的訓練のみか)を合わせて判定します。ベッド上訓練でも、目的・内容によって扱いは変わります。

Q2. 当日に少しでも移動した場合は対象外ですか?

A. 留意事項は「個別療法を実施する日にベッド上から移動せず」と整理しています。院内では、どこまでを移動とみなすかを先に統一するとブレが減ります。

Q3. 1 単位の一部にベッド上でのポジショニングや拘縮予防等を目的とした他動的訓練が含まれても、離床なしになりますか?

A. いいえ。それ以外の訓練が適切に行われる場合は、「特定の患者」に当たりません。1 単位全体を見て判定することが大切です。

Q4. 疑義解釈の 6 事例では、どれが該当しますか?

A. ①〜⑤は非該当、⑥だけが該当です。車椅子へ移乗している、能動的な運動や言語療法が入っている、離床を目指した座位訓練である、などの場合は「特定の患者」に当たりません。

Q5. 3 単位以上必要な患者はどうなりますか?

A. 医師が特に必要と認めた場合は、この区分の対象から外れます。その代わり、ベッド上からの移動が困難な医学的理由、長時間リハの必要性、訓練内容を診療録と摘要欄へ記載します。

Q6. 20 分以上や、1 日上限の見落としを防ぐコツは?

A. オーダー・実施入力・レセ前の 3 点で同じチェック項目を回すことです。時間は「開始/終了」か「合計時間」のどちらかを必須にすると落ちにくくなります。

Q7. 記録で最低限そろえる要素は何ですか?

A. 分類、目的、内容、量、結果、摘要の 6 つです。特に摘要は、対象理由・内容・時間を定型化すると説明可能性が上がります。

次の一手(院内で迷わないために)

運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう

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参考資料

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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