CP angleとは?胸部レントゲンで見る肋骨横隔膜角です
CP angleとは、胸部レントゲンで胸壁と横隔膜がつくる外側下方の角です。正式にはCostophrenic angle、日本語では肋骨横隔膜角と呼ばれます。正常では鋭く明瞭に見えますが、胸水などがあると丸く鈍く見えることがあります。
ただし、CP angleの鈍化だけで胸水と診断することはできません。撮影体位や画像条件、胸膜肥厚、過去からの変化なども考慮し、呼吸苦、SpO2、呼吸数、聴診所見と併せて確認する必要があります。この記事では、新人医療職に向けて、CP angleの場所、正常と鈍化の見分け方、リハビリ場面での確認ポイントを整理します。
このページの位置づけ
このページは、CP angleに絞った胸部レントゲン読影の各論記事です。胸部レントゲン全体をどの順番で見るか確認したい場合は、先に総論記事を読むと位置づけを理解しやすくなります。
CP angleは左右下肺野の外側にあります
正面の胸部レントゲンでは、左右の横隔膜を外側へたどり、胸壁と交わる部分を確認します。この外側下方にできる角がCP angleです。
正面像で見える外側の角は、より正確には外側肋骨横隔膜角です。側面像では、横隔膜と後胸壁がつくる後方肋骨横隔膜角も確認できます。胸腔の後方は深いため、少量の胸水では正面像よりも側面像の後方CP angleに変化が現れやすいことがあります。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Costophrenic angle |
| 日本語 | 肋骨横隔膜角 |
| 正面像で見る場所 | 左右の横隔膜と外側胸壁が接する部分 |
| 側面像で見る場所 | 横隔膜と後胸壁が接する後方部分 |
| 正常所見 | 鋭く、輪郭が明瞭に見える |
| 確認する変化 | 鈍化、消失、不明瞭化、左右差 |
正常なCP angleと鈍化を見分ける
正常なCP angleは鋭く明瞭ですが、鈍化すると角が丸くなったり、境界が不明瞭になったりします。まずは左右を見比べ、角の形と横隔膜の輪郭を確認します。
| 確認項目 | 正常で見られる所見 | 鈍化で見られる所見 |
|---|---|---|
| 角の形 | 鋭い | 丸い、鈍い |
| 境界 | 明瞭 | ぼやける、消失する |
| 左右差 | 著明な差がない | 片側または両側に変化する |
| 周囲の下肺野 | 横隔膜の輪郭を追いやすい | 白くなり、輪郭を追いにくいことがある |
ただし、正面像でCP angleが鋭く見えていても、少量の胸水や横隔膜下に分布する胸水を完全に除外できるわけではありません。CP angleは、胸部レントゲン全体の一所見として評価します。
CP angle鈍化では胸水をまず考えます
CP angle鈍化の代表的な原因は胸水ですが、鈍化だけで胸水と断定してはいけません。英語では、blunting of the costophrenic angleと表現されます。
立位や座位では、胸腔内の液体が重力によって下方へ移動します。胸水が肋骨横隔膜洞を満たすと、本来は鋭いCP angleが丸くなります。胸水量が増えると、横隔膜の輪郭が不明瞭になり、下肺野外側へ向かって高くなる弧状の陰影が見られることがあります。
| 考える状態 | 画像で確認すること | 併せて確認すること |
|---|---|---|
| 胸水 | 下肺野の均一な白さ、横隔膜輪郭の消失、弧状の上縁 | 呼吸苦、SpO2、呼吸数、体位による症状変化 |
| 胸膜肥厚・瘢痕 | 過去画像でも同様の鈍化があるか | 胸膜炎、手術、感染症などの既往 |
| 下肺野の無気肺・浸潤影 | 容量減少、横隔膜挙上、周囲の肺野陰影 | 発熱、喀痰、呼吸音、換気状態 |
| 撮影条件や体位の影響 | 立位・座位・仰臥位、正面像・側面像の違い | 撮影方法と過去画像の条件 |
軽度の鈍化は、慢性的な瘢痕や無気肺でも生じることがあります。片側だけ鈍化している場合も、片側胸水と決めつけず、横隔膜の高さ、肺野陰影、胸膜の変化、過去画像を含めて確認します。
CP angleは撮影体位によって見え方が変わります
胸水の見え方は、立位・座位と仰臥位で異なります。CP angleを評価するときは、画像がどの体位で撮影されたかを先に確認します。

| 撮影条件 | 胸水の分布 | CP angleを見るときの注意点 |
|---|---|---|
| 立位・座位の正面像 | 胸腔の下方にたまりやすい | 外側CP angleの鈍化が見えやすい |
| 立位の側面像 | より深い後方部分にたまりやすい | 後方CP angleの鈍化を確認する |
| 仰臥位の正面像 | 胸腔の背側へ広がりやすい | 典型的な外側CP angle鈍化が目立たないことがある |
ポータブル撮影が多い患者では、仰臥位の正面像だけで評価する場面があります。その場合、CP angleが保たれていても胸水を除外できません。肺野全体の透過性、左右差、横隔膜や心陰影の輪郭、臨床症状を合わせて確認します。
リハビリ職はCP angleと呼吸状態をセットで確認します
リハビリ職にとって重要なのは、CP angleから診断することではなく、画像所見を患者の呼吸状態と結びつけることです。鈍化や胸水が報告されている場合は、離床前、負荷中、終了後の変化を確認します。
CP angleを確認した後の3段階
- 画像で見る:左右差、鈍化、横隔膜の高さ、下肺野の白さを確認する
- 患者で確認する:呼吸苦、SpO2、呼吸数、体位、呼吸音を確認する
- 負荷中に再確認する:動作時の息切れ、SpO2低下、頻呼吸、回復時間を確認する
| 確認項目 | 見るポイント | 変化がある場合の対応 |
|---|---|---|
| 呼吸苦 | 安静時と動作時の自覚症状 | 負荷を下げ、症状の推移を確認する |
| SpO2 | 安静値、動作時の低下、回復時間 | 既定の指示や中止基準に従って対応する |
| 呼吸数 | 安静時の頻呼吸、動作に対する増加 | 会話、表情、呼吸様式と合わせて判断する |
| 体位 | 臥位と座位で症状が変化するか | 呼吸しやすい姿勢を選び、急な体位変換を避ける |
| 呼吸音 | 下肺野の呼吸音低下や左右差 | 画像所見や他の身体所見と統合する |
| 経時変化 | 過去画像、前回評価、治療前後との差 | 新たな悪化が疑われる場合は医師・看護師へ共有する |
画像上の鈍化が軽度でも、呼吸苦の増悪、SpO2低下、呼吸数増加などがあれば、患者の反応を優先します。反対に、CP angle鈍化があっても、それだけで一律に離床不可と判断するものではありません。診療録、画像所見の報告、治療方針、バイタルサインを統合して負荷を調整します。
CP angleを見るときのよくある失敗
最も避けたいのは、CP angle鈍化を見つけた時点で胸水と断定することです。撮影条件や他の画像所見を確認し、患者の状態と統合する必要があります。
- 失敗1:CP angle鈍化を見ただけで胸水と断定する
- 失敗2:左右を比較せず、片側だけを見る
- 失敗3:横隔膜の高さや下肺野の陰影を確認しない
- 失敗4:立位・座位・仰臥位などの撮影体位を確認しない
- 失敗5:CP angleが鋭いことだけで少量胸水を除外する
- 失敗6:呼吸苦、SpO2、呼吸数、呼吸音と結びつけない
- 失敗7:過去画像との変化を確認しない
CP angleに関するよくある質問
各項目名をタップすると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。
CP angleとは何ですか?
CP angleとはCostophrenic angleの略で、日本語では肋骨横隔膜角と呼ばれます。胸部レントゲンで、横隔膜と胸壁がつくる角を指します。正面像では左右下肺野の外側を確認します。
CP angle鈍化とは何を意味しますか?
本来は鋭く見えるCP angleが、丸くなったり不明瞭になったりした所見です。胸水が代表的ですが、胸膜肥厚、瘢痕、下肺野病変などでもみられるため、鈍化だけでは原因を確定できません。
CP angleが鋭ければ胸水はありませんか?
胸水がないとは言い切れません。少量胸水、横隔膜下に分布する胸水、仰臥位で背側へ広がった胸水などでは、正面像の外側CP angle鈍化が目立たないことがあります。
正面像と側面像では見る場所が違いますか?
正面像では左右外側のCP angleを確認します。側面像では後方CP angleを確認でき、少量の胸水では正面像より先に後方の鈍化が見えることがあります。
リハビリ職はCP angleをどう活用しますか?
CP angleから診断するのではなく、画像所見を呼吸苦、SpO2、呼吸数、体位、呼吸音、動作時反応と結びつけて、離床や運動負荷のリスク判断に活用します。
まとめ
CP angleは、胸部レントゲンで横隔膜と胸壁がつくる角で、正常では鋭く明瞭に見えます。角が丸く不明瞭になる鈍化は胸水を疑う代表的な所見ですが、胸膜肥厚、瘢痕、無気肺などでもみられます。
また、胸水の見え方は撮影体位によって変わります。仰臥位撮影や少量胸水では、外側CP angleの鈍化が目立たないこともあります。リハビリ職はCP angleだけで判断せず、呼吸苦、SpO2、呼吸数、体位、呼吸音、過去画像からの変化を確認し、患者の反応に応じて負荷を調整することが重要です。
次の一手
CP angleの場所と鈍化の意味を理解した後は、胸部レントゲン全体を同じ順序で確認する練習へ進みます。気管、肺野、心陰影、横隔膜、CP angleを毎回同じ流れで見ることで、確認漏れを減らしやすくなります。
参考文献
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- Khan AN, Al-Jahdali H, Al-Ghanem S, Gouda A. Reading chest radiographs in the critically ill(Part I). Ann Thorac Med. 2009;4(2):76-82. PMC
著者情報
この記事は、呼吸リハビリテーションや高齢者リハビリテーションに関わる理学療法士が、医療職向けの基礎資料として作成しています。胸部レントゲンのみから診断することを目的とせず、画像所見をリハビリ評価とリスク管理へつなげるための基本的な見方を整理しています。

