認知症高齢者の日常生活自立度を解説|Ⅱa・Ⅱb の違い

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認知症高齢者の日常生活自立度とは

評価の順番を先に整理したい方へ

認知機能評価は「拾う → 揃える → 分ける」の順で並べると、病棟・外来・在宅での共有がぶれにくくなります。

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認知症高齢者の日常生活自立度は、認知症の重症度を点数で細かく採点する尺度ではありません。日常生活に支障を来す症状・行動や意思疎通の困難さが、家庭内外でどの程度みられ、どれくらい介護が必要かを、公的なランクで共有するための指標です。

この指標の強みは、会議・主治医意見書・介護保険実務で通じやすいことです。 DASC-21 のように入口で広く拾う尺度、 CDR のように重症度をそろえる尺度、 DAD のように遂行の崩れ方をみる尺度とは役割が異なるため、本記事では「生活支障の共有ランク」として整理します。

Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・M の見方

認知症高齢者の日常生活自立度は、 自立 / Ⅰ / Ⅱa / Ⅱb / Ⅲa / Ⅲb / Ⅳ / M で整理します。読み分けの軸は、単に「認知症があるか」ではなく、日常生活に支障を来す症状・行動や意思疎通の困難さが、どこで、どの時間帯に、どれくらい介護を要する形で表れているかです。

認知症高齢者の日常生活自立度の早見図
図:認知症高齢者の日常生活自立度の全体像

図版では全体像をつかみ、細かな定義や迷いやすい境界は本文の表で確認すると整理しやすくなります。まずは、 Ⅱ = 注意していれば自立できる段階Ⅲ = ときどき介護を要する段階Ⅳ = 頻繁に介護を要する段階 と押さえると全体像がつかみやすくなります。そこに「家庭外 / 家庭内」「日中 / 夜間」の違いが加わって、 Ⅱa ・ Ⅱb 、 Ⅲa ・ Ⅲb を分けます。

※スマホでは表を左右にスクロールできます。

認知症高齢者の日常生活自立度の早見表
ランク 状態像 よくみる場面 実務メモ
自立 認知症を認めない、または生活支障が明らかでない 日常生活は自立 本指標の対象外に近い状態です。
何らかの認知症はあるが、家庭内及び社会的にほぼ自立 生活支障はまだ大きくない 認知症の存在はあっても、介護必要度は高くない段階です。
Ⅱa 支障を来す症状・行動や意思疎通の困難さが多少みられても、誰かが注意していれば自立できる 家庭外で目立つ 道に迷う、買い物や事務、金銭管理のミスなどが出やすい段階です。
Ⅱb Ⅱ と同様だが、家庭内でも状態がみられる 家庭内でも目立つ 服薬管理や電話対応、ひとりでの留守番が難しくなる場面が増えます。
Ⅲa 日常生活に支障を来す症状・行動や意思疎通の困難さがときどきみられ、介護を要する 日中を中心に目立つ 更衣、食事、排泄の手間取り、徘徊、不潔行為などが日中に出やすい段階です。
Ⅲb Ⅲ と同様だが、夜間を中心に状態がみられる 夜間を中心に目立つ 夜間せん妄様の混乱、昼夜逆転、夜間の徘徊などが共有の焦点になります。
支障を来す症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられ、常に介護を要する 日中・夜間を問わず介護が必要 介護の常時化が大きな目印です。
M 著しい精神症状や問題行動、または重篤な身体疾患がみられ、専門医療を要する せん妄、妄想、興奮、自傷・他害など 通常の生活支援だけでなく、医療対応の優先度が高い段階です。

Ⅱa・Ⅱb、Ⅲa・Ⅲb の違い

現場で混同しやすいのは、 Ⅱa と Ⅱb 、 Ⅲa と Ⅲb の差です。 Ⅱ の基本は「誰かが注意していれば自立できる」段階であり、 家庭外で目立つなら Ⅱa 、家庭内でも目立つなら Ⅱb と覚えると整理しやすくなります。生活の中で「どこまで見守りがないと崩れるか」が分岐点です。

Ⅲ は「ときどき介護が要る」段階であり、 日中を中心に介護が要るなら Ⅲa 、夜間を中心に介護が要るなら Ⅲb と読みます。単に重い・軽いではなく、介護の負担が集中する時間帯の違いをそろえるイメージです。ここを曖昧にすると、家族説明やカンファレンスで支援の焦点がずれやすくなります。

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Ⅱa・Ⅱb、Ⅲa・Ⅲb の違い
区分 どこで目立つか 考え方 共有しやすい言い換え
Ⅱa 家庭外 外出先や社会場面でミスや混乱が目立つ 外での見守りが要る段階
Ⅱb 家庭内 家の中でも留守番、服薬、電話対応などが難しい 家の中でも見守りが要る段階
Ⅲa 日中 日中の更衣、食事、排泄、徘徊、不潔行為などで介護が要る 日中介護が増える段階
Ⅲb 夜間 夜間の混乱や徘徊などで介護が要る 夜間介護が増える段階

DASC-21・CDR・DAD との違い

認知症高齢者の日常生活自立度は、認知症の生活支障を公的ランクで共有する指標です。一方、 DASC-21 の評価方法 は入口で「認知 + 生活」を広く拾うのに向き、 DASC-21 と CDR の違い【比較・使い分け】 でも整理しているように、 CDR は重症度をそろえる役割が強い評価です。

また、 DAD の評価方法 は、 ADL / IADL が「できない」背景を、開始・段取り・実行の崩れ方として分けてみる尺度です。つまり、 認知症高齢者の日常生活自立度 = 公的ランク共有、 DASC-21 = 入口で拾う、 CDR = 重症度をそろえる、 DAD = 遂行の崩れ方を分ける と置くと、役割がぶれにくくなります。

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認知症高齢者の日常生活自立度・DASC-21・CDR・DAD の使い分け
指標 主にみるもの 強み 向く場面
認知症高齢者の日常生活自立度 生活支障の程度と介護必要度 公的ランクで共有しやすい 主治医意見書、会議、介護保険実務
DASC-21 認知 + 生活機能の入口評価 短時間で広く拾いやすい 初期評価、地域・外来・病棟の入口
CDR 認知症の重症度 重症度を段階でそろえやすい 紹介、カンファ、経過共有
DAD ADL / IADL 遂行の崩れ方 開始・段取り・実行の分解に強い 介入設計、家族指導、生活場面の分析

記録・家族説明に落とすコツ

この指標は、ランクだけ書くと情報が足りず、逆に症状を長く並べすぎると共有しにくくなります。現場では 「ランク + 主な生活支障 + 介護が要る時間帯や場面」 の 3 点でそろえると扱いやすくなります。たとえば「 Ⅱb 相当。家庭内でも服薬管理と電話対応が難しく、留守番に不安がある」のように、生活場面へ言い換えると読み手に伝わりやすくなります。

家族説明では、「認知症が重い / 軽い」だけでなく、 今どこで手が要るか を明確にするのが大切です。認知機能評価の全体像は 認知機能評価の選び方 でも整理されていますが、本記事ではその中でも、支援量や見守りの必要度をチームでそろえる共通言語として使うことに絞ります。

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記録と家族説明で使いやすい表現例
ランク 記録例 補足するとよい点
Ⅱa Ⅱa 相当。外出先で道に迷いや金銭管理のミスがみられ、見守りが必要。 外出頻度、単独外出の可否、買い物場面の具体例
Ⅱb Ⅱb 相当。家庭内でも服薬管理が難しく、ひとりでの留守番に不安がある。 服薬、電話対応、訪問者対応の可否
Ⅲa Ⅲa 相当。日中に更衣や排泄で手間取りがあり、徘徊傾向もみられるため介護を要する。 日中の見守り時間、失禁、不潔行為、移動条件
Ⅲb Ⅲb 相当。夜間の混乱と離床があり、夜間見守り・介助を要する。 夜間覚醒、昼夜逆転、転倒リスク、家族負担
Ⅳ 相当。日中夜間を問わず生活支障が頻繁で、常時の介護を要する。 介護者数、 BPSD の頻度、身体介護との重なり

よくある失敗

よくある失敗の 1 つ目は、この指標を認知機能検査の点数代わりとして使ってしまうことです。認知症高齢者の日常生活自立度は、記憶や注意を細かく測る評価ではなく、生活支障と介護必要度を公的ランクでそろえるための指標です。 MMSE や HDS-R のような認知機能検査と混同すると、使いどころがずれやすくなります。

2 つ目は、ランクだけを書いて具体場面を残さないことです。 3 つ目は、 Ⅱa / Ⅱb を「軽い / 重い」だけで読んでしまうことです。 4 つ目は、 Ⅲa / Ⅲb で日中か夜間かを整理せず、家族負担の時間帯を見落とすことです。支援量の違いが出る場面まで書くと、家族説明や会議でぶれにくくなります。

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認知症高齢者の日常生活自立度でよくある失敗と回避策
失敗 なぜずれるか 回避策
点数尺度の代わりに使う 認知機能検査と役割が混同する 本指標は生活支障の共有ランクと整理します。
ランクだけで終える 生活場面が伝わらない ランク + 場面 + 時間帯で書きます。
Ⅱa と Ⅱb を重症度差だけでみる 家庭外 / 家庭内の違いが抜ける どこで見守りが要るかで分けます。
Ⅲa と Ⅲb の時間帯を見落とす 家族負担や介護配置に直結しない 日中か夜間かを具体場面とセットで残します。
M を安易に選ぶ 専門医療の要否が曖昧になる 著しい精神症状や問題行動、重篤な身体疾患が前面にあるかで判断します。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

認知症高齢者の日常生活自立度は認知機能検査ですか?

いいえ。記憶や注意を細かく測る検査ではなく、生活支障と介護必要度を公的ランクで共有する指標です。認知機能そのものを拾うなら DASC-21 や MMSE、重症度をそろえるなら CDR などと役割を分けると整理しやすくなります。

Ⅱa と Ⅱb は何が違いますか?

どちらも「誰かが注意していれば自立できる」段階ですが、 Ⅱa は家庭外で状態が目立ち、 Ⅱb は家庭内でも目立つ点が違います。見守りが必要な場所で分けると判断しやすくなります。

Ⅲa と Ⅲb は重症度の違いですか?

重い・軽いというより、介護が必要になる時間帯の違いです。日中を中心に介護が要るなら Ⅲa 、夜間を中心に介護が要るなら Ⅲb と整理します。

M はどんなときに使いますか?

著しい精神症状や問題行動、または重篤な身体疾患がみられ、専門医療を要する段階です。通常の見守りや介護だけでは支えきれず、医療対応の優先度が高い場合を想定すると分かりやすいです。

DAD や DASC-21 があれば、この指標は不要ですか?

不要ではありません。 DASC-21 は入口で広く拾う、 DAD は遂行の崩れ方を分ける、本指標は公的ランクで共有する、と役割が違います。目的に応じて併用すると、評価から共有までつながりやすくなります。

次の一手

認知症高齢者の日常生活自立度で 生活支障のランク をそろえたら、次は 入口で拾う尺度遂行の崩れ方を分ける尺度 をつなぐと、介入方針が立てやすくなります。同テーマで続けて読むなら、次の 3 本がつながりやすいです。

評価の回し方や共有の型を、個人だけでなく職場全体で整えたいときは、環境面の詰まりも点検しておくと動きやすくなります。無料チェックシートを見る


参考文献

  1. 厚生労働省. 「認知症高齢者の日常生活自立度」判定基準. PDF
  2. 厚生労働省. 主治医意見書. PDF

著者情報

rehabilikun のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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