無気肺のレントゲン所見とは?胸部X線で確認するポイント

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無気肺とは?

無気肺とは、肺胞内の空気が減少し、肺の一部または全体が虚脱した状態を指します。

正常な肺では、肺胞に空気が入り、酸素と二酸化炭素のガス交換が行われています。しかし無気肺になると、肺胞がつぶれて換気が低下し、呼吸機能に影響します。

特に、術後患者、長期臥床患者、喀痰排出が難しい患者、人工呼吸器管理中の患者などでは注意が必要です。

このページの位置づけ

このページは、胸部レントゲン読影の各論記事です。胸部X線全体の見方を確認したい場合は、読影の順番から整理すると理解しやすくなります。

胸部レントゲン読影の順番を確認する

無気肺が起こる原因

無気肺は、肺胞に空気が入りにくくなることで起こります。原因は大きく、気道閉塞、外部圧迫、長期臥床による換気低下に分けて考えると整理しやすいです。

1.気道閉塞

気道が閉塞すると、その先の肺胞へ空気が入らなくなります。

  • 喀痰貯留
  • 粘液栓
  • 誤嚥
  • 異物

2.外部圧迫

肺そのものが外側から圧迫される場合も、肺胞が広がりにくくなります。

  • 胸水
  • 気胸
  • 腫瘍

3.長期臥床

長期間ベッド上で過ごすことで深呼吸や咳嗽が減り、無気肺が起こりやすくなります。

  • 深呼吸の減少
  • 咳嗽力の低下
  • 痰の排出低下
  • 背側肺の換気低下

無気肺のレントゲン所見5つ

胸部X線で無気肺を疑うときは、「白く見えるか」だけでなく、「肺が縮んでいる所見があるか」を確認することが重要です。

無気肺のレントゲン所見5つを整理した図。肺野透過性低下、肺容量減少、縦隔偏位、横隔膜挙上、肋間狭小化を示している。
無気肺で確認したい胸部X線所見
所見 見え方 意味
肺野透過性低下 肺が白く見える 空気量が減っている
肺容量減少 肺が小さく見える 肺胞が虚脱している
縦隔偏位 縦隔が患側へ寄る 縮んだ肺に引っ張られる
横隔膜挙上 患側の横隔膜が上がる 肺容量が減少している
肋間狭小化 肋骨の間隔が狭くなる 胸郭容積が小さくなる

1.肺野透過性低下

正常な肺は空気を多く含むため、胸部X線では黒く見えます。無気肺では肺胞内の空気が減るため、肺野が白く見えやすくなります。

ただし、肺炎や胸水でも白く見えることがあるため、白い影だけで無気肺と判断しないことが大切です。

2.肺容量減少

無気肺では、肺胞が虚脱することで肺の容積が小さくなります。

胸部X線では、患側の肺が縮んで見える、葉間裂の位置が変わる、肺門が引き上げられるなどの所見として確認されることがあります。

3.縦隔偏位

無気肺では肺が縮むため、縦隔が患側へ引っ張られるように偏位することがあります。

これは胸水や気胸とは異なる見方が必要なポイントです。胸水や緊張性気胸では、病変側から反対側へ押されるような偏位がみられることがありますが、無気肺では患側へ引き込まれる方向を考えます。

4.横隔膜挙上

肺容量が減少すると、同側の横隔膜が通常より高い位置に見えることがあります。

特に下葉無気肺では、患側横隔膜の挙上が確認しやすい所見になります。左右差を比較して見ることが重要です。

5.肋間狭小化

肺が縮むと、胸郭全体の容積も小さくなり、肋間が狭く見える場合があります。

肋間の左右差は見落としやすいため、肺野だけでなく胸郭全体を確認する視点が必要です。

無気肺と肺炎の違い

無気肺と肺炎は、どちらも胸部X線で白く見えることがあります。そのため、画像上では鑑別が難しい場合があります。

ポイントは、無気肺では「肺が縮む所見」を伴いやすいことです。一方、肺炎では浸潤影により白く見えても、明らかな肺容量減少を伴わないことがあります。

無気肺と肺炎の違い
比較項目 無気肺 肺炎
白く見える あり あり
肺容量減少 みられやすい 目立ちにくい
縦隔偏位 患側へ偏位しやすい 目立ちにくい
横隔膜挙上 みられることがある 少ない
臨床症状 換気低下、痰貯留、術後など 発熱、炎症反応、咳嗽など

リハビリ職が確認するポイント

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も、胸部X線を確認する場面があります。診断をするためではなく、リスク管理や介入方針を考えるために画像所見を理解しておくことが大切です。

特に以下のような患者では、無気肺のリスクを意識します。

  • 術後患者
  • 痰が多い患者
  • 長期臥床患者
  • 咳嗽力が低下している患者
  • 呼吸苦がある患者
  • 離床が進みにくい患者
リハビリ場面で見るポイント
確認項目 見るポイント
SpO2 安静時・動作時に低下しないか
呼吸数 頻呼吸になっていないか
呼吸音 局所的に低下していないか
喀痰 痰の量、粘稠度、喀出力
姿勢・体位 換気が入りにくい体位が続いていないか

無気肺への対応方法

無気肺の予防・改善では、肺胞に空気を入れること、痰を出しやすくすること、同じ体位を避けることが重要です。

リハビリでは、医師や看護師と情報共有しながら、呼吸状態を確認して介入します。

  • 早期離床:座位・立位・歩行により換気を促す
  • 深呼吸練習:肺胞の拡張を促す
  • 咳嗽介助:痰を出しやすくする
  • 体位変換:背側肺の換気低下を防ぐ
  • 排痰介助:喀痰貯留を減らす

よくある失敗

無気肺の胸部X線を見るときに多い失敗は、「白く見える=肺炎」とすぐに考えてしまうことです。

  • 失敗1:白い影だけで判断する
  • 失敗2:肺容量減少を見ない
  • 失敗3:縦隔偏位の方向を確認しない
  • 失敗4:横隔膜の左右差を見落とす
  • 失敗5:呼吸状態や痰の状態と結びつけない

よくある質問

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無気肺はレントゲンでどう見えますか?

無気肺では、肺野透過性低下、肺容量減少、縦隔偏位、横隔膜挙上、肋間狭小化などがみられることがあります。白く見えるだけでなく、肺が縮む所見を確認することが重要です。

無気肺と肺炎はどう違いますか?

どちらも白く見えることがありますが、無気肺では肺容量減少や縦隔偏位、横隔膜挙上など、肺が縮む所見を伴いやすい点が特徴です。

無気肺は術後に起こりやすいですか?

起こりやすいです。術後は疼痛、浅い呼吸、咳嗽低下、臥床時間の増加などにより、無気肺が生じやすくなります。

リハビリ職は無気肺にどう関わりますか?

早期離床、深呼吸練習、体位変換、咳嗽介助、排痰介助などを通して、換気改善や痰の排出を支援します。SpO2、呼吸数、呼吸苦、呼吸音などの確認も重要です。

まとめ

無気肺は、肺胞内の空気が減少し、肺の一部または全体が虚脱した状態です。

胸部X線では、肺野透過性低下、肺容量減少、縦隔偏位、横隔膜挙上、肋間狭小化の5つを確認することが重要です。

特に術後患者や長期臥床患者では無気肺が起こりやすいため、リハビリ職も胸部X線を読む基本的な視点を理解しておくことが大切です。画像だけで判断せず、呼吸状態、喀痰、SpO2、離床状況とあわせて総合的に評価しましょう。

次の一手

胸部X線の全体像を整理したい場合は、まず読影の順番を確認し、そのうえでCP angle、横隔膜、無気肺、胸水などの各論を学ぶと理解しやすくなります。


参考文献

  1. Radiopaedia. Atelectasis. Radiopaedia
  2. StatPearls. Atelectasis. NCBI Bookshelf
  3. Radiology Masterclass. Chest X-ray Abnormalities. Radiology Masterclass

著者情報

この記事は、臨床で呼吸リハや高齢者リハに関わる医療職向けに、理学療法士が作成しています。診断ではなく、胸部X線所見をリハ評価・リスク管理に活かすための基礎整理として執筆しています。