心不全再入院予防継続管理料【2026改定】現場運用の要点

制度・実務
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令和 8 年改定|心不全再入院予防継続管理料 1( 1,000 点 )を現場運用で読む

心不全の運用は「対象・担当・記録先」を先にそろえるほど止まりにくくなります

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心不全再入院予防継続管理料は、慢性心不全の再入院予防を目的とした多職種介入を評価する新設項目です。重要なのは「算定できるか」より、入院中 → 退院前 → 退院後 でタスクと記録先を固定し、連携が途切れない “型” を作ることです。

本記事は、管理料 1( 1,000 点 )を中心に、対象患者の拾い上げ、介入計画、連携・記録の院内設計を整理します。管理料 2・ 3 は外来フォローの位置づけとして併記しつつ、まずは入院中に何をそろえると実装しやすいかに絞って解説します。

最終更新:2026 年 3 月 6 日(医科全体版・留意事項反映)

心不全の運用は「全体像 → 各論」の順で揃えると失速しません。改定ハブで関連項目もまとめて確認できます。 2026 改定ハブで全体像を確認する

関連:退院前指導(最小セット)評価(最小セット+再評価)

改定の要点|「再入院予防の継続管理」を評価する新設項目

令和 8 年度改定では、慢性心不全の再入院予防を評価する枠組みとして、心不全再入院予防継続管理料が新設されました。管理料 1 は入院中 1 回 1,000 点、管理料 2 は外来で 6 回目まで 700 点・ 7 回目以降 225 点、管理料 3 は外来で 6 回目まで 400 点・ 7 回目以降 225 点です。

実務では、まず管理料 1 を主軸に、対象患者の拾い上げ、入院中の評価と指導、退院後につながる記録を統一するのが先です。関連する制度改定の全体像は 2026 診療報酬改定ハブ で俯瞰できます。

管理料 1 の位置づけ(早見)

管理料 1 は、再入院予防に必要な介入を「入院中に多職種で立ち上げる体制」を評価する中核です。管理料 2・ 3 はその後の外来フォローですが、入院中の設計が弱いと継続管理に乗りにくくなります。

心不全再入院予防継続管理料の位置づけ(実務整理用)
区分 点数 算定場面 主な役割 現場で先に決めること
管理料 1 1,000 点 入院中 1 回 再入院予防の中核管理 対象抽出、担当割当、記録様式
管理料 2 6 回目まで 700 点
7 回目以降 225 点
外来・月 1 回・ 1 年限度 退院後フォローの継続 フォロー頻度、再評価基準、外来連携
管理料 3 6 回目まで 400 点
7 回目以降 225 点
外来・月 1 回・ 1 年限度 長期安定化の評価 生活指導・服薬・栄養連携の継続

管理料 1 で最低限押さえる要件

管理料 1 は、急性心不全を主病として入院した患者で、ガイドラインに基づく評価・治療に加え、リハ・栄養・薬剤の要素が入って初めて成立しやすい設計です。ここを入院中の “やることリスト” に変換しておくと、算定可否と質改善を同時に進めやすくなります。

管理料 1 の実務要件(入院中に確認する最小セット)
要件 実務での意味 確認する記録
対象患者 急性心不全を主病として入院している 主病名、入院目的、病態整理
ガイドラインに基づく評価・治療 心機能評価、原疾患の精査、リスク評価、必要治療を行う 評価結果、治療方針、リスク因子
リハ要件 入院中に早期離床・リハビリテーション加算又は心大血管疾患リハビリテーション料を算定している 算定日、介入内容、負荷設定
栄養・薬剤要件 入院栄養食事指導料又は薬剤管理指導料のいずれかを算定している 指導日、指導内容、理解確認
チーム運用 専任の医師・看護師又は保健師・管理栄養士を軸に、多職種で計画を回す 担当表、カンファ記録、計画書

運用フロー|入院中 → 退院前 → 退院後で役割を固定する

運用が止まる原因の多くは、担当者の善意頼みでタスクが散ることです。そこで、各フェーズで「担当」「実施内容」「記録先」を固定します。管理料 1 は入院中に 1 回ですが、退院後のフォローまで見据えて院内でつなぐ設計にしておくと、再入院予防の実効性が高まります。

再入院予防の多職種フロー(実装テンプレ)
フェーズ 主担当 実施内容 記録ポイント
入院中 医師・看護師・リハ・薬剤師・管理栄養士 リスク評価、運動・服薬・食事指導の計画化 再入院リスクの根拠と介入目標
退院前 看護師・リハ・薬剤師・管理栄養士 セルフモニタリング教育、家族説明、連携先調整 指導実施日、理解確認、連携文書
退院後 外来チーム・地域連携 体重・症状・服薬・活動量のフォロー 再評価日、増悪徴候、介入変更理由
心不全再入院予防継続管理料 1 の運用フロー(対象抽出→入院中→退院前→退院後フォロー)と記録・連携の要点
運用は「役割固定」と「記録先の一本化」で止まりにくくなります。

記録で外せないポイント|リスク評価 → 指導計画 → 指導内容

留意事項では、心不全のリスク要因に関する評価結果、その結果に基づく指導計画、実施した指導内容を、診療録・療養指導記録・栄養指導記録に添付または記載することが求められています。つまり、ただ「説明した」では弱く、なぜ対象か・何を計画したか・何を実施したか が追える形が必要です。

先にテンプレを固定しておくと、職種が変わっても入力の粒度を保ちやすくなります。

管理料 1 を支える最小記録テンプレ
書く内容 記載例
リスク評価 再入院に関わるリスク要因 体液管理不安、服薬理解不足、活動耐容能低下 など
指導計画 職種ごとの介入方針と優先順位 体重記録、塩分管理、運動継続、受診行動を重点化
指導内容 実施した療養・食事・運動指導 体重測定手順、息切れ時対応、歩行量目安、食事調整
理解確認 本人・家族の理解や実演可否 復唱可、体重記録表の記入可、家族へ共有済み
退院後導線 外来・地域連携先と確認予定 初回外来日、連携先、再評価項目

現場の詰まりどころと対策

制度理解があっても、運用で詰まるポイントはほぼ共通です。先に対策を組み込むと、算定と質改善を両立しやすくなります。

関連:退院前の説明項目は 退院前指導(最小セット) に揃えると、説明のばらつきが減ります。

よくある詰まりどころと是正策(心不全再入院予防)
詰まりどころ 起きる理由 対策 記録で残す項目
対象患者の抽出漏れ 抽出基準が病棟ごとに不統一 入退院カンファで抽出チェックを固定する 抽出日、抽出根拠、担当者
指導内容のばらつき 職種ごとに説明項目が違う 共通説明シートを導入する 実施項目、理解確認、再指導要否
退院後フォローの中断 連携先への情報伝達不足 退院時サマリーを定型化する 連携日、連携先、連携内容
同月の算定整理が曖昧 管理料 1・ 2 と他の管理料、指導料、リハ算定の関係が分かりにくい 会計確認フローを先に作る 算定日、同日算定項目、確認者

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 管理料 1( 1,000 点 )は、まず何から準備すべきですか?

最初は「対象抽出基準」「多職種の担当割当」「記録様式」の 3 点を院内で統一してください。制度理解より、実装の型を先に揃えるほうが運用は安定します。

Q2. 管理料 1 で外せない要件は何ですか?

急性心不全を主病として入院していること、ガイドラインに基づく評価・治療、入院中の早期離床・リハビリテーション加算又は心大血管疾患リハビリテーション料、さらに入院栄養食事指導料又は薬剤管理指導料のいずれかを満たすことです。

Q3. 退院前指導で外せないポイントは?

症状悪化時の受診行動、体重・浮腫・息切れの自己観察、服薬と食事の継続行動を、患者・家族が実行できる形で確認することです。

Q4. 退院後のフォローは、どのタイミングで見直しますか?

退院後は「症状・体重・活動量」の変化を起点に、介入を更新します。再評価の基準や確認項目は 評価(最小セット+再評価) にまとめておくと、職種が変わっても運用が崩れにくくなります。

Q5. 管理料 2 や 3 は管理料 1 と同じ月に算定できますか?

同一保険医療機関等の外来で、管理料 1 を算定した同じ月に管理料 2 を算定できないなど、同月算定には整理が必要です。現場では、退院月の会計確認フローを先に作ると混乱を減らせます。

次の一手

運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう

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参考文献

  1. 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定について【医科全体版】.資料 PDF
  2. 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(別添 1).資料 PDF
  3. 厚生労働省.重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション).資料 PDF

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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