心不全再入院予防継続管理料|要件・記録・同月算定を先にそろえる
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関連:退院前指導の最小セット /
心不全評価の最小セット
心不全再入院予防継続管理料で最初に決めるべきことは、「管理料 1 を算定できるか」だけではありません。実務では、対象患者の抽出、施設側の届出、リハ・栄養・薬剤の関与、記録先、退院後フォローの流れまでそろっていないと、病棟と外来の間で運用が止まりやすくなります。
この記事では、令和 8 年度診療報酬改定時点の公式資料をもとに、管理料 1 を中心に要件・記録・同月算定・退院後へのつなぎ方を整理します。退院前指導の具体的な説明項目や、心不全リハの評価セットは兄弟記事へ分け、本ページでは制度と院内運用の骨組みに絞ります。
最終更新:2026 年 5 月 21 日(令和 8 年度診療報酬改定資料・留意事項・疑義解釈資料を確認)
改定の要点|管理料 1 は入院中、管理料 2・3 は退院後の継続管理
心不全再入院予防継続管理料は、急性心不全で入院した患者に早期から多職種で介入し、退院後も必要な治療を地域で継続する流れを評価する項目です。管理料 1 は入院中 1 回 1,000 点、管理料 2 は外来で 6 回目まで 700 点・7 回目以降 225 点、管理料 3 は外来で 6 回目まで 400 点・7 回目以降 225 点です。
実務では、まず管理料 1 の対象抽出と記録様式を固定し、その後に管理料 2・3 の外来フォローへつなげます。最初から全体を細かく作り込むより、入院中に「誰が、何を、どこに残すか」を決める方が運用しやすくなります。
| 区分 | 点数 | 算定場面 | 主な役割 | 先に決めること |
|---|---|---|---|---|
| 管理料 1 | 1,000 点 | 入院中 1 回 | 再入院予防の立ち上げ | 対象抽出、担当割当、記録様式 |
| 管理料 2 | 6 回目まで 700 点 7 回目以降 225 点 |
外来・月 1 回・1 年限度 | 退院後の継続指導 | 初回算定日、再評価頻度、同月算定整理 |
| 管理料 3 | 6 回目まで 400 点 7 回目以降 225 点 |
外来・月 1 回・1 年限度 | 地域での継続管理 | 連携先、再評価、治療継続条件 |
管理料 1 の要件|患者条件と施設側の前提を分けて確認する
管理料 1 は、急性心不全を主病として入院している患者に対し、ガイドラインに基づく評価・治療を行い、リハビリテーション、栄養又は薬剤の要素を組み合わせて実施する流れで整理します。患者条件だけでなく、届出病棟やチーム体制も同時に確認する必要があります。
現場では、患者側の条件と施設側の前提を 1 枚で確認できるようにすると、対象患者の抽出漏れや記録不足を減らしやすくなります。心大血管疾患リハビリテーション料の届出や施設基準の詳細は、必要に応じて 心大血管リハ施設基準の記事 で確認してください。
| 要件 | 実務での意味 | 確認する記録 |
|---|---|---|
| 対象患者 | 急性心不全を主病として入院している患者を抽出する | 主病名、入院理由、病態整理 |
| 評価・治療 | 心機能評価、原疾患の精査、リスク評価、必要な治療を実施する | 評価結果、治療方針、再入院リスク |
| リハ要件 | 入院中に早期離床・リハビリテーション加算又は心大血管疾患リハビリテーション料を算定しているか確認する | 算定日、介入内容、負荷設定 |
| 栄養・薬剤要件 | 入院栄養食事指導料又は薬剤管理指導料のいずれかを確認する | 指導日、指導内容、理解確認 |
| 施設側の前提 | 届出病棟、心不全再入院予防チーム、常勤職種、心大血管疾患リハビリテーション料の届出状況を確認する | 施設基準届出、担当表、研修記録 |
運用フロー|入院中から退院後まで役割を固定する
運用が止まる主因は、制度の理解不足よりも「誰が何をどこに残すか」が曖昧なことです。管理料 1 は入院中の評価ですが、退院後の管理料 2・3 を見据えて、入院中、退院前、退院後の役割を先に分けておきます。
心不全では、体重、症状、服薬、食事、活動量の管理が職種ごとに分かれやすくなります。そのため、入院中の段階で「外来・地域へ引き継ぐ項目」を決め、退院前指導と退院後フォローを同じ言葉でつなぐことが重要です。
| フェーズ | 主担当 | 実施内容 | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| 入院中 | 医師・看護師・リハ・薬剤師・管理栄養士 | 心機能・リスク評価、療養・食事・運動の計画化 | 対象根拠、再入院リスク、介入目標 |
| 退院前 | 看護師・リハ・薬剤師・管理栄養士 | セルフモニタリング教育、家族説明、地域連携先の確認 | 指導実施日、理解確認、連携文書 |
| 退院後 | 外来チーム・地域連携先 | 症状、体重、服薬、活動量のフォローと再評価 | 再評価日、増悪徴候、介入変更理由 |

記録の型|評価結果・指導計画・実施内容を追える形にする
記録で外せないのは、心不全のリスク要因に関する評価結果、その結果に基づく指導計画、実施した指導内容を追える形にすることです。「説明した」だけでは弱く、なぜ対象か、何を計画したか、何を実施したかが診療録や各種指導記録で確認できる必要があります。
先にテンプレを固定しておくと、病棟や担当者が変わっても入力の粒度をそろえやすくなります。退院後フォローで見返す前提で、理解確認と連携先まで同じ欄に入れておくと、外来や地域連携にもつなげやすくなります。
| 欄 | 書く内容 | 記載例 |
|---|---|---|
| リスク評価 | 再入院に関わるリスク要因 | 体液管理不安、服薬理解不足、活動耐容能低下 など |
| 指導計画 | 職種ごとの介入方針と優先順位 | 体重記録、塩分管理、運動継続、受診行動を重点化 |
| 指導内容 | 実施した療養・食事・運動指導 | 体重測定手順、息切れ時対応、歩行量目安、食事調整 |
| 理解確認 | 本人・家族の理解や実演可否 | 復唱可、体重記録表の記入可、家族へ共有済み |
| 退院後導線 | 外来・地域連携先と確認予定 | 初回外来日、連携先、再評価項目 |
A4 記録シート|対象抽出から再評価までを 1 枚でそろえる
記録の粒度を院内でそろえたい場合は、A4 1 枚のフロー型記録シートを使うと運用を共通化しやすくなります。対象抽出、成立条件、指導計画、再評価までを 1 枚で見渡せる構成にしてあります。
病棟カンファレンス、退院前指導の事前整理、担当者間の申し送りで使いやすいように、チェック欄と記載例つきでまとめています。
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同月算定の注意|管理料 2 に進む前に会計整理を固定する
現場で混乱しやすいのは、管理料 1・2・3 の流れそのものより、同月・同日の算定整理です。特に退院月は、病棟側では管理料 1、外来側では管理料 2 の準備が同時に進みやすいため、会計確認の担当と確認タイミングを先に決めておきます。
管理料 2 は、同一月に算定できない項目、同一日に別算定できない項目があるため、退院月の外来予約・栄養指導・リハ実施日を合わせて確認する必要があります。疑義解釈では、再入院時の初回算定日の扱いも示されているため、継続管理中の再入院例では追加確認が必要です。
| 場面 | 可否 | 整理のポイント | 現場で決めること |
|---|---|---|---|
| 管理料 1 を算定した同じ月に管理料 2 | 不可 | 同一の保険医療機関又は特別の関係にある保険医療機関の外来では、同一月に管理料 2 は算定できない | 退院月の会計確認フローを固定する |
| 特定疾患療養管理料との同月算定 | 不可 | 心不全を主病とする場合、同月内の重複算定を避ける | 心不全主病の患者を一覧で確認する |
| 地域包括診療料との同月算定 | 条件確認 | 慢性心不全以外の慢性疾患等も有する患者では、例外の有無を確認する | 外来側の算定ルールを共有する |
| 管理料 2 の算定日と外来栄養食事指導料等 | 同日別算定不可 | 外来栄養食事指導料、集団栄養食事指導料、在宅療養指導料、心大血管疾患リハビリテーション料の指導は管理料 2 に含まれる | 外来予約枠と会計確認者を固定する |
現場の詰まりどころ|抽出漏れ・記録不足・算定整理を先に潰す
制度理解があっても、運用で詰まる場所はある程度決まっています。まずは 記録の型 と 同月算定の整理 を固定し、説明項目は 退院前指導の最小セット にそろえると、ばらつきを減らしやすくなります。
抽出漏れ、指導内容のばらつき、外来への引き継ぎ不足は、制度よりも運用ルールの不足で起きやすい問題です。対策は「人に頼る」より「型を作る」方向で考えると、担当者が変わっても継続しやすくなります。
| 詰まりどころ | 起きる理由 | 対策 | 記録で残す項目 |
|---|---|---|---|
| 対象患者の抽出漏れ | 抽出基準が病棟ごとに不統一 | 入退院カンファで抽出チェックを固定する | 抽出日、抽出根拠、担当者 |
| 指導内容のばらつき | 職種ごとに説明項目が違う | 共通説明シートを導入する | 実施項目、理解確認、再指導要否 |
| 退院後フォローの中断 | 連携先への情報伝達不足 | 退院時サマリーを定型化する | 連携日、連携先、連携内容 |
| 同月の算定整理が曖昧 | 病棟と外来で算定ルールの認識がズレる | 退院月の会計確認フローを先に作る | 算定日、同月項目、確認者 |
評価や記録の型は、個人の努力だけで安定するとは限りません。教育体制や相談環境を見直したいときは、学び方と環境の整え方も一緒に整理しておくと動きやすくなります。
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 管理料 1 は、まず何から準備すべきですか?
最初は「対象抽出基準」「多職種の担当割当」「記録様式」の 3 点を院内で統一してください。制度理解より、実装の型を先にそろえる方が運用は安定します。
Q2. 管理料 1 で外せない患者要件は何ですか?
急性心不全を主病として入院していること、ガイドラインに基づく評価・治療、入院中のリハビリテーション関連算定、さらに入院栄養食事指導料又は薬剤管理指導料のいずれかを確認することです。
Q3. 施設側で先に確認しておくことは何ですか?
届出病棟、心不全再入院予防チーム、常勤職種、心大血管疾患リハビリテーション料の届出状況を先に確認してください。患者条件だけ見ても、施設側の前提が抜けると運用が止まりやすくなります。
Q4. 管理料 2 は管理料 1 と同じ月に算定できますか?
同一の保険医療機関又は特別の関係にある保険医療機関の外来では、管理料 1 を算定した同じ月に管理料 2 は算定できません。退院月の会計確認フローを先に作っておくと混乱を減らせます。
Q5. 退院前指導や再評価の細かい中身はどこで整理すべきですか?
このページでは制度と運用の骨組みまでにとどめ、退院前の説明項目は 退院前指導の最小セット、退院前後の評価と再評価は 心不全評価の最小セット に分けると、院内教育でも使いやすくなります。
次の一手
- A:改定全体の位置づけを確認する:2026 診療報酬改定ハブ
- B:退院前の説明項目をそろえる:心不全の退院前指導|最小セット
- C:評価と再評価の型をそろえる:心不全評価の最小セット
参考文献
- 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定について【医科全体版】.資料 PDF
- 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定 13.重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション).資料 PDF
- 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(別添 1 医科診療報酬点数表に関する事項).資料 PDF
- 厚生労働省.特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて.資料 PDF
- 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その 5).資料 PDF
- Kitai T, et al. JCS/JHFS 2025 Guideline on Diagnosis and Treatment of Heart Failure. Circ J. 2025;89(8):1278-1444. DOI: 10.1253/circj.CJ-25-0002
- Heidenreich PA, et al. 2022 AHA/ACC/HFSA Guideline for the Management of Heart Failure. J Card Fail. 2022;28(5):e1-e167. DOI: 10.1016/j.cardfail.2022.02.010
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


