- 訪問リハで使う書類は「開始→計画→記録→見直し→終了」で整理します
- まず「訪問リハ」と「訪問看護ステーションからのリハ」を分けます
- 訪問リハ開始前は「依頼→医師情報→初回評価」の順に整理します
- 初回評価から訪問リハビリテーション計画へつなげます
- 毎回の訪問では「提供した具体的なサービス内容」を記録します
- 報告書は「何をしたか」より「一定期間で何が変わったか」を共有します
- 再評価では計画書・リハ会議・連携記録をつなげます
- 訪問リハ終了時は「次の生活へ何を引き継ぐか」を残します
- 公式様式と事業所独自様式は分けて考えます
- 訪問リハの書類でよくある質問
- まず「計画書・実施記録・報告書」の3つをつなげると整理しやすくなります
- 参考文献
訪問リハで使う書類は「開始→計画→記録→見直し→終了」で整理します
訪問リハで使う書類は、すべてが同じ位置づけではありません。制度上整備・保存が求められる記録、厚生労働省から様式例が示されている書類、加算や多職種連携で使う書類、事業所独自で作成する書類を分けて考えることが重要です。
2026年8月時点の指定訪問リハビリテーションの運営基準では、利用者への支援実務に直結する記録として、訪問リハビリテーション計画と提供した具体的なサービス内容等の記録が明記されています。一方、月次報告書や初回評価用紙、終了時サマリーなどは、同じ意味で全国一律の様式が定められている書類ではありません。
結論として、訪問リハの書類は「何という名前の書類を作るか」だけでなく、開始から終了まで必要な情報が途切れず残っているかで整理すると分かりやすくなります。
| 時期 | 主な書類・記録 | 主な役割 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 利用相談 | 依頼書・申込書 | 基本情報や依頼内容を受け取る | 事業所独自 |
| 開始前 | 医師の診療・指示に関する情報 | 医学的情報、リスク、指示内容を確認する | 制度・事業所運用を確認 |
| 初回 | 初回評価・アセスメント | 生活課題、心身機能、活動・参加を整理する | 独立様式は事業所運用による |
| 計画 | 訪問リハビリテーション計画 | 目標と支援内容を整理・共有する | 制度上の記録/様式例あり |
| 毎回 | 実施記録 | 提供した内容や利用者の状態を残す | 制度上の記録 |
| 定期共有 | 報告書 | 医師・ケアマネ等へ経過や変化を共有する | 事業所運用による |
| 見直し | 再評価・計画書更新 | 目標や支援内容を見直す | 計画・算定状況と連動 |
| 必要時 | リハビリテーション会議録 | 多職種で支援方針を共有する | 厚労省様式例あり |
| 必要時 | プロセス管理票 | リハマネジメントの進行を確認する | 厚労省様式例あり |
| 連携時 | ケアマネジメント連絡用紙 | ケアマネ等へ生活上の情報を共有する | 厚労省様式例あり |
| 終了 | 終了時情報・サマリー | 残存課題や次の支援へ引き継ぐ | 事業所運用による |

この一覧にある書類を、すべての利用者について毎回すべて作成するという意味ではありません。まず制度上必要な記録を押さえ、そのうえで算定している加算や事業所の運用に応じて必要な書類を追加します。
まず「訪問リハ」と「訪問看護ステーションからのリハ」を分けます
訪問リハの書類を確認するときは、最初にどの制度のサービスを提供しているかを確認します。
本記事で扱う中心は、介護保険における指定訪問リハビリテーションです。病院・診療所・介護老人保健施設等からPT・OT・STが訪問する訪問リハと、訪問看護ステーションからPT・OT・STが訪問するサービスでは、制度上の位置づけや必要書類が同じではありません。
| 項目 | 指定訪問リハビリテーション | 訪問看護ステーションからのPT・OT・ST訪問 |
|---|---|---|
| 制度上のサービス | 訪問リハビリテーション | 訪問看護 |
| 中心となる計画 | 訪問リハビリテーション計画 | 訪問看護計画書 |
| 報告・指示関係 | 訪問リハの制度・運用に沿って確認 | 訪問看護指示書・訪問看護報告書等を確認 |
名称が似ていても、「訪問でリハをしているから同じ書類」とは考えないようにします。監査や書類整備では、まず自事業所が提供しているサービス種別を確認することが出発点です。
訪問リハ開始前は「依頼→医師情報→初回評価」の順に整理します
訪問リハ開始前は、いきなり計画書を書くのではなく、利用相談で得た情報と医師からの医学的情報を確認し、自宅での初回評価につなげます。
依頼書・申込書は事業所内で必要情報をそろえるために使います
利用相談の段階では、ケアマネジャーや医療機関、本人・家族などから訪問リハの依頼を受けます。
このとき使用する「訪問リハ依頼書」「申込書」などは、全国一律の様式として扱うというより、事業所で必要情報を抜けなく受け取るための実務書類として考えると整理しやすくなります。
開始前に確認したい情報には、次のようなものがあります。
- 基本情報・要介護度
- 主病名・既往歴
- 現在のサービス利用状況
- 本人・家族が困っている生活場面
- 訪問リハを依頼する目的
- 主治医・ケアマネジャーなどの連絡先
医師の診療・指示は計画書より先に確認します
指定訪問リハビリテーションは、医師の指示と訪問リハビリテーション計画に基づいて提供します。また、訪問リハビリテーション計画は、医師の診療に基づき、利用者の病状、心身の状況、希望、生活環境などを踏まえて作成します。
開始時には、診断名だけでなく、医学的リスク、禁忌、運動負荷に関する指示、現在の治療状況などを確認します。
現場では「指示書」「診療情報提供書」など複数の名称が使われるため、書類名だけで判断するのではなく、誰の診療に基づく情報なのか、医師からどのような指示が出ているのかを確認することが重要です。
訪問リハの指示書と計画書の違いでは、作成者・役割・確認するタイミングを分けて整理しています。
初回評価は「生活で何に困っているか」まで確認します
初回評価では、筋力や関節可動域だけでなく、自宅で実際に困っている動作や家族の介助状況、住環境、外出、役割などを確認します。
初回評価専用の用紙を作っている事業所もありますが、書類を作ること自体が目的ではありません。評価した内容が計画作成やその後の実施記録、再評価につながっていることが重要です。
訪問リハでは、病院内で「できる動作」だけでなく、自宅で「実際にしている動作」との差を確認すると、計画書の目標が具体的になります。
初回評価から訪問リハビリテーション計画へつなげます
訪問リハビリテーション計画は、利用者の状態、本人・家族の希望、生活課題をもとに、目標と具体的な支援内容を整理する中心書類です。
指定居宅サービスの運営基準では、医師およびPT・OT・STが、医師の診療に基づいて訪問リハビリテーション計画を作成し、その内容を利用者または家族へ説明して同意を得たうえで、利用者へ交付することが定められています。
厚生労働省は、令和6年度の通知でリハビリテーション計画書の様式例を示しています。様式を見るときは、単に欄を埋めるのではなく、次の項目が一続きになっているかを確認します。
- 本人・家族の希望
- 心身機能・活動・参加の状態
- 短期目標・長期目標
- 具体的な支援内容
- 今後の方針
- 終了・移行を考える視点
「歩行練習を行う」ではなく、「なぜ歩行練習が必要なのか」を生活目標までつなげることが、計画書を実務で使える形にするポイントです。
訪問リハ計画書の書き方では、別紙様式2-2-1をもとに、初回評価から目標設定、説明、見直しまでの流れを詳しく整理しています。
毎回の訪問では「提供した具体的なサービス内容」を記録します
訪問リハでは、計画書を作成しただけでは書類運用は完結しません。毎回の訪問で、提供した具体的なサービス内容等を記録します。
指定居宅サービスの運営基準では、訪問リハビリテーション計画とともに、提供した具体的なサービス内容等の記録を整備し、保存することが明記されています。
また、訪問リハビリテーション計画に従ったサービスの実施状況とその評価について、速やかに診療記録を作成し、医師へ報告することも規定されています。
実務では、少なくとも次の内容を後から追えるようにしておくと、再評価や多職種連携につながりやすくなります。
| 確認項目 | 記録する内容の例 |
|---|---|
| 状態 | 体調、疼痛、バイタル、前回からの変化 |
| 実施内容 | 実施した評価・練習・指導 |
| 反応 | 介助量、症状、動作、疲労などの変化 |
| 生活状況 | 転倒、外出、家族介助、福祉用具などの変化 |
| 共有事項 | 医師・ケアマネ・他サービスへ共有すべき内容 |
| 次回方針 | 継続する内容、再評価する点、変更する条件 |
実施記録では、「ROM訓練、筋力訓練、歩行練習を実施」のように実施項目だけを並べるより、何が変わったか、計画した生活目標に近づいているか、次に何を確認するかまで残すと再評価につながりやすくなります。
報告書は「何をしたか」より「一定期間で何が変わったか」を共有します
訪問リハの実施記録と、事業所で運用する定期的な報告書は、役割を分けて考えると整理しやすくなります。
| 項目 | 実施記録 | 報告書 |
|---|---|---|
| 主な役割 | その日のサービス内容を残す | 一定期間の変化を共有する |
| 主な内容 | 状態、実施内容、反応、次回方針 | 経過、変化、課題、今後の方針 |
| 主な用途 | サービス提供の記録・事業所内共有 | 医師・ケアマネ等との定期的な情報共有 |
指定訪問リハビリテーションの運営基準では、訪問看護における「訪問看護報告書」のように、「訪問リハ報告書」という名称の独立した書類が一律の保存対象として列挙されているわけではありません。
そのため、「訪問リハ報告書は全国一律の様式で毎月必ず作成する」と一括りにしないことが重要です。
一方、実務では医師やケアマネジャーとの情報共有のために、定期的な報告書を運用している事業所があります。事業所で報告書を作成する場合は、単なる実施メニューの羅列ではなく、次の4点で整理すると情報が伝わりやすくなります。
- 前回報告から何が変わったか
- 現在残っている生活課題は何か
- 他職種へ共有・相談したいことは何か
- 次の期間で何を目指すか
報告書を作成するときは、事業所の規程や医師・ケアマネジャーとの連携方法を確認し、実施記録と同じ内容を繰り返すのではなく、一定期間の変化と今後の方針が伝わる形に整理します。
再評価では計画書・リハ会議・連携記録をつなげます
訪問リハでは、利用者の状態や生活環境が変化します。そのため、初回に作成した計画書をそのまま使い続けるのではなく、評価結果と実施記録をもとに目標や支援内容を見直します。
また、厚生労働省は令和6年度の通知で、訪問・通所リハビリテーションに関連する様式として、リハビリテーション会議録、リハビリテーションマネジメントにおけるプロセス管理票、ケアマネジメント連絡用紙などを示しています。
リハビリテーション会議録
リハビリテーション会議は、利用者・家族の参加を基本としつつ、医師、PT・OT・ST、介護支援専門員、居宅サービス計画に位置づけられたサービス担当者などで、利用者の状況やリハビリテーションに関する情報を共有する場です。
厚生労働省の別紙様式2-3「リハビリテーション会議録」には、会議出席者、リハビリテーションの支援方針、内容、各サービス間で共有すべき事項、次回の開催予定・検討事項などを整理できる欄があります。
会議録を作ること自体を目的にせず、誰と何を共有し、支援内容をどう変えるのかまで計画書へ戻すことが重要です。
リハビリテーションマネジメントにおけるプロセス管理票
プロセス管理票は、評価、計画、説明、会議、情報共有など、リハビリテーションマネジメントの進行状況を確認するための様式です。
書類を増やすこと自体が目的ではなく、必要なプロセスが抜けていないかを確認するための管理ツールとして考えると分かりやすくなります。
ケアマネジメント連絡用紙
厚生労働省は、別紙様式2-7として「ケアマネジメント連絡用紙」を示しています。
PT・OT・STが把握した利用者の能力、自立に必要な支援方法、生活上の留意点などをケアマネジャーと共有し、居宅サービス計画や他サービスへつなげるときに活用できます。
ここで注意したいのは、厚生労働省から様式が示されていることと、すべての利用者についてすべての様式を作成しなければならないことは同じではないという点です。
算定している加算、利用者の状況、事業所の運用を確認したうえで、必要な書類を判断します。
訪問リハ終了時は「次の生活へ何を引き継ぐか」を残します
訪問リハ終了時の書類は、「終了しました」という事実だけを残すものではありません。訪問リハで得られた情報を、本人・家族や次の支援者へつなぐことが重要です。
終了時に整理したい内容には、次のようなものがあります。
- 訪問リハを終了する理由
- 開始時からの主な変化
- 現在のADL・生活状況
- 残っている課題
- 本人・家族が継続する内容
- 福祉用具や住環境上の注意点
- 次に利用するサービス
- 次の支援者へ共有しておきたい事項
事業所独自の終了時サマリーを作る場合は、評価結果を大量に転記するよりも、「次の支援者が何を続ければよいか」が分かる内容にすると実務で使いやすくなります。
訪問リハから通所介護等への移行と終了後の確認については、訪問リハの移行支援加算で詳しく整理しています。
公式様式と事業所独自様式は分けて考えます
訪問リハの書類を整備するときは、すべてを独自様式で作るのではなく、まず制度上何が求められているか、厚生労働省から関連する様式が示されているかを確認します。
| 分類 | 主な書類 | 記事での整理方法 |
|---|---|---|
| 制度上の記録 | 訪問リハビリテーション計画、具体的なサービス提供内容等の記録 | 制度根拠と実務上の残し方を確認する |
| 厚労省様式あり | リハ計画書、リハ会議録、プロセス管理票、ケアマネジメント連絡用紙等 | 公式様式と対象となる運用を確認する |
| 事業所独自 | 依頼書、定期報告書、終了時サマリー等 | 目的と必要項目を決めて設計する |
厚生労働省から様式が示されている書類について、同じ内容の様式を独自に作る必要性は高くありません。まず公式様式と通知を確認し、どのような場面で、何を記載するための書類なのかを理解することが先です。
一方、報告書や終了時サマリーなど、事業所ごとに設計の余地が大きい書類は、誰に何を伝えるための書類なのかを決めたうえで、必要項目を絞った独自様式を作る価値があります。
訪問リハの書類でよくある質問
訪問リハでは、この記事にある書類を全部作る必要がありますか?
いいえ。制度上整備・保存が求められる記録、加算やリハビリテーションマネジメントの運用に関連する書類、事業所独自で使用する書類を分けて考えます。厚生労働省から関連様式が示されていても、すべての利用者にすべての書類を使用するという意味ではありません。
訪問リハの指示書と計画書は同じですか?
同じではありません。指定訪問リハビリテーションは医師の指示と訪問リハビリテーション計画に基づいて実施します。訪問リハビリテーション計画は、医師の診療に基づき、利用者の状態や希望、生活環境を踏まえて目標と具体的なサービス内容を整理するものです。
「指示書」という書類名だけを見るのではなく、医師の診療・指示に関する情報と、訪問リハビリテーション計画の役割を分けて確認してください。
訪問リハ報告書は毎月必ず必要ですか?
指定訪問リハビリテーションの運営基準では、訪問リハビリテーション計画や具体的なサービス提供内容等の記録は保存対象として明記されていますが、「訪問リハ報告書」という名称の書類が一律の保存対象として列挙されているわけではありません。
実際の報告頻度や様式については、医師への報告、算定している加算、多職種との連携方法、事業所の規程や運用を確認します。
訪問リハの実施記録には何を書けばよいですか?
提供した具体的なサービス内容に加えて、利用者の状態、介入への反応、生活上の変化、共有事項、次回方針などを残すと、その後の再評価や計画見直しにつながりやすくなります。
実施メニューだけを並べず、「前回から何が変わったか」「介入によってどう反応したか」「次回何を確認するか」が追える記録を意識します。
訪問リハの記録は何年間保存しますか?
国の指定居宅サービスの運営基準では、訪問リハビリテーション計画や提供した具体的なサービス内容等の記録などについて、その完結の日から2年間保存することが規定されています。
ただし、自治体の条例や指定権者の取扱い、法人・事業所の規程などで、より長い保存期間を定めている場合があります。実際の運用では所在地の基準と事業所規程も確認してください。
訪問看護ステーションからPT・OT・STが訪問する場合も同じ書類ですか?
同じではありません。訪問看護ステーションからのPT・OT・ST訪問は制度上「訪問看護」に位置づけられます。
指定訪問看護では、主治医から文書による指示を受けること、訪問看護計画書を作成すること、訪問看護報告書を作成し主治医と連携することなどが運営基準に規定されています。指定訪問リハビリテーションの書類体系をそのまま当てはめないようにしてください。
まず「計画書・実施記録・報告書」の3つをつなげると整理しやすくなります
訪問リハの書類を一度にすべて整備しようとすると、書類作成そのものが目的になりやすくなります。
最初は、次の3つをつなげて確認すると整理しやすくなります。
- 計画書:何を目指すのか
- 実施記録:実際に何を行い、どう反応したのか
- 報告書:一定期間で何が変わり、次に何をするのか
この3つがつながると、計画書だけが更新される、毎回同じ記録になる、報告書が実施メニューの羅列になる、といった書類運用のズレを減らせます。
計画書で決めた目標を毎回の実施記録で追い、その変化を再評価や報告へ戻す。この循環を作ることが、訪問リハの書類を「作るための書類」にしないための基本です。
参考文献
-
厚生労働省. 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号).
厚生労働省. -
厚生労働省. 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について(平成11年9月17日 老企第25号).
厚生労働省. -
厚生労働省. 令和6年度介護報酬改定について.
厚生労働省. -
厚生労働省. リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について. 令和6年3月15日.
令和6年度介護報酬改定関連通知・様式.
※本記事は2026年8月時点で確認できる厚生労働省資料をもとに、指定訪問リハビリテーションで利用者ごとに扱う書類・記録を中心に整理しています。実際の運用では、最新の通知・Q&A、自治体の条例、指定権者の取扱い、所属事業所の規程も確認してください。

