DASC-21 の評価方法|31 点の見方と手順

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DASC-21 の評価方法| 31 点の見方と手順

DASC-21 は、観察と家族・介護者への聴取を組み合わせて、認知機能と生活機能の変化を同時に捉える評価です。合計点 31 点以上は「認知症の可能性あり」の目安ですが、現場では合計点だけで終わらせず、どの生活場面で困りごとが起きているかまで言語化できるかが重要です。

この記事では、設問本文は掲載せず、実施手順、 31 点の読み方、プロフィール判定、誤判定を避けるコツに絞って整理します。公認シートは 公式ダウンロード から入手してください。

DASC-21 とは?何を評価する?

DASC-21 は、導入の A・B 項目と、採点対象の 1〜21 項目からなるアセスメントシートです。 1〜21 項目は 4 件法で評価し、認知機能だけでなく IADL / ADL を含む生活機能までまとめて見られるのが特徴です。

本人の受け答えだけでなく、普段の様子を知る家族・介護者の情報を重視するため、実務では「面接式テスト」よりも「観察+聴取で生活に落とす」場面で強みが出ます。退院支援、在宅調整、地域連携で“支援が要る行動”を整理したいときに相性がよい評価です。

DASC-21 が向きやすい場面(成人・臨床運用の目安)
場面 向いている理由 記録で残したいこと
退院前カンファ 認知+生活機能を同時に整理できる 服薬・金銭・外出・火の始末などの具体例
在宅・通所連携 家族や支援者の観察情報を活かしやすい 誰の情報か、どの場面を見た情報か
独居高齢者の支援設計 IADL の破綻を拾いやすい 買い物・交通機関利用・服薬管理の実際
初期集中支援の入口 短時間で「困りごとの輪郭」を出しやすい 見守り・環境調整・サービス調整の要否

31 点の見方|合計点とプロフィールをどう読む?

DASC-21 の基本は、まず 1〜21 項目の合計点を見ることです。導入の A・B 項目は採点に含めません。合計点 31 点以上は「認知症の可能性あり」の目安で、確定診断ではなく、追加評価や支援設計につなげる入口として扱います。

さらに実務では、合計点に加えてプロフィール判定を併記すると、チームで重症度の見立てを共有しやすくなります。遠隔記憶、場所の見当識、社会的判断力、身体 ADL 領域の読み方をそろえると、申し送りの再現性が上がります。

DASC-21 の合計点とプロフィール判定の目安
見方 判定の目安 現場での次の一手
31 点未満 おおむね正常域の目安 症状が気になる場合は、条件をそろえて再評価し、生活場面の具体例を補う
31 点以上 認知症の可能性あり 誤判定要因を点検しつつ、生活安全・支援設計へつなぐ
31 点以上 + 主要プロフィールが 1〜2 点 軽度認知症の可能性あり IADL の破綻を中心に、見守り・環境調整・サービスの早期調整を検討
31 点以上 + 主要プロフィールの一部が 3〜4 点 中等度認知症の可能性あり 安全管理、服薬、移動、意思決定支援を優先して共有
31 点以上 + 主要プロフィールのすべてが 3〜4 点 重度認知症の可能性あり 身体 ADL と介護量、見守り体制、家族負担を含めて支援計画を組む

DASC-21 のやり方(実施手順)

実施前に押さえたいのは 2 点です。 1 つ目は、 A・B は導入であって採点外だということ。 2 つ目は、 1・2 が正常域、 3・4 が障害域のおおよその目安だということです。この前提をチームで共有しておくと、点数のぶれが減ります。

初回は 10〜15 分程度を目安に、点数を急いで出すよりも「誰から、どの場面の情報を取ったか」を丁寧に残すほうが実務では有用です。独居や家族不在のときは、本人聴取と観察で暫定評価し、情報が補えた時点で再評価する前提にすると安全です。

  1. 事前情報を確認:既往歴、服薬、視聴覚、最近の入院・感染、独居 / 同居、支援者、サービス利用状況を確認します。
  2. 導入 A・B を確認:最近のもの忘れの自覚などを導入として聞きます。ここは採点しません。
  3. 1〜21 項目を観察+聴取で評価:家族・介護者がいる場合は回答を基本にしつつ、観察と著しくずれる場合は専門職として補正します。
  4. 合計点を算出:31 点以上なら「認知症の可能性あり」の入口として扱います。
  5. プロフィールを確認:遠隔記憶、場所の見当識、社会的判断力、身体 ADL の読み方を加えて、軽度 / 中等度 / 重度の目安を整理します。
  6. 記録と共有:合計点だけでなく、「何が・どこで・どの程度困るか」を短文で残します。

DASC-21 記録シート PDF

DASC-21 の実施条件、採点、再評価メモを 1 枚で残したいときに使える A4 記録シートです。申し送りや経時比較で使いやすいように、記入欄を大きめにした版です。

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DASC-21 実施補助ツール

採点や判定を自動化せず、実施条件や情報源、生活場面の困りごと、再評価条件を整理するための補助ツールです。公式シートを見ながら、申し送りやカンファレンス前の情報整理に使えます。

採点・判定は公認シートで確認し、この補助ツールは「情報を漏らさず整理するための補助」として使うと運用しやすくなります。

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誤判定を避けるコツ

DASC-21 は生活情報に強い一方で、全身状態や情報提供者の偏りの影響を受けやすい評価です。高得点だったときほど「認知機能が落ちた」の一言で終わらせず、可逆的要因と生活背景を分けて書くことが大切です。

DASC-21 が高得点化しやすい要因と対策
よくある要因 起きやすい誤解 対策(記録ポイント)
せん妄・睡眠不足・疼痛 急に認知症が進んだ 時間帯や日を変えて再評価し、疼痛・睡眠・感染兆候を併記する
抑うつ・意欲低下 できない=認知機能低下 活動量、表情、食欲、日内変動を別に記録する
薬剤の影響 本来の能力と混同する 服薬変更の時系列を残し、変更前後で比較する
身体機能低下 ADL 低下=認知機能低下 呼吸苦、疼痛、心不全など身体要因を別記する
情報提供者の偏り 家族の言う通りで確定する 通所記録、訪問記録、ケアマネ記録など複数情報源で裏を取る
役割分担・生活文化差 やらない=できない 元々その役割を担っていたかを確認して判断する

現場の詰まりどころ

詰まりやすいのは、「情報提供者がいない」「身体要因が強い」「共有が合計点だけになる」の 3 点です。ここを先に整えると、 DASC-21 が“点数を出すだけ”で終わらず、介入や支援設計に直結します。

先に確認したい方は よくある失敗回避手順 をどうぞ。認知機能評価全体の選び方は 認知機能評価の選び方 にまとめています。

よくある失敗

DASC-21 運用で起きやすい失敗と修正ポイント
失敗 何が起きるか 修正ポイント
本人だけで急いで判定する MCI レベルや境界例を取りこぼしやすい 家族・支援者情報が取れないか確認し、暫定評価と明記する
31 点だけで結論を出す 生活場面の具体策につながらない 困りごとの具体例と頻度を短文で併記する
A・B を採点に含めてしまう 合計点がずれる A・B は導入のみ、採点は 1〜21 とチームで統一する
身体要因を分けずに高得点とみなす 過大評価になる 呼吸苦、疼痛、眠気、薬剤影響を別欄で記録する

回避手順(最小チェック)

  1. 実施条件を固定:時間帯、眠気、疼痛、眼鏡 / 補聴器、同席者の有無をそろえます。
  2. 情報源を明記:本人、家族、介護者、通所記録、訪問記録など、どこから得た情報かを残します。
  3. 31 点+プロフィールで読む:合計点だけでなく、重症度の輪郭も確認します。
  4. 生活場面へ翻訳:服薬、金銭、買い物、外出、火の始末、移動などの具体例に変換して共有します。
  5. 再評価条件を決める:独居、情報不足、せん妄疑い、薬剤変更時は再評価予定を先に書きます。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

DASC-21 は誰が実施できますか?

実務上は、認知症の総合アセスメントを理解した保健医療福祉専門職が、家族・介護者への聴取と観察を組み合わせて実施するのが基本です。院内・施設内では、主担当、代行者、再評価条件をあらかじめそろえておくと安定します。

DASC-21 の所要時間はどれくらいですか?

初回は 10〜15 分程度が目安です。生活歴や支援状況を事前確認しておくと短縮できます。独居や情報提供者不在のときは、当日は暫定評価にして、後日補足する運用が安全です。

31 点以上なら認知症の確定ですか?

いいえ。 31 点以上は「認知症の可能性あり」の目安で、確定診断ではありません。身体要因、せん妄、薬剤、抑うつなどを点検したうえで、必要に応じて追加評価や受診につなげます。

DASC-21 は MCI のスクリーニングにも使えますか?

無条件には勧めにくいです。家族など生活の様子をよく知る情報提供者がいる場合は一定の参考になりますが、本人情報だけでは MCI レベルの判別が難しいとされています。境界例では「取りこぼしを避ける」視点で追加評価を前提に運用します。

公認シートはどこで入手できますか?

DASC-21 公式ダウンロード から最新版を確認してください。運用前に、導入 A・B は採点外であることもあわせて確認しておくと安心です。

次の一手

関連: 評価ハブ(索引)

続けて読む: DASC-21 と CDR の違い【比較・使い分け】


参考文献

  • 一般社団法人認知症アセスメント普及・開発センター. DASC-21 とは.
  • 一般社団法人認知症アセスメント普及・開発センター. Q&A.
  • Awata S, Sugiyama M, Ito K, Ura C, Miyamae F, Sakuma N, et al. Development of the dementia assessment sheet for community-based integrated care system. Geriatr Gerontol Int. 2016;16 Suppl 1:123-131. doi: 10.1111/ggi.12727PubMed
  • Shimizu R, Ishikawa J, Jyubishi C, Futami S, Morozumi A, Saito Y, et al. DASC-21 score and the risk of in-hospital death in elderly patients with heart failure. Geriatr Gerontol Int. 2024;24(6):546-553. doi: 10.1111/ggi.14880PubMed
  • Shimizu R, Ishikawa J, Jyubishi C, Toba A, Futami S, Morozumi A, et al. DASC-21 score and risk of rehospitalization and all-cause mortality after discharge in older patients with heart failure. Geriatr Gerontol Int. 2024;24(11):1130-1136. doi: 10.1111/ggi.14975PubMed

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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