急性期リハ 3 日以内の進め方|72時間運用と記録

制度・実務
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急性期リハ「 3 日以内」介入は、72 時間で“初回介入を成立”させる運用にすると回ります

72 時間で初回介入を成立させる実装手順を、現場向けに要点化します。

急性期で「 3 日以内」を実務に落とすコツは、制度解釈の細部より先に、入院 0 日目から 72 時間以内に初回介入(評価+最小介入+記録)を成立させる院内フローを固定することです。この記事は、開始条件・中止基準・記録の最小セットを 1 本化し、病棟で迷わず回すための手順を整理します。

結論として、①判定(できる/保留)を早く、②できない時は理由と再評価時点を残す、③同じ並びで記録する、の 3 点を揃えると運用が安定します。制度背景の全体像は親記事で確認し、本記事では実装に集中してください。

なぜ「 3 日以内」運用が重要か

急性期では、開始が遅れるほど離床・ ADL への移行が後ろ倒しになり、病棟連携も受け身になりやすくなります。そこで「入院後できるだけ早く始める」を、誰でも同じ判断で動ける形に変える必要があります。

本記事の目的は、“最速で安全に始める”ための共通言語を作ることです。開始条件と中止基準を揃え、初回介入の記録を同一フォーマットにすることで、担当が変わっても質が落ちにくくなります。

現場で迷わない定義:入院 0 日目起算の 72 時間ルール

院内運用は「入院日を 0 日目として 72 時間以内に初回介入を成立」を原則にすると、時刻管理と申し送りが明確になります。例外は、医学的に不安定で実施困難なケースです。

実施できない場合は、実施困難の理由・再評価時点・再評価担当を必ず残し、先送りを“管理された保留”に変えます。これだけで 3 日以内運用の遅延は大きく減らせます。

5 分で共有できる実装フロー

急性期「 3 日以内」初回介入フロー(入院 0 日目〜72 時間)
フェーズ 目的 やること(最小) 記録ポイント
0〜24 時間 情報収集と安全判定 禁忌確認、循環・呼吸・意識、安静度、医師指示の確認 開始可否の根拠、保留時の理由
24〜48 時間 初回介入の成立 評価+最小介入(体位変換、座位準備、離床トライ) 実施内容、負荷量、反応、次回計画
48〜72 時間 継続可否と調整 反応再評価、負荷段階の調整、他職種共有 中止基準該当の有無、再開条件、共有先

開始条件と中止基準を先に固定する

「できるかどうか」を毎回ゼロから議論すると、初回介入が遅れます。病棟で揃えるべきは、開始条件と中止基準の“並び”です。数値だけでなく、症状・表情・会話成立などの臨床所見も同時に判断します。

最初から完璧を狙わず、まずは 1 病棟で同じ判定表を使い、週次でズレを修正する運用が現実的です。

開始判断の早見表(急性期の初回介入)
判定 目安 対応 記録で残すこと
開始( OK ) 循環・呼吸が安定し、指示範囲内で実施可能 評価+最小介入を実施 開始根拠、実施内容、反応
条件付き開始 軽度症状あり、負荷調整で対応可能 時間短縮・低負荷で試行 制限条件、監視項目、中止ライン
保留( NG ) 不安定徴候、医師判断で実施困難 介入見送り、再評価を予約 見送り理由、再評価時点、担当者

監査と連携で強い「記録最小セット」

急性期の記録は、長文より抜けのない順序が重要です。開始可否の根拠、実施内容、反応、次の一手を同じ順で残すと、監査・申し送り・カンファのすべてで使いやすくなります。

以下をテンプレ化し、カルテの定型入力やショートカットに落とし込むと再現性が上がります。

急性期初回介入の記録最小セット( 1 エントリー)
項目 何を書くか よくある不足 改善の型
開始可否 開始/保留の判定と根拠 「様子見」のみで根拠なし 根拠+判定を 1 文で固定
実施内容 評価項目、介入手段、負荷量 介入の具体性がない 手段+時間+強度をセットで記載
反応 バイタル変化、症状、中断有無 良好/不良の主観のみ 前後比較を短文で残す
次回計画 次の目標、条件、再評価時点 「継続」だけで終わる 次回の実施条件まで明記

病棟別運用( ICU /一般病棟 )の分岐

急性期「 3 日以内」運用は、病棟が違っても記録の骨格は同じです。まずは開始可否→実施内容→反応→次回計画を共通化し、病棟ごとの差は監視項目と介入の重みづけで調整すると、申し送りが短くなり質も安定します。

ICU は安全監視を厚く、一般病棟は離床と ADL 接続を厚くするのが基本です。実施困難時は、病棟を問わず「保留理由+再評価時点+担当」を残し、先送りを管理可能な保留に変えます。

病棟別の運用分岐(入院 0 日目〜72 時間)
観点 ICU 一般病棟
開始判断 循環・呼吸・鎮静状況を優先して可否判定 安静度・離床許可・全身状態で可否判定
初回介入 低負荷・短時間で反応確認を重視 座位〜立位〜移動準備を段階的に実施
記録重点 監視項目、反応変化、中止ライン 離床進行度、 ADL 接続、病棟連携内容
保留時 保留理由+再評価時点+担当を明記 保留理由+再評価時点+担当を明記

職種別( PT / OT / ST )記録差分

多職種で同日に介入する場合は、重複を減らしつつ「職種固有の価値」を記録で示すことが重要です。共通骨格は揃えたうえで、各職種の焦点だけを差分として追加すると、カンファレンスでの意思決定が速くなります。

初回介入記録の職種別差分(共通骨格+固有項目)
職種 主目的 固有の記録ポイント 次回計画の書き方
PT 離床・移動の安全な前進 体位変換、座位耐久、立位準備、移乗反応 負荷段階(時間・強度)と実施条件を明記
OT 病棟生活動作への接続 上肢使用、セルフケア要素、認知・注意の実用面 病棟 ADL に接続する具体課題を明記
ST 嚥下・コミュニケーションの安全確保 嚥下リスク所見、食形態判断材料、意思伝達手段 経口可否の条件と再評価タイミングを明記

現場の詰まりどころ

詰まりは「判断が遅い」より「判断の型がない」ことで起きます。最初に揃えるべきは、数値の閾値よりも、保留時の記録と再評価の約束です。

よくある失敗( NG → OK )

急性期「 3 日以内」運用で起きやすい失敗と修正
よくある失敗( NG ) なぜ起きるか 修正( OK )
開始判断を先送りする 保留時の記録様式がない 保留テンプレ(理由・再評価時点・担当)を固定する
実施内容が抽象的 負荷量の表現が統一されていない 手段+時間+強度を必須項目化する
中止理由が残らない 症状と数値の紐付け不足 中止時は「誘因→所見→対応→次回条件」で記録する

回避の手順(チェック)

次の 5 点を朝の申し送りと終了前確認で回すと、 3 日以内運用の抜けが減ります。

  • 入院 0 日目起算で、72 時間の締切時刻を共有している
  • 開始可否の判定と根拠を 1 文で残している
  • 保留時に再評価時点(日時)まで記録している
  • 実施内容を「手段+時間+強度」で記録している
  • 次回計画に実施条件を明記している

症例ミニケース( 72 時間内で成立させる例 )

症例:80 代、肺炎で入院。入院当日は循環変動があり初回介入は保留。
対応:保留理由(循環不安定)と再評価時点(翌朝)を記録。翌日に低負荷で座位準備を実施し反応を確認。48 時間時点で座位保持時間が延長、72 時間以内に「評価+最小介入+次回計画」まで成立。
要点:①保留を記録で管理、②再評価時点を固定、③成立条件を共有――この 3 点で遅延を防げます。

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 「 3 日以内」は“評価だけ”でも成立しますか?

実務上は、評価のみで完了にせず、安全な最小介入まで含めて初回介入を成立させる運用が望ましいです。評価のみの場合は、その理由と次回の具体的実施計画を必ず残してください。

Q2. 医学的に不安定で実施できない場合はどう書けばよいですか?

「実施困難の理由」「再評価時点」「再評価担当」をセットで記録します。見送りの事実だけで終わらせず、次の判断ができる情報を残すことが重要です。

Q3. ICU と一般病棟で記録は分けるべきですか?

基本骨格(開始可否・実施内容・反応・次回計画)は共通にし、監視項目だけ病棟別に追加するのが運用しやすいです。骨格を共通化すると申し送りが短くなります。

Q4. まずどこから標準化すればよいですか?

1 病棟で「判定表+記録テンプレ」を先に固定し、週次でズレを修正してください。最初から全病棟同時導入より、試行→微修正の方が定着します。

Q5. 数値基準だけで判断してよいですか?

数値は重要ですが、症状や意識、会話成立などの臨床所見と合わせて判断します。中止判断も同様に、数値と所見の両方を記録して説明可能性を確保します。

次の一手

教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

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参考文献

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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