- NST施設基準と栄養管理体制の違い|2026年度の要件を整理
- 結論|栄養管理体制は「病院の基盤」、NST加算は「対象患者へのチーム介入」
- まず分ける|栄養管理体制・A233-2 NST加算・A233の違い
- NST施設基準|必要職種・研修・専従/専任を確認する
- 栄養管理体制|病院全体で手順・計画・定期評価を整える
- NST加算の対象患者|栄養管理計画+4つの入口を確認する
- 回診・カンファレンス|実施頻度と算定頻度を分けて考える
- A233との違い|NST加算はA233-2として区別する
- NST運用の最小セット|対象確認→回診→計画→フォロー→終了時評価
- PT・OT・STがNSTへ渡す情報|栄養方針を決める材料に変える
- 記録の型|公式書類と院内共有メモを分ける
- 5分自己点検|栄養管理体制・施設基準・患者運用を分けて確認する
- ダウンロード|NST自己点検シート v3【PDF・Excel】
- よくある質問(FAQ)
- 次の一手|施設基準の全体像とA233各論へ
- 参考資料
- 著者情報
NST施設基準と栄養管理体制の違い|2026年度の要件を整理
NST(Nutrition Support Team)の施設基準と栄養管理体制は、どちらも入院患者の栄養管理に関わりますが、同じ制度ではありません。栄養管理体制は病院全体で整える基盤、A233-2 栄養サポートチーム加算は対象患者へ専門チームが介入する仕組みです。
この記事では、2026年度の制度に沿って、NSTに必要な職種・研修・専従/専任、対象患者、回診・カンファレンス、記録、PT・OT・STの関わり方まで整理します。院内点検に使えるNST自己点検シート v3のPDF・Excelも用意しています。
施設基準の記事を横断して確認する場合
結論|栄養管理体制は「病院の基盤」、NST加算は「対象患者へのチーム介入」
最初に分けたいのは、栄養管理体制とNST加算では制度上の役割が異なるという点です。栄養管理体制では、入院患者の栄養状態を確認し、必要な患者へ栄養管理計画を作成して定期的に見直せる体制を病院として整えます。
一方、A233-2 栄養サポートチーム加算では、施設基準を満たしたNSTが、所定の対象患者に対してカンファレンス・回診、栄養治療実施計画の作成、治療、フォローアップを行います。さらに、A233 リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算とは別制度であり、算定上の関係も確認が必要です。

まず分ける|栄養管理体制・A233-2 NST加算・A233の違い
3つを同じ「栄養の制度」として覚えると混乱しやすいため、病院全体の基盤・対象患者へのチーム介入・病棟でのリハ栄養口腔連携に分けると整理しやすくなります。
| 区分 | 主な役割 | まず確認すること |
|---|---|---|
| 栄養管理体制 | 入院患者の栄養管理を病院全体で行うための基盤 | 管理栄養士の配置、栄養管理手順、入院時確認、栄養管理計画、定期評価・見直し |
| A233-2 栄養サポートチーム加算 |
対象患者に対してNSTが専門的な栄養管理を行う | 構成職種、研修、専従・専任、対象患者、回診・カンファレンス、計画・報告 |
| A233 リハ・栄養・口腔連携体制加算 |
リハビリテーション・栄養・口腔管理を病棟単位で連携させる | 対象病棟、人員配置、評価・計画、算定期間など |
NST施設基準|必要職種・研修・専従/専任を確認する
NST施設基準で最初に確認したいのは、チームを構成する4職種、所定研修、専従/専任の要件です。PT・OT・STはNSTに関わることができますが、原則的な施設基準上の必須4職種とは位置づけが異なります。
| 確認項目 | 原則的な要件 |
|---|---|
| NSTを構成する4職種 | 所定の研修を修了した専任の常勤医師、常勤看護師、常勤薬剤師、常勤管理栄養士 |
| 専従者 | 原則として4職種のうち、いずれか1人を専従とする |
| 1日15人以内の場合 | NSTが診察する患者数が1日15人以内であれば、4職種はいずれも専任で差し支えない |
| 医師の研修 | 栄養管理の専門的知識・技術を有する医師の養成を目的とした10時間以上の所定研修 |
| 看護師・薬剤師・管理栄養士の研修 | 医療関係団体等が認定する教育施設で実施される40時間以上の所定研修 |
| その他の職種 | 歯科医師、歯科衛生士、臨床検査技師、PT、OT、社会福祉士、STなどの配置が望ましい |
| 届出 | 施設基準を満たしたうえで地方厚生局長等へ届け出る。2026年度は別添7・様式34を確認する |
「PTがNSTに所属していなければ施設基準を満たさない」という要件ではありません。一方、活動量、移動能力、姿勢、嚥下、褥瘡など、栄養管理と関係する情報をNSTへつなぐ役割は重要です。
なお、医療資源の少ない地域など、A233-2の注2に該当する場合には人員配置等に別の要件が設けられています。届出時は、自施設が特例の対象となるかを含めて最新の施設基準通知を確認してください。
栄養管理体制|病院全体で手順・計画・定期評価を整える
栄養管理体制は、NST対象患者だけを管理する仕組みではありません。病院として、誰が、いつ、どのように栄養状態を確認し、必要な患者へ計画を作成して見直すかを整えておくことが中心です。
- 管理栄養士の配置:病院内に栄養管理を担当する管理栄養士を配置し、施設区分に応じた要件を満たす
- 栄養管理手順:標準的な栄養スクリーニング、栄養状態の評価、栄養管理計画、定期的な評価などを手順化する
- 入院時の確認:医師・看護職員・管理栄養士が栄養状態を確認し、特別な栄養管理の必要性を入院診療計画書へ記載する
- 栄養管理計画:必要な患者について、栄養状態、摂食機能、食形態などを考慮した個別計画を作成する
- 定期評価:計画に基づいて栄養管理を行い、栄養状態を定期的に評価して必要に応じて計画を見直す
救急患者や休日入院など、入院日に栄養管理計画を策定できない場合についても通知上の取扱いがあります。院内手順では「誰が確認し、いつ計画へ反映するか」まで明確にしておくことが重要です。
つまり、栄養管理体制が整っていることと、個々の患者についてNST加算を算定できることは別です。NST加算では、さらに施設基準、対象患者、チーム診療、栄養治療実施計画などを確認します。
NST加算の対象患者|栄養管理計画+4つの入口を確認する
A233-2 栄養サポートチーム加算は、栄養管理計画を策定している患者のうち、所定の条件に該当する患者について算定します。2026年度の実施上の留意事項では、次の4つが示されています。
- GLIM基準で低栄養と判定:栄養管理計画の策定に係る栄養スクリーニングの結果を踏まえてGLIM基準による栄養評価を行い、低栄養と判定された患者
- 静脈栄養からの移行:経口摂取または経腸栄養への移行を目的として、現に静脈栄養法を実施している患者
- 経腸栄養からの移行:経口摂取への移行を目的として、現に経腸栄養法を実施している患者
- NSTによる判断:NSTが栄養治療によって改善が見込めると判断した患者
したがって、アルブミン値だけでNST加算の対象患者を決める制度ではありません。「栄養管理計画が策定されているか」と「4条件のどこに該当するか」をセットで確認します。
回診・カンファレンス|実施頻度と算定頻度を分けて考える
NSTでは、栄養状態の改善に係るカンファレンスと回診を週1回程度開催し、その結果を踏まえて栄養治療実施計画を作成し、治療とフォローアップを行います。
一方、A233-2の算定頻度はすべての病棟・入院期間で同じではありません。原則は週1回ですが、療養病棟入院基本料、結核病棟入院基本料、精神病棟入院基本料などでは、入院期間によって月1回となる期間があります。障害者施設等入院基本料を算定する患者についても月1回です。
そのため、院内マニュアルでは「NSTは週1回」とだけ記載せず、カンファレンス・回診の実施頻度と、診療報酬上の算定可能頻度を分けて整理すると誤解を防ぎやすくなります。
A233との違い|NST加算はA233-2として区別する
2026年度の診療報酬では、A233はリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、A233-2は栄養サポートチーム加算です。番号が近いため、院内資料では名称まで併記した方が混同しにくくなります。
また、A233 リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を算定する場合、A233-2 栄養サポートチーム加算は別に算定できません。「NSTも関わっているから両方算定する」と考えるのではなく、どの制度の枠で評価している患者なのかを確認します。
A233の対象病棟、人員配置、評価・計画、算定期間などは、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の運用記事で詳しく整理しています。
NST運用の最小セット|対象確認→回診→計画→フォロー→終了時評価
施設基準を満たした後は、患者ごとの介入が診療録上で追えるように運用をそろえます。実務では、次の流れを共通化すると抜けを確認しやすくなります。
- 対象確認:栄養管理計画とA233-2の対象4条件を確認する
- 情報整理:栄養状態、摂取量、摂取経路、活動状況、嚥下など必要な情報をそろえる
- カンファレンス・回診:多職種で状態を確認し、栄養治療の方針を決める
- 栄養治療実施計画:共同で計画を作成し、患者等へ説明・文書交付する
- 治療・フォロー:計画に沿って介入し、栄養状態や摂取量などの経過を追う
- 終了・退院・転院:治療結果を評価し、栄養治療実施報告書を作成して説明・文書交付する
制度上必要となる計画書・報告書と、院内で情報を整理するための回診メモは役割が異なります。院内メモだけで正式な栄養治療実施計画や報告書を代替できるとは考えず、自施設の様式と運用を確認してください。
PT・OT・STがNSTへ渡す情報|栄養方針を決める材料に変える
PT・OT・STはNSTの必須4職種ではありませんが、患者の活動量、移動能力、姿勢、嚥下、食事場面、皮膚・褥瘡などを把握しやすい職種です。大切なのは、リハ職だけで栄養内容を決めることではなく、チームが判断するための材料を具体的に渡すことです。
| 領域 | 共有する情報の例 | 多職種で検討しやすくなること |
|---|---|---|
| 活動・運動負荷 | 離床時間、歩行・移乗能力、運動量、筋力、運動負荷の変化 | 活動量の変化を踏まえた栄養管理とリハ計画の調整 |
| 摂食嚥下・姿勢 | 食事姿勢、食事中のむせ・疲労、摂取状況、嚥下評価で得られた所見 | 食形態、摂取方法、嚥下・口腔介入の検討 |
| 皮膚・褥瘡 | 褥瘡の有無、浮腫、体圧分散、座位耐久時間、除圧の状況 | 栄養管理、体位管理、離床計画の調整 |
たとえば「歩ける・歩けない」だけでなく、前週より離床時間が増えた、食事後半で姿勢保持が崩れる、座位時間の延長に伴って皮膚状態に変化があるといった経過まで渡すと、次の方針につながりやすくなります。
記録の型|公式書類と院内共有メモを分ける
NSTでは、「回診を実施した」という事実だけでなく、対象判定から計画、治療、フォロー、終了時評価まで追えることが重要です。
| 記録 | 主な役割 |
|---|---|
| 栄養管理計画 | 患者の栄養状態を評価し、必要な栄養管理を計画する |
| 栄養治療実施計画 | カンファレンス・回診の結果を踏まえてNSTの治療方針を整理し、患者等へ説明・文書交付する |
| 診療録 | 実施した栄養治療とフォローアップの経過を追えるようにする |
| 栄養治療実施報告書 | 治療終了時や退院・転院時に治療結果を評価し、患者等へ説明・文書交付する |
| 院内回診メモ | 回診前の情報整理や多職種共有を補助する。正式な診療録や指定様式とは区別する |
5分自己点検|栄養管理体制・施設基準・患者運用を分けて確認する
NSTを院内で見直す場合は、制度要件と日々の患者運用を一度に混ぜず、①栄養管理体制、②NST施設基準、③患者ごとのNST運用の3段階に分けると不足箇所を見つけやすくなります。
- 栄養管理体制:管理栄養士の配置、栄養管理手順、入院時確認、栄養管理計画、定期評価・見直しを確認する
- NST施設基準:必須4職種、所定研修、専従/専任、1日15人以内の取扱い、届出を確認する
- 患者ごとのNST運用:対象4条件、GLIM、回診・カンファレンス、栄養治療実施計画、フォロー、終了時評価を確認する
「できている/できていない」の点数化だけでは、次に何を直すかが分かりにくくなります。今回の自己点検シート v3では、各項目を「確認済・要確認・未対応」で点検し、必要な対応をメモできる形式にしています。
ダウンロード|NST自己点検シート v3【PDF・Excel】
NSTの栄養管理体制・施設基準・患者運用を院内で確認できるよう、2026年度の制度内容を踏まえたNST自己点検シート v3をA4縦1ページで作成しました。
PDFは印刷・配布用、Excelは院内ルールに合わせて確認結果や対応内容を整理する原本として使用できます。各項目を「確認済・要確認・未対応」で確認し、要確認・未対応の場合は対応内容や期限を整理してください。
PDFプレビューを開く
患者ごとの回診前情報を整理したい場合は、既存のPT用回診メモも併用できます。
※自己点検シートと回診メモは院内での確認・情報整理を補助する資料です。届出・算定の最終判断には、最新の厚生労働省通知・地方厚生局資料と自施設の運用を確認してください。
よくある質問(FAQ)
栄養管理体制、NST施設基準、A233で混同しやすいポイントをまとめます。
栄養管理体制とNST加算は同じものですか?
同じではありません。栄養管理体制は、病院として入院患者の栄養評価・計画・定期評価を行うための基盤です。一方、A233-2 栄養サポートチーム加算は、施設基準を満たしたNSTが所定の対象患者へ専門的な診療を行った場合に評価されます。
PT・OT・STはNSTの必須メンバーですか?
原則的な施設基準上の4職種は、所定の研修を修了した専任の常勤医師、看護師、薬剤師、管理栄養士です。PT・OT・STなどは配置されていることが望ましい職種として示されています。実際の参加方法や担当範囲は、自施設のNST運用に合わせて整理します。
NST加算の対象患者はアルブミン値だけで決めますか?
いいえ。2026年度は、栄養管理計画を策定している患者のうち、栄養スクリーニングを踏まえてGLIM基準で低栄養と判定された患者、静脈栄養や経腸栄養から経口摂取等への移行を目指す患者、NSTが栄養治療による改善を見込めると判断した患者などが対象です。
A233とNST加算は同時に算定できますか?
A233 リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を算定する場合、A233-2 栄養サポートチーム加算は別に算定できません。番号が似ているため、院内資料では「A233」と「A233-2」を名称まで含めて区別しておくと分かりやすくなります。
NST加算はすべての患者で週1回算定できますか?
一律ではありません。原則は週1回ですが、療養病棟入院基本料、結核病棟入院基本料、精神病棟入院基本料などでは、入院期間に応じて月1回となる期間があります。障害者施設等入院基本料を算定している患者についても月1回です。カンファレンス・回診の実施頻度と診療報酬上の算定頻度を分けて確認してください。
次の一手|施設基準の全体像とA233各論へ
NST以外の施設基準も確認する場合はハブへ戻り、A233 リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を詳しく確認する場合は各論記事へ進んでください。
- 全体像:施設基準ハブで関連制度を確認する
- A233各論:リハ・栄養・口腔連携体制加算の運用を確認する
参考資料
- 厚生労働省保険局医療課.基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて.保医発0305第7号,2026年3月5日.
- 厚生労働省.医科診療報酬点数表に関する事項.2026年度.
- 厚生労働省.診療報酬の算定方法.A233・A233-2.
- 関東信越厚生局.基本診療料の届出一覧(令和8年度診療報酬改定).
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

