- 学会抄録のタイトル術:採択されやすい題名は「入れる順」と「削る順」で決まる
- このページで答えること:題名で「内容」と「強み」を 1 行に要約する
- 現場の詰まりどころ:題名が決まらないときは「主題」と「結果」が曖昧です
- 採択されやすい題名の原則:入れる順は「主題→介入→結果」です
- 題名テンプレ(型):まず 3 パターンから選ぶ
- 題名に入れる語の選び方:主題は「症状」より「困りごと」に寄せる
- NG ワード:派手な形容より「条件」と「結果」を 1 つ足す
- 字数に収める短縮手順:削る順は「形容→背景→細部」です
- 提出前チェック:題名だけで「何をしたか」が伝わるか
- よくある質問(FAQ)
- 次の一手:運用を整える → 共有の型を作る → 環境要因も点検する
- 参考文献
- 著者情報
学会抄録のタイトル術:採択されやすい題名は「入れる順」と「削る順」で決まる
学会抄録の題名(タイトル)は、内容の良し悪し以前に「何が書いてある抄録か」が一瞬で伝わるかで通りやすさが変わります。強いタイトルは、派手な言い回しではなく、対象(症例)・主題(課題)・介入(または評価)・アウトカム(結果)が過不足なく入り、読み手が迷いません。
このページでは、PT・OT・ST がそのまま当てはめられる題名の型(テンプレ)と、落ちやすいNG ワード、字数に収める短縮手順、提出前の最終チェックまで一括でまとめます。
同ジャンルの「親」で抄録の型を固定してから、題名を最適化する:
- 総論(標準手順):抄録( 200〜400 字 )の 5 文構成
- 代表の子:学会抄録の例文集( 200〜400 字 )
このページで答えること:題名で「内容」と「強み」を 1 行に要約する
題名の役割は、抄録を読む前に「この演題は何が論点か」を伝えることです。逆に、題名が抽象的だと、抄録が良くても読み手は流し読みになります。ここでは、題名を再現性のある型に落とし、毎回同じ手順で作れる状態にします。
結論としては、題名に入れるべき要素は多くありません。主題(課題)+介入(または評価)+アウトカム(結果)の 3 点を軸に、必要なら条件(装具・介助・環境)を 1 つ添えます。
現場の詰まりどころ:題名が決まらないときは「主題」と「結果」が曖昧です
題名で詰まる多くは、①主題が広い、②介入が一般的、③結果が「改善」で止まる、のいずれかです。まずは下のアンカーで原因を特定し、テンプレに当てはめて整えます。
- ページ内:題名テンプレ(型)
- ページ内:NG ワード(避けたい表現)
- 関連(素材を整える):診療記録(カルテ)の書き方総論
採択されやすい題名の原則:入れる順は「主題→介入→結果」です
読み手は、題名で主題(何の話か)をまず取り、次に介入/評価(何をしたか)、最後に結果/アウトカム(何が起きたか)を探します。題名を作るときも、この順で入れると迷いません。
また、強い言い切りは避け、結果から飛躍しない形に整えます。題名の時点で一般化しすぎるより、条件を 1 つ明記した方が信頼されます。
題名テンプレ(型):まず 3 パターンから選ぶ
題名は毎回ゼロから考えず、まず型を選びます。臨床の症例報告では、①介入の効果、②評価で見えた所見、③経過での変化、の 3 パターンが使いやすいです。
| パターン | テンプレ(型) | 例(汎用) | ポイント |
|---|---|---|---|
| 介入(効果) | (主題)に対する(介入)の適用により(アウトカム)が変化した 1 症例 | 「歩行不安定に対する課題特異的練習により屋内移動が改善した 1 症例」 | 主題+介入+結果を 1 行に |
| 評価(所見) | (主題)における(評価/所見)を踏まえた介入方針の検討: 1 症例 | 「転倒リスク例における二重課題歩行所見を踏まえた介入方針の検討: 1 症例」 | 評価は“主題に直結”だけ |
| 経過(変化) | (期間)週間の介入で(アウトカム)が改善した(主題)の 1 症例 | 「 6 週間の介入で ADL 自立度が改善した上肢機能低下例の 1 症例」 | 期間は入れるなら 1 箇所 |
題名に入れる語の選び方:主題は「症状」より「困りごと」に寄せる
主題が「疼痛」「麻痺」など症状だけだと広くなりやすいです。題名では、可能なら困りごと(活動/参加)に寄せると読み手が臨床像を想像しやすくなります(例:移動、セルフケア、離床、食事など)。
アウトカムは、測定名を並べるより変化(○→○)や、条件つきの代表値を 1 つ入れると伝わります。
NG ワード:派手な形容より「条件」と「結果」を 1 つ足す
「著明」「劇的」「顕著」などの形容は、題名だけで言い切ると反感を買いやすいです。代わりに、条件(装具・介助・環境)や、結果(○→○)を 1 つ足す方が強い題名になります。
| 避けたい表現 | 置き換え(安全) | 理由 |
|---|---|---|
| 著明に改善 | ○→○ に変化 | 結果を具体化できる |
| 有効であった | 改善が得られた可能性 | 飛躍を避ける |
| 画期的 | (条件)における検討 | 新規性を条件で示す |
字数に収める短縮手順:削る順は「形容→背景→細部」です
題名を短くするときは、まず形容(強調語)を削り、次に背景的な語(〜に関する検討 など)を削ります。最後まで残すのは、主題・介入/評価・アウトカムの 3 点です。
短縮の順番を固定すると、毎回迷いません:①形容(著明、劇的、重度 など)→②背景語(〜に関する、〜の検討 など)→③細部(回数、細かい条件)→④介入名(一般語へ置換)→⑤主題の絞り込み。
提出前チェック:題名だけで「何をしたか」が伝わるか
最後に、題名だけを見て第三者が内容を推測できるかを点検します。抄録本文の完成度より、まず題名の明瞭さを上げる方が CTR と回遊に効きます。
| 観点 | OK | NG | 修正の 1 手 |
|---|---|---|---|
| 主題 | 何の困りごとか 1 つ | 主題が広い | 困りごと(活動)に寄せる |
| 介入/評価 | 何をしたか 1 つ | 一般論でぼやける | 介入を具体名→一般語へ整理 |
| アウトカム | 結果が具体 | 「改善」で止まる | ○→○ か条件つき代表値を 1 つ |
| 飛躍 | 控えめ | 言い切り | 「可能性」「示唆」に寄せる |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1.題名はどこまで具体的に書くべきですか?
基本は「主題+介入/評価+アウトカム」の 3 点が入れば十分です。情報を盛り込みすぎると、主題がぼやけます。
具体性は、細部を増やすより「条件(装具・介助・環境)」を 1 つ添える方が上がります。
Q2.測定名(尺度名)は題名に入れた方がいいですか?
必須ではありません。尺度名を入れるより、題名だけで臨床像が浮かぶことが優先です。入れる場合も 1 つまでに絞ります。
尺度名を入れない場合は、結果を「○→○」や「自立度の変化」などで補うと伝わります。
Q3.「 1 症例 」は書いた方がいいですか?
多くの演題では「 1 症例 」の明記は安全です。読み手が研究デザインを誤解しにくくなります。
ただし、指定フォーマットがある場合は学会規定に合わせて省略してください。
次の一手:運用を整える → 共有の型を作る → 環境要因も点検する
- 運用を整える:診療記録(カルテ)の書き方総論で「素材」を崩さない
- 共有の型を作る:学会抄録の例文集で文章パーツを統一する
教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に「続ける/変える」の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- Gagnier JJ, et al. The CARE guidelines: consensus-based clinical case reporting guideline development. Headache. 2013;53(10):1541-1547. doi: 10.1111/head.12246 / PubMed: 24266334
- Riley DS, et al. CARE guidelines for case reports: explanation and elaboration document. J Clin Epidemiol. 2017;89:218-235. doi: 10.1016/j.jclinepi.2017.04.026 / PubMed: 28529185
- ICMJE. Recommendations: Protection of Research Participants. https://www.icmje.org/…/protection-of-research-participants.html
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・じょくそうなどで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- じょくそう・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、じょくそう・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


