認定理学療法士は「取る」より先に “ 更新設計 ” を決めると詰まりません
認定理学療法士は、院内外での教育・標準化(評価の言語合わせ、症例検討の質向上、手順の共通化)に効きやすい一方、更新要件を後回しにすると「取ったのに維持がきつい」になりがちです。
結論はシンプルで、取得(要件)と更新(要件 3 本柱)をセットで設計し、締切から逆算して「履修がマイページに残る行動」を積み上げるのが最短ルートです。本記事では、取得〜更新までを 1 ページで迷わない形に整理します。
同ジャンルで回遊:資格・生涯学習をまとめて確認したい方向け
最新アップデート(2026-01-30 公開分の要点)
生涯学習制度は年度で運用が更新されることがあります。直近では、2026 年 4 月からの適用内容を含む「段階的見直し」が公開されています。最後は必ず公式ページ/公式 PDF を確認してください。
現場運用に直結するポイントは、①登録 PT 更新の運用(活動期間・更新時研修の扱い)、②認定・専門更新で対象活動が広がる点です。特に「対象になる研修会/発表/投稿」の扱いは、年度で微調整が入り得るため、申請年度の資料を前提に組みます。
最短で迷わない “ 5 分フロー ”(取得 → 更新)
まずは全体の流れを “ 固定の型 ” として持つのがコツです。新制度では、申請・更新ともにマイページ運用が前提なので、「履修が残る行動」を選ぶほど後から強くなります。
下の表どおりに “ 段階ごとのゴール ” を固定し、締切から逆算してカレンダーに入れてください。
| 段階 | やること | 詰まりやすい点 | 先に決めるコツ |
|---|---|---|---|
| 前提 | 登録理学療法士を取得・維持( 5 年更新) | 登録の更新忘れ/対象期間の勘違い | 年度初めに「活動対象期間」を確認 |
| 取得 | 指定研修+臨床認定カリキュラム+学術研修大会(+認定試験) | 履修期限(履修日から 5 年)を超える | 「何年で取るか」を先に決め、講習を先に確保 |
| 維持 | 更新要件 3 本柱(要件①+要件② 100 点+更新時研修) | 要件①が抜ける | 発表/投稿を “ 先に予定化 ” して逃げ道を塞ぐ |
| 申請 | 取得期間の最終年度に更新申請 | 締切直前の差し戻し | 四半期ごとに証憑を整える(後述のチェック) |
締切カレンダー(いつ何をやるか)
資格は “ 勉強 ” より申込・履修・反映で止まりがちです。ここでは「いつ何を入れるか」を先に固定します。
年度ごとに運用が更新される場合があるため、申請年度の公式案内を前提に、下の表を “ 自分の予定 ” に置き換えてください。
| 時期 | やること | 注意点 |
|---|---|---|
| 通年 | 指定研修( e ラーニング)/臨床認定カリキュラム(教育機関で受講)を計画 | 臨床認定は教育機関へ直接申込(マイページ検索からではない) |
| 毎年 5 月頃 | 日本理学療法学術研修大会に参加 | 履修要件は大会ごとに異なる(基本は 2 日間参加が必要になりやすい) |
| 例年 8 月 | 新規申請(マイページ) | 申請時期は例年 8 月 1 日〜 8 月 31 日 |
| 例年 12 月頃 | 認定試験(会場での筆記) | 共通+分野問題(受験分野数で時間が変わる) |
認定理学療法士とは(登録・認定・専門の関係)
新生涯学習制度では、認定理学療法士・専門理学療法士は「登録理学療法士を基盤」として設計されています。つまり、認定だけを単独で考えるのではなく、前期研修/後期研修 → 登録 → 認定(分野別)という “ 階段 ” の上に載るイメージです。
現場では、教育や標準化に効く一方、更新の設計が甘いと失効リスクが上がります。取る前に「更新の 3 本柱」を押さえ、学会・研修を “ 点数化できる活動 ” に寄せて積み上げるのが安全です。
分野の選び方(このページは “ 決め方 ” だけ)
分野の中身を詳しく調べる前に、まずは迷いを減らす判断軸を固定します。結論としては「業務割合」「院内役割」「更新設計(要件①)」の 3 つで決めるとブレにくいです。
| 判断軸 | チェック | 選び方の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 業務割合 | 週の業務で最も時間を使う領域は? | 「一番多い領域」を第一候補にする | 興味だけで選ぶと更新で詰まりやすい |
| 院内役割 | 教育係/標準化/係活動と一致する? | 院内で使う領域だと発表テーマが作りやすい | 部署異動が多い場合は “ 汎用性 ” を優先 |
| 更新設計 | 要件①(発表/投稿)を 5 年で作れる? | 発表の場(院内/士会/研究会)がある領域を選ぶ | 点数(要件②)より要件①がボトルネック |
分野の候補を広く見たい方は、一覧と選び方をまとめた 資格マップ 2026 もあわせて確認してください。
| 区分 | 位置づけ | 主な到達イメージ | 更新の考え方 |
|---|---|---|---|
| 登録 PT | 土台(基盤) | 前期→後期の順で、学修と実地を “ 回る運用 ” にする | 活動対象期間内の要件を満たして更新 |
| 認定 PT | 分野別の臨床実装 | 領域の共通言語・標準化・教育で役割が増える | 要件①+ 100 点+更新時研修を “ 年単位 ” で積む |
| 専門 PT | より高度な専門性 | 教育・研究・発表の比重が上がる | 認定と同様に更新設計が重要(要件の対象は年度で確認) |
認定理学療法士の取り方(要件)
認定理学療法士(新制度)の新規取得は、登録理学療法士を前提として、指定研修・臨床認定カリキュラム・学術研修大会(+認定試験)をそろえて申請する流れです。
履修は “ やったつもり ” が一番危険です。申請前にマイページへ履修登録が反映済みであることを必ず確認してください(反映まで日数がかかる項目があります)。
要件 1:指定研修カリキュラム( e ラーニング)
指定研修は全分野共通で、12 コマ( 1 コマ 90 分)を同年度内にすべて履修します。複数分野を申請する場合でも、指定研修の受講は 1 回で足ります。
要件 2:臨床認定カリキュラム(分野別)
臨床認定カリキュラムは分野別で、必須 15 コマ+選択 5 コマ以上(計 20 コマ)を受講します。申込は教育機関へ直接行う形式が基本です。
要件 3:日本理学療法学術研修大会への参加
学術研修大会への参加が要件に含まれます。履修要件は大会ごとに変わるため、申込時に必ず確認してください。
認定試験(目安:例年 12 月頃)
認定試験は会場での筆記(五者択一・マークシート)で、指定研修と臨床認定カリキュラム(必須科目)のシラバスに準じて出題されます。受験分野数により試験時間が変わります。
申請(目安:例年 8 月)と費用
申請はマイページから行い、書面では受け付けません。申請時期は例年 8 月 1 日〜 8 月 31 日が目安です。
申請料は 1 分野につき 10,000 円(税別)で、同時に申請できる分野数は最大 3 分野です(申請後の返金・キャンセルは不可)。
認定理学療法士の更新制度(要件 3 本柱)
更新は 5 年ごとの更新制で、取得期間の最終年度に更新申請が必要です。結論としては、要件①を早めに作ることが最重要です(ここが抜けて失効が起きやすい)。
要件②の 100 点は日々の研修・学会参加で積み上げられますが、要件①は “ 計画しないと起きない活動 ” になりやすいため、先に予定化して逃げ道を塞ぎます。
要件①:必須の活動を 1 つ行う
更新の必須要件として、指定された活動のうちいずれか 1 つを行います(例:士会雑誌への投稿(筆頭著者)、ブロック学会/都道府県士会学会での一般発表(筆頭演者)など)。
要件②:維持・研鑽の活動で 100 点を取得
要件②は、学会参加、研修会受講、論文業績、講師等の活動などを点数化して 100 点を満たします。対象になる活動や点数基準は、申請年度の資料で確認してください。
要件③:更新時研修( e ラーニング)の受講
更新時研修は e ラーニングで、共通研修 4 コマ+分野別研修 1 コマ(計 5 コマ)の受講が求められます。年度で扱いが更新される可能性があるため、申請年度の資料を前提に確認してください。
証憑(エビデンス)管理のコツ|差し戻しを防ぐ “ 3 つの型 ”
差し戻しの多くは「点数が足りない」よりも「証憑が揃わない」「記録の紐づけが曖昧」です。ここでは、運用として回る型だけに絞ります。
おすすめは、①四半期に 1 回だけ整理、②ファイル名に日付+種別、③ “ 要件①専用フォルダ ” を別に作る、の 3 点です。
| 型 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 四半期棚卸し | 4 月・ 7 月・ 10 月・ 1 月に 15 分だけ整理 | 最終年度の “ 一括回収 ” を避ける |
| 命名ルール | YYYYMMDD_学会or研修_名称.pdf | 検索性が上がり、申請時に迷いにくい |
| 要件①別枠 | 要件①(発表/投稿)だけ別フォルダ | 要件②だけ満たして “ 要件①抜け ” を防ぐ |
現場の詰まりどころ|止まるのは “ 勉強 ” ではなく “ 運用 ” です
ここは読ませるゾーンです。よくある失敗を先に言語化し、回避のチェックに落とします。
よくある失敗(あるある)
| 場面 | NG(詰まる) | OK(回避) | 理由 |
|---|---|---|---|
| 履修 | 受講したのにマイページ反映を確認しない | 申請前に “ 反映済み ” を確認する | 反映遅延があると申請できない |
| 期限 | 履修日から 5 年の有効期限を忘れる | 期限を “ 先に ” カレンダーへ | 最後に気づいても取り戻せない |
| 更新 | 要件② 100 点だけ積んで要件①が無い | 要件①を “ 最初に予定化 ” する | 要件①は自然発生しにくい |
| 証憑 | 証憑が散らばり、申請時に揃わない | 四半期 1 回だけ棚卸し | 最終年度の一括回収が破綻しやすい |
回避の手順(チェック)
下のチェックは、申請直前ではなく “ 途中 ” で効きます。 4 月と 10 月の年 2 回だけでも十分です。
- 指定研修・臨床認定・学術研修大会がマイページに反映されている
- 履修の有効期限(履修日から 5 年)をカレンダーに入れた
- 更新の要件①(発表/投稿など)を “ 予定 ” として確保した
- 証憑の保存ルール(命名・フォルダ)が決まっている
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
最短で何年くらいで取れますか?
最短年数は、指定研修(同年度内)と臨床認定カリキュラム(分野別)をどう組めるかで変わります。結論としては、「受講できる年度・日程」を先に押さえ、学術研修大会と申請時期(例年 8 月)に合わせて逆算するとブレが減ります。
申請はいつ・いくらかかりますか?
申請時期は例年 8 月 1 日〜 8 月 31 日が目安です。申請料は 1 分野につき 10,000 円(税別)で、同時に申請できる分野数は 3 分野までです。
更新で一番多い失敗は何ですか?
要件②( 100 点)は積めているのに、要件①(必須の活動 1 つ)が無いケースです。要件①は自然発生しにくいので、年度の早い段階で「発表/投稿など」を予定として確保しておくのが安全です。
要件①(発表/投稿)は、どう作るのが現実的ですか?
いちばん現実的なのは「院内の取り組み」を小さくまとめて発表にする設計です。例えば、評価の統一、転倒予防の手順、退院指導の標準化など “ 運用改善 ” をテーマにすると、日常業務の延長で作れます。年 1 回の発表機会(士会・ブロック学会・院内研究会など)を先に確保して、逆算で準備するのがコツです。
制度が変わったとき、どこを見ればいいですか?
結論は「公式ページ」と「申請年度の公式 PDF」です。ブログは要点整理の入口として使い、申請前は必ず該当年度の資料に戻って確認してください(本文末に公式リンクをまとめています)。
次の一手(行動)|運用を整える → 共有の型を作る → 環境も点検する
- 運用を整える:資格マップ 2026(締切から逆算)
- 共有の型を作る:登録 PT の全体像(前期→後期→更新)
教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
PT キャリアナビを読む
参考文献・公式リンク
- 日本理学療法士協会|生涯学習制度について
- 生涯学習制度 認定理学療法士 新規申請マニュアル(最終更新:2024-09-17)
- 認定・専門理学療法士 更新申請マニュアル(更新:2025-08-25)
- 認定・専門理学療法士 更新に関わる点数基準(2025-08 更新)
- 生涯学習制度の段階的見直し(2026-01-30 公開)
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


