ここちあ利楽 flow の特徴と使い方| PT 実務

臨床手技・プロトコル
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ここちあ利楽 flow の特徴と使い方|スモールフロー・自動しっかり・記録の型

臨床の迷いは「機能の暗記」より「評価→設定→記録」の型で減らせます PT のキャリア設計(全体像)を見る

結論:ここちあ利楽 flow は「体重・体型・背上げ角度に合わせて自動でかたさを追従( i-fitting )しながら、スモールフロー/バックサポート/自動しっかりで “体位変化・背上げ・離床” を支える」エアマットレスです。導入後に差が出るのは設定ボタンの操作より、離床の質(起き上がり・端座位・移乗)と皮膚所見を同じ軸で記録できるかです。

本記事では、機能の意味を「 PT が見る所見」に翻訳し、導入前→導入直後→ 48〜72 時間で比較できる記録の型をまとめます。マットレス選定の “全体像(種類の使い分け)” を先に押さえたい場合は、体圧分散マットレスの種類と選び方(親記事)から読むと判断がぶれにくいです。

ここちあ利楽 flow は何ができる支持面か

ここちあ利楽 flow は、厚さ 17 cm の支持面で、上層のトップクッションに加えて下層(ボトムクッション)を持ち、底づきの抑止と体圧分散を狙った構造です。体重検知により 20〜180 kg の範囲で自動判定し、かたさを多段階で調整する設計になっています。

特徴は「褥瘡予防」だけで終わらず、背上げ・端座位・起き上がりなどの離床動作に対して、沈み込み過多を抑えて姿勢を安定させる仕組みが入っている点です。 PT は “皮膚(圧)” と “動作(離床)” の両方で所見をそろえ、設定や運用を動的に見直します。

主要機能を PT の観察ポイントに翻訳

ここちあ利楽 flow:機能 → 何が変わるか( PT の見方)
機能 何をしているか PT が見る所見 合わないときの調整
i-fitting(自動調圧) 体重・体型・背上げ角度に合わせて内圧を自動追従 底づき(手掌チェック)、骨盤後傾、背上げ時のずれ、踵部の圧痕 手動で “しっかり” を一時的に併用、ポジショニングを先に再設定
スモールフロー 4 つのスモールフローセルが順番に膨張・収縮し、小さな体位変化を作る 夜間覚醒、揺れへの恐怖感、疼痛、皮膚所見(発赤の持続) 体位制限がある場合は “動かしたくないセル” の動作停止、夜間は OFF 検討
バックサポート 背角度が一定以上になるとスモールフローセルを膨らませ、姿勢を保持 背上げ中〜端座位の安定、滑り座り、呼吸苦の増減 背上げ角度・骨盤位置・足部支持の再構成、必要時はしっかり併用
自動しっかり 離床動作(端部への寝返り、端座位、起き上がり等)を検知して全体をかたくする 立ち上がり準備の安定、移乗の恐怖感、端座位の手支持量 しっかりモードの手動併用、作動が強いときは説明・タイミング調整
E-ストレッチ/背ぬき(ベッドリンク時) 背上げ時の縮みを抑え、背上げ後に背部の圧迫・ずれを軽減 背部の突っ張り感、背部発赤、背上げ後の姿勢の崩れ 背上げ速度・角度の調整、シーツ張り過ぎの是正
除湿 内部に空気を送り出し、湿気・熱を排出 蒸れ、発汗、皮膚トラブル、睡眠の質 ON/OFF の見直し、寝衣・シーツ・室温湿度も同時に調整

最低限おさえる仕様(臨床に効くところだけ)

ここちあ利楽 flow:運用に直結する仕様
項目 要点 PT メモ
厚さ 17 cm(底づき抑止の下層を含む) ベッド柵・立ち上がり高さ・足底接地に影響。端座位の “滑り座り” を要チェック
対応体重 20〜180 kg の範囲で自動判定 体重変動(浮腫・利尿・栄養)で沈み込みが変わる。再評価を “所見” で行う
圧切替 通常は 3 連の圧切替で、同一部位への持続圧を避ける 揺れが強いと訴えが出ることがある。睡眠と離床のバランスで調整
充填・片付け 空の状態から約 10 分で注入。片付けアシストで約 12 分で吸引 導入直後は “まだ落ち着いていない” ことがある。評価タイミングをそろえる
停電時 電源断でバルブが閉じ、約 2 週間エア保持(機能は停止) 停電中は圧切替などが止まる。状態観察と体位変換計画を一時的に強化

導入〜初期調整の手順( 5 分で回す)

ここちあ利楽 flow は、電源を入れると “かたさ自動運転( i-fitting )” が始まるため、基本は自動運転をベースにして観察します。 PT は「設定を触る」より先に、所見の基準点(導入前)をそろえると、導入後の判断が速くなります。

手順は、①導入前所見をそろえる、②導入直後は “底づきと姿勢” を確認、③離床練習の場面で “自動しっかり” の動きと影響を確認、④夜間の睡眠と皮膚所見を 48〜72 時間で再評価、の順で回します。

  1. 導入前(ベースライン):骨突出部の発赤・圧痕、疼痛、寝返り可否、起き上がり介助量、端座位の安定、背上げ時のずれ(滑り座り)
  2. 導入直後( 0〜30 分):底づき(手掌で骨突出部周辺をチェック)、背上げ 30〜45° で骨盤後傾の増減、踵・仙骨の圧痕
  3. 離床場面:端座位までの移行、端座位保持、立ち上がり準備(足底接地・前方荷重)、移乗時の “沈み込み過多” の有無
  4. 夜間:覚醒回数、作動音・揺れの訴え、せん妄兆候、皮膚所見(発赤の持続)
  5. 再評価( 48〜72 時間):皮膚所見の推移、離床の進み、介助量、睡眠、疼痛を同じフォーマットで比較

記録の型(コピペで迷わない)

記録は “マットレス名” だけだと、次の担当者が再現できません。最低限、自動運転をベースに「今どの補助機能を使っているか」と、離床・皮膚・睡眠の所見を同じ行に並べます。

ここちあ利楽 flow:カルテに残す最小セット( PT )
項目 書き方(例) 狙い
支持面 ここちあ利楽 flow( i-fitting 自動) “何を使っているか” の共通言語
補助機能 スモールフロー ON(セル C のみ停止)/除湿 ON 体位制限・夜間調整の意図を共有
離床所見 背上げ 45°:骨盤後傾↓、端座位 3 分保持、立ち上がり準備で沈み込み少 “動作が良くなった/悪くなった” を定量化
皮膚所見 仙骨:発赤なし/踵:圧痕 10 分以内で消失 支持面が合っているかの判断材料
睡眠 夜間覚醒 1 回(揺れ訴え)→翌夜はスモールフロー OFF を検討 “予防” と “睡眠” の両立

コピペ用:

  • 支持面:ここちあ利楽 flow( i-fitting 自動)。補助:スモールフロー(__)/除湿(__)。
  • 離床:起き上がり(介助__)/端座位(__分・支持__)/立ち上がり準備(沈み込み__)。
  • 皮膚:仙骨(__)/踵(__)/発赤の持続(__分)。睡眠:覚醒(__回)。

現場の詰まりどころと、いちばん効く修正

ここちあ利楽 flow は “機能が多い” ぶん、合わないときに設定をいじりたくなります。ただ、原因は支持面ではなく、骨盤位置・足部支持・シーツ張り・背上げ速度のことが多いです。まずは “動作の形” を整え、それでも残る問題だけを機能で補う順序が安全です。

詰まりどころ:原因 → 修正( PT で回る)
起きやすい問題 よくある原因 まずやる修正 記録の視点
端座位で滑り座りが増えた 背上げでずれ力↑/骨盤が後傾しやすい 骨盤位置の再設定、足底接地の確保、背上げ速度を落とす 骨盤後傾、座面接地、手支持量
夜間に揺れが気になる スモールフローや圧切替が睡眠に干渉 夜間はスモールフロー OFF、体位制限があればセル停止を活用 覚醒回数、翌日の傾眠、せん妄兆候
離床時に沈み込み過多で動きづらい 端座位・起き上がりで支持が弱い 自動しっかりの作動確認、必要時しっかりモードを一時併用 起き上がり時間、介助量、恐怖感
皮膚所見が改善しない 支持面だけで解決しようとしている 体位変換計画、ずれ対策、栄養・浮腫の評価を同時に 部位、持続時間、体位変換実施率

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

スモールフローは “必ず ON ” にした方がいいですか?

必ずではありません。スモールフローは小さな体位変化を作れる一方で、揺れや覚醒が増える人もいます。夜間の睡眠が崩れる場合は、夜だけ OFF にする、体位制限があるセルは動作停止にするなど、所見ベースで調整します。

自動しっかりが作動すると何が起きますか?

離床動作(端部への寝返り、端座位、起き上がり等)を検知すると、マットレス全体の内圧を上げてかたくし、沈み込み過多を抑えて姿勢を安定させます。作動中はスモールフローセルが縮む仕様なので、揺れの印象が変わることがあります。

バックサポートはどんなときに効きますか?

背上げで “ずり落ち” が出やすいケースや、端座位までの移行で体幹保持が不安定なケースで、姿勢の保持に寄与します。まずは骨盤位置と足部支持を整え、残る不安定さをバックサポートで補うと、過剰介入になりにくいです。

停電時はどうなりますか?

電源が途絶えると自動的にバルブを閉じて空気の排出を停止し、マットレス内の空気を保持します。ただし停電中は圧切替などの機能が動作しないため、利用者様の状態に注意し、必要に応じて体位変換計画を一時的に強化します。

導入後、いつ再評価すればいいですか?

おすすめは「導入前→導入直後→ 48〜72 時間」の 3 点比較です。皮膚所見(発赤の持続など)と、離床所見(介助量・滑り座り・恐怖感)を同じフォーマットでそろえると、設定変更の判断が速くなります。

次の一手

運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検まで 1 セットで見直すと、褥瘡対策と離床が止まりにくくなります。

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参考文献

  1. パラマウントベッド株式会社. エアマットレス ここちあ利楽 flow(製品ページ). 公式
  2. パラマウントベッド株式会社. 取扱説明書:エアマットレス ここちあ利楽 flow( PDF ). PDF
  3. EPUAP/NPIAP/PPPIA. Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries – International Guideline. 2019. PDF

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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