在宅版K式スケールの使い方|PTの介入・再評価【図解・PDF付き】

臨床手技・プロトコル
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在宅版K式スケールの使い方|PTは陽性要因を「今日の介入」へ変換する

K式・在宅版K式の評価方法から確認したい方へ
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在宅版K式スケールの結果をPTが使うときは、点数だけを見るのではなく、陽性になった要因を生活場面へ結び付け、その日に変える介入を1〜2個決めることが重要です。本記事では、訪問リハで「陽性要因の確認 → 生活場面の観察 → 介入 → 共有・効果確認」までを進める実務の型を整理します。

対象は、在宅版K式の結果を受け取ったものの「PTとして次に何を見ればよいか」「体位・動作・介護動線へどう落とし込むか」で迷う方です。原票全文や詳細な採点方法は扱わず、評価結果を今日の行動と次に確認することへ変換することに絞ります。

在宅版K式の結果から今日の介入を決める4ステップ

PTが最初に行うことは、在宅版K式をもう一度採点することではなく、陽性要因が実際の生活のどこで生じているかを確認することです。「陽性要因 → 生活場面 → 今日変えること → 共有・効果確認」の順に整理すると、評価結果をその日の介入へつなげやすくなります。

在宅版K式をPTの介入につなげる4ステップ。陽性要因の確認、生活場面の観察、今日変える1〜2項目の決定、共有と効果確認の流れを示す図版。
図:在宅版K式の結果を「陽性要因の確認 → 生活場面の観察 → 今日変える1〜2項目 → 共有・効果確認」の4ステップでPTの介入へつなげます。
  1. 陽性要因を確認する:合計点だけでなく、どのリスク要因が陽性になっているかを確認します。体圧・ずれ、湿潤・皮膚状態、栄養・食事、介護環境などから、その日の観察につなげる要因を整理します。
  2. 生活場面を観察する:ベッド上だけでなく、背上げ、移乗・移動、車いす座位、排泄、更衣・清拭などを確認します。「どの動作・姿勢・時間帯でリスクが高まるか」まで結び付けます。
  3. 今日変えることを1〜2個決める:姿勢・体位、動作・介助方法、用具・環境、多職種への連携などから、本人・家族が実行できる内容を優先して選びます。変更点を増やしすぎず、まず優先度の高いものへ絞ります。
  4. 共有して効果を確認する:「何が問題だったか」「今日何を変えたか」「次に何を見るか」を家族・訪問看護・ケアマネジャーなどと共有します。次回は皮膚所見だけでなく、変更した方法が継続できているかも確認します。

この4ステップは、在宅版K式の正式な採点手順そのものではなく、評価結果をPTの介入へつなげるための実務上の整理です。尺度の正式な評価方法・項目・判定については、使用している正式な評価表や所属先の運用に従ってください。

発赤や創傷がある場合はリスク評価だけで終わらせない

在宅版K式は褥瘡発生リスクを把握するための評価です。すでに皮膚変化がみられる場合は、褥瘡発生リスクの評価と、皮膚・創部そのものの評価を分けて考える必要があります。

とくに、圧迫を解除しても消えない発赤、紫色を含む色調変化、水疱、びらんなどがみられる場合は、除圧を行ったうえで医師・看護師へ共有します。PTだけで「リスクが高い」と判断して終わらせず、必要な皮膚・創傷評価や治療へつなげることが重要です。

在宅版K式:観察 → 記録 → 対応のチェック表

陽性要因が分かったら、次は「どこを見るか → 何を書くか → 何を変えるか」へ落とし込みます。以下は、PTが生活場面を確認するときの実務用早見です。

表の見方:左から「観察 → 記録 → 対応」の順で確認してください。スマートフォンでは横スクロールで確認できます。

在宅版K式の結果をPTの観察・記録・対応へつなげる例
観察ポイント 記録例 対応例
圧迫(骨突出部・寝具・しわ) 仙骨部に発赤あり/マットレス硬め/シーツにしわあり シーツを整え、圧が集中しない姿勢へ変更する。必要に応じて体圧分散用具の検討へつなぐ。
湿潤(失禁・発汗・滲出) 夜間失禁あり/朝の更衣時に背部の湿潤が目立つ 湿潤が生じる時間帯を共有し、看護・介護側と交換や更衣の方法を確認する。
ずれ(背上げ・移乗・座位) 背上げ時に骨盤が足元へ滑走/車いす座位で前方へずれ込む 背上げ方法、ベッド上姿勢、フットサポート、移乗方法などから、ずれを生じる要因を修正する。
栄養・食事状況 食事摂取量低下/体重減少あり 食事量や体重変化を共有し、必要に応じて主治医・管理栄養士などへの相談につなげる。
介護環境(人数・時間帯・用具) 日中1名介護/夜間介護者不在/移動補助用具なし 実行できる介助方法と回数を確認し、その条件で継続できる姿勢・用具配置・サービス調整を検討する。

再評価は「在宅版K式」と「介入後の効果確認」を分ける

再評価で混同しやすいのが、尺度そのものを再評価することと、PTが変更した介入の効果を確認することです。この2つは目的を分けて考えます。

在宅版K式の定期評価とPTによる効果確認の違い
確認するもの 目的 考え方
在宅版K式そのもの 褥瘡発生リスクの変化を把握する 基本的には週1回を目安とし、使用している正式な評価表や所属先の運用、対象者の状態変化に応じて評価する。
PTが変更した介入 姿勢・動作・用具・介護方法などの変更が機能しているか確認する 一律の日数では決めず、皮膚所見、状態変化、介護者負担、訪問頻度などに応じて必要な時期に確認する。

たとえば移乗方法を変更した場合は「ずれが減ったか」、ポジショニングを変更した場合は「同じ部位への圧迫が続いていないか」、介護方法を変更した場合は「家族が無理なく継続できているか」を確認します。

「48〜72時間後」など一律の間隔を在宅版K式の正式な再評価基準として扱わず、介入内容・皮膚所見・状態変化・訪問頻度・家族負担に応じて効果確認の時期を決めると整理しておくと、尺度の評価とPTの介入評価を混同しにくくなります。

在宅版K式の記録シートをダウンロード

評価結果から介入までを1枚で整理したい場合は、以下の記録シートを使用できます。「陽性項目 → 今日の変更点 → 次回確認すること」を残すための実務用PDFです。

在宅版K式の記録シートPDFを開く

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多職種共有は「要因 → 変更点 → 次に見ること」の3行で残す

PTから多職種へ共有するときは、評価結果をそのまま並べるより、何が問題で、何を変え、次に何を見るのかをそろえると伝わりやすくなります。長い記録にするより、判断と次の行動が分かる形に整理します。

記載例(3行)
要因:仙骨部への圧迫と、背上げ時の骨盤滑走を認める。
変更:ベッド上姿勢と背上げ方法を修正し、シーツのしわを調整した。
次回確認:仙骨部の皮膚所見、背上げ時のずれ、家族が同じ方法を継続できているかを確認する。

在宅版K式の正式な項目名や判定結果を記録する場合は、使用している評価表の表記を優先してください。独自の略語や言い換えだけで共有すると、職種間で意味がずれる可能性があります。

PTが在宅版K式を使うときの3つの詰まりどころ

在宅版K式を介入へつなげられない場合は、評価項目を増やす前に、観察している生活場面と、評価結果から介入へのつなぎ方を確認します。

PTが在宅版K式を使うときの詰まりどころと修正方法
よくある間違い 起こること まず直すこと
ベッド上だけを見る 車いす、椅子、トイレ、移乗時の圧迫やずれを見落とす。 ベッド以外の生活場面を少なくとも1つ観察する。
PT評価と褥瘡リスクが分断される 姿勢・筋力・動作を評価しても、除圧や介助方法へ反映されない。 「どの動作で、どこに圧迫やずれが生じるか」まで記録する。
理想的なケア方法をそのまま家族へ求める 介護力と合わず、実際の生活で継続できない。 介護者数、夜間対応、本人の能力、寝具や用具を確認し、実行可能な方法へ調整する。

在宅版K式の使い方でよくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

採点を看護師が行っている場合、PTは何を確認すればよいですか?

合計点だけでなく、どの要因が陽性だったかを確認します。そのうえで、陽性要因がベッド上、移乗、座位、排泄、夜間介助などのどの場面で生じているかを観察し、PTが変更できる姿勢・動作・環境へつなげます。

在宅版K式はどのくらいの頻度で評価しますか?

在宅版K式は、基本的には週1回の評価が目安とされています。ただし、実際の運用では使用している正式な評価表、所属先の手順、療養者の状態変化を優先してください。

介入後も48〜72時間で再評価する必要がありますか?

48〜72時間は、在宅版K式の一律の正式な再評価基準ではありません。PTが変更した姿勢・動作・介助方法などの効果確認は、皮膚所見、状態変化、介護者負担、訪問頻度などに応じて時期を決めます。

家族が体位変換を続けられない場合はどうしますか?

回数だけを指示するのではなく、介護者数、夜間の対応、本人の自力体位変換能力、寝具や用具を確認します。その条件で継続できる姿勢・介助方法を家族と共有し、必要であれば訪問看護やケアマネジャーとサービス・用具の調整を検討します。

次の一手

在宅版K式でリスク要因を整理したあと、体圧分散マットレスをどう選ぶかまで進みたい場合は、OHスコアを用いたマットレス選定の実務へ進んでください。


参考文献・参考資料

  1. 日本褥瘡学会学術教育委員会ガイドライン改訂委員会. 褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版). 日本褥瘡学会誌. 2022;24(1):29-85.
  2. 藤原浩, 入澤亮吉, 大塚正樹, ほか. 創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―2:褥瘡診療ガイドライン. 日皮会誌. 2017;127(9):1933-1988. DOI: 10.14924/dermatol.127.1933
  3. 真田弘美, 須釜淳子, 紺家千津子, ほか. 褥瘡発生予測試作スケール(K式スケール)の信頼性と妥当性の検討. 日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌. 1998;2(1):11-18. DOI: 10.32201/jpnwocm.2.1_11
  4. 村山志津子, 北山幸枝, 大桑麻由美, ほか. 在宅版褥瘡発生リスクアセスメントスケールの開発. 褥瘡会誌. 2007;9(1):28-37. CiNii
  5. 在宅版K式の記録シートPDF. PDF

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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