通所リハの認知症短期集中リハ加算|Ⅰ・Ⅱの違いと使い分け

制度・実務
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認知症短期集中リハ加算は「認知症のある生活課題」を整理します

通所リハの認知症短期集中リハビリテーション実施加算は、認知症という診断名だけで使う加算ではありません。認知機能、生活環境、本人がしている生活行為を踏まえ、生活機能の改善が見込める場面で集中的に関わるための加算です。

ポイントは、Ⅰ・Ⅱの違い、生活行為の選び方、生活環境の見方、他加算との使い分けです。起算日や 3 か月設計は 通所リハの短期集中個別リハ加算|対象・起算日・終了 で整理し、本記事では認知症短期集中リハに絞って解説します。

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認知症短期集中リハ加算のⅠとⅡの違い、共通して見る生活行為・認知機能・生活環境を整理した図版
図 1 認知症短期集中リハの見方
認知症短期集中リハ加算で最初に確認したい 5 点
確認項目 見ること 詰まりやすい点
認知症の状態 記憶、見当識、注意、理解のしやすさ 診断名だけで判断してしまう
生活行為 している・してみたい・興味がある行為 本人の希望が曖昧なまま始まる
生活環境 自宅で失敗しやすい場面 通所内の様子だけで計画してしまう
介護の工夫 家族や介助者の声かけ・手順 介護者支援が抜ける
他加算 短期集中個別・生活行為向上との違い 目的の違いが曖昧になる

認知症短期集中リハビリテーション実施加算とは

認知症短期集中リハビリテーション実施加算は、認知症のある利用者の状態に配慮し、生活機能の改善を目指して集中的にリハビリテーションを行う加算です。厚生労働省資料では、通所リハの主な加算として、Ⅰは 240 単位/日、Ⅱは 1,920 単位/月と整理されています。

この加算では、単に認知機能の検査結果だけを見るのではなく、実際の生活場面で何が難しいのか、どの行為なら成功体験につなげられるのかを確認します。生活環境や家族の声かけまで含めて考えると、計画が実務に落とし込みやすくなります。

認知症短期集中リハ加算の基本整理
項目 要点
対象サービス 通所リハビリテーション
主な目的 認知症の状態に配慮し、生活機能の改善を図る
単位数 Ⅰ:240 単位/日、Ⅱ:1,920 単位/月
実務の軸 認知機能、生活行為、生活環境、介護の工夫をセットで見る
注意点 短期集中個別リハや生活行為向上リハとの使い分けを確認する

Ⅰ・Ⅱの違いをどう見るか

認知症短期集中リハ加算で最も検索されやすいのは、ⅠとⅡの違いです。まずは、Ⅰが 240 単位/日、Ⅱが 1,920 単位/月という単位数の違いを押さえます。

ただし、実務では単位数だけでなく、記録の軸も分けて考える必要があります。Ⅰは実施日ごとの個別介入を追いやすく、Ⅱは月単位で生活環境や日常生活課題の変化を追いやすいと整理すると、現場で説明しやすくなります。

認知症短期集中リハ加算 Ⅰ・Ⅱ の違い
比較軸
単位 240 単位/日 1,920 単位/月
見方 実施日ごとの個別介入 月単位の計画的介入
向きやすい場面 実施日ごとの反応を追いたい 生活環境や日常課題を継続して見たい
記録の軸 実施日、内容、反応 月単位の目標、変化、家族支援

生活行為・認知機能・生活環境をセットで評価します

認知症短期集中リハでは、利用者が「している」「してみたい」「興味がある」生活行為を把握し、見当識や記憶などの認知機能、実際の生活環境を評価する視点が重要です。

ここで大切なのは、できないことを並べるだけではなく、失敗しにくい行為や、成功体験につなげやすい行為を見つけることです。本人が得意としていたこと、役割につながること、家族が支援しやすいことを組み合わせると、実行しやすい計画になります。

認知症短期集中リハで評価したい視点
視点 見ること 記録のポイント
生活行為 している・してみたい・興味があること 本人の言葉や反応を残す
認知機能 記憶、見当識、注意、手順理解 生活場面でどう影響しているかを書く
生活環境 自宅内の動線、物の配置、刺激量 失敗しやすい場面を具体化する
介護者支援 声かけ、見守り、手順の提示 家族が再現できる方法にする

どんな利用者に向くか

認知症短期集中リハは、認知症の診断があるだけで自動的に使うものではありません。認知症によって生活行為が失敗しやすくなっている一方で、環境調整や声かけ、手順の工夫によって生活機能の改善が見込める利用者に向きます。

例えば、通所内ではできるのに自宅では手順が止まる、トイレや更衣で混乱する、服薬や食事準備の流れが崩れる、家族が声かけの方法に困っている、といった場面です。

認知症短期集中リハが向きやすい利用者像
利用者像 生活課題の例 支援の方向
手順で止まりやすい 更衣、整容、食事準備 手順を短くし、見える化する
自宅で失敗しやすい トイレ、移動、物の置き場所 環境調整と動線整理を行う
家族が対応に迷う 声かけ、拒否、混乱時の対応 声かけを統一し、成功しやすい場面を作る
意欲が出にくい 活動量低下、役割喪失 得意な行為や興味のある活動を使う

短期集中個別リハ・生活行為向上リハとの使い分け

通所リハには、短期集中個別リハ、認知症短期集中リハ、生活行為向上リハなど、似た名前の加算があります。混同しやすいですが、見る軸を分けると整理できます。

短期集中個別リハは、退院・退所後や認定後の早期に、基本動作や ADL の立て直しを行う入口です。生活行為向上リハは、本人の生活行為や役割を 6 か月で再獲得する設計です。認知症短期集中リハは、認知症による生活行為の失敗を、生活環境と介護の工夫まで含めて整える加算と考えると分かりやすくなります。

通所リハの個別加算を使い分ける視点
加算 主な軸 向きやすい課題
短期集中個別リハ 起算日・頻度・時間 退院後の基本動作・ADL 回復
認知症短期集中リハ 認知機能・生活環境 認知症による生活行為の失敗
生活行為向上リハ 生活行為・役割・参加 活動・参加の再獲得

現場の詰まりどころ|認知症名だけで判断してしまう

認知症短期集中リハでよくある失敗は、認知症という診断名だけで対象を判断してしまうことです。診断名だけでは、どの生活行為で困っているのか、どの環境なら成功しやすいのか、家族が何に困っているのかが見えてきません。

もう 1 つの失敗は、通所内の様子だけで計画してしまうことです。認知症のある利用者では、通所内ではできる動作が、自宅の環境では崩れることがあります。生活環境、手順、声かけ、家族の関わりまで含めて確認することが重要です。

認知症短期集中リハでよくある失敗と回避策
よくある失敗 なぜ困るか 回避策
診断名だけで判断する 生活課題が見えない 生活行為と環境をセットで見る
通所内だけで評価する 自宅での失敗場面を拾えない 居宅での様子や家族情報を確認する
本人の希望を聞けていない 意欲につながりにくい 興味・関心のある行為を探す
介護者支援が抜ける 自宅で再現できない 声かけや手順を家族とそろえる
Ⅰ・Ⅱの違いが単位数だけ 記録の軸が曖昧になる 日単位か月単位かで記録を分ける

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

認知症短期集中リハ加算は何単位ですか?

厚生労働省資料では、通所リハの認知症短期集中リハビリテーション実施加算は、Ⅰが 240 単位/日、Ⅱが 1,920 単位/月と整理されています。実際の運用では、対象者、計画、実施内容、他加算との関係もあわせて確認します。

Ⅰ と Ⅱ はどう違いますか?

単位数では、Ⅰは日単位、Ⅱは月単位で整理されています。実務上は、Ⅰは実施日ごとの内容と反応を追いやすく、Ⅱは月単位で生活環境や家族支援を含めた変化を追いやすいと考えると整理しやすくなります。

短期集中個別リハと同じですか?

同じ短期集中という言葉が入りますが、見る軸が異なります。短期集中個別リハは起算日・頻度・時間・基本動作の立て直しが中心で、認知症短期集中リハは認知機能、生活環境、生活行為の失敗しやすさを中心に考えます。

生活行為向上リハへつなげられますか?

生活行為や役割、参加の再獲得が主な課題として残る場合は、生活行為向上リハとの関係を確認します。認知症短期集中リハで生活環境や介護の工夫を整えた後、生活行為そのものの定着を図る流れで考えると整理しやすくなります。

次の一手

認知症短期集中リハは、単独で覚えるより、通所リハの個別加算全体の中で位置づけると理解しやすくなります。次は、短期集中個別リハ、生活行為向上リハ、リハマネ加算とあわせて確認してください。

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参考資料

  1. 厚生労働省. 通所リハビリテーション. PDF
  2. 厚生労働省. リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について. PDF
  3. 厚生労働省. 令和 6 年度介護報酬改定について. 公式ページ
  4. 通所リハの短期集中個別リハ加算|対象・起算日・終了
  5. 通所リハの生活行為向上リハ加算|別紙様式2-5と6か月計画
  6. 通所リハのリハマネ加算とは?算定要件・会議・LIFE を整理

著者情報

rehabilikun のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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