通所リハの生活行為向上リハ加算|別紙様式2-5と6か月計画

制度・実務
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生活行為向上リハ加算は「訓練メニュー」ではなく生活行為で考えます

通所リハの生活行為向上リハビリテーション実施加算は、単に個別リハの内容を増やすための加算ではありません。本人が取り戻したい生活行為を選び、阻害因子を整理し、6 か月で生活場面に定着させるための加算です。

ポイントは、生活行為の選び方、別紙様式 2-5 の見方、6 か月計画、短期集中個別リハとの違いです。短期集中個別リハの 3 か月設計は 通所リハの短期集中個別リハ加算|対象・起算日・終了 で整理し、本記事では生活行為向上リハに絞って解説します。

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生活行為向上リハの6か月設計を生活行為の選択、阻害因子の整理、支援内容の決定、6か月での定着の流れで示した図版
図 1 生活行為向上リハの 6 か月設計
生活行為向上リハ加算で最初に確認したい 5 点
確認項目 見ること 詰まりやすい点
生活行為 本人が再獲得したい行為 訓練メニューが先に出てしまう
阻害因子 心身機能・環境・介助者要因 身体機能だけで整理してしまう
計画期間 6 か月以内の見通し 終了後の受け皿が曖昧になる
様式 別紙様式 2-5 の下書き 本人希望と支援内容がつながらない
移行 短期集中個別リハ後の扱い 算定済み月数の確認を忘れる

生活行為向上リハビリテーション実施加算とは

生活行為向上リハビリテーション実施加算は、通所リハで生活行為の内容の充実を図るために、目標と支援内容を計画的に整理して実施する加算です。厚生労働省資料では、通所リハにおいて 6 月以内、1 月につき 1,250 単位と整理されています。

ここでいう生活行為は、単なる「歩行」「筋力」「可動域」ではなく、排泄、入浴、調理、買物、趣味活動、外出、家族内の役割など、本人の実生活に直結する行為として考えると整理しやすくなります。

生活行為向上リハ加算の基本整理
項目 要点
対象サービス 通所リハビリテーション
主な目的 生活行為の内容を充実させ、活動・参加につなげる
単位数 1,250 単位/月
期間 6 月以内
実務の軸 生活行為、阻害因子、支援内容、6 か月後の到達点をそろえる

別紙様式 2-5 の見方

生活行為向上リハを実務で回すときは、別紙様式 2-5 の考え方を押さえると整理しやすくなります。いきなり様式を埋めるのではなく、本人の生活行為の目標、現在の困りごと、阻害因子、支援内容を順に確認します。

特に大切なのは、「どの訓練をするか」ではなく「どの生活行為を取り戻すか」を先に決めることです。生活行為が曖昧なままだと、支援内容が歩行練習や筋力練習の羅列になり、加算の目的とずれやすくなります。

別紙様式 2-5 を読むときの視点
見る欄 確認したいこと 書き方の方向
本人の目標 取り戻したい生活行為 「何をしたいか」を本人の言葉に近づける
現状 何ができず困っているか 生活場面と介助量を具体化する
阻害因子 心身機能・環境・家族支援 身体機能だけに偏らず分けて見る
支援内容 誰が何をどう支援するか 訓練名ではなく生活行為につなげる
評価 6 か月後に何を確認するか 実生活での実行状況を見られる形にする

6 か月計画をどう作るか

生活行為向上リハの 6 か月計画は、単に期間を長く見積もるものではありません。最初の 1〜2 か月で生活行為を絞り、3〜4 か月で実生活に近い練習と環境調整を進め、5〜6 か月で定着と通常運用への接続を考えます。

このように段階を分けると、本人や家族にも説明しやすくなります。特に、生活行為は実生活の中で変化を見る必要があるため、通所内の練習だけでなく、自宅環境、家族の介助方法、地域参加まで含めて設計します。

生活行為向上リハの 6 か月計画の作り方
時期 主な目的 見ること
1〜2 か月目 生活行為を絞る 本人希望、現在の困りごと、阻害因子
3〜4 か月目 生活場面で練習する 動作手順、介助量、安全性、環境調整
5〜6 か月目 定着させる 自主練習、家族共有、通常運用への接続

短期集中個別リハとの違い

短期集中個別リハと生活行為向上リハは、どちらも通所リハの個別支援に関わりますが、見ている軸が違います。短期集中個別リハは、退院・退所後または認定後の早期に 3 か月で生活機能を立て直す入口です。

一方、生活行為向上リハは、本人の生活行為や役割、参加を 6 か月で再獲得していく設計です。短期集中個別リハで基本動作や ADL を立て直した後に、生活行為向上リハで活動・参加へつなげると、記事同士の役割も実務上の流れも分かりやすくなります。

短期集中個別リハと生活行為向上リハの違い
比較軸 短期集中個別リハ 生活行為向上リハ
期間 3 か月以内 6 か月以内
主な目的 早期の生活機能回復 生活行為の再獲得
見る視点 起算日、頻度、時間、3 か月評価 本人の生活行為、役割、参加、定着
使いどころ 退院・退所後や認定後の早期 生活課題や参加課題が明確なとき

短期集中個別リハなどから生活行為向上リハへ連続して移行する場合は、すでに算定した月数を確認します。生活行為向上リハの残り算定月数に影響するため、移行前に月数管理をそろえておくことが重要です。

どんな利用者に向くか

生活行為向上リハは、単に身体機能を高めたい利用者よりも、再獲得したい生活行為が明確な利用者に向いています。例えば、近所の店まで行きたい、料理を再開したい、家族内の役割を取り戻したい、趣味活動に戻りたいといった目標です。

このとき、目標は「歩行能力の向上」ではなく、「近所の店まで安全に行く」のように生活場面で表現します。ADL だけでなく、IADL、役割、社会参加まで見られると、生活行為向上リハとしての計画が作りやすくなります。

生活行為向上リハが向きやすい利用者像
利用者像 生活行為の例 見るポイント
外出を再開したい 近所の店まで行く 歩行距離、交通手段、疲労、転倒リスク
家事を再開したい 調理、洗濯、片付け 立位耐久性、手順、環境調整
趣味活動に戻りたい 園芸、体操、地域活動 移動、参加頻度、仲間との関係
家族内の役割を戻したい 配膳、買物、見守り 安全性、家族の不安、介助量

現場の詰まりどころ|生活行為ではなく訓練メニューを書いてしまう

生活行為向上リハでよくある失敗は、生活行為の計画に見えて、実際には訓練メニューの羅列になってしまうことです。「歩行練習」「筋力練習」「立ち上がり練習」だけでは、本人が取り戻したい生活行為とのつながりが弱くなります。

もう 1 つの失敗は、6 か月後の到達点が曖昧なまま始めてしまうことです。生活行為は、本人・家族・環境の影響を受けるため、通所内の練習だけでなく、自宅での実行、家族の関わり、通常運用への接続まで見通しておく必要があります。

生活行為向上リハでよくある失敗と回避策
よくある失敗 なぜ困るか 回避策
訓練名だけ書く 生活行為につながらない 場面・役割・目的まで書く
目標が抽象的 6 か月後に評価できない 行為レベルで切る
環境要因が抜ける 実生活で定着しない 自宅環境・家族支援を見る
終了後が未定 漫然継続になりやすい 通常運用への接続を決める
短期集中個別との違いが曖昧 移行判断で迷いやすい 3 か月回復と 6 か月定着を分ける

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

生活行為向上リハ加算は何単位ですか?

厚生労働省資料では、通所リハの生活行為向上リハビリテーション実施加算は、6 月以内で 1 月につき 1,250 単位と整理されています。実際の運用では、対象者、計画、実施内容、他加算との関係もあわせて確認します。

何か月まで算定できますか?

通所リハでは 6 月以内として整理されています。ただし、短期集中個別リハや認知症短期集中リハから連続して移行する場合は、すでに算定した月数の扱いを確認する必要があります。

短期集中個別リハから移行できますか?

利用者の同意を得て、生活行為の向上を目標としたリハビリテーションが必要と判断される場合は、移行できる扱いです。ただし、連続して移行する場合は、短期集中個別リハ等を取得した月数を 6 月から差し引いた月数のみ算定可能とされています。

別紙様式 2-5 には何を書きますか?

本人の生活行為の目標、現在の困りごと、阻害因子、支援内容、評価の視点を整理します。訓練メニューを先に並べるのではなく、本人が取り戻したい生活行為から逆算して書くことが大切です。

次の一手

生活行為向上リハは、短期集中個別リハやリハマネ加算とあわせて読むと、通所リハの個別加算全体が整理しやすくなります。次は、現在の運用課題に近い記事から確認してください。

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参考資料

  1. 厚生労働省. 通所リハビリテーション. PDF
  2. 厚生労働省. 令和 6 年度介護報酬改定について. 公式ページ
  3. 厚生労働省. 別紙様式 2-5 生活行為向上リハビリテーション実施計画. XLSX
  4. 厚生労働省. 介護保険最新情報 Vol.948. PDF
  5. 通所リハの短期集中個別リハ加算|対象・起算日・終了
  6. 通所リハのリハマネ加算とは?算定要件・会議・LIFE を整理

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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