退院時共同指導料 2 の記録・必要書類の書き方|文書共有の実務

制度・実務
記事内に広告が含まれています。
B_InArticle_Body

退院時共同指導料 2 は「共同説明」と「文書共有」を残す点数です

制度や記録の運用だけでなく、働き方や職場選びも整理したい方へ

退院支援の運用は、個人の工夫だけでは安定しないことがあります。教育体制や相談しやすさも含めて整理したいときは、先に全体像を押さえておくと動きやすいです。

PT キャリアガイドを見る

退院時共同指導料 2 で止まりやすいのは、「共同で説明した」まではできても、何を診療録に残すかどの文書を在宅側へ共有するかレセプトで何を記載するかが院内でそろっていないことです。実際の現場では、説明の質そのものよりも、誰が何を説明し、何を渡し、どこに残したかが曖昧なままだと運用が不安定になりやすいです。

本記事では、 B005 退院時共同指導料 2 を、必要書類診療録文書共有摘要欄の 4 つに分けて整理します。比較から入りたい方は、退院前訪問指導料と退院時共同指導料 2 の違い【比較】も先に見ておくと、役割の違いがつかみやすいです。

先に結論|必要なのは「共同説明の記録」「共有文書」「レセプト整理」の 3 つです

結論からいうと、退院時共同指導料 2 の運用で最低限そろえたいのは、① 共同説明の中身がわかる診療録、② 在宅療養担当医療機関へ渡した共有文書、③ レセプトで迷わないための摘要整理の 3 つです。ここがそろっていれば、「説明したのに残っていない」「共有したつもりだが在宅側へ伝わっていない」という失敗を減らしやすくなります。

特にこの点数は、単独説明ではなく入院側と在宅側が共同して退院後の療養をつなぐことが主役です。そのため、患者への説明メモだけで終わらせず、共同した相手、説明した内容、共有した文書まで一連で残す運用にしておくと、実務でぶれにくくなります。

先にそろえたい必要書類は 3 つです

退院時共同指導料 2 は「共同説明」だけでは形になりません。院内で最低限そろえる書類を先に決めておくと、担当者が変わっても運用しやすくなります。

下の図版は、本文の要点を診療録・共有文書・摘要欄の 3 区分で整理した全体像です。最初にここを押さえてから各項目を読むと、どこに何を残すかがぶれにくくなります。

退院時共同指導料 2 の記録と共有の全体像。診療録、共有文書、摘要欄の 3 区分で、共同相手、説明要点、今後の対応、患者向け、在宅側向け、共有先、前回算定年月、同日算定の職種、実施日を整理した図版。
図 1.退院時共同指導料 2 の記録と共有の全体像

スマホでは表を横スクロールできます。

退院時共同指導料 2 で先にそろえたい必要書類
書類 役割 最低限入れたい内容 置き場所の例
共同説明用メモ 当日の説明内容をそろえる 疾患、退院後の注意点、介助方法、連絡先 カンファレンス資料、退院支援ファイル
在宅側へ渡す共有文書 病院外へ情報をつなぐ 病状、ADL、処置、介助、生活上の注意点 診療情報提供書、退院支援文書、看護サマリー等
院内保存用の記録 算定根拠を残す 共同相手、説明日、説明要点、文書共有先 診療録、入退院支援記録、退院支援シート

誰が共同指導に入るかを先に固定すると記録が書きやすくなります

退院時共同指導料 2 では、入院中の保険医療機関側と、退院後の在宅療養を担う側が共同して説明・指導を行います。実務では、点数表どおりの職種をすべて覚えるより、「入院側の主担当」「在宅側の受け手」「共同説明の同席者」を先に固定しておく方が記録しやすいです。

特に PT / OT / ST が関与する場合は、「誰が動作面を説明したか」「在宅側の誰が受けたか」を残すと、あとで退院時リハビリテーション指導料や他の退院支援項目との境界も整理しやすくなります。

共同指導で整理したい役割分担
役割 主な例 記録で残したいこと
入院側 医師、看護師等、薬剤師、管理栄養士、 PT 、 OT 、 ST 、社会福祉士 誰がどの領域を説明したか
在宅側 在宅療養担当医療機関の医師・看護師等、薬剤師、管理栄養士、 PT 、 OT 、 ST 、社会福祉士、訪問看護ステーションの看護師等・ PT ・ OT ・ ST どの機関の誰へ共有したか
患者・家族側 本人、家族、退院後に看護を担当する者 誰へ説明したか、理解確認の要点

診療録に残したい記録は「5 項目」で十分です

診療録に長文を残そうとすると続きません。退院時共同指導料 2 では、共同相手・説明日・説明内容・文書共有先・今後の対応の 5 項目で型を決めると、担当者が変わっても書きやすくなります。

とくに重要なのは、単に「説明した」と書くのではなく、何を説明し、どこへ共有し、退院後にどうつなぐかまで見える形にすることです。患者向けの説明と在宅側への共有は役割が違うため、両方が分かる書き方にしておくと実務で使いやすくなります。

診療録 5 項目テンプレ

  1. 共同指導日
  2. 共同した相手(医療機関名・職種)
  3. 説明した要点(病状、処置、動作、介助、注意点)
  4. 文書共有先と共有方法
  5. 退院後の対応(受診、訪問、連絡時の注意)

診療録の短い記載例

例:
在宅療養担当医療機関の医師・訪問看護師と共同で退院時共同指導を実施。患者・家族へ、内服、排泄介助、移乗時の介助量、夜間転倒予防を説明。退院支援文書を交付し、在宅側へ共有。退院後は訪問看護導入予定、発熱・転倒時の連絡先を説明。

文書共有は「患者向け」と「在宅側向け」を分けると伝わりやすくなります

文書共有で起きやすい失敗は、患者・家族へ渡す紙と、在宅療養担当医療機関へ共有する文書が混ざることです。患者向けは実行できることが主役、在宅側向けは引き継ぐべき医学的・介護的情報が主役です。同じ内容をそのまま 2 枚に分けるより、用途を分けて整理した方が使いやすくなります。

たとえば患者向けは、起居・移乗・歩行・服薬・注意点を短くまとめ、在宅側向けは、病状、処置、ADL、家族介助、緊急時対応をやや詳しくします。文書の濃さを分けるだけで、病棟内でも「何を誰に渡すか」がそろいやすくなります。

共有文書の使い分け
文書の向き先 主役 入れたい内容 書きすぎ注意
患者・家族向け 退院後に実行する行動 起居・移乗・歩行、服薬、受診、注意点 長い病状説明だけで終わること
在宅側向け 引き継ぐ医療・介護情報 病状、処置、ADL、介助量、家族状況、連絡先 患者向けの短文だけで済ませること

摘要欄・レセプトで見落としやすいポイント

退院時共同指導料 2 は、院内記録だけ整っていても、レセプト側の整理が弱いとあとで止まりやすくなります。特に、前回算定年月(初回なら初回である旨)と、同一日に退院時リハビリテーション指導料または退院時薬剤情報管理指導料を算定した場合の共同指導者の職種・年月日は、先にテンプレ化しておくと実務で楽になります。

レセプトは請求担当に任せ切りにせず、共同指導の記録側で必要事項が抜けないようにしておくことが大切です。病棟側の記録テンプレに「職種」「共有先」「同日算定の有無」を入れておくと、事務側とのやりとりが減りやすくなります。

入退院支援加算を算定する患者では「退院支援計画」が前提になります

退院時共同指導料 2 で見落としやすいのが、入退院支援加算を算定する患者では、退院支援計画の策定・患者への説明と文書提供・在宅療養担当医療機関との共有が前提になることです。共同説明の場ができていても、退院支援計画が弱いと運用全体が不安定になりやすいです。

そのため、 A246 を算定している患者では、退院時共同指導料 2 を単独で見るより、退院支援計画 → 共同説明 → 文書共有の流れとして運用した方がぶれにくくなります。共同説明の前に、退院支援計画の書式と共有先を確認しておくのが安全です。

多機関共同指導加算と 2 回算定で迷いやすい点

退院時共同指導料 2 には、入院側の医師と在宅療養担当医療機関の医師が共同して指導した場合の 300 点加算と、一定の多職種が 3 者以上で共同した場合の多機関共同指導加算があります。ここは、参加者が多いほど高く評価されるというより、共同した相手と説明の構造が明確かが実務では重要です。

また、特定の疾病等では 2 回算定が可能ですが、 2 回のうち 1 回は双方の医師・看護師又は准看護師による共同指導が必要です。回数だけ先に追うと整理が崩れやすいため、誰が入った共同指導かを先に固定する方が安全です。

現場の詰まりどころ|書類がないのではなく、用途が混ざることです

退院時共同指導料 2 が回らない理由は、書類の枚数不足より、患者向け説明、在宅側への共有、院内保存の用途が混ざることです。 1 枚の文書で全部を兼ねようとすると、誰にとっても中途半端になりやすいです。

まずは、患者向け 1 枚、在宅側向け 1 枚、診療録 1 本の 3 本立てで考えると整理しやすくなります。退院支援項目全体の位置づけを見直したいときは、退院前訪問指導料と退院時リハ指導料の違いも並べて確認しておくと、主語の違いが見えやすくなります。

よくある失敗

スマホでは表を横スクロールできます。

退院時共同指導料 2 で起こりやすい失敗と対策
失敗 なぜまずいか 対策
共同説明をしたが共有文書が残っていない 在宅側へ何を渡したかが不明になる 共有先と共有文書名を記録テンプレに入れる
患者向け文書をそのまま在宅側へ回す 医学的な引き継ぎ情報が不足しやすい 患者向けと在宅側向けで文書を分ける
診療録に「説明した」の一言だけで終わる 共同説明の中身が残らない 共同相手、要点、共有先、今後の対応を残す
同日算定時の職種記載を忘れる レセプト整理で止まりやすい 病棟記録の時点で職種と年月日を控える
A246 算定患者なのに退院支援計画の共有が弱い 前提要件とのつながりが弱くなる 共同説明前に退院支援計画の交付と共有を確認する

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

退院時共同指導料 2 は、患者本人でなく家族への説明でも算定できますか?

できます。退院後に患者の看護を担当する家族等へ指導を行った場合にも算定できます。ただし、誰に何を説明したかは診療録で分かるように残しておくと安全です。

最低限、診療録には何を残せばよいですか?

共同相手、説明日、説明要点、文書共有先、退院後の対応の 5 項目を残すと実務で回しやすいです。長文より、要点が抜けない型を先に決める方が続きやすくなります。

施設入所予定の患者でも算定できますか?

原則は退院後に在宅で療養を行う患者が対象ですが、注 4 の整理では一定の介護施設等へ入所する患者も対象になります。ただし、当該保険医療機関に併設する介護施設等へ入所する場合は算定できません。

2 回算定できるケースでは、何に気をつければよいですか?

回数だけでなく、 2 回のうち 1 回は双方の医師・看護師又は准看護師による共同指導が必要です。誰が入った共同指導かを先に決め、 1 回目と 2 回目の目的も分けて残すと整理しやすくなります。

退院時リハビリテーション指導料や退院時薬剤情報管理指導料と同日に算定したら、何を残しますか?

レセプト整理では、共同指導を行った者の職種と年月日の記載が必要になります。病棟記録の段階で職種と実施日を残しておくと、請求時に止まりにくくなります。

次の一手

退院時共同指導料 2 を単独で見るより、周辺の退院支援項目と並べると運用しやすくなります。続けて読むなら、次の 3 本がつながりやすいです。


参考情報

著者情報

rehabilikun のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

運営者について編集・引用ポリシーお問い合わせ

タイトルとURLをコピーしました