ベースアップ評価料の実績報告書は「提出時期・対象・集計項目」を先に固定すると迷いません
ベースアップ評価料の実績報告書で迷いやすいのは、制度の意味よりもいつ出すのか、誰が対象なのか、何を集計するのかです。この記事では、賃金改善中間報告書と賃金改善実績報告書の違い、提出前にそろえる資料、現場で詰まりやすい点を実務向けに整理します。医療機関・訪問看護ステーションで提出準備を担当する方が、最初に確認するための記事です。
給与への反映時期を確認したい場合は、先に 2026年6月の医療賃上げはいつ反映? を読むと整理しやすいです。
ベースアップ評価料の実績報告書とは、届出後の賃金改善状況を確認する報告書です
ベースアップ評価料の実績報告書は、評価料を算定したあとに、実際に賃金改善が行われたかを確認するための書類です。届出書とは役割が異なり、制度の入口ではなく算定後の運用確認に位置づけられます。
令和8・9年度算定分では、厚生労働省の様式で中間報告書と実績報告書の提出時期が整理されています。まずは「中間報告は年度途中」「実績報告は年度後の確認」と分けて考えると理解しやすいです。
提出対象は、ベースアップ評価料を届け出ている施設です
提出対象は、ベースアップ評価料を届け出ている医療機関、訪問看護ステーション、保険薬局などです。この記事では、主に医療機関と訪問看護ステーションの実務を想定して整理します。
最初に確認したいのは、自施設が届出済みか、どの評価料を算定しているか、どの様式を使うかの3点です。ここが曖昧なまま進めると、集計対象や提出書類がずれやすくなります。
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| 確認項目 | 見るポイント | 確認先の例 |
|---|---|---|
| 届出状況 | ベースアップ評価料を届け出ているか | 医事課、届出控え |
| 算定区分 | どの評価料を算定しているか | 施設基準届出書、算定実績 |
| 使用様式 | 医療機関用か、訪問看護ステーション用か | 厚労省・地方厚生局の様式 |
中間報告書と実績報告書は、提出時期と見る期間が違います
中間報告書と実績報告書は、同じ賃金改善を扱いますが、役割が違います。中間報告書は算定年度の途中確認、実績報告書は前年度分の結果確認です。

令和8年度算定分では、令和8年8月に令和8年度算定分の中間報告書、令和9年8月に令和8年度算定分の実績報告書を提出する流れです。提出月を先に固定しておくと、給与データや算定実績をいつ時点で集めるかが決めやすくなります。
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| 項目 | 中間報告書 | 実績報告書 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 年度途中の進捗確認 | 前年度分の結果確認 |
| 令和8年度算定分 | 令和8年8月に提出 | 令和9年8月に提出 |
| 実務上の見方 | 賃金改善が進んでいるかを見る | 年度分を説明できる形でまとめる |
| 注意点 | 途中確認なので早めのデータ整理が必要 | 年度通算の根拠資料が必要 |
実績報告では、収入・人数・基本給等・賞与を分けて集計します
実績報告で詰まりやすいのは、「どの数字をどこから拾うか」が決まっていないことです。先に評価料の算定収入額、対象職種ごとの人数、基本給等の改善前後、賞与や法定福利費の連動分に分けておくと進めやすくなります。
臨床現場では、部門管理者だけで完結しないことが多いです。人事・総務、医事、各部門で持っている資料が違うため、最初に「誰がどの数字を出すか」を決めることが重要です。
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| 見る数字 | 目的 | 手元資料の例 |
|---|---|---|
| ベースアップ評価料の算定収入額 | 賃金改善の原資を確認する | 算定実績、請求データ |
| 対象職種ごとの人数 | 対象範囲を確認する | 職員一覧、勤務表、雇用区分一覧 |
| 基本給等の改善前後 | ベースアップ分を説明する | 給与台帳、賃金表、給与規程 |
| 賞与・法定福利費の連動分 | 基本給等の引上げに伴う増加分を整理する | 賞与支給記録、社会保険料資料 |
ベースアップに含める範囲は、基本給等の引上げを軸に整理します
ベースアップ評価料の報告では、基本給等の引上げとして説明できるかが重要です。基本給だけでなく、毎月決まって支払われる手当を含めて整理する場合もありますが、従来から予定されていた定期昇給とは分けて考える必要があります。
特に注意したいのは、定期昇給や業績連動賞与をベースアップ分に混ぜてしまうことです。報告書を作る前に、ベア分と従来予定分を分けるルールを施設内でそろえておくと、後から説明しやすくなります。
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| 整理 | 例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 含めやすい | 基本給、毎月決まって支払われる手当 | 基本給等の引上げとして整理しやすい |
| 連動分として確認 | 賞与、時間外手当、法定福利費 | 基本給等の引上げに伴う増加分を見る |
| 要注意 | 夜勤手当など | 施設の勤務実態と毎月支給の性質を確認する |
| 分けて考える | 定期昇給、業績連動賞与、一時的な臨時手当 | ベースアップ分として混ぜると説明が難しくなる |
書き始める前に、給与・人員・算定実績の資料をそろえます
報告書は、書きながら資料を探すよりも、先に必要資料をそろえた方が速いです。最低限、給与規程、対象職員一覧、給与台帳、賞与支給記録、評価料の算定実績は先に確認しておきたいところです。
療養病棟のように職種が多く、常勤・非常勤・夜勤者などが混在する現場では、対象職員の整理だけでも時間がかかります。部門ごとに確認するのではなく、最初に共通の一覧表を作ってから人事・医事と照合すると、修正が少なくなります。
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| 資料 | 確認したい内容 | 主に持っている部署 |
|---|---|---|
| 給与規程・賃金表 | 基本給等の定義、改定内容 | 人事・総務 |
| 対象職員一覧 | 対象範囲、職種、雇用区分 | 人事・総務、各部門 |
| 給与台帳 | 改善前後の基本給等 | 人事・総務 |
| 賞与支給記録 | 賞与月数や連動分 | 人事・総務 |
| 算定実績 | 評価料の算定収入額 | 医事 |
| 前年比較の根拠資料 | 賃金改善を説明する根拠 | 人事・総務、医事 |
現場で止まりやすいのは、様式・定期昇給・派遣職員・提出先です
実務で止まりやすいのは、制度そのものよりも確認担当が決まっていない部分です。特に、使用様式の選択、定期昇給の除外、派遣職員の扱い、提出先メールアドレスの確認で手戻りが起こりやすくなります。
新人管理者や部門責任者が関わる場合は、いきなり報告書を入力するよりも、下の4点を先にチェックした方が安全です。提出直前ではなく、8月に入る前から確認しておくと余裕が出ます。
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| 詰まりどころ | なぜ危ないか | 先に決めること |
|---|---|---|
| 様式の選択が遅い | 途中で入力項目や前提が変わる | 医療機関用か訪問看護用かを先に確定する |
| 定期昇給を混ぜる | ベースアップ分の説明が曖昧になる | 定期昇給分とベア分を分ける |
| 派遣職員で止まる | 必要情報が手元にないことがある | 派遣元に確認する項目を決める |
| 提出先確認が最後になる | 送付先やファイル形式で戻りが出る | 地方厚生局の案内を先に確認する |
提出前チェックは、対象・様式・数字・提出先の順に見ます
提出前は、文章の細かさよりも確認順序が大切です。対象施設、使用様式、算定収入額、賃金改善額、定期昇給の除外、提出先の順で見ると、チェック漏れを減らしやすくなります。
専用メールアドレスや提出方法は、地方厚生局ごとの案内を確認してください。特にExcel様式を使う場合は、施設区分に合ったファイルを使っているか、ファイル名や送付先に誤りがないかを最後に確認します。
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| 順番 | 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 1 | 届出済みか確認 | 自施設が報告対象か |
| 2 | 様式を確認 | 施設区分に合った様式か |
| 3 | 算定収入額を集計 | 評価料収入を確認できるか |
| 4 | 基本給等の改善前後を整理 | 賃金改善分を説明できるか |
| 5 | 定期昇給を分ける | 従来予定分を混ぜていないか |
| 6 | 賞与・法定福利費を確認 | 基本給等に連動する部分か |
| 7 | 提出先を確認 | 地方厚生局、専用メールアドレス、ファイル名 |
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
実績報告書はいつ提出しますか?
令和8年度算定分の実績報告書は、令和9年8月に提出する流れです。令和8年8月に提出するのは、令和8年度算定分の中間報告書です。年度途中の確認か、年度分の結果確認かで分けて考えると整理しやすいです。
中間報告書と実績報告書は何が違いますか?
中間報告書は年度途中の進捗確認、実績報告書は前年度分の結果確認です。どちらも賃金改善を扱いますが、見る期間と目的が異なります。
定期昇給分はベースアップに含めてよいですか?
定期昇給分は、ベースアップ分とは分けて整理する方が安全です。従来から予定されていた昇給と、評価料を使った賃金改善分が混ざると、報告時に説明しにくくなります。
訪問看護ステーションも報告書が必要ですか?
訪問看護ベースアップ評価料を届け出ている場合は、報告書の対象になります。様式は訪問看護ステーション用を確認し、医療機関用の様式と混同しないようにします。
部門管理者は何を準備すればよいですか?
まずは対象職員一覧、職種、雇用区分、勤務状況を確認できる資料をそろえるとよいです。給与台帳や算定実績は人事・総務や医事が持っていることが多いため、部門側は対象範囲の確認を早めに行うと進めやすくなります。
次の一手
まずは、自施設がどのベースアップ評価料を届け出ているか、どの様式を使うかを確認してください。そのうえで、給与規程、対象職員一覧、算定実績の3点を先にそろえると、報告書作成の骨格が作りやすくなります。
制度全体の流れを確認したい場合は、療法士の賃上げ支援は申請必須|交付額と5手順へ進むと、申請側の流れも整理できます。
参考文献
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html
- 北海道厚生局. ベースアップ評価料等(令和8年度診療報酬改定)について. https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/hokkaido/shinsei/shido_kansa/hoken_shitei/index_00016.html
- 九州厚生局. ベースアップ評価料の届出について(令和8年度改定). https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/iryo_shido/base-up_008.html
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

