退院時リハ指導料【2026改定】対象患者・算定要件
先に全体像を押さえると、対象判定と同日算定の判断がぶれにくくなります。
令和 8 年改定リハ領域の全体像を見る退院時リハビリテーション指導料は、退院後の生活で起きやすい「つまずき」を先回りし、患者・家族が実行できる行動へ落とし込むための指導料です。令和 8 年改定では、対象患者が明確化され、現場では「誰に算定できるか」「同日に何が重複するか」「診療録に何を残すか」を先にそろえることが重要になりました。
この記事では、B006-3 退院時リハビリテーション指導料に絞って、対象患者の線引き、退院時共同指導料 2 との整理、記録 3 行テンプレまでを実務向けに整理します。記事内には、院内共有に使いやすい A4 判定・記録シート PDF も差し込んでいます。
最終更新:2026-03-23(告示・留意事項・PDF・図版反映)
A4 記録シート PDF
対象確認や同日算定の見落としを減らしたい場合は、先に 1 枚の記録シートを用意しておくと運用が安定します。
下の PDF は、対象点数の確認、共同指導の有無、摘要対応、判定・指導内容の記録、診療録 3 行テンプレまでを 1 枚にまとめた実務用シートです。
退院時リハビリテーション指導料 判定・記録シート(A4 1 枚)
対象点数、同日算定、摘要対応、判定・共有までを 1 枚で確認できます。
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結論:先に固定すべきは「対象患者」「同日算定」「記録 3 行」
今回の確定点で最も大きいのは、退院時リハビリテーション指導料の対象患者が、当該保険医療機関での入院中に一定のリハ関連点数を算定した患者へ限定されたことです。ここを曖昧にしたまま運用すると、「入院患者なら広く対象」と解釈しやすく、会計・病棟・リハ部門で判断がずれます。
現場で先に固定すべきなのは、①対象患者の入口、②退院時共同指導料 2 との同日算定ルール、③診療録の記載テンプレです。この 3 点を先にそろえると、説明の長さではなく「実行される退院支援」に近づきやすくなります。
確定した要点(1 枚)
| 論点 | 確定内容 | 現場への影響 | 先に決めること |
|---|---|---|---|
| 対象患者 | 当該保険医療機関での入院中に、第 7 部リハビリテーション第 1 節、A233、早期離床・リハビリテーション加算、A304 注 11 のいずれかを算定した患者 | 「入院患者なら誰でも」では運用できない | 対象判定ルールを 1 枚化する |
| 算定時点 | 退院日に 1 回に限り算定 | 説明日と算定日のズレに注意が必要 | 退院日運用と交付の流れを固定する |
| 指導者 | 主として医学的管理を行った医師又はリハビリテーション担当医。医師の指示下で PT / OT / ST が保健師・看護師・社会福祉士・精神保健福祉士とともに行う場合も可 | 「誰が指導したか」の記録が重要 | 職種別の役割分担を明文化する |
| 指導内容 | 体位変換、起座・離床、起立、食事、排泄、生活適応、対人関係、家屋改造、介助方法、在宅保健福祉サービス情報など | 情報過多より、実行できる指導へ絞る必要がある | 最小セットを固定する |
| 記録 | 指導(又は指示)内容の要点を診療録等へ記載 | 長文より、要点が読める定型が必要 | 3 行テンプレで共通化する |
| 同日算定 | 入院中の保険医療機関の PT / OT / ST が退院時共同指導料 2 の指導等を行った場合、同一日に本指導料は別に算定できない | 退院前確認が甘いと請求と記録がずれる | 共同指導の確認フローを固定する |
退院時共同指導料 2 と併用できるか:同日算定の整理
制度変更期に最も詰まりやすいのが、退院時共同指導料 2 との関係です。入院中の保険医療機関の PT / OT / ST が共同指導側の指導等を行った場合、同一日に退院時リハビリテーション指導料は別に算定できません。
さらに、同一日に退院時共同指導料 2 と本指導料を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に共同指導を行った者の職種及び年月日を記載する必要があります。現場では「誰が共同指導に入るか」を退院前に確認し、記録と請求を同時にそろえる運用が重要です。
| 論点 | 先に決めること | 最小の記録 |
|---|---|---|
| 共同指導の有無 | 同日に退院時共同指導料 2 を算定するか | 算定の有無を事前確認 |
| 参加職種 | PT / OT / ST が共同指導に参加するか | 参加職種名 |
| 摘要対応 | 職種と年月日を摘要欄へ記載する流れを固定するか | 共同指導を行った者の職種と年月日 |
対象患者の線引き:取りこぼしと広げすぎを同時に防ぐ
改定後は、まず「入院中に対象となるリハ関連点数を算定しているか」が入口です。その上で実務では、病名や ADL だけで機械的に決めるのではなく、退院後の再現性、支援体制、リスクの 3 軸まで確認すると、取りこぼしと広げすぎを同時に防ぎやすくなります。
とくに制度変更期は、病棟・会計・リハ部門で「対象にする理由」がずれやすくなります。判定理由を 1 行で残せる設計にしておくと、退院支援の説明と監査対応の両方が安定します。
| ステップ | 判定軸 | 具体例 | 記録に残す 1 行 |
|---|---|---|---|
| ① 算定歴の確認 | 入院中に対象点数を算定しているか | 疾患別リハ、A233、早期離床・リハ加算、A304 注 11 など | 「入院中に対象点数算定あり」 |
| ② 退院後の再現性 | 病棟でできた動作を退院先で再現できるか | 段差、入浴、屋外歩行、服薬管理 | 「退院後の再現に課題あり」 |
| ③ 支援体制 | 家族・サービスで補完できるか | 独居、介助者不在、導入前 | 「支援者不在/役割未確定」 |
| ④ リスク | 再転倒・再入院につながる因子の有無 | 転倒歴、起立性低血圧、低栄養、嚥下 | 「再入院リスク因子あり」 |
指導内容は最小セットで固定する(長文化しない)
通知上の指導内容は幅広く示されていますが、現場ではそれをそのまま全部並べるほど実行率が落ちやすくなります。まずは「明日からできる行動」に絞り、説明をシンプルにする方が退院後の再現性につながります。
おすすめは、①安全な動作、②負荷の目安、③継続先の 3 項目です。通知の幅広い項目を、毎回そろえる最小セットへ圧縮して使うと、指導のばらつきが減ります。
| 項目 | 伝える内容 | 提示形式 | 1 行例 |
|---|---|---|---|
| 安全な動作 | 転倒しやすい場面と回避行動 | 具体場面 + 行動指示 | 「浴室立位は手すり使用、立位開始前に 3 呼吸」 |
| 負荷の目安 | やりすぎ・不足を避ける基準 | 数値 1 つ + 主観 1 つ | 「歩行 10 分 × 2 回、息切れは “ややきつい” まで」 |
| 継続先 | 外来・訪問・通所の導線 | 時期 + 窓口 | 「退院後 1 週で外来フォロー予定」 |
記録は 3 行テンプレで統一する
通知で求められているのは、指導(又は指示)内容の要点を診療録等へ残すことです。監査と引き継ぎの両方に強い記録は、「なぜ対象か」「何を指導したか」「どこにつなぐか」が短く読める形です。
部署内で 3 行テンプレを共通化しておくと、入力のばらつきが減り、確認や是正も速くなります。長文の申し送りより、次に動く人がすぐ判断できる記録の方が実務では強いです。
| 行 | 記載内容 | 例文 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 1 行目 | 対象理由(算定歴 + 再現性・支援・リスク) | 「入院中に疾患別リハ算定あり。独居で転倒歴あり、退院後再現に課題」 | 対象根拠の明確化 |
| 2 行目 | 指導内容(具体行動) | 「立位前 3 呼吸、屋外歩行は杖と休息を併用」 | 行動変容の促進 |
| 3 行目 | 継続先(次の導線) | 「外来予約済み、家族へ段差対応を共有」 | 退院後の接続 |
現場の詰まりどころ/よくある失敗
制度変更時は、対象判定・同日算定・記録方法の 3 点で詰まりやすくなります。先に「どこで止まるか」を共有すると、導入初週の手戻りを減らしやすくなります。
| 論点 | NG | OK | 最短の直し方 |
|---|---|---|---|
| 対象判定 | 「入院患者だから対象」と広く解釈する | 入院中の算定歴を入口にする | 対象点数の確認欄を 1 つ作る |
| 同日算定 | 共同指導の参加職種確認が遅れ、請求がぶれる | 退院前に PT / OT / ST 参加の有無を確認する | 退院前カンファで 1 行チェックする |
| 指導内容 | 情報過多で実行されない | 最小セット 3 項目に固定する | 配布文面を共通テンプレ化する |
| 記録 | 長文で要点が埋もれる | 3 行テンプレで統一する | 定型文登録して入力時間を短縮する |
| 日程 | やること | 担当 | 成果物 |
|---|---|---|---|
| Day 1 | 対象点数の確認ルールを合意する | リハ責任者 + 病棟 + 会計 | 対象判定シート |
| Day 2-3 | 共同指導の確認フローを固定する | PT / OT / ST + 退院支援 | 同日算定チェック欄 |
| Day 4-5 | 最小セット文面と 3 行記録テンプレを統一する | 記録担当 + 各療法士 | 説明テンプレ / 定型文 |
| Day 6-7 | 5 症例で試行し、判定と記録のずれを是正する | チーム全体 | 運用版 v1.0 |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. これは確定情報ですか?
A. はい。退院時リハビリテーション指導料の対象患者は、当該保険医療機関での入院中に一定のリハ関連点数を算定した患者へと整理され、留意事項でも対象・指導者・記録方法まで明記されています。
Q2. 対象患者の判定でいちばんぶれにくい方法は?
A. まず「入院中に対象点数を算定しているか」を確認し、その上で再現性・支援体制・リスクの 3 軸で判定し、1 行で根拠を残す方法が実務的です。
Q3. 退院時共同指導料 2 との関係はどう整理すべきですか?
A. 入院中の保険医療機関の PT / OT / ST が共同指導側の指導等を行った場合は、同一日に本指導料を別に算定できません。退院前に「誰が共同指導へ入るか」を確認する運用が重要です。
Q4. PDF はどんな場面で使えばよいですか?
A. 退院前カンファ、病棟との対象確認、会計との算定確認、診療録の共通テンプレ化に向いています。とくに導入初週の「判断のずれ」を減らしたい場面で使いやすい構成です。
Q5. 記録負担が増えないか不安です
A. 長文化をやめて 3 行テンプレに統一すると、むしろ確認時間が減ります。定型文登録まで行うと、入力負担を抑えたまま質を担保しやすくなります。
次の一手(この順で進める)
まずは全体像を確認し、次に院内運用の型をそろえると、改定対応の手戻りを減らせます。
参考資料(一次情報)
- 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定について(関係法令・通知等).掲載ページ
- 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定について【医科全体概要版】.PDF
- 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定-重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション).PDF
- 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(別添 1).PDF
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


