倫理委員会がない病院で論文を書くには?リハ職向け確認手順

制度・実務
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倫理委員会がない病院で論文を書く前に確認すること

倫理委員会がない病院で論文や学会発表を考える場合、最初に確認したいのは「投稿先の規定」「症例報告か研究か」「患者情報の扱い」です。この記事では、療養型病院で勤務する理学療法士の視点から、論文化前に止まりやすいポイントと確認順序を整理します。制度を断定する記事ではなく、研究を始める前の実務メモとして読んでください。

最初に決めるのは投稿先です

倫理審査の要否で迷ったら、まず投稿先・発表先の投稿規定を確認します。

同じ内容でも、学会発表、県士会誌、学術誌、症例報告、実践報告、原著論文では求められる条件が変わることがあります。特に、診療録を用いた後ろ向き研究では、追加介入がなくても倫理審査やオプトアウトが必要になる場合があります。

私自身も、褥瘡に関する臨床データをまとめようとしたとき、「匿名化すればよいのか」「症例報告なら審査不要なのか」「院内に倫理委員会がない場合はどうするのか」で最初に止まりました。

現場の結論:先にデータを集めるより、投稿先の規定を読んでから「どの形式で出すか」を決めた方が迷いにくいです。

論文化前の5分確認フロー

論文化前は、次の5項目を順番に確認すると整理しやすくなります。

倫理委員会がない病院で論文化前に確認する5ステップ
倫理委員会がない病院で、論文化前に確認する5ステップ
倫理委員会がない病院で論文化前に確認する5項目
順番 確認項目 見るポイント
1 投稿先・発表先 投稿規定、倫理審査の記載、同意取得の要否
2 発表形式 症例報告、実践報告、後ろ向き研究、原著論文のどれに近いか
3 対象者数 単例か、複数例を集計・分析するのか
4 使用データ 診療録のみか、追加調査・追加評価があるか
5 個人情報 匿名化、写真使用、希少疾患、日付情報の扱い

療養型病院では、研究支援部門がないことも多く、「誰に聞くか」が決まっていないだけで止まりやすいです。まずは投稿先の規定を印刷し、必要条件に印をつけるだけでも次の行動が見えやすくなります。

症例報告と後ろ向き研究の違いで迷いやすいです

迷いやすい境界は、個別症例の共有なのか、複数例を集計して傾向を示す研究なのかです。

症例報告と後ろ向き研究で確認したい違い
項目 症例報告 後ろ向き研究
主な目的 個別症例の経過共有 複数例の傾向分析
対象 単例または少数例 複数例
データ 経過・介入内容が中心 診療録データを集計することが多い
倫理審査 投稿先により扱いが変わる 必要になる可能性が高い
同意・匿名化 個人情報保護が必須 匿名化やオプトアウトの確認が必要

「症例報告なら必ず審査不要」「匿名化すれば必ず大丈夫」と考えるのは危険です。投稿先が同意取得や倫理審査を求めている場合もあるため、最終判断は投稿規定と施設方針に合わせて確認します。

院内に倫理委員会がない場合の考え方

院内に倫理委員会がない場合でも、確認を省略してよいわけではありません。

まずは、所属施設の管理者、リハ科責任者、看護部、事務部門などに「研究・発表時の院内ルールがあるか」を確認します。院内規程がない場合は、投稿先に事前相談する、外部の倫理審査を利用できるか確認する、研究経験者に相談するなどの選択肢を検討します。

特に、診療録を使う研究では、患者本人に新たな介入をしない場合でも、個人情報・同意・オプトアウト・データ管理の整理が必要です。

療養型病院で特に詰まりやすいポイント

療養型病院では、研究デザインよりも「相談先がないこと」で止まりやすいです。

臨床では、日々の記録や褥瘡対策、離床状況、栄養状態など、研究につながるデータは多くあります。一方で、研究文化が強くない施設では、倫理審査、投稿規定、データ抽出、匿名化、共同著者の整理を一人で抱えやすくなります。

療養型病院で論文化前に詰まりやすい点
詰まりどころ 先に決めること
研究経験者が少ない 院内外の相談先を1人決める
倫理審査の流れが不明 院内規程と投稿先規定を確認する
診療録データの扱いが不安 抽出項目、匿名化方法、保管方法を決める
症例報告か研究か迷う 対象者数と分析目的を明確にする
写真を使いたい 個人特定リスクと同意の要否を確認する

データを集める前に決めておきたいこと

データ収集前に、研究の型とデータ項目を固定しておくことが重要です。

  • 投稿先・発表先を決める
  • 症例報告、実践報告、後ろ向き研究のどれに近いか整理する
  • 対象者の範囲を決める
  • 収集する診療録項目を固定する
  • 個人情報をどの時点で匿名化するか決める
  • 写真や日付情報を使うか決める
  • 院内で誰に確認するか決める

関連して、記録の残し方を整える場合はリハビリ監査対策で先に整理したいポイントも参考になります。

よくある失敗は「書き始めてから確認する」ことです

論文化で失敗しやすいのは、本文を書き始めてから倫理審査や同意取得の要否に気づくことです。

後から確認すると、データ項目が足りない、同意取得の記録がない、投稿先の条件に合わない、写真が使えない、といった問題が起こりやすくなります。

よくある失敗:「匿名化しているから大丈夫」と判断して進めることです。匿名化は重要ですが、投稿先の倫理審査・同意・オプトアウト条件とは別に確認が必要です。

よくある質問

倫理委員会がない病院では論文投稿できませんか?

必ず投稿できないわけではありません。ただし、研究内容や投稿先によって倫理審査、同意取得、オプトアウト、施設長承認などが求められる場合があります。まず投稿先の規定を確認し、必要に応じて投稿先や外部倫理審査の利用可否を確認します。

診療録を使うだけなら倫理審査は不要ですか?

一律には判断できません。診療録だけを使う後ろ向き研究でも、複数例を集計・分析する場合は倫理審査が必要になることがあります。投稿先の規定と研究デザインを確認してください。

症例報告なら倫理審査は不要ですか?

症例報告は研究とは別に扱われる場合がありますが、投稿先によっては同意取得や倫理審査を求めることがあります。症例報告でも個人情報保護は必須です。

褥瘡写真は論文に使えますか?

使用できる可能性はありますが、部位、背景、日付、経過情報などから個人が特定されるリスクがあります。投稿先の規定、同意取得、匿名化処理を必ず確認します。

最初に誰へ相談すればよいですか?

まずは所属施設の上司や管理者に院内ルールを確認します。そのうえで、投稿先、研究経験者、外部倫理審査機関、学会・士会の相談窓口などを検討します。

次の一手

論文化を進める前に、まず記録と実務整理を整えておくと、後からデータを見返しやすくなります。


参考文献

著者情報

rehabilikun 理学療法士のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下

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