倫理委員会がない病院で論文を書くには?

制度・実務
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倫理委員会がない病院で論文を書くには?

「論文を書いてみたい」と思ったとき、最初に止まったのが“倫理委員会”でした。

私は療養型病院で勤務していますが、院内に研究文化が強くあるわけではなく、「この研究は倫理審査が必要なのか?」「そもそも症例報告と研究は何が違うのか?」という段階から悩みました。

特に、診療録を用いた後ろ向き研究や褥瘡データの扱いは、「匿名化すればよいのか」「学会発表だけでも審査が必要なのか」など、調べても一律の答えが見つかりにくい印象がありました。

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この記事では、「倫理委員会の制度解説」ではなく、実際に私がどこで止まり、何を確認し、どう整理したのかをまとめます。

なお、最終的な判断は所属施設・投稿先・研究デザインによって異なります。この記事は、研究を始める前に考えを整理するための実務メモとして読んでいただければ幸いです。

なぜ倫理委員会で止まったのか

論文を書こうと思ったきっかけは、日々の臨床で「褥瘡に関する傾向をまとめると意味があるかもしれない」と感じたことでした。

しかし、実際に書き始めようとすると、最初に出てきたのが「これは研究なのか?」「倫理審査は必要なのか?」という問題です。

特に迷ったのは、診療録を用いた後ろ向きデータの扱いでした。新たに介入を行うわけではなく、既存データを整理するだけでも、投稿先によっては倫理審査が必要になる場合があります。

さらに、療養型病院では大学病院のように研究支援体制が整っているわけではなく、「誰に相談すればよいのか分からない」という状態になりやすいと感じました。

まず確認したこと

最初に行ったのは、「何を確認すればよいか」を整理することでした。

特に重要だったのは、「投稿先によって必要条件が異なる」という点です。同じ内容でも、学会・雑誌・県士会誌などで扱いが変わる可能性があります。

論文化前に確認する5ステップ
論文化前に確認したかった流れを 5 ステップで整理
論文化前に最初に確認した項目
項目 確認した内容
投稿先 倫理審査の要否・投稿規定
研究デザイン 症例報告か後ろ向き研究か
対象者数 単例か複数例か
患者情報 匿名化・個人情報の扱い
データ 診療録のみか追加調査があるか
施設体制 倫理委員会の有無

後から振り返ると、「まず投稿先を決めて規定を読む」はかなり重要だったと感じています。

症例報告と研究の違いで悩んだ

最も混乱したのは、「症例報告」と「研究」の境界でした。

単一症例の経過をまとめるだけなら症例報告として扱われる場合がありますが、複数症例を集めて傾向を分析する場合は、研究として倫理審査が必要になるケースがあります。

症例報告と後ろ向き研究で迷ったポイント
項目 症例報告 後ろ向き研究
対象 単例・少数例 複数例
目的 症例共有 傾向分析
データ 経過中心 統計処理を伴う場合あり
倫理審査 不要な場合あり 必要になることが多い
匿名化 必須 必須

ただし、これは一律ではありません。実際には、投稿規定や施設方針で扱いが異なるため、「自分のケースはどちらに近いのか」を整理する必要がありました。

療養型病院で特に難しかったこと

療養型病院で研究を進めようとすると、大学病院や急性期病院とは違う難しさがあると感じました。

特に、「研究経験者が少ない」「倫理審査の流れが院内で明文化されていない」「まず誰に相談すればよいか分からない」という点は大きかったです。

また、日々の臨床や書類業務を行いながら研究を進める必要があり、研究だけに集中できる環境ではありません。

一方で、療養型病院だからこそ蓄積されるデータや症例もあり、現場から出てくる疑問には意味があるとも感じました。

大学教員への相談を考えた理由

私は途中で、大学教員へ相談する必要性も感じるようになりました。

理由としては、「研究デザインの整理」「倫理審査の考え方」「投稿先の選定」など、自分だけでは判断が難しい部分が多かったためです。

特に、「これは研究として扱われるのか」「どの時点で倫理審査が必要になるのか」は、インターネット検索だけでは整理しきれませんでした。

研究経験のある人へ早めに相談することは、結果的に遠回りを減らす可能性があると感じています。

実際に悩んだポイント

実際には、小さな疑問が次々に出てきました。

実際に悩んだポイント
悩み 迷った理由
診療録だけなら大丈夫? 追加介入がないため判断が難しい
匿名化だけで足りる? 投稿先によって条件が異なる
学会発表だけなら? 論文化との扱い差が分かりにくい
県士会誌なら簡易? 雑誌ごとに投稿規定が違う
褥瘡写真は使える? 個人特定リスクがある

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この段階で感じたのは、「研究の知識」だけでなく、「実務としての整理力」が必要だということでした。

現場の詰まりどころ:「まず書き始める前に何を確認するべきか」が分からない状態で止まることが多いと感じました。特に、投稿規定・研究デザイン・匿名化の3点は最初に整理した方が進みやすかったです。

研究や論文化を考え始めると、「今の環境で学べるのか」「相談できる人がいるか」で悩む場面もあります。私は、まず臨床と研究を両立しやすい環境を整理することも重要だと感じました。

理学療法士のキャリア整理フロー

今振り返ると先にやればよかったこと

今振り返ると、「論文を書こう」と思った時点で、先に整理しておけばよかったことがいくつかあります。

  • 最初に投稿規定を読む
  • 研究デザインを決める
  • データ項目を固定する
  • 匿名化の方法を考える
  • 相談先を早めに作る

特に、「まずデータを集め始める」のではなく、「どの形で投稿するのか」を先に決めることは重要だったと感じています。

これから論文化したい PT・OT・ST へ

論文や研究は、最初から流れが分かっている人の方が少ないと思います。

私自身、「これって倫理審査が必要なのか?」というところでかなり止まりましたし、今でも完全に整理し切れているわけではありません。

ただ、実際に調べてみると、「まず何を確認するべきか」は少しずつ見えてきました。

療養型病院や中小規模施設でも、現場だからこそ見える課題やデータがあります。まずは小さく整理しながら、研究メモを作るところから始めてもよいのかもしれません。

次の一手

研究や論文化を進める前に、まず「記録」「監査」「実務整理」を整えておくと、後からデータを見返しやすくなります。

研究・学びを続けやすい環境を整理したい方へ

教育体制や相談環境によって、研究や論文化の進めやすさは大きく変わることがあります。

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参考文献

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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