下垂足は腓骨神経麻痺?それとも L5?【比較・使い分け】

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下垂足は腓骨神経麻痺?それとも L5?【比較・使い分け】|内反 1 回で迷いを減らす

下垂足の鑑別は「背屈・母趾背屈・外反+第 1 趾間」に、内反(後脛骨筋)を 1 回足すとブレにくいです。 下垂足の鑑別フローを先に確認する

関連:下垂足の装具( AFO )の選び方
続けて読む:腓骨神経麻痺の障害レベル推定

下垂足は見た目が同じでも原因が違い、判断がブレると装具選定や歩行練習の焦点がズレやすくなります。臨床で特に迷いやすいのが腓骨神経麻痺(多くは腓骨頭周囲の圧迫)L5 神経根障害です。

このページは、運動 3 つ(背屈・母趾背屈・外反)+感覚 1 点(第 1 趾間)で “分布” を作り、内反(後脛骨筋)を 1 回追加して 5〜 8 分で整理する型にまとめます。

結論:腓骨神経は「外反」、L5 は「内反」も落ちやすい

下垂足の第一分岐は、足関節内反(後脛骨筋)が保たれるかです。一般に、腓骨神経麻痺では背屈・母趾背屈・外反が落ちやすい一方、内反(後脛骨筋)は保たれやすく “内反は残る” になりやすいです。

一方で L5 神経根障害では、背屈・母趾背屈に加えて、L5 が関与する内反(後脛骨筋)まで落ちることがあり、ここが臨床の迷いどころです。まず「外反+第 1 趾間」で腓骨分布を作り、内反を 1 回足して方向づけします。

下垂足の鑑別:腓骨神経麻痺と L5 神経根障害を内反 1 回で分ける最小セット

比較表:腓骨神経麻痺 vs L5 神経根障害(使い分け早見)

下垂足の鑑別|腓骨神経麻痺(腓骨頭が多い)と L5 神経根障害の比較(成人・臨床)
項目 腓骨神経麻痺(腓骨頭が多い) L5 神経根障害 見分けのコツ 記録ポイント
運動(目立つ) 足背屈↓、母趾背屈↓、外反↓ 足背屈↓、母趾背屈↓ + 内反も↓ になりやすい 内反(後脛骨筋)を追加で 1 回みる 背屈 / 母趾 / 外反 / 内反( 4 つ )
感覚(代表) 下腿外側〜足背(± 第 1 趾間) 下腿外側〜足背+範囲が広めになりやすい まず第 1 趾間(深腓骨)を固定 第 1 趾間= ↓ / =
起点(病歴) 脚組み、腓骨頭の圧、ギプス、長時間の同一肢位 腰部〜殿部痛、体幹肢位で増悪(例:咳で響く) まず “圧迫エピソード” の有無 圧迫あり/なし、腰痛あり/なし
所見の並び 腓骨神経の分布で揃いやすい 分布が揃いにくい/近位筋も混ざりやすい 「揃うか」を最初に作る 運動 3+感覚 1 の一致

5〜 8 分で終わる最小セット:運動 3 筋+感覚 1 点+追加 2 つ

下垂足は、まず腓骨神経の “線(分布)” を作るのが最短です。背屈だけで終わらず、外反(腓骨)内反(後脛骨筋)を 1 回ずつ入れると、腓骨 vs L5 の方向づけが速くなります。

腓骨神経が疑わしい分布(外反↓+第 1 趾間↓)が作れたら、次は「どの枝・どのレベルか」を詰めます。続けて読む:腓骨神経麻痺の障害レベル推定(深腓骨・浅腓骨・総腓骨)

下垂足の最小評価セット(成人・臨床: 5〜 8 分)
順番 みる項目 狙い メモ例
① 病歴 脚組み / 腓骨頭への圧、装具・ギプス、腰部症状 起点を拾う 「脚組み多い」「腰痛あり」
② 運動 3 つ 足背屈( TA )/ 母趾背屈( EHL )/ 外反 腓骨分布で揃うか 「 TA 2 / EHL 2 / 外反 3 」
③ 感覚 1 点 第 1 趾間(深腓骨) 分布の補強 「第 1 趾間 ↓」
④ 追加 1:内反 足関節内反(後脛骨筋) L5 の方向づけ 「内反 5 / 3 / 2 」
⑤ 追加 2:疼痛誘発 SLR などでの疼痛誘発(可能な範囲) 根性の方向づけ 「 SLR :疼痛あり/なし」

ミニ症例 2 つ:分布が「揃う/揃わない」を 1 分で掴む

同じ下垂足でも、所見の並びで方向づけが変わります。ここでは “よくある 2 パターン” を最小セットで当てはめます。

下垂足ミニ症例(成人・臨床):腓骨寄り/L5 寄りの典型
パターン 起点 最小セット(所見) 読み 次の一手
症例 A(腓骨寄り) 脚組み・腓骨頭の圧(長時間) 背屈↓、母趾背屈↓、外反↓、第 1 趾間↓、内反=保たれる、SLR=陰性 分布が揃う(腓骨の線が作れる) 深腓骨/浅腓骨/総腓骨の局在推定
症例 B(L5 寄り) 腰部〜殿部痛、咳で響く 背屈↓、母趾背屈↓、外反↓(または保たれる)、第 1 趾間=不明瞭、内反↓、SLR=陽性 分布が揃いにくい+内反↓で根性を疑う 疼痛誘発・神経根所見を整理して共有

コツは、腓骨が疑わしいときほど内反(後脛骨筋)を “念のため 1 回”入れることです。ここが保たれていれば「腓骨の分布で揃う」方向に寄せやすくなります。

リハの組み立て:①可動域→②装具で歩行成立→③筋再教育→④歩行課題で転移

腓骨神経麻痺でも L5 でも、下垂足は歩行の “つまずき” に直結します。介入は歩行を成立させて練習量を確保する順に並べると回りやすいです。

下垂足リハの型(成人・臨床:原因が腓骨でも L5 でも共通する枠組み)
フェーズ 目的 具体例 再評価
① 可動域 底屈拘縮の予防 足関節背屈の ROM、腓腹・ヒラメ筋の短縮チェック 背屈 ROM、歩行時の初期接地
② 装具 足クリアランス確保 AFO、簡易背屈補助(状況に応じて) つまずき頻度、歩行速度
③ 筋再教育 背屈・趾伸展の再獲得 短時間反復、代償(股関節過屈曲)を抑えた課題 TA / EHL の MMT 推移
④ 歩行課題 生活へ転移 段差・方向転換・屋外、疲労条件での再現 主訴場面での達成度

現場の詰まりどころ:よくある失敗(回避表)

下垂足で起こりやすい失敗と対策(成人・臨床)
失敗 起きること 対策 記録ポイント
背屈だけ見て終わる 腓骨か L5 かが曖昧のまま 外反と内反を 1 回ずつ入れる 外反 / 内反をセットで記録
感覚範囲を広く取りすぎる 判断がブレる 第 1 趾間(深腓骨)を固定してから拡張 代表点の結果
装具導入が遅れる 歩行量が落ちて回復が遅れる 歩行を成立させて練習量を確保する 装具あり/なしの歩行差
腰部症状を拾い損ねる 根性の可能性を見落とす 病歴で腰部〜殿部痛と増悪因子を確認 腰痛、疼痛誘発の有無

相談の目安:進行が速い / 疼痛が強い / 排尿排便の変化などは早めに共有

下垂足は、圧迫性の腓骨神経麻痺から腰椎由来まで幅があります。症状の進行が速い、疼痛が強い、感覚障害が広がる、排尿排便の変化があるなどは、経過を待たずに情報共有します。

共有時は、背屈・母趾背屈・外反+第 1 趾間+内反を揃えると、次の検査( NCS / EMG など)や紹介先の相談が進めやすくなります。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 一番早い見分けは何ですか?

外反(腓骨)に加えて、内反(後脛骨筋)を 1 回みることです。内反まで落ちると、L5 神経根の方向が見えやすくなります。

Q2. 感覚はどこを触ればいいですか?

まず第 1 趾間(深腓骨)を固定します。そのうえで必要なら下腿外側〜足背へ範囲を広げます。最初から広く触りすぎると判断がブレやすいです。

Q3. 腓骨っぽいとき、次に何を足しますか?

分布(外反↓+第 1 趾間↓)が揃ったら、深腓骨・浅腓骨・総腓骨のどこが主か、近位/遠位でレベルを詰めます。局在推定は別ページで手順化しています。

Q4. 装具はいつ入れますか?

歩行でつまずきが出るなら早めに検討します。歩行を成立させて練習量を確保したうえで、筋再教育と歩行課題へつなげると回りやすいです。

次の一手:全体像 → すぐ実装 → 環境の詰まりも点検

運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう

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参考文献

  1. Nori SL, Stretanski MF. Foot Drop. StatPearls. 2024-. NCBI Bookshelf
  2. Lezak B, Massel DH, Varacallo M. Peroneal Nerve Injury. StatPearls. 2024-. NCBI Bookshelf
  3. Marciniak C. Fibular (peroneal) neuropathy: electrodiagnostic features and clinical correlates. PM R. 2013;5(4):e41-e46. doi: 10.1016/j.pmrj.2012.08.016 / PMID: 23177035
  4. Masakado Y. Clinical neurophysiology in the diagnosis of peroneal nerve palsy. Keio J Med. 2008;57(2):84-89. J-STAGE PDF

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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