パーキンソン病の理学療法評価【一覧と使い分け】

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パーキンソン病の理学療法評価【評価項目まとめ】

本ページは「パーキンソン病 理学療法評価/評価項目」を最短導線で把握できるよう、評価項目の一覧と選び方オン/オフ(薬効)別の評価タイミングHoehn & Yahr(HY)病期別の優先順位MDS-UPDRS の位置づけを実務目線で整理しました。まずは下のチェックリストから該当項目を確認してください(外部リンクは新規タブ)。

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評価項目一覧(チェックリストと使い分け)

パーキンソン病 評価項目一覧(チェックリストと使い分け)図解 主訴・HY・オン/オフ・安全性から評価カテゴリを選び、再評価指標を固定する流れと各カテゴリのチェック項目を示す。 PD 評価:チェックリスト&使い分け 主訴・HY・オン/オフ・安全性で絞り込み → カテゴリ選択 → 同条件で再評価を固定 ① 入口の確認 主訴/HY/オン・オフ/安全性 ② カテゴリ選択 歩行・嚥下・非運動・ADL など ③ 再評価を固定 同一条件・同指標で経時比較 チェック項目 測定済み 総合重症度(基軸) HY 病期(共有言語) MDS-UPDRS II/III(オン/オフ併記) 条件固定:内服時刻・体位・補助具 歩行・バランス TUG(代表) FBS / FRT(スクリーニング) Mini-BEST / FSST(精査) 凍結歩行(FOG) 自覚/誘発(狭所・回転・二重課題) FOG-Q / NFOG-Q(名称で記録) 床目印/メトロノーム等の戦略反応 ADL / IADL FIM(している ADL/介護量) Barthel Index(できる ADL) Lawton IADL(服薬・金銭・買い物) 嚥下 EAT-10(スクリーニング) RSST / MWST(ベッドサイド) VE / VF 連携(必要時) 非運動症状 起立性低血圧(段階離床・弾性・腹帯) 睡眠・気分・便秘 嗅覚低下・疼痛 認知 MMSE / HDS-R(スクリーニング) 遂行機能・注意(指示理解・手順保持) 安全・備考(共有) 転倒歴・危険場面(時間帯/環境) 内服時刻・オン/オフ条件を明記 ※ スマホはピンチで拡大できます。必要に応じて施設版チェックシートへ転記してください。

患者の主訴/病期(HY)/オン・オフ状態/安全性でスクリーニングし、必要に応じて精査へ進みます。疑い・変化の“兆し”を拾うことが目的です。

  • 総合重症度:MDS-UPDRS(総合の基軸)/HY(病期の共有言語)
  • 歩行・バランス:TUG/FBS(BBS)/FRT/Mini-BESTest
  • 凍結歩行:FOG-Q/NFOG-Q(名称のみ運用・設問は掲載しない)
  • ADL・IADL:FIM/Barthel Index/Lawton IADL
  • 嚥下:EAT-10/RSST/MWST(必要に応じて VE/VF 連携)
  • 非運動症状:起立性低血圧・睡眠・気分・便秘・嗅覚・疼痛など
  • 認知:MMSE ほか(運動学習・安全配慮に直結)

オン/オフを踏まえた評価タイミング

同一患者でも内服オン/オフで所見は変動します。目的に応じて評価タイミングを固定し、経時比較の再現性を担保します(例:初回はオンとオフを別日に測定)。

評価の目的別:推奨タイミングと注意(成人・外来/入院想定)
目的 推奨タイミング 代表評価 安全・備考
日常機能の代表値 内服オンの至適時間帯 TUG/FBS/FRT/FIM オンのピーク回避(過可動・ジスキネジア)
変動の把握 オフとオンの両条件 MDS-UPDRS Part III/歩行速度 オフ時は転倒・起立性低血圧に注意
転倒・凍結対策 患者の自覚的に悪い時間帯 Mini-BESTest/FOG-Q 監視者追加・環境整備を徹底

※ スマホでは横スクロールできます。

病期別(HY)での優先評価

HY は「病期の共有言語」です。病期 × 目的で指標の優先度を切り替え、フォロー間隔と再評価指標を固定化します。

HY 病期 × 優先評価(例)
HY 歩行・バランス ADL/IADL 嚥下 非運動
I 歩行速度/FRT BI(更衣・移動) スクリーニング(EAT-10) NMS の初期拾い上げ
II TUG/FBS FIM(移乗・トイレ) RSST/MWST 起立性低血圧チェック
III Mini-BESTest/転倒歴 FIM 全体/Lawton VE/VF 連携を検討 睡眠・気分・便秘の介入
IV–V 介助下の座位・立位保持 介護量評価/ポジショニング 嚥下安全性・栄養管理 疼痛・せん妄・自律神経

※ 施設基準・多職種体制に合わせて調整してください。

MDS-UPDRS の使いどころ(権利と運用)

MDS-UPDRS は総合評価の基軸です。スコア表の全文転載は行わず、公式配布ページを参照のうえ、施設内で入手・運用してください。Part I–IV のうち、理学療法では Part II/III を中心に、変動(オン/オフ)や転倒歴と併記して経時追跡すると意思決定に強い軸になります。

非運動症状と起立性低血圧

PD では非運動症状が QOL を規定します。睡眠(RBD 等)・気分・便秘・頻尿・嗅覚低下・疼痛を系統的に聴取し、起立性低血圧は段階離床/弾性ストッキング・腹帯/水分・塩分調整/内服調整の連携まで含めてプロトコル化すると安全です。

凍結歩行(FOG)の評価

すくみ足・突進現象の自覚がある場合は FOG-Q/NFOG-Q(名称で運用)を導入します。歩行課題では狭所・方向転換・二重課題で誘発しやすく、環境調整(床目印・メトロノーム等)と身体戦略(大きい一歩・体幹伸展)の併用を介入へつなげます。

よくある質問(PD 評価編)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

初回は何から測れば良いですか?

安全確保 → HY と MDS-UPDRS(Part II/III)で全体像 → 歩行・バランス(TUG/FBS) → ADL(FIM/BI) → 必要時に嚥下(RSST/MWST)・非運動、の順が実務的です。以降は目的に応じた最小セットを同条件で再評価に固定します。

オン/オフはどちらで評価するべき?

「日常の代表値」はオン、「変動の把握」はオン+オフです。オフ測定時は転倒・低血圧に注意し、介助者・環境を整えます。

病期が進んだら何を優先しますか?

HY III 以降は転倒予防と介護量の把握に軸足を移し、Mini-BESTest/FIM/嚥下安全性の比重を上げます。ポジショニングや栄養・排泄など多職種連携が鍵です。

おわりに

実地では「安全の確保 → オン/オフ確認 → スクリーニング → 目的別の再評価固定」というリズムが肝心です。病期・非運動症状・嚥下を含めて指標を束ねると、介入設計とチーム共有が一段と精密になります。

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参考文献

  1. Goetz CG, et al. Movement Disorder Society-Sponsored Revision of the Unified Parkinson’s Disease Rating Scale (MDS-UPDRS). Mov Disord. 2008;23(15):2129-2170. MDS 公式
  2. MDS-UPDRS 日本語版(最終版 PDF). International Parkinson and Movement Disorder Society. PDF
  3. 中西 亮二ほか. パーキンソン病の障害評価とリハビリテーション. Jpn J Rehabil Med. 2013;50:658-670. 本文
  4. 中馬 孝容. パーキンソン病に対するリハビリテーション. Jpn J Rehabil Med. 2016;53:524-528. 本文

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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