褥瘡ハイリスク加算(様式37の2)の書き方|図解・PDF付

制度・実務
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褥瘡ハイリスク患者ケア加算の様式 37 の 2 は、③を実人数で数える、9 項目は複数回答で持つ、④は本加算を算定した人数として確認するの 3 点を固定すると、月次集計がぶれにくくなります。

この記事は、様式 37 の 2 の ①〜④ と 9 項目の数え方に絞って整理するページです。制度全体の届出や施設基準の総論ではなく、手元の様式をどう埋めるかと、月次集計をどう回すかを決めるための実務ページとして使える形にまとめます。

読むと決まるのは、③をどう数えるか9 項目をどう持つか④までどう月次でつなぐかの 3 点です。施設基準の全体像や別様式の集計は親記事・兄弟記事に分け、このページでは「数字の定義」と「すぐ使える PDF 配布」に集中します。

まず結論|③は実人数、9 項目は複数回答、報告は前月 1 か月

③(褥瘡ハイリスク項目に該当する患者数)は実人数です。同一患者が複数のハイリスク項目に該当していても、③は 1 名として数えます。

一方で、9 項目の各欄は項目別に数えるため、1 名の患者に複数の要因があれば、それぞれに 1 名として計上します。また、①は報告月の前月 1 か月間に入院していた患者の実人数を使うため、月末締め・月初集計で固定すると年次提出も崩れにくくなります。

様式 37 の 2|最短チェック(前月実績で迷わないための 5 点)
チェック 結論 よくあるズレ 直し方(運用ルール)
報告期間 報告月の前月 1 か月 当月実績を入れてしまう 月末締め・月初集計で固定する
① 入院患者数 前月に入院していた患者の実人数 延べ入院日数を数える 病棟台帳から実人数を抽出する
② リスクアセスメント 実施した患者の実人数 複数回実施を延べ計上する 「1 患者=1」で固定する
③ ハイリスク該当 該当患者の実人数 項目別人数の合計をそのまま入れる ③は患者単位、項目別は別管理にする
④ 算定人数 本加算を算定した実人数 ③の対象者数と同じと決め打ちする 抽出→計画→実施→算定で月次点検する
じょくそう患者数の数え方を整理した図版
③は実人数、9 項目は複数回答、④は算定人数として確認する流れを 1 枚で整理した早見図です。

月次集計シート PDF|ダウンロードとプレビュー

様式 37 の 2 を月次で回しやすくするために、A4 1 枚の月次集計シート PDFを用意しました。まずはこのシートで①〜④の数字9 項目の内訳を同じ型で残すと、提出前の手戻りを減らしやすくなります。

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先に確認|この記事は「④ 本加算を算定した人数」の様式を前提に整理します

実務で迷いやすいのは、手元の PDF と見かけた PDF で欄の見え方が違うことです。この記事では、① 入院患者数、② リスクアセスメント実施人数、③ ハイリスク項目に該当する患者数、④ 本加算を算定した人数の並びで読む前提にそろえます。

そのうえで押さえるべき実務ルールは、②と③は実人数9 項目は複数回答④は算定実績の 3 つです。この 3 点が固定できれば、月次集計と年次提出の数字がそろいやすくなります。

A236 の位置づけ|入院中 1 回の加算だからこそ「抽出→計画→実施→算定」で見る

褥瘡ハイリスク患者ケア加算(A236)は、重点的な褥瘡ケアが必要な患者に対して、予防治療計画に基づく対策を継続した場合に、入院中 1 回算定する加算です。実務では「ハイリスクに当たった」で止まると、算定や記録が後からつながりません。

様式 37 の 2 は、抽出したかだけでなく、実際に加算算定まで運べたかを見るための運用管理表として使うと整理しやすくなります。③で対象を拾い、④で算定実績まで確認する流れにすると、数字合わせだけで終わりません。

様式 37 の 2|①〜④は「実人数」と「算定実績」で読む

①〜③は、原則として患者単位の実人数でそろえます。②は複数回アセスメントしても 1 患者=1、③は複数のハイリスク項目を有していても 1 患者=1 です。

④は③とは別で、本加算を算定した人数を記録します。つまり、③は「該当者の把握」、④は「算定実績の確認」と役割を分けて読むと、月次の点検ポイントが明確になります。

様式 37 の 2|①〜④の意味(前月 1 か月実績)
項目 何の人数? カウントのコツ よくある NG
① 入院患者数 前月に入院していた患者の実人数 病棟台帳から実人数を抽出する 延べ入院日数を入れる
② リスクアセスメント実施 ①のうち実施した患者の実人数 複数回でも 1 患者=1 定期評価を延べ計上する
③ ハイリスク該当 ②のうち 9 項目いずれか該当の実人数 複数項目でも患者数は 1 項目別人数の合計を③にする
④ 算定人数 本加算を算定した実人数 対象抽出から算定までを 1 本で残す ③の人数と自動的に一致すると考える

数え方の実務|③(患者単位)と 9 項目(項目単位)を分けて持つ

集計が崩れる最大の原因は、③の患者数9 項目の内訳を混ぜることです。③は患者単位、9 項目は項目単位と割り切るだけで、人数のズレがかなり減ります。

おすすめは、月次で(A)③の実人数と、(B)9 項目の内訳を同時に残すことです。すると「対象者数は同じだが、今月は手術関連が多い」「今月は医療関連機器と既存褥瘡が多い」といった改善の視点に変わります。

③と 9 項目の整理|運用で迷わない OK / NG
論点 OK NG なぜダメ?
③の数え方 該当患者の実人数(1 人=1) 項目別人数を合計して③にする 複数項目該当で人数が膨らむ
項目別人数 複数項目に該当したら、それぞれに 1 ずつ計上する 患者が複数項目でも 1 項目にしか入れない どの要因が多いか見えなくなる
④の見方 算定した実人数として別で確認する ③と常に同数だと決めつける 算定漏れや記録漏れを見逃す

ハイリスク 9 項目|「どの記録で拾うか」を院内で固定する

9 項目は、定義だけ覚えるよりも、院内で「どの記録を見れば拾えるか」を固定する方が実務で強いです。担当者が変わっても同じ数字になりやすく、月次会議でも説明しやすくなります。

特に、8 の医療関連機器9 の既に褥瘡を有するものは拾い元がぶれやすいため、機器管理・処置指示・褥瘡評価のどこで確認するかを最初に決めておくと手戻りが減ります。

褥瘡ハイリスク 9 項目|拾う場所(例)
項目 何で拾う?(例) 誰が最終確認? メモ(運用で決める)
1 ショック状態 急変記録/循環作動薬開始 看護師・医師 定義を院内で 1 行に固定する
2 重度の末梢循環不全 診療録/検査所見/治療内容 医師 対象病棟で拾う記録を統一する
3 麻薬等の鎮痛・鎮静剤の持続的な使用 持続投与オーダー/注射指示 薬剤・看護 「持続」の判断をルール化する
4 6 時間以上の全身麻酔下による手術 麻酔記録(時間) 手術室・医師 麻酔時間で統一する
5 特殊体位による手術 手術記録(体位) 手術室 腹臥位・砕石位などを一覧化する
6 強度の下痢が続く状態 看護記録(排便) 看護師 「強度」「続く」の線引きを固定する
7 極度の皮膚の脆弱 診療録/小児・血液領域の記録 医師 対象診療科で拾い方を統一する
8 医療関連機器の長期かつ持続的な使用 機器管理/処置内容/固定具の記録 看護師 対象機器リストを院内で固定する
9 褥瘡に関する危険因子があって既に褥瘡を有するもの 褥瘡評価/褥瘡ケア計画 褥瘡対策チーム 「既に褥瘡あり」の拾い元を統一する

月次運用の 5 分フロー|集計→確認→修正→年次提出に流す

この様式は年 1 回の提出物として見がちですが、実務では月次で回しておく方が圧倒的にラクです。月次で数字の整合が取れていれば、提出前に患者一覧へ戻る回数が減ります。

ポイントは、①〜④の下書きと、9 項目の内訳と、④の算定漏れ確認を同じ流れに入れておくことです。月次で「拾う→残す→点検する」を固定すると、年次提出がイベント仕事になりません。

様式 37 の 2|月次で回す最小フロー(例)
タイミング やること 成果物 担当(例)
月初(1〜5日) 前月の①〜④を下書きする 集計表(下書き) 病棟担当+事務
同週 ③の対象を抽出し、9 項目の内訳を付ける ③(実人数)+ 9 項目内訳 看護師・褥瘡管理者
カンファ前 ④の候補者を確認し、算定漏れの有無を点検する ④の確認メモ 病棟+管理者
カンファ 計画・ケア・評価・記録の整合を確認する 修正点の共有 褥瘡対策チーム
年次 月次データを提出用に整形する 提出用 様式 37 の 2 施設基準担当

現場の詰まりどころ|まずは「失敗パターン」と「回避の手順」を固定する

止まりやすいのは、③の水増し8 の拾い漏れ④の算定漏れの 3 つです。ここを先に潰すだけでも、数字の整合が取りやすくなります。

よくある失敗|③の水増し・8 の拾い漏れ・④の算定漏れ

ミスの多くは、患者単位の人数項目別の内訳が混ざることから始まります。③と 9 項目を分けて持つだけでも、数字がかなり安定します。

また、④は「対象者がいた人数」ではなく「算定した人数」なので、抽出後の記録や確認が抜けると漏れやすくなります。

様式 37 の 2|失敗パターン OK / NG
失敗 NG 例 OK(直し方) 固定するルール(1 行)
③が合わない 項目別人数の合計を③にする ③は該当患者の実人数にする ③は「1 人=1」で数える
8 の拾い漏れ 記録ごとに拾い方が違う 機器管理か処置指示など参照元を固定する 8 は「見る記録」を 1 つに統一する
④の漏れ ③の対象=④と考えて放置する 抽出→計画→実施→算定で月次確認する ④は「算定実績」として別で点検する

回避の手順/チェック|「拾う → 残す → 点検する」を最小セット化する

回避のコツは、拾う場所残し方点検のタイミングを固定することです。月次会議の前に下の表を 1 回確認するだけでも、提出前の手戻りが減ります。

特に、③の根拠と④の算定確認を同じ月次フローに乗せると、数字と実務がつながりやすくなります。

月次チェック|様式 37 の 2 を迷わず確定するための最小セット
チェック 見る場所(固定) 合否 メモ(残す一言)
① 実人数が取れている 病棟台帳 抽出条件を固定したか
② は 1 患者=1 リスクアセスメント実施一覧 複数回評価を重複計上していないか
③ は患者単位 ハイリスク該当者リスト 複数項目でも 1 名で数えたか
9 項目の参照元が統一 麻酔記録/機器管理/看護記録など 拾い元を院内で固定したか
④ の算定漏れを点検 算定リスト/請求確認 未算定の理由を残したか

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. ③は、9 項目の人数を合計して作っていいですか?

いいえ。③は「9 項目に該当する患者の実人数」です。同一患者が複数項目に該当しても、③は 1 名として数えます。項目別人数の合計をそのまま③にすると、水増しになります。

Q2. 同一患者が 3 と 4 に該当した場合、どう数えますか?

③は 1 名です。一方で、9 項目の内訳は「3 に 1 名」「4 に 1 名」として、それぞれに計上します。患者単位と項目単位を分けて持つのがポイントです。

Q3. ④は、③の人数と必ず同じになりますか?

必ず同じにはなりません。④は「本加算を算定した人数」です。③で対象を拾えていても、計画・記録・算定確認までつながっていないと、④は一致しないことがあります。

Q4. 手元の PDF と見かけた PDF で欄の見え方が違う時はどう考えますか?

まず、④の表記を確認してください。この記事は、④が「本加算を算定した人数」となっている様式を前提に整理しています。数え方を迷った時は、①〜④の欄名を先にそろえると読みやすくなります。

Q5. 8(医療関連機器の長期かつ持続的な使用)は何を対象にしますか?

院内で対象機器リストと参照元の記録を固定するのが安全です。機器管理、処置指示、固定具の運用など、どこを見るかを 1 つに決めておくと担当者差が減ります。

Q6. どの期間の実績を書きますか?

①は報告月の前月 1 か月間に入院していた患者の実人数を記入します。月末締め・月初集計の型にしておくと、年次提出までつながりやすくなります。

次の一手|全体設計をそろえる → 記録と集計の型をそろえる


参考文献

  • 関東信越厚生局:褥瘡ハイリスク患者ケア加算に係る報告書(様式 37 の 2). PDF
  • 厚生労働省:診療報酬点数表(A236 褥瘡ハイリスク患者ケア加算). PDF
  • 近畿厚生局:褥瘡ハイリスク患者ケア加算の施設基準に係る届出書添付書類(様式 37). PDF

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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