褥瘡対策加算1・2は「過去3か月の実績点」と「今日の点数」を分けて判定します
療養病棟の褥瘡対策加算で迷いやすいのは、「今日は加算1か2か」「実績点はどの点を使うか」「2月連続とは何を比べるのか」という判定部分です。結論として、ADL区分3を確認し、別紙様式46で毎日評価したうえで、3月前・2月前・前月の実績点が2回連続で上昇しているかを確認します。その条件を満たし、さらに今日のDESIGN-R2020合計点が前月実績点を上回った日が褥瘡対策加算2です。
この記事では、褥瘡対策加算1・2の判定を、具体例と記録シート付きで整理します。施設基準全体については、褥瘡対策の基準と院内フローで確認できます。
まず結論|褥瘡対策加算1・2を判定する5ステップ
加算判定では、「過去の実績点」と「今日の点数」を混ぜないことが重要です。次の順番に固定すると、担当者が変わっても判断しやすくなります。
| 順番 | 確認すること | 判定ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 対象患者を確認 | ADL区分3の患者かを確認する |
| 2 | 様式46で毎日評価 | DESIGN-R2020で評価し、深さの点数は合計に加えない |
| 3 | 暦月3月を確認 | 入院後または新たに評価を開始して暦月で3月を超えない間は加算1 |
| 4 | 過去3か月の実績点を確認 | 3月前 → 2月前 → 前月と、2回連続で実績点が上昇しているかを見る |
| 5 | 今日の点数を確認 | 条件4を満たし、今日の合計点が前月実績点を上回れば加算2。その他の日は加算1 |

判定で最も間違えやすいポイント
「直近2月の実績点が2月連続して前月を上回る」を確認するには、3月前・2月前・前月の3つの実績点を並べます。当月の実績点は月が終わるまで確定しないため、当日の加算2判定には「当月実績点」ではなく「今日のDESIGN-R2020合計点」を使います。
具体例|8点 → 11点 → 14点なら今日の点数で加算1・2が分かれる
たとえば、3月前の実績点が8点、2月前が11点、前月が14点だったとします。
3月前:8点 → 2月前:11点 → 前月:14点
8点 < 11点 < 14点なので、実績点は2回連続で上昇しています。
今日16点 → 前月実績点14点を上回る → 褥瘡対策加算2
今日13点 → 前月実績点14点を上回らない → 褥瘡対策加算1
一方、3月前8点 → 2月前11点 → 前月10点であれば、実績点が2回連続して上昇していません。そのため、加算2の前提を満たさず、当日は加算1として判定します。
褥瘡対策加算の判定記録シート|Excel・PDF
判定手順を院内で統一しやすいように、褥瘡対策加算 判定記録シート v2を用意しました。公式の別紙様式46を置き換えるものではなく、3月前・2月前・前月の実績点と、本日のDESIGN-R2020合計点を分けて確認するための補助シートです。
Excel版は黄色の入力セルへ必要項目を入力すると、対象外・褥瘡対策加算1・褥瘡対策加算2の判定を確認できます。PDF版はA4縦1ページで、印刷して手書きでも使用できます。
褥瘡対策加算 判定記録シート v2
※本シートは院内確認用の補助資料です。診療報酬の算定時は、最新の厚生労働省通知、別紙様式46、疑義解釈、院内運用と照合してください。
褥瘡対策加算とは|ADL区分3の患者を毎日評価して算定します
褥瘡対策加算1・2は、療養病棟入院基本料を算定する病棟で、所定の状態にある患者へ必要な褥瘡対策を行った場合に、患者の褥瘡の状態に応じて算定する加算です。
対象となるのはADL区分3の状態の患者です。別紙様式46「褥瘡対策に関する評価」を用いて褥瘡の状態を確認し、治療・ケアの内容を踏まえて毎日評価します。
なお、特別入院基本料を算定する場合は、褥瘡対策加算1・2を算定できません。
褥瘡対策加算1は15点、加算2は5点|違いは算定する日です
褥瘡対策加算は、加算1が1日15点、加算2が1日5点です。数字だけを見ると加算2の方が上位に見えますが、点数は加算1の方が高いため、名称だけで覚えない方が安全です。
| 区分 | 点数 | 算定する日 | 実務で見るもの |
|---|---|---|---|
| 褥瘡対策加算1 | 15点/日 | 入院後または新たに評価を開始して暦月で3月を超えない間、または加算2を算定する日以外 | 評価開始時期/当日が加算2の条件を満たすか |
| 褥瘡対策加算2 | 5点/日 | 直近2月の実績点が2月連続して前月実績点を上回り、かつ当日のDESIGN-R2020合計点が前月実績点を上回る日 | 3月前・2月前・前月の実績点/本日の合計点 |
加算2は「一度条件を満たしたら、その月はすべて加算2」ではありません。前月実績点を上回った日ごとに判定する点が重要です。
DESIGN-R2020と実績点|深さは合計せず、暦月内の最小点を使います
加算判定では、DESIGN-R2020の評価結果をそのまま月末点や平均点として使うわけではありません。まず、「DESIGN-R2020の合計点」と「実績点」を分けて理解します。
| 用語 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| DESIGN-R2020合計点 | 当日の褥瘡評価で算出する合計点 | 深さの点数は加えない |
| 実績点 | 暦月内でDESIGN-R2020合計点が最も低かった日の点数 | 平均点・月末点ではない |
| 複数部位がある場合 | 部位によって合計点が異なる場合は最も低い合計点を記載する | 様式46では部位ごとに状態を記載する |
つまり、当月の「実績点」は、その月が終わるまで確定しません。一方、加算2の今日の判定では、確定済みの前月実績点と、今日のDESIGN-R2020合計点を比較します。
月次運用|毎日・月末・翌月の判定を分けると混線しません
現場では「今日の評価」「その月の実績点」「翌月以降の加算判定」が同じ表の中で扱われるため、時間軸が混ざりやすくなります。役割を分けておくと整理しやすくなります。
| タイミング | 行うこと | 確認する記録 | 間違えやすい点 |
|---|---|---|---|
| 毎日 | 別紙様式46を用いて、治療・ケア内容を踏まえて褥瘡を評価する | 様式46/所定の評価票 | 週1回の創評価だけで済ませない |
| 当日の加算判定 | 過去3か月の実績点と、本日のDESIGN-R2020合計点を確認する | 様式46/判定記録シート | 当月実績点と本日の点数を混同しない |
| 月内 | 毎日のDESIGN-R2020合計点を追う | 様式46 | 途中時点の最低点はまだ確定した実績点ではない |
| 月終了後 | その暦月で最も低かった合計点を実績点として確定する | 様式46/月次記録 | 平均点・月末点に置き換えない |
| 状態変化・計画見直し時 | 患者状態を評価し、治療・看護の計画を見直す | 診療録等 | 見直した内容を記録に残す |
記録シートv2の使い方|3つの実績点と今日の点数を順番に入力します
今回のv2では、旧版で混ざりやすかった「当月実績点」を当日判定から切り離しました。判定するときは、次の順番で確認します。
- 患者ID・判定日を確認する
- ADL区分3かを確認する
- 入院後または新たな評価開始から暦月3月を超えているかを確認する
- 3月前・2月前・前月の実績点を入力する
- 過去3か月で2回連続して実績点が上昇しているかを見る
- 本日のDESIGN-R2020合計点を入力する
- 本日の点数が前月実績点を上回っているか確認する
- 加算1・加算2の判定結果と根拠を確認する
Excelの自動判定は、入力漏れや比較順序の確認を補助する目的です。Excelの表示だけで請求を確定せず、様式46や診療録、最新の通知と照合してください。
よくある間違い|加算2の判定がずれる4パターン
褥瘡対策加算では、評価そのものよりも「どの点を・どの月と比較するか」で間違いが起こりやすくなります。特に次の4つを先に確認してください。
| 間違い | なぜずれるか | 修正方法 |
|---|---|---|
| 前月・前々月だけを見る | 「2月連続で前月を上回る」を2回確認できない | 3月前・2月前・前月の3点を並べる |
| 当月実績点で今日を判定する | 当月実績点は暦月終了まで確定しない | 今日の合計点と前月実績点を比較する |
| 実績点を月末点にする | 実績点の定義と異なる | 暦月内の最小点を拾う |
| 深さを合計する | 褥瘡対策加算で用いる合計点と一致しない | 深さを除いた合計点で統一する |
運用が分からなくなったときの戻し方
判定経過が分からなくなった場合は、後ろから推測せず、次の順番で確認し直します。
- 対象:ADL区分3か
- 毎日の評価:様式46による評価があるか
- 実績点:3月前・2月前・前月の暦月内最小点を確認できるか
- 2回連続上昇:3つの実績点が順番に上昇しているか
- 今日の点:前月実績点を上回ったか
- 記録:必要な評価結果と計画見直し内容が所定の場所に残っているか
よくある質問
褥瘡対策加算1・2の判定で特に迷いやすい質問をまとめます。
Q1. 褥瘡対策加算2を判定するには、何か月分の実績点が必要ですか?
判定時には、3月前・2月前・前月の3つの実績点を確認します。2月前が3月前を上回り、さらに前月が2月前を上回っていれば、「直近2月の実績点が2月連続して前月を上回る」という条件を確認できます。
Q2. 褥瘡対策加算2は、その月の全日で算定しますか?
いいえ。過去の実績点が加算2の前提を満たしていても、当日のDESIGN-R2020合計点が前月実績点を上回った日に加算2を算定します。それ以外の日は加算1の判定です。
Q3. 当月の実績点は、今日の加算判定に使いますか?
今日の判定に確定した「当月実績点」を使うわけではありません。実績点は暦月内の最小点なので、当月分は月が終わるまで確定しません。今日の判定では、前月実績点と今日のDESIGN-R2020合計点を比較します。
Q4. DESIGN-R2020の深さは合計点に加えますか?
加えません。別紙様式46でも、合計点を算出するときは深さの点数を加えないことが示されています。
Q5. 実績点は平均点や月末点でもよいですか?
いいえ。実績点は、暦月内におけるDESIGN-R2020合計点の最小値です。平均点や月末日の点数とは区別してください。
次の一手|計画書と報告までつなげる
このページでは、褥瘡対策加算1・2の患者単位・当日単位の判定に絞りました。実際の院内運用では、診療計画と報告側まで役割を分けて確認すると整理しやすくなります。
褥瘡診療計画を整える
報告書側を確認する
参考文献
- 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について.令和8年3月5日.公式資料
- 厚生労働省.基本診療料等に係る別紙様式.別紙様式46「褥瘡対策に関する評価」.令和8年度.公式資料
- 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その1).令和8年3月23日.公式資料
- 日本褥瘡学会.褥瘡評価ツール 改定DESIGN-R®2020.日本褥瘡学会
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

