介護の給料は2026年6月から上がった?結論を先に整理
2026年6月から、令和8年度介護報酬改定による介護職員等処遇改善加算の拡充が施行されました。介護分野の職員の処遇改善分として+1.95%が盛り込まれ、介護職員だけでなく介護従事者を幅広く対象とした賃上げ措置が実施されています。
ただし、介護分野で働く全員の給料が2026年6月から一律で月1万円上がる制度ではありません。自分の給料にいくら反映されるかは、勤務しているサービス、事業所の加算算定状況、職種間の配分、支給方法によって変わります。
厚生労働省の資料では、介護従事者に幅広く月1.0万円相当の賃上げを実現する措置に加え、生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員に月0.7万円相当を上乗せする措置が示されています。介護職員については、定期昇給0.2万円を含め最大月1.9万円相当という整理です。
| 確認項目 | 2026年6月からの内容 | 個人が注意する点 |
|---|---|---|
| 処遇改善分 | 介護報酬改定で+1.95% | +1.95%が個人の給料にそのまま加算されるわけではない |
| 月1.0万円相当 | 介護従事者を対象に幅広く賃上げする措置 | 全員に一律1万円を支給する意味ではない |
| 月0.7万円相当 | 生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員への上乗せ措置 | 政策上の対象と事業所内の実際の配分は分けて考える |
| 最大月1.9万円相当 | 介護職員について定期昇給0.2万円を含めた水準 | 介護職員全員への一律支給額ではない |
2026年6月の介護報酬改定で何が変わった?
令和8年度介護報酬改定では、介護分野の人材確保や賃上げへの対応として、令和9年度の通常改定を待たずに2026年6月から期中改定が実施されました。改定率は全体で+2.03%で、このうち介護分野の職員の処遇改善分が+1.95%です。
処遇改善では、主に対象職種の拡大、上乗せ区分の新設、対象サービスの拡大が行われました。
- 処遇改善加算の対象を、介護職員のみから介護従事者へ広げる
- 生産性向上や協働化に取り組む事業者を評価する上乗せ区分を設ける
- 従来は処遇改善加算の対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等にも加算を新設する
つまり、2026年6月改定は「介護職員だけの処遇改善」という従来の枠から、介護サービスを支える幅広い職種へ対象を広げたことが大きな特徴です。
月1万円・0.7万円・最大1.9万円は何が違う?
ニュースや制度説明で見かける「月1万円」「月0.7万円上乗せ」「最大月1.9万円」は、すべて同じ意味ではありません。誰を対象とした政策上の水準なのかを分けて読む必要があります。
| 金額 | 制度上の位置づけ | 主な対象 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 月1.0万円相当 | 幅広い賃上げを実現するための措置 | 介護従事者 | 個人全員に一律1万円を支給する制度ではない |
| 月0.7万円相当 | 生産性向上や協働化への取組を評価する上乗せ措置 | 該当事業者の介護職員 | 政策上の対象と事業所内の実際の配分を分けて考える |
| 定期昇給0.2万円相当 | 最大月1.9万円相当の計算に含まれる定期昇給分 | 介護職員 | 今回の加算から一律に0.2万円支給される意味ではない |
| 最大月1.9万円相当 | 月1.0万円、月0.7万円、定期昇給分を含めた制度上の水準 | 介護職員 | 全員が1.9万円上がることを保証する数字ではない |
特に注意したいのが、月0.7万円相当の上乗せ措置です。厚生労働省は、生産性向上や協働化に取り組む事業者の「介護職員」を対象とする措置として整理しています。
一方で、介護職員等処遇改善加算は、介護職員の処遇改善が重要であることに留意しながら、事業所内で柔軟に配分することが認められています。そのため、「月0.7万円相当という政策上の上乗せ措置の対象」と「実際に事業所が誰へ賃金改善を配分するか」は区別して考える必要があります。
PT・OT・ST、看護師、ケアマネも配分対象になり得る
2026年6月からは、介護職員以外の介護従事者も処遇改善の対象として位置づけられています。事業所内の賃金改善では、介護職員以外の職種も配分対象になり得ます。
介護事業所では、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)などについても、勤務先の配分方針によって給与へ反映される可能性があります。
| 職種 | 考え方 | 個人が確認すること |
|---|---|---|
| 介護職員 | 処遇改善の中心となる職種 | 加算区分、配分額、支給方法 |
| PT・OT・ST | 介護従事者として賃金改善の配分対象になり得る | 自部署・自職種を配分対象としているか |
| 看護師 | 介護従事者として配分対象になり得る | 介護サービス側の勤務が配分対象になっているか |
| 介護支援専門員 | 介護従事者として配分対象になり得る | 居宅介護支援等の算定状況と事業所の配分方針 |
| その他の職種 | 勤務実態や事業所の配分方針により対象になり得る | 自職種・雇用形態・部署が配分対象か |
したがって、「PTだから対象外」「看護師だから対象外」と職種名だけで判断することはできません。反対に、制度上配分可能な職種だからといって、自分にも必ず一定額が支給されるわけではありません。
PT・OT・STに絞って、訪問リハや介護施設で何を確認すればよいかは、2026年介護報酬改定でリハ職の給料はどう変わる?で詳しく整理しています。
訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援等にも加算が新設
2026年6月改定では、従来は介護職員等処遇改善加算の対象外だったサービスにも対象が広がりました。
新たに対象となった主なサービスには、訪問看護、介護予防訪問看護、訪問リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援があります。
| サービス | 2026年6月からのポイント | 職員が確認すること |
|---|---|---|
| 訪問看護 | 処遇改善加算が新設 | 事業所が実際に加算を算定しているか |
| 訪問リハビリテーション | 処遇改善加算が新設 | PT・OT・STをどのように配分対象としているか |
| 居宅介護支援 | 処遇改善加算が新設 | 介護支援専門員等への配分方針 |
| 介護予防支援 | 処遇改善加算の対象に追加 | 算定状況と勤務先の配分方針 |
ここでも重要なのは、「勤務サービスが制度上の対象になった」ことと「自分の給料が自動的に増える」ことは同じではないという点です。勤務先が実際に加算を算定しているか、その原資をどの職種へどのように配分しているかまで確認する必要があります。
自分の給料に反映されたかは4ステップで確認する
自分が2026年6月の処遇改善の対象なのか迷ったときは、「月1万円もらえますか?」とだけ聞くよりも、対象サービス → 算定 → 配分 → 給与への反映の順で確認すると整理しやすくなります。

| ステップ | 確認すること | 職場への聞き方 |
|---|---|---|
| 1.対象サービス | 勤務している介護サービスが処遇改善加算の対象か | この部署・サービスは処遇改善加算の対象ですか? |
| 2.算定 | 勤務先が実際に処遇改善加算を算定しているか | 2026年6月以降、処遇改善加算を算定していますか? |
| 3.配分 | 自分の職種・雇用形態・部署が賃金改善の配分対象か | 私の職種は今回の賃金改善の配分対象ですか? |
| 4.給与への反映 | 基本給、手当、賞与等のどこに、何月から反映されるか | 何という名目で、何月の給与から反映されていますか? |
この順序で確認すると、「制度上は対象なのに勤務先が算定していない」「加算は算定しているが自職種への配分方法が分からない」「賃金改善済みだが給与明細のどこに反映されたか分からない」といった状況を切り分けやすくなります。
また、職場へ確認するときは、賃上げ額だけでなく対象職種、支給方法、反映時期までセットで確認しておくと、給与明細との照合がしやすくなります。
6月の給与が増えていなくても対象外とは限らない
「2026年6月から賃上げと聞いたのに、6月の給与明細が変わっていない」という場合でも、すぐに対象外と判断することはできません。
介護職員等処遇改善加算では、加算の算定対象月と実際に賃金改善を行う支給月が必ずしも同じになるとは限りません。給与計算や介護報酬の入金時期など、事業所の運用によって反映時期に差が生じることがあります。
| 確認点 | 見る内容 | 確認例 |
|---|---|---|
| 算定開始月 | 何月サービス提供分から加算を算定しているか | 2026年6月分から算定しているか |
| 賃金改善の時期 | 算定分を何月の給与へ反映するか | 6月、7月、8月など、勤務先の運用を確認する |
| 支給方法 | 基本給、手当、賞与等のどこへ反映するか | 処遇改善手当だけでなく基本給等も確認する |
そのため、「6月給与で増えましたか?」だけではなく、「2026年6月算定分の賃金改善を、何月の給与へどのように反映する運用ですか?」と確認すると、状況を把握しやすくなります。
病院勤務の賃上げとは仕組みが違う
2026年度は医療分野でも賃上げ対応が行われていますが、病院などの医療機関と介護事業所では、給与へ届くまでの報酬制度が異なります。
介護分野では、介護職員等処遇改善加算を中心に確認します。一方、医療機関では診療報酬上の賃上げ対応を確認するため、介護分野の「月1万円」という数字を、そのまま病院勤務者へ当てはめることはできません。
医療保険と介護保険で給与への反映ルートを比較したい場合は、2026年の医療と介護の給与改定の違いも参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
Q1.介護職は2026年6月から全員月1万円上がったのですか?
いいえ。月1.0万円相当は、介護従事者を対象に幅広く賃上げを実現するための制度上の水準です。個人全員の基本給や手当が一律で1万円増えることを意味するものではありません。実際の反映額は、勤務先の加算算定状況や配分方法によって異なります。
Q2.PT・OT・STや看護師も対象ですか?
賃金改善の配分対象になり得ます。2026年6月からは介護職員以外の介護従事者へ対象が広がっています。ただし、実際に自分へ配分されるか、いくら反映されるかは勤務先の配分方針を確認する必要があります。
Q3.月0.7万円の上乗せもリハ職や看護師に一律で付きますか?
一律ではありません。月0.7万円相当の上乗せ措置は、政策上は生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員を対象としています。一方、処遇改善加算は事業所内で柔軟に配分できるため、政策上の上乗せ措置の対象と、実際の職種間配分は分けて考える必要があります。
Q4.最大月1.9万円は介護職員なら誰でももらえますか?
いいえ。最大月1.9万円相当は、介護職員について月1.0万円相当の措置、月0.7万円相当の上乗せ措置、定期昇給0.2万円相当を含めて示された制度上の水準です。介護職員全員に同じ金額が一律に支給されることを保証する数字ではありません。
Q5.訪問リハや訪問看護も2026年6月から対象ですか?
はい。2026年6月改定では、従来は処遇改善加算の対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等にも処遇改善加算が新設されました。ただし、実際の給与反映には、勤務先が加算を算定し、賃金改善を実施しているかを確認する必要があります。
Q6.6月の給与が増えていなければ対象外ですか?
必ずしも対象外ではありません。加算の算定月と実際の賃金改善の支給月がずれることがあります。勤務先に「2026年6月算定分を何月の給与へ反映する運用か」を確認してください。
Q7.給与明細のどこを見ればよいですか?
「処遇改善手当」という名称だけを探すのではなく、基本給、毎月支払われる手当、賞与等を含めて確認します。総務や管理者には、賃金改善の対象、支給方法、反映月をセットで確認すると分かりやすくなります。
まとめ|「月1万円」より自分への反映経路を確認する
2026年6月から介護職員等処遇改善加算は拡充され、介護職員だけでなく介護従事者へ幅広く処遇改善の対象が広がりました。訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等にも加算が新設されています。
ただし、月1万円、月0.7万円、最大月1.9万円はいずれも個人へ一律支給される金額ではありません。特に月0.7万円相当の上乗せと最大月1.9万円相当は、政策上は介護職員を対象として示された水準である点に注意が必要です。
自分の給与への反映を確認するときは、①勤務サービスが対象か → ②事業所が加算を算定しているか → ③自分が配分対象か → ④何月・どの賃金項目に反映されるかの順に確認してください。
参考文献
- 厚生労働省.令和8年度介護報酬改定について.2026.Web(2026年9月10日閲覧)
- 厚生労働省.令和8年度介護報酬改定の概要.2026.PDF(2026年9月10日閲覧)
- 厚生労働省.介護職員等処遇改善加算の拡充①.2026.PDF(2026年9月10日閲覧)
- 厚生労働省老健局.介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分).2026年3月13日.PDF(2026年9月10日閲覧)
- 厚生労働省.令和8年度介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版).2026年3月13日.PDF(2026年9月10日閲覧)
- 厚生労働省.介護職員の処遇改善:制度概要.2026.Web(2026年9月10日閲覧)
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

