医療 DX でリハ記録・連携はどう変わる?2026 年改定に向けた現場の準備チェック

制度・実務
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2026 年は「医療 DX」でリハビリの書類・連携が変わる|現場が先に整えるチェックリスト

まずは転職前提じゃなくても OK|「職場の仕組み」を整える 5 分チェックを見る

2026 年(令和 8 年)に向けて、診療報酬の議論では「医療 DX/ ICT 連携を活用する体制の評価」や「データ活用」を強める方向が示されています。リハビリ部門にとっての本質は、書類が増えるというより、情報の入口(取得)と出口(共有)が標準化され、連携の質が問われやすくなることです。

本記事では、急性期〜回復期〜在宅へつなぐリハビリの視点で、2026 年に向けて「今から現場で整えておくと強い」準備を、チェックリストと OK/ NG で整理します。

2026 年に向けて何が変わる?リハビリが影響を受ける 3 つ

結論から言うと、リハビリが影響を受けるのは「情報の取り方」「共有のされ方」「記録の粒度」です。制度は点数の形で出ますが、現場では連携に必要な情報が “早く・揃って・再利用できる” 状態が求められます。

ここでは、リハビリ現場が具体的に困りやすい観点に絞って 3 つに分けます(制度の全体像は、親記事で整理しています)。

関連:2026 年 診療報酬改定の全体像( PT 向け )

1 )患者情報の「取得」と「活用」が前提になる

オンライン資格確認などを起点に、診療情報・薬剤情報等を「取得できる体制」「活用していること」が評価の中心になりやすい流れです。リハビリでは、初回評価や退院前評価の時点で、併存疾患・処方・アレルギー・感染症などを早く把握できるかが、安全管理と効率に直結します。

2 )退院時サマリー等の “共有される情報” が増える

「退院時サマリー」「診療情報提供書」等の共有の仕組みが進むと、リハビリは退院後に読まれる情報(出口)を意識した書き方が重要になります。たとえば、歩行・移乗・セルフケアの「できる/できない」だけでなく、条件(見守り・補装具・環境)禁忌・注意点が伝わっているかが問われます。

3 )記録が “データ” として再利用される前提になる

「アウトカム」「データ活用」の文脈が強いほど、記録は “文章” だけでなく “構造化(項目化)” が求められます。リハビリ記録でも、誰が見ても解釈がブレにくい項目設計(例:介助量、移動手段、装具、屋内外、段差、疲労や呼吸苦の程度など)が整っているほど、チームの意思決定が速くなります。

今のうちに整えるべきこと|リハビリ部門の準備チェックリスト

ここからは、2026 年の “制度の細部” が出る前でも着手できる、再現性の高い準備に落とします。ポイントは「入力を減らす」よりも、連携に必要な情報が勝手に揃う仕組みを作ることです。

2026 年に向けた医療 DX 対応|リハビリ部門の準備チェック(院内で使う用)
領域 チェック項目 できていないと起きること 最小アクション( 1 週間でできる )
情報取得 初回介入前に、併存疾患・薬剤・アレルギー・感染症など “安全管理に必要な項目” を固定で確認できる 禁忌や注意点の見落とし、確認のための往復が増える 「初回チェック」テンプレを 1 枚に統一し、誰でも同じ順で確認できるようにする
記録設計 介助量・移動手段・装具・屋内外・段差・疲労など、連携に必要な要素が “項目” として残る 文章はあるのに、次の担当が判断できない リハ記録の “見出し” を 10 個以内に固定し、自由記載は補足に寄せる
退院支援 退院後に必要な注意点(禁忌・負荷量・転倒リスク・介助のコツ)が “抜けなく” 伝わる 在宅側でリスクが増え、再受診・再入院の要因になる 退院前に “必ず書く 6 点” を決めてチェックボックス化する
多職種連携 看護・ MSW ・訪問リハ等に渡す情報の “粒度” が合っている(細かすぎ/荒すぎを防ぐ) 電話確認が常態化し、業務が増える 「渡す情報の範囲」を 1 ページで合意し、例文を共有する
運用 同意・説明・閲覧のルールが決まっており、現場が迷わない 確認待ちで介入が遅れる、あるいは運用が形骸化する 院内の窓口(担当)と “困ったらここ” を明文化する

現場の詰まりどころ| OK/ NG 早見表(医療 DX 編)

医療 DX は “導入したかどうか” よりも、現場が迷わず回せるかで差が出ます。よくある失敗を OK/ NG で先回りします。

医療 DX 対応で増えがちな “よくある失敗” の OK/ NG(リハビリ部門)
場面 NG(増えやすい失敗) OK(現場が回る形) 理由
初回介入 確認項目が人によって違い、抜けと重複が出る 安全管理の確認を “固定テンプレ” に集約する チェックは “個人の頑張り” だと破綻しやすい
記録 自由記載が長文化し、次の担当が判断できない 判断に必要な項目は “項目化” し、自由記載は補足に寄せる 共有される前提では、構造がない文章は再利用しにくい
退院支援 「できる/できない」だけを書き、条件が伝わらない 装具・環境・見守り条件・禁忌を “抜けなく” 残す 在宅側は “条件” が分からないと再現できない
運用 同意・閲覧のルールが曖昧で、現場が止まる 窓口・手順・例外対応を 1 ページ化する ルールが曖昧だと、結局 “使われない仕組み” になる

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

医療 DX って、結局リハビリの業務は増えますか?

短期的には “整備の負荷” が出やすいです。ただし、狙いは「情報の再入力を減らす」「確認の往復を減らす」ことなので、テンプレや項目設計が決まるほど、長期的には確認作業が減る方向に寄せられます。増えるかどうかは、ツールより運用設計(誰が・いつ・何を)で決まります。

まず最初に着手するなら、どこからが一番効果的ですか?

おすすめは「初回介入の安全管理チェック」と「退院前に必ず残す情報の固定化」です。ここはミスが事故や再入院につながりやすく、かつテンプレ 1 枚で改善できるため、費用対効果が高いです。

リハ記録の “項目化” は、どこまでやれば十分ですか?

まずは “他職種・次の担当が判断できる最小セット” を 10 項目以内で固定するのが現実的です。介助量、移動手段、装具、屋内外、段差、疲労や息切れ、注意点(禁忌)など、連携に直結する要素から始めると、現場の抵抗が少なく進みます。

急性期〜在宅まで、同じ粒度で書くのは難しいです。どう揃えますか?

全員が同じ文章を書く必要はありません。揃えるのは “見出し(項目)” と “最低限の定義” です。見出しが揃えば、読む側は必要な場所をすぐ探せます。書き方の揃え方は、まず「例文 3 つ」を作り、そこから現場で微調整するのが最短です。

一次情報(必ずここは確認)

参考文献

  1. Dobrow MJ, Bytautas JP, Tharmalingam S, Hagens S. Interoperable Electronic Health Records and Health Information Exchanges: Systematic Review. JMIR Med Inform. 2019;7(2):e12607. doi: 10.2196/12607 / PubMed: 31172961
  2. Li E, Clarke J, Ashrafian H, Darzi A, Neves AL. The Impact of Electronic Health Record Interoperability on Safety and Quality of Care in High-Income Countries: Systematic Review. J Med Internet Res. 2022;24(9):e38144. doi: 10.2196/38144 / PubMed: 36107486
  3. Tremoulet PD, Shah PD, Acosta AA, et al. Usability of Electronic Health Record-Generated Discharge Summaries: Heuristic Evaluation. J Med Internet Res. 2021;23(4):e25657. doi: 10.2196/25657 / PubMed: 33856353
  4. Pattar BSB, Ackroyd A, Sevinc E, et al. Electronic Health Record Interventions to Reduce Risk of Hospital Readmissions: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA Netw Open. 2025;8(7):e2521785. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2025.21785 / PubMed: 40674049

おわりに

医療 DX の本番は “システム導入” ではなく、安全の確認→テンプレ入力→連携に必要な情報の共有→再評価が、現場で迷わず回る状態を作ることです。まずは初回チェックと退院前の必須項目を固定し、チームで同じ地図を持つところから始めましょう。

面談前に職場の体制を整理したい方は、面談準備チェック&職場評価シート(無料)も活用してみてください。

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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