医療従事者の賃上げ2026|6月反映と確認項目

制度・実務
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医療従事者の賃上げは 2026 年 6 月に反映される?

結論からいうと、令和 8 年度診療報酬改定では、医療機関等の賃上げを支援する措置が示されています。ただし、国が個人の基本給を一律に同額で引き上げる制度ではありません。自分の給与に反映されるかは、施設がベースアップ評価料等を届け出るか、対象職種に含めるか、基本給・手当のどちらで配分するかで変わります。

この記事では、2026 年 5 月時点で確認できる公式資料をもとに、医療従事者の賃上げで何が変わるか、6 月給与で増えないことがある理由、職場で確認すべき項目を整理します。個人ごとの正確な昇給額や各施設の最終配分率は断定せず、給与明細を見る前に確認したい実務ポイントに絞って解説します。

2026 年 6 月に変わるのは賃上げ原資と届出運用

令和 8 年度診療報酬改定では、診療報酬本体の改定率が 2 年度平均で+ 3.09%、うち賃上げ分が+ 1.70%と整理されています。さらに、令和 8 年度・令和 9 年度それぞれで+ 3.2% 分のベースアップ実現を支援し、看護補助者・事務職員については 5.7%を前提にした措置が示されています。

一方で、これは「医療従事者全員の給与明細が 6 月に同じ率で増える」という意味ではありません。実務上は、ベースアップ評価料等の届出、算定、施設内配分、給与規程・手当設計を通って初めて給与明細に反映されます。

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表 1:令和 8 年度診療報酬改定における賃上げ関連の要点
項目 公式資料で示されている内容 現場での意味 個人が確認すること
施行時期 令和 8 年 6 月施行 制度上の起点は 6 月 何月分を、いつの給与で反映するか
診療報酬本体 2 年度平均で+ 3.09% 医療機関等への報酬全体の見直し 自施設がどの評価を算定するか
賃上げ分 2 年度平均で+ 1.70% 賃上げ原資を確保する考え方 賃金改善の対象に含まれるか
ベースアップ支援 各年度+ 3.2% 分の実現を支援 一律保証ではなく施設内配分で差が出る 基本給か手当か、賞与計算に入るか
重点配分 看護補助者・事務職員は 5.7% 職種によって設計の置き方が異なる 自職種の扱いと説明資料

対象職種は広がるが、個人の反映額は施設で変わる

今回の見直しでは、保険医療機関等に勤務する幅広い職員の人材確保と確実な賃上げが意図されています。リハビリテーションを担う職員、看護職員、病院薬剤師、事務職員など、医療提供体制を支える職種が対象に入りうるため、病院・診療所・訪問看護ステーション等で働く PT / OT / ST も確認しておきたい内容です。

ただし、対象に入りうることと、自分の給与がいつ・いくら・どの名目で上がるかは別です。確認では「自分の職種が対象か」「常勤・非常勤で扱いが違うか」「基本給か手当か」「給与明細にどう表示されるか」を分けると、説明を受けたときの誤解を減らせます。

6 月施行でも 6 月給与で増えないことがある理由

6 月施行と聞くと、6 月の給与明細ですぐ増える印象を持ちやすいですが、実際には施設側の届出・算定・請求・入金・配分決定を経て給与へ反映されます。そのため、制度開始月と給与反映月が一致しないことがあります。

特に 2026 年 4 月更新の厚生労働省特設ページでは、これまで届け出ていた医療機関も含め、全ての医療機関は 5 月中に届出が必要とされています。個人が届出をする話ではありませんが、職場確認では「届出予定」「対象月」「給与反映月」をセットで聞くことが重要です。

6月施行でもすぐ給与が増えない理由を4ステップで示した図版
図:6 月施行でもすぐ給与が増えない理由(届出・対象・配分・明細を順に確認)

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表 2:6 月施行と給与反映がずれる主な理由
分かれ目 起こること 現場での見え方 確認ポイント
届出 施設が必要な届出を行う必要がある 制度は始まったが給与説明がまだない 5 月中の届出予定・届出状況
算定・請求 評価料を算定して収入に反映するまで時間差がある 6 月分がすぐ 6 月給与に出ない 何月分から対象になるか
配分方法 基本給、手当、一時金などの設計で差が出る 同じ職場でも体感差がある 基本給か手当か、賞与計算に入るか
対象範囲 職種・雇用形態・勤務形態で扱いが分かれる 自分が対象か分からない PT / OT / ST、非常勤、時短勤務の扱い

職場で確認する 4 項目はこの順番で聞く

制度を自分の給与に置き換えるなら、質問は 4 つに絞ると整理しやすいです。最初に「届出・算定」を確認し、その後に「対象」「配分」「明細表示」を聞くと、額だけを聞いて曖昧に終わる失敗を避けられます。

人事・総務・管理者へ確認するときは、責める聞き方ではなく「自分の給与明細を正しく理解したいので確認したい」という形にすると、実務上の回答を得やすくなります。

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表 3:医療従事者が職場で確認する 4 項目
確認項目 聞く意図 返答で分かること メモしておく言葉
ベースアップ評価料等の届出・算定は行いますか? 賃上げ原資の入口を確認する 給与反映の前提があるか 届出済み / 予定 / 未定
自分の職種・雇用形態は対象ですか? 対象範囲を確認する PT / OT / ST、非常勤、時短勤務の扱い 対象 / 対象外 / 検討中
配分は基本給ですか、手当ですか? 年収への影響を確認する 賞与や時間外単価への波及 基本給改定 / ベースアップ手当 / 一時金
何月分を、いつの給与で反映しますか? 反映時期を確認する 6 月給与で増えない理由 対象月 / 支給月 / 明細名

現場の詰まりどころは「額」だけを聞いてしまうこと

医療従事者の賃上げ確認で最も詰まりやすいのは、最初から「結局いくら上がりますか?」と聞いてしまうことです。額だけを聞くと、届出・対象・配分・反映月が曖昧なままになり、後で給与明細を見ても判断できません。

まずは、届出 → 対象 → 配分 → 明細の順で確認しましょう。介護側の賃上げとの違いもあわせて見たい場合は、医療と介護の賃上げ差を整理した記事で全体像を確認できます。

よくある失敗

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表 4:給料確認で起きやすい失敗と修正ポイント
失敗 なぜズレるか 修正ポイント
「いくら上がるか」だけを聞く 原資・対象・配分方法が曖昧なままになる まず届出・算定の有無を聞く
手当増を基本給増と同じだと思う 賞与や時間外単価への影響が異なる 基本給か手当かを分けて確認する
6 月施行 = 6 月給与反映だと思う 算定・請求・配分決定に時間差がある 対象月と支給月をセットで聞く

回避手順(この順で確認)

  1. 施設がベースアップ評価料等を届け出るか確認する
  2. 自分の職種・雇用形態が対象に含まれるか確認する
  3. 基本給・手当・一時金のどれで反映されるか確認する
  4. 給与明細の表示名、対象月、支給月を記録する

確認メモの型

聞き取り後は、次のように 1 文で残すと後から見返しやすくなります。

記録例:2026 年 6 月以降の賃上げ対応について、当院はベースアップ評価料の届出予定あり。PT は対象予定。配分はベースアップ手当として検討中。反映月と明細名は次回説明で確認予定。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 病院で働く PT / OT / ST の給料も上がりますか?

上がる可能性はあります。ただし、療法士だけに固定率で上乗せされる制度ではありません。施設がベースアップ評価料等をどう届け出て、PT / OT / ST を対象に含め、基本給・手当・一時金のどれで配分するかによって実感は変わります。

Q2. 6 月施行なら、6 月の給料日で必ず増えますか?

必ずではありません。制度上の施行は 6 月でも、施設側の届出、算定、請求、配分決定、給与処理を経て反映されます。「何月分を、いつの給与で反映する予定か」を確認してください。

Q3. 基本給が上がるのか、手当が増えるのかはどう見分けますか?

給与規程改定の有無、基本給欄の差額、新設手当の有無を見ます。月額だけでなく、賞与計算基礎に入るか、時間外単価に反映されるかまで確認すると、年収への影響を判断しやすくなります。

Q4. 看護補助者・事務職員 5.7% は「必ず 5.7% 上がる」という意味ですか?

個人の給与が必ず 5.7% 上がるという意味で読むのは安全ではありません。公式資料では看護補助者・事務職員について 5.7% を前提にした措置が示されていますが、実際の給与反映は施設の届出、対象設定、配分方法で変わります。

Q5. 令和 7 年度補正予算の賃上げ支援と、6 月以降の診療報酬改定は同じですか?

同じではありません。令和 7 年度補正予算の賃上げ支援は、令和 7 年 12 月分から令和 8 年 5 月分までの賃金改善を基本とする支援です。6 月以降は、令和 8 年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等の届出・算定・配分を確認する必要があります。

次の一手(給与明細を見る前にやること)

給与の話を整理したあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう

確認しても説明が曖昧なまま、評価制度や給与規程の見通しが持てない場合は、教育体制・人員配置・相談環境なども含めて整理しておくと、次の動き方を考えやすくなります。

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参考文献

  • 厚生労働省.令和 8 年度の診療報酬改定は(予算大臣折衝を踏まえた整理).2025.PDF
  • 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定 1. 賃上げ対応.2026.PDF
  • 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について.2026.Web
  • 厚生労働省.医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について.2026.Web
  • 中央社会保険医療協議会.答申書(令和 8 年度診療報酬改定について).2026.PDF

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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