令和 8 年改定案|運動器リハ上限緩和の対象見直しと実務対応

制度・実務
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令和 8 年改定案|運動器リハ等「上限緩和の対象患者」見直しを現場で読む

「これまでの議論の整理(案)」では、運動器リハビリテーション料等について、適切な疾患別リハビリテーション料の算定を推進する観点から、算定単位数の上限が緩和される対象患者を見直すとともに、対象患者の考え方を明確化する方向性が示されています。

現場としては、対象の扱いが変わるほど「誰に 6 単位超を使うか」が揺れます。本記事は、点数や要件が未確定な段階でも準備できるように、対象選定・運用・記録を「損しにくい型」に落として整理します。

運動器リハ上限緩和の対象見直しにおける運用フロー(差分確認・対象選定・目的固定・記録統一)

結論:鍵は「差分の把握」+「対象の優先順位」+「 6 単位超の目的固定」です

上限緩和の対象が「見直し+明確化」される局面では、“なんとなく増やす”運用が最も危険です。今回の差分(どこが変わるか)を押さえたうえで、対象の優先順位と、 6 単位超を使う目的(何をどこまで上げるか)を固定し、記録は短く強い型にそろえるのが近道です。

この順番でそろえると、平日・休日や担当者が変わってもブレにくく、説明責任にも耐えやすくなります。

改定案と現行の差分(ここだけは先に押さえる)

今回の資料(Ⅲ-4-③)では、算定単位数上限の緩和対象患者(別表第九の三)について、「 60 日以内」の起点と、「早期歩行・ ADL 自立」目的の並びが、改定案と現行で書き分けられています。ここは運用だけでなく定義に効くため、先に差分を明文化しておくと読み違えにくくなります。

表:算定単位数上限の緩和対象(別表第九の三)の差分(Ⅲ-4-③)
論点 改定案(要点) 現行(要点) 現場での要点
「 60 日以内」の起点 脳血管疾患等の患者のうち、発症日、手術日又は急性増悪の日から 60 日以内 脳血管疾患等の患者のうち、発症後 60 日以内 起点(発症/手術/急性増悪)を院内で統一し、説明できる形にそろえる。
「早期歩行・ ADL 自立」目的の並び 心大血管(Ⅰ)・脳血管(Ⅰ)・廃用(Ⅰ)・呼吸(Ⅰ) 心大血管(Ⅰ)・脳血管(Ⅰ)・廃用(Ⅰ)・運動器(Ⅰ)・呼吸(Ⅰ) 改定案では運動器(Ⅰ)がこの並びから外れる書きぶり。運動器で判断する場合、起点・目的・運用ルールを先に固めるとブレにくい。

※本項目は「これまでの議論の整理(案)」段階です。点数や細部が固まる前にできる準備として、まず「差分の明文化」→「対象の優先順位」→「目的と記録の型」の順にそろえると手戻りを減らせます。

「対象患者の見直し(明確化)」が入ると何が起きる?

対象の扱いが変わると、現場は次の 3 つが揺れます。

  • 対象選定:誰に上限緩和を適用するか(優先順位)
  • メニュー設計:増やした単位で何を伸ばすか(目的の明確化)
  • 記録:増量の根拠と、反応・結果の示し方

対策はシンプルで、上限緩和を「患者ごとに目的化」して、増やした分のアウトカムが追える形に寄せます。運用としては「対象の線引き」と「目的の固定」を先に作るほど手戻りが減ります。

対象選定の型:上限緩和を “投資する患者” に絞る

運用で強いのは「上限緩和が効きやすい患者」を絞り、目的に集中投下することです。院内で 1 枚に落とすなら、次の 4 観点が扱いやすいです。

表:上限緩和の対象選定をそろえる 4 観点(院内の共通ルール)
観点 見るポイント 記録で残す一言(例)
回復余地 今週〜 2 週で伸びる要素が明確か 起立・移乗・歩行の段階が上がりそう 「今週の到達目標(段階)」
阻害因子 痛み・循環・認知などで詰まっていないか 疼痛コントロール、起立時 BP 低下 「詰まりの要因と対策」
安全性 増量しても中止が増えない設計か 中止基準、観察項目がそろっている 「中止基準と再開条件」
連続性 平日・休日で同じ目標につながるか 金曜に休日目標を明記して引き継ぐ 「引き継ぎ事項( 1 行)」

単位数を増やすときほど、メニューは増やさず、目的別パッケージに寄せたほうが回ります。目的が 1 つに固定されるほど、説明と記録がラクになります。

表:6 単位超を “目的別” に固定する(運用がブレにくい)
目的 やること(最小セット) 数値 1 つ 所見 1 つ
歩行自立に近づける 立位耐久+歩行量+転倒要因の修正 歩行距離 ふらつき/休息で回復
移乗・ ADL を上げる 移乗練習+更衣/トイレの課題場面 介助量(見守り等) 代償動作の減少
疼痛で詰まりを外す 疼痛評価+負荷調整+自主練指導 NRS 動作時痛の変化

記録の型:上限緩和を “短く強く” 残す 3 点セット

増量は「増やした理由」と「増やした分で何が変わったか」が追える形が強いです。記録は次の 3 点に固定すると揉めにくくなります。

表:上限緩和を説明できる 3 点セット記録
残す項目 書き方(例) ポイント
増量の目的 「歩行自立へ:段階を 1 つ上げるため」 目的が 1 つだと強い
介入内容(パッケージ) 「立位耐久→歩行量→転倒要因修正」 羅列より “枠” を固定
結果(数値 1 + 所見 1 ) 「歩行 60 m、ふらつき減、休息で回復良好」 短くても追える形

現場の詰まりどころ/よくある失敗(先に潰すと回る)

この節は「失敗の列挙」で終わらせず、回避手順までつなぐと運用が安定します。

  • 失敗 1:対象が広がり “薄く配る” → 優先順位を先に決める。
  • 失敗 2:増量理由が曖昧 → 目的を 1 つに固定する。
  • 失敗 3:記録がバラバラ → 3 点セットに統一する。

回避手順 1:対象選定の 4 観点に戻る
回避手順 2:3 点セット記録に戻る
関連:改定案を現場実装する標準手順

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. これは確定情報ですか?

A. 現時点は「これまでの議論の整理(案)」段階です。確定前の今は、差分の明文化、対象選定、目的固定、記録統一の準備を進めるのが有効です。

Q2. 6 単位超は多いほど良いですか?

A. 量だけでは成果は安定しません。目的を 1 つに固定し、目的別パッケージで介入と記録をそろえるほうが再現性が高まります。

Q3. 運動器(Ⅰ)が並びから外れる書きぶりは、どう扱うべきですか?

A. まずは起点(発症/手術/急性増悪)と目的(何をどこまで上げるか)を院内で統一し、判断の根拠を短く記録できる状態にしておくのが実務的です。

Q4. 記録が増えそうで不安です

A. 長文化は不要です。「目的」「介入枠」「結果(数値 1+所見 1)」の 3 点セットに絞ると、引き継ぎと説明がむしろ軽くなります。

次の一手(この順でやる)

おすすめは、①差分を 1 枚化 → ②対象の優先順位を 1 枚化 → ③目的別パッケージ化 → ④ 3 点セット記録に統一、の順です。最後に、運用を整えたあとで職場環境の詰まりも点検しておくと、実装が継続しやすくなります。

運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう

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参考資料

  1. 厚生労働省.個別改定項目について(中医協 総-3,2026-01-30).PDF

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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