退院前訪問指導料と疾患別リハは同日算定できる?条件と記録

制度・実務
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退院前訪問指導料と疾患別リハは同日に算定できる?

退院前訪問指導料と疾患別リハビリテーション料は、患家訪問中であっても、在宅療養上必要な指導とは別の時間に疾患別リハを実施した場合、それぞれ算定できます。ただし、医療機関外で実施できる疾患別リハの上限単位数を超えないことが条件です。本記事では、令和8年度診療報酬改定の疑義解釈その6・問14に基づき、PT・OT・STが迷いやすい時間の分け方、記録例、算定前の確認手順を整理します。

退院支援に関する点数の違いから確認したい方へ

退院前訪問指導料と退院時リハビリテーション指導料の役割は、退院前訪問指導料と退院時リハ指導料の違いで比較しています。

結論:指導とは別時間に実施し、院外上限単位数内なら算定可能

結論として、退院前訪問指導料と疾患別リハビリテーション料は、所定の条件を満たせば同じ患家訪問日に算定できます。

厚生労働省の「疑義解釈資料の送付について(その6)」問14では、患家の訪問中に、退院後の在宅療養上必要な指導を行った時間とは別の時間に疾患別リハビリテーションを実施した場合、退院前訪問指導料とは別に疾患別リハビリテーション料を算定できると示されています。

ただし、医療機関外で実施できる疾患別リハビリテーション料の算定上限単位数を超えることはできません。

疑義解釈その6・問14から分かる算定条件
確認項目 算定条件 実務での確認
実施日 同じ患家訪問日でも算定可能 同日であることだけを理由に不可とはしない
実施時間 退院前訪問指導とは別の時間に疾患別リハを実施する それぞれの時間帯を説明できるようにする
単位数 医療機関外で実施できる上限単位数を超えない 当日の院内・院外の実施単位数を確認する

したがって、「同じ日に実施したか」だけでは判断できません。退院前訪問指導として行った時間と、疾患別リハとして実施した時間を分けられるかが判断の中心になります。

疑義解釈で示されたのは「別時間」と「上限単位数」の2条件

疑義解釈その6・問14で明示されている条件は、「別の時間に実施すること」と「院外での上限単位数を超えないこと」の2点です。

一方、疑義解釈の回答には、次のような細かな運用までは記載されていません。

  • 指導と疾患別リハの間を何分空けるか
  • 記録を別の用紙にするか
  • どの動作を指導、評価、訓練のどれに分類するか
  • 特定の記録様式を使用するか

そのため、制度上明記された条件と、院内で説明可能性を高めるための運用を分けて考える必要があります。時間や内容の記録を分けるのは、別時間に実施した事実を後から確認できるようにするための実務対応です。

同日算定では目的・時間・内容・単位数を分ける

実務では、「目的」「時間」「内容」「単位数」の4項目を分けると、退院前訪問指導と疾患別リハの境界を整理しやすくなります。

患家では、家屋評価、家族への介助指導、移乗確認、歩行確認、福祉用具の調整が一連の流れで行われます。しかし、すべてを同じ目的・同じ時間として処理すると、別時間に疾患別リハを実施したことを説明しにくくなります。

退院前訪問指導料と疾患別リハを分ける4項目
確認項目 退院前訪問指導料 疾患別リハビリテーション料 整理のポイント
目的 退院後の在宅療養に必要な指導 対象疾患に対する評価・治療・訓練 同じ目的としてまとめない
時間 在宅療養上必要な指導を行った時間 指導とは別に疾患別リハを実施した時間 開始・終了時刻を区別する
内容 家屋環境の確認、家族指導、療養上の助言など 歩行練習、起居・移乗練習、ADL練習など 同じ動作を二重に評価しない
単位数 退院前訪問指導料の要件に沿って算定 医療機関外で実施できる上限単位数内 当日の総単位数を確認する

記録は「退院前訪問指導」と「疾患別リハ」を分けて残す

記録では、退院前訪問指導と疾患別リハについて、目的、時間帯、実施内容をそれぞれ確認できるようにします。

退院前訪問指導の記録には、患家で確認した生活上の課題、家族等へ指導した内容、環境調整、福祉用具、退院後の支援方針などを記載します。

疾患別リハの記録には、訓練目的、開始・終了時刻、実施場所、実施内容、患者の反応、介助量、リスク、単位数などを記載します。退院前訪問指導の記録と同じ文章を流用せず、それぞれ何を行ったのかが分かるようにします。

退院前訪問指導料と疾患別リハの記録例
区分 記録例 避けたい記録
退院前訪問指導 10時00分~10時35分。玄関・寝室・トイレまでの動線を確認。玄関上がり框で家族介助が必要なため、介助位置と手すり使用方法を本人・家族へ指導した。 自宅を訪問して動作確認とリハを実施した。
疾患別リハ 10時40分~11時00分。患家内で方向転換およびトイレまでの歩行練習を実施。四点杖使用、見守りで実施可能。方向転換時にふらつきを認めたため動作手順を反復した。1単位。 退院前訪問の内容に同じ。歩行を確認した。
時間 指導と疾患別リハの開始・終了時刻を区別して記載する。 訪問時間10時00分~11時00分とのみ記載する。

上記は書き方の一例です。記録様式や記載場所は、各医療機関の診療録運用、請求部門との取り決め、施設基準の管理方法に合わせて調整してください。

現場の詰まりどころ:家屋評価と疾患別リハが連続しやすい

現場で最も詰まりやすいのは、一連の動作確認のどこまでが退院前訪問指導で、どこからが疾患別リハなのか分かりにくくなることです。

たとえば、玄関段差を確認し、その場で患者に昇降してもらい、家族へ介助方法を説明し、さらに反復練習を行う場面があります。臨床上は自然な流れですが、すべてを同じ時間帯の同じ行為として記録した場合、別時間に疾患別リハを実施したことが不明確になります。

療養病棟や回復期病棟では、退院前訪問の参加者が多く、PT・OT・STの評価、家族指導、ケアマネジャーや福祉用具担当者との相談が並行しやすいため、訪問前に役割と時間配分を決めておくと整理しやすくなります。

同日算定で起こりやすい失敗と修正方法
よくある失敗 問題点 修正方法
訪問全体を一つの時間で記録する 指導と疾患別リハが別時間か確認できない それぞれの開始・終了時刻を分ける
同じ動作を両方の算定根拠にする 同一行為の重複評価と受け取られやすい 指導目的と訓練目的を整理する
疾患別リハの内容が「動作確認」のみ 治療・訓練として何を行ったか分からない 課題、介入、反応、介助量を記録する
院外単位数を確認しない 算定上限単位数を超える可能性がある 訪問前に当日の単位数を確認する

算定前の5分チェック

算定可否は、訪問後の請求段階だけでなく、訪問前の計画と訪問直後の記録で確認します。

退院前訪問指導料と疾患別リハビリテーション料の同日算定を確認する算定前チェック図版
図.退院前訪問指導料と疾患別リハの同日算定で確認するポイント
退院前訪問指導料と疾患別リハの算定前チェック
順番 確認すること 確認できる状態
1 退院前訪問指導としての目的が明確か 在宅療養上必要な指導内容を説明できる
2 疾患別リハを指導とは別時間に実施したか それぞれの時間帯を分けて説明できる
3 疾患別リハとしての目的と内容が明確か 評価、訓練、患者の反応、介助量を記録できる
4 院外で実施できる上限単位数を超えていないか 当日の算定単位数を確認できる
5 記録と請求内容が一致しているか 医事課や施設基準担当へ算定根拠を説明できる

開始・終了時刻の残し方に迷う場合は、リハ単位の開始・終了時刻はどこまで必要かもあわせて確認してください。

よくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。

退院前訪問指導料と疾患別リハは同じ日に算定できますか?

条件を満たせば算定できます。患家訪問中に、退院後の在宅療養上必要な指導を行った時間とは別の時間に疾患別リハを実施し、医療機関外で実施できる上限単位数を超えないことが必要です。

同じ患家訪問中に続けて実施しても算定できますか?

疑義解釈では、患家訪問中であっても、退院前訪問指導とは別の時間に疾患別リハを実施した場合は算定可能と示されています。指導時間と疾患別リハの時間を区別できるようにしておくことが重要です。

指導と疾患別リハの間を何分空ける必要がありますか?

疑義解釈その6・問14では、具体的に何分空けるかまでは示されていません。「別の時間」に実施したことが分かるよう、目的、開始・終了時刻、実施内容を区別して記録します。

家屋評価や歩行確認はどちらに記録しますか?

行為名だけでは決まりません。退院後の療養環境を確認して本人・家族へ指導する目的であれば退院前訪問指導、疾患に対する治療・訓練として別時間に実施するのであれば疾患別リハとして整理します。同じ行為を重複して算定根拠にしないことが重要です。

疾患別リハの単位数にはどのような注意がありますか?

医療機関外で実施できる疾患別リハビリテーション料の算定上限単位数を超えることはできません。対象となる疾患別リハ、当日の実施状況、院内ルールを請求担当者と確認してください。

算定可否の最終判断は誰に確認しますか?

厚生労働省の告示、通知、疑義解釈を確認したうえで、院内の医事課、施設基準担当者、診療報酬委員会等と運用を統一します。必要に応じて地方厚生局等へ確認してください。

次の一手

まずは、現在使用している退院前訪問の記録様式で、在宅療養上の指導時間と疾患別リハの実施時間を分けて記載できるか確認しましょう。


参考文献

  1. 厚生労働省保険局医療課. 疑義解釈資料の送付について(その6). 令和8年5月22日事務連絡. 問14. 厚生労働省公式PDF.
  2. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について. 厚生労働省公式ページ.

著者情報

rehabilikun blog運営者である理学療法士の著者アイコン

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・制度・記録の考え方を発信しています。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験があります。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養、シーティング、摂食・嚥下、退院支援

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