令和 8 年改定:離床を伴わないリハ評価はどう変わる?実務準備ガイド

制度・実務
記事内に広告が含まれています。

令和 8 年改定の注目論点:疾患別リハが「訓練内容(離床の有無)」で評価へ?

改定論点を先に整理:本ページは「制度の全体像」を整理する親記事です。判定の実務は子記事で分けて確認できます。

令和 8 年改定(リハ)全体像を見る

関連:離床あり/なし判定フロー(実務手順)
関連:医療と介護の給料反映ルートの違い

令和 8 年度 診療報酬改定に向けた資料では、疾患別リハビリテーション料を「訓練内容に応じた評価」へ見直す方向性が示されています。特に「離床を伴わずに行う場合」の区分新設が具体化し、対象の定義(誰が該当するか)算定・記録(何を書けば説明できるか)が、現場運用の中核になりそうです。

本記事では、確定情報を断定せず、資料から読み取れる範囲に絞って「何が変わり得るか」と「今から整えると強い記録の型」を整理します。判定実務は子記事に分離し、親記事では制度論点を俯瞰します。

令和8年改定における離床を伴わないリハ評価の論点整理図
図:離床を伴わないリハ評価の論点(制度側の要点と現場準備)

1 分で要点:焦点は「離床を伴わず」区分の定義と、説明できる記録

資料で具体化したポイントは 3 つです。①離床を伴わずに行う場合の区分を新設し、②20 分以上の個別療法で、③所定点数の 100 分の ●●(割合調整)かつ 1 日 2 単位までという上限を置く方向です。さらに、対象患者の考え方(該当/非該当)と、診療録・摘要の記載要件がセットで提示されています。

表:資料で具体化した「離床を伴わず」区分の要点(案)
観点 要点(案) 現場で先に整えること
区分 疾患別リハに「離床を伴わずに行う場合」の区分を新設 院内で「離床あり/なし」の判定ルールを 1 枚に統一
実施要件 離床を伴わずに 20 分以上、個別療法として実施 時間( 20 分以上)と「個別療法」を記録で明確化
評価(点数) 所定点数の 100 分の ●●(割合で調整) 現段階は「案」。最終の告示・通知で割合確定後に更新
単位上限 患者 1 人につき 1 日 2 単位まで 過量算定を防ぐ運用(テンプレ・オーダー・チェック)を先に作る
記録 医学的理由、長時間リハの必要性、訓練内容などを診療録および摘要に記載 摘要の定型文(対象理由/訓練内容/時間)を院内で統一

「訓練内容に応じた評価」で何が起こり得るか(案の範囲で整理)

「訓練内容に応じた評価」は、現場感で言えば「実施しました」だけでは弱くなり、第三者が追える粒度の記録がより重要になる、ということです。特に今回は「離床の有無」という分類が前面に出てきたため、分類の根拠(なぜ離床できない/しないのか)を説明できないと、評価の妥当性を示しにくくなります。

表:「訓練内容に応じた評価」で起こり得る変化と、先に整える準備
パターン 制度の動き(例) 先に整えること
A:離床の有無で区分 離床を伴わない区分を新設し、上限や評価が変わる 「離床あり/なし」の定義・例外・記録欄を固定化
B:目的と手段の整合 訓練の目的(活動)と内容(手段)の説明が前提になる 目的(活動)→ 訓練(手段)→ 結果(所見)の 1 セット化
C:量・負荷の可視化 回数・時間・強度・介助量などの説明が求められやすい 負荷(最低 2 要素)+ 条件(環境・介助)を残す
D:適正化の強化 名ばかり訓練や、妥当性が説明しにくい運用の抑制 テンプレ化で「説明できない記録」を減らす

なぜ Ⅲ- 4( 4 )が“現場インパクト大”なのか

Ⅲ- 4( 4 )は、算定の入口(対象・上限)だけでなく、提供プロセス(訓練の中身)に踏み込む論点です。ここが動くと、リハ室・病棟・外来での「運用のクセ」が、そのまま算定のリスクや評価の差になり得ます。

逆に言えば、準備の勝ち筋は明確です。訓練が「何を」「どの条件で」「どれくらい」「どう変わったか」で語れること。制度がどう転んでも、ここが揃っている施設ほど迷いが減ります。

「離床を伴わず」区分の定義(案)と、例外(非該当)の考え方

資料では、「離床を伴わずに行う場合」の対象像がかなり具体的に書かれています。ポイントは、ベッド上から移動せずポジショニングまたは拘縮予防等を主目的とした他動的な訓練のみを行う入院患者、というイメージです。一方で、特定入院料を算定している患者や、早期リハの加算等を算定している患者など、「この区分に当てはめない(例外)」の方向性も示されています(詳細は原資料の「特定の患者」定義を参照)。

表:「離床を伴わず」区分に関する実務的な読み替え(案)
論点 実務での読み替え 注意点
対象像 ベッド上のまま、ポジショニング/拘縮予防などを主目的に、他動中心の訓練のみ 「ベッド上訓練=全部対象」ではない前提で、目的と内容をセットで残す
例外(非該当) 特定入院料や各種加算の算定状況などにより「この区分に当てはめない」対象が示されている 院内で「例外一覧」を 1 枚にし、オーダー時点でブレーキを作る
医師の必要性 ベッド上からの移動が困難で、長時間リハが医学的に必要と医師が認めた旨などの記載が求められる 「医師が認めた」根拠が残らないと説明が弱くなるため、運用設計が重要

現場の詰まりどころ/よくある失敗(ここだけ直すと強い)

制度が動くときに返戻・監査でつまずきやすいのは、「実施したのに証明できない」パターンです。今回の論点は、対象(該当/例外) 20 分以上 1 日 2 単位診療録+摘要がセットなので、どれか 1 つ欠けると弱くなります。

ここだけ先に確認:回避手順(記録の型)へ進むFAQ を確認する

表:詰まりどころ(失敗)と、最小の直し方
よくある失敗 何が問題か 最小の直し方(テンプレ)
「ベッド上で実施」だけで離床なし扱い 対象像(他動中心・目的)や、例外(非該当)の確認が抜ける 「目的(拘縮予防等)」「内容(他動)」「離床なしの根拠」を固定欄にする
20 分以上が読み取れない 要件の入口が不明確で説明が弱い 開始・終了(または合計時間)をテンプレ必須欄にする
1 日 2 単位を超える運用 上限逸脱のリスクが高い オーダー/実施入力/レセ前チェックの 3 か所でブレーキを作る
診療録だけで摘要が空欄 摘要記載要件に引っかかりやすい 摘要の定型文(対象理由/訓練内容/時間)を院内で共通化
医師の必要性が記録から追えない 「医学的に必要」の根拠が弱い 医師記載の導線(指示簿/診療録)を運用設計で固定化する

今から整える「記録の型」:分類 → 目的 → 内容 → 量 → 結果

準備として効くのは、難しい加算を追うことより、記録の最小セットを揃えることです。おすすめは「分類 → 目的 → 内容 → 量 → 結果」を、誰が書いても同じ粒度になるように固定欄で運用することです。

表:疾患別リハの最小記録テンプレ(院内で揃える欄)
書く内容
分類 離床:あり/なし(根拠も) 離床なし:ベッド上から移動せず他動中心(理由:循環動態・疼痛等)
目的 何の活動のためか(短く) 拘縮予防/呼吸介助量低減/ ADL 介助量低減 の前提づくり
内容 タスク(実施内容) ポジショニング調整、関節可動域、他動運動、呼吸介助 など
時間・回数・強度・介助量など 20 分(個別)/回数/介助量/環境条件
結果 所見・数値・変化 痛み NRS、関節可動域、呼吸苦、介助量、バイタル変動など
摘要 対象理由/内容/時間(定型文) 離床困難の医学的理由、長時間リハ必要性、訓練内容、実施時間

Ⅲ- 4( 1 )〜( 6 )は「セット」で押さえる( 1 分要約 )

Ⅲ- 4 には( 4 )以外にも、退院時指導、医療機関外での上限単位、運動器の上限緩和対象、書類(総合計画)簡素化、リンパ浮腫の評価見直しが並びます。現場では( 4 )だけ単独で見るより、“入口(対象・上限)”と“中身(訓練内容)”と“書類(計画)”が同時に動く可能性として把握しておくと安全です。

表:Ⅲ- 4( 1 )〜( 6 )の論点(案)と、影響が出やすい所
番号 論点(要約) 影響が出やすい所
( 1 ) 退院時リハビリテーション指導料:対象患者の要件見直し 誰に指導するか、指導内容の標準化
( 2 ) 医療機関外の疾患別リハ:上限単位数の見直し 提供場所と単位運用、安全配慮、移動時間の扱い
( 3 ) 運動器の上限緩和:対象患者の見直し 対象の線引き(施設基準・患者要件)
( 4 ) 疾患別リハ:訓練内容(離床の有無)に応じた評価 対象定義、 20 分以上、 1 日 2 単位、診療録+摘要
( 5 ) リハ総合実施計画評価料:見直し(書類の簡素化) 様式統一、評価の整理、運用フロー
( 6 ) リンパ浮腫複合的治療料:評価の見直し 点数・時間区分、算定要件の確認

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. これは「もう決まった」話ですか?

A. いいえ。現時点は議論段階で、点数や最終要件の確定版ではありません。ただし「離床を伴わず」区分の定義、 20 分以上、 1 日 2 単位、診療録+摘要など、運用に直結する要点が資料で具体化しています。準備としては、分類と記録の標準化が先に効きます。

Q2. 「離床を伴わず」は、ベッド上でやる訓練なら何でも該当しますか?

A. いいえ。資料上は「ベッド上から移動せず、ポジショニングや拘縮予防等を主目的とした他動的訓練のみ」といった対象像が示され、さらに「この区分に当てはめない」例外(非該当)も提示されています。院内で定義・例外を 1 枚にし、運用で迷いを減らすのが安全です。

Q3. なぜ「診療録+摘要」まで求められるのですか?

A. 対象の妥当性(医学的理由や必要性)と、訓練の実態(内容・時間)を第三者が追える形にするためです。診療録に書いてあっても、摘要が空欄だと説明の弱点になりやすいので、定型文で統一するのがおすすめです。

Q4. いま現場で一番やるべきことは何ですか?

A. 「離床:あり/なし(根拠)」を固定欄にし、目的 → 内容 → 量 → 結果を 1 セットで残すことです。「抽象名+実施」から「タスク+条件+負荷+結果」へ。制度がどう転んでも、ここを揃えると迷いが減ります。

次の一手(院内で迷わないために)

運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう

無料チェックシートを確認する

チェック後の進め方を見る(PT キャリアガイド)


参考資料

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

運営者について編集・引用ポリシーお問い合わせ

タイトルとURLをコピーしました