- 離床なし 20 分リハ算定は「対象・除外・上限・摘要」で決まります
- 1 分で要点:先に見るのは「除外」→「 20 分以上」→「 2 単位上限」→「摘要」
- 「特定の患者」定義:該当像より先に “ 除外(例外) ” を固定します
- 疑義解釈その 2 で明確になった判定例: 6 事例のうち該当は ⑥だけです
- 返戻リスクが上がりやすいのは、点数より「上限」と「摘要」です
- 現場の詰まりどころ/よくある失敗(ここだけ直すと強い)
- 今から整える「記録の型」:除外チェック → 目的 → 内容 → 量 → 結果
- 記録シートダウンロード
- 図版で確認:離床なし 20 分リハ算定の流れ
- よくある質問(FAQ)
- 次の一手
- 参考資料(一次情報)
- 著者情報
離床なし 20 分リハ算定は「対象・除外・上限・摘要」で決まります
最短の読み順:本ページ(確定ルール+疑義解釈その 2 )→ 判定フロー(境界症例)→ 確定差分(一覧)
改定リハの全体像を見る
実務手順:離床あり/なし判定フロー(チェック+記載)
確定差分:確定点数・要件差分( 1 枚 )
このページは、令和 8 年度 診療報酬改定で明文化された「離床を伴わずに行う個別療法( 20 分以上 )」の扱いを、対象患者、除外、所定点数の 100 分の 90、 1 日 2 単位上限、 3 単位例外時の摘要に絞って確認するための記事です。通知の文言をそのまま追うだけでなく、現場で止まりやすい「どこから先に見るか」まで整理しています。
さらに、2026 年 3 月 31 日公開の疑義解釈その 2 で、1 単位の一部にベッド上でのポジショニングや拘縮予防等を主目的とした他動的訓練が含まれても、それ以外の訓練が適切に行われるなら “ 特定の患者 ” に当たらないこと、また具体例 6 パターンのうち ⑥のみが該当することが示されました。本ページでは、通知ベースの確定ルールに加えて、この境界整理まで反映しています。
逆に、このページで深掘りしないのは、施設ごとの詳細なオーダー運用や、電子カルテの個別実装です。本ページは確定した制度ルールと、疑義解釈で具体化された判定例の確認に役割を固定し、日々の回し方は判定フロー側へ分けています。
最終更新:2026-04-01(通知+疑義解釈その 2 反映)
1 分で要点:先に見るのは「除外」→「 20 分以上」→「 2 単位上限」→「摘要」
現場で詰まりやすいのは、点数の暗記ではなく対象に当てはめてよいかと後から説明できる記録になっているかです。運用は、( 1 )除外チェック、( 2 ) 20 分以上の個別療法、( 3 ) 1 日 2 単位上限、( 4 ) 3 単位例外時の摘要の順に固定すると、担当者間のズレを減らしやすくなります。
| 観点 | 確定した要点 | 先にそろえる運用 |
|---|---|---|
| 対象 | 「特定の患者」に該当する入院患者に限定。ただし、ベッド上の他動的訓練が一部に含まれても、他の適切な訓練が行われるなら該当しない | 該当条件と除外条件を 1 枚化し、オーダー前に確認する |
| 実施要件 | 離床を伴わずに 20 分以上、個別療法として実施 | 時間(開始・終了または合計)と 1 対 1 の証跡を必須欄にする |
| 算定 | 所定点数の 100 分の 90 で算定 | 算定区分の選び方を部署内で統一する |
| 上限 | 患者 1 人につき 1 日 2 単位まで | 入力時チェックとレセ前チェックの二段で止める |
| 記載(例外) | 3 単位以上の例外では、医学的理由・必要性・訓練内容を診療録+摘要へ | 摘要テンプレ(理由/必要性/内容)を院内共通化する |
「特定の患者」定義:該当像より先に “ 除外(例外) ” を固定します
通知上の「特定の患者」は、個別療法を実施する日に、ベッド上から移動せず、ポジショニングや拘縮予防等を主目的とした他動的な訓練のみを行う入院患者です。ただし、実務では「この定義に入るか」から考えるより、最初に除外(例外)を落とす方が判断が安定します。
| 除外(例外) | 実務での読み替え | 先に作るブレーキ |
|---|---|---|
| 早期/初期/急性期リハ加算を算定中 | 急性期に算定する入院料や加算を算定している日は、この枠に載せない | 当日の加算算定の有無をオーダー時点で確認する |
| 15 歳未満の小児で、病態により移動困難 | 年齢と病態で除外(例外)になり得る | 年齢で一次判定し、該当なら本区分に入れない |
| 3 単位以上が医学的に必要で医師が特に認める | この場合は例外扱いで、診療録と摘要の両方に根拠が必要になる | 医師根拠の置き場と摘要テンプレを最初から固定する |
疑義解釈その 2 で明確になった判定例: 6 事例のうち該当は ⑥だけです
2026 年 3 月 31 日の疑義解釈その 2 では、離床なしリハの境界が 6 事例で具体化されました。ここで大事なのは、「ベッド上で実施した」だけでは足りず、「ベッド上のみ」かつ「ポジショニング又は拘縮予防等を目的とした他動的な訓練のみ」に当たるかで判定することです。
| 事例 | 判定 | 見るポイント |
|---|---|---|
| ① 最初の 1 単位はベッド上、その後に車椅子移乗して計 6 単位 | 非該当 | 車椅子へ移乗しており「ベッド上のみ」ではない |
| ② ベッド上で自ら膝の曲げ伸ばし等の運動や排痰を促す訓練 | 非該当 | 「他動的な訓練のみ」ではない |
| ③ ベッド上でギャッジアップし、高次脳機能障害や構音障害等に係る言語療法 | 非該当 | 「ポジショニング又は拘縮予防等を目的とした他動的な訓練のみ」ではない |
| ④ 離床を目指して臥位から座位へ進めたが、結果的に端坐位に至らず終了 | 非該当 | 離床を目指した訓練であり、他動的訓練のみではない |
| ⑤ 車椅子移乗後、訓練室ベッド上で他動的な関節可動域訓練のみ | 非該当 | 車椅子移乗しており「ベッド上のみ」ではない |
| ⑥ ベッド上で主に拘縮予防や褥瘡予防を目的とした他動的 ROM ・ポジショニングのみ | 該当 | 「ベッド上のみ」かつ「他動的な訓練のみ」に当たる |
つまり、一部にベッド上の他動的訓練が入っていても、他の適切な訓練が入れば通常の各個別療法で算定し、ベッド上のみで拘縮予防や褥瘡予防を目的とした他動的訓練のみのときに限って、この区分を考えると整理しやすくなります。
返戻リスクが上がりやすいのは、点数より「上限」と「摘要」です
離床なし 20 分リハ算定は、単なる減算ルールではなく、対象の線引き、上限管理、例外時の説明責任まで含めて運用する論点です。現場で止まりやすいのは「実施した」こと自体ではなく、なぜこの区分で算定したかを短く説明できないケースです。
| 制度の要点 | 現場の詰まり | 先にそろえる対策 |
|---|---|---|
| 対象(特定の患者) | 該当/除外の判断が担当者でズレる | 除外チェックを 3 つに固定し、疑義解釈の 6 事例を早見表で共有する |
| 20 分以上(個別療法) | 時間や 1 対 1 の個別性が記録から追えない | 時間(開始・終了または合計)+担当者を必須欄にする |
| 1 日 2 単位上限 | 上限逸脱がレセ前に発覚して手戻りになる | 入力時とレセ前の二重チェックで止める |
| 摘要( 3 単位例外) | 診療録はあるが、摘要が弱く説明が止まる | 摘要テンプレ(理由/必要性/内容)を共通化する |
現場の詰まりどころ/よくある失敗(ここだけ直すと強い)
先に飛ぶ:対象・除外を確認する / 疑義解釈の 6 事例を見る / 記録の型を見る / 判断に迷うときは 判定フロー を使う
返戻・監査でつまずきやすいのは、実施したのに証明できないパターンです。今回の論点は、対象(該当/除外)、 20 分以上、 2 単位上限、例外時の摘要がセットなので、どれか 1 つ欠けるだけで説明力が落ちます。
| よくある失敗 | 何が問題か | 最小の直し方 |
|---|---|---|
| 「ベッド上で実施」だけで離床なし扱いにする | 除外(例外)チェックが抜け、対象判定が弱くなる | 最初に除外チェック 3 項目を固定し、6 事例のどれに近いかで判定する |
| 20 分以上が記録から追えない | 要件の入口が不明確で説明が弱い | 開始・終了または合計時間を必須欄にする |
| 1 日 2 単位を超える | 上限逸脱のリスクが高い | 入力時チェックとレセ前チェックに「 2 単位」を追加する |
| 3 単位例外で摘要が弱い | 医師特認と根拠が追えず、説明が止まる | 医学的理由/必要性/訓練内容の 3 点をテンプレ化する |
今から整える「記録の型」:除外チェック → 目的 → 内容 → 量 → 結果
制度の暗記より先に効くのは、誰が書いても同じ粒度になる記録の型です。おすすめは、除外チェック → 目的 → 内容 → 量 → 結果を固定欄で回すことです。摘要が必要な例外は別枠にして、通常ケースと混ざらないようにします。
| 欄 | 書く内容 | 例(短く) |
|---|---|---|
| 除外チェック | 早期加算/小児/ 3 単位例外の該当有無 | 早期加算なし/小児該当なし/ 3 単位例外なし |
| 目的 | 活動へつながる目的を 1 行で記す | 拘縮予防 → 体位変換介助の安定化 |
| 内容 | 何を行ったかを短く書く | ポジショニング調整、 ROM、他動運動、呼吸介助 など |
| 量(必須) | 時間(開始・終了または合計)+ 条件 | 合計 20 分/ 1 対 1 /介助量・環境条件 |
| 結果 | 変化を最低 1 点書く | 痛み、 ROM、呼吸苦、介助量の変化 |
| 摘要( 3 単位例外) | 医学的理由/長時間必要性/訓練内容 | 移動困難の根拠、長時間が必要な理由、実施内容 |
記録シートダウンロード
対象・除外・時間・上限・摘要を 1 枚で確認できる記録シートを追加しました。部署内で判定順をそろえたいときや、例外ケースの書き漏れを減らしたいときに使いやすい構成です。
スマホでプレビューが見づらい場合は、上のボタンから直接 PDF を開いてください。
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図版で確認:離床なし 20 分リハ算定の流れ
細かい通知文を読む前に、まずは図版で全体像をつかむと読みやすくなります。対象・除外・評価・方針の流れを 1 枚で確認したいときに使ってください。
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 「離床なし 20 分リハ算定」は、もう確定していますか?
A. はい。通知で、特定の患者の定義、除外(例外)、所定点数の 100 分の 90、患者 1 人につき 1 日 2 単位まで、 3 単位例外時の記載が示されています。
Q2. ベッド上でやる訓練なら何でも “ 特定の患者 ” に当てはめてよいですか?
A. いいえ。通知上は「ベッド上から移動せず、ポジショニング又は拘縮予防等を主たる目的とした他動的な訓練のみ」を行う入院患者が前提です。さらに、早期加算算定中、小児、 3 単位例外などの除外も先に確認する必要があります。
Q3. 1 単位の一部に、ベッド上のポジショニングや拘縮予防等を主目的とした他動的訓練が含まれても大丈夫ですか?
A. はい。それ以外の訓練が適切に行われる場合は、「特定の患者」に該当しないと整理されています。つまり、一部にベッド上の他動的訓練が含まれていても、それだけで離床なし区分になるわけではありません。
Q4. 具体例 6 パターンでは、どれが該当しますか?
A. ①〜⑤は非該当、⑥だけが該当です。車椅子へ移乗している、能動的な運動や言語療法が入っている、離床を目指した座位訓練である、などの場合は「特定の患者」に当たりません。ベッド上のみで、拘縮予防や褥瘡予防を目的とした他動的 ROM やポジショニングのみを行った場合に該当します。
Q5. 摘要はいつ必要になりますか?
A. 患者の疾患・状態によりベッド上からの移動が困難で、当該個別療法を 3 単位以上行うことが医学的に必要だと医師が特に認めた場合です。医学的理由、長時間が必要な理由、訓練内容を診療録と摘要に残します。
Q6. 外来患者も対象になりますか?
A. いいえ。この論点で定義される「特定の患者」は、通知上「入院中の患者」です。外来をこの区分にそのまま当てはめる読み方はしません。
Q7. まず現場で一番やるべきことは何ですか?
A. 「除外チェック → 20 分以上 → 2 単位上限 → 例外時は摘要」に加えて、疑義解釈の 6 事例を部署で共有することです。運用をそろえるだけでも、手戻りはかなり減らしやすくなります。
次の一手
参考資料(一次情報)
- 厚生労働省.令和 8 年度 診療報酬改定について.
- 厚生労働省.別添 1 医科診療報酬点数表に関する事項(保医発 0305 第 6 号).2026.
- 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(保医発 0305 第 6 号).2026.
- 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その 2 ).2026-03-31.
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


