NEWS2/MEWSで離床前を判定する型|PT向け

臨床手技・プロトコル
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NEWS2 / MEWS は「離床前の安全確認」をチームで揃えるための早期警戒スコアです

急性期の離床で迷いが増えるのは、所見が「危ない気もする」止まりで、相談の根拠(数値と変化量)が揃わないからです。結論として、離床前は NEWS2(推奨)または MEWS を短時間で算出し、0–4 / 赤 3 / 5–6 / 7+ の閾値で「進める/負荷を下げる/中止して連絡」を固定すると、判断ブレと報告ストレスを減らせます。

NEWS2 は、呼吸数・ SpO2 ・収縮期血圧・脈拍・意識(新規混乱を含む)・体温を整理し、酸素投与の有無も含めて重症度を見える化する枠組みです。運用の要点は、合計 5 以上単一項目 3(赤)を “行動のトリガー” にすることです。

現場の「迷い」を減らすなら、手順だけでなく教育体制や標準化もセットで整えると回ります。 PT キャリアガイドを読む(無料)

※臨床記事ですが、環境要因(教育体制・記録文化・人員)も安全性に直結します。

いつ使う?離床前は「今日の安全」を数値で共有したいとき

NEWS2 / MEWS は「診断」ではなく、いま悪化していないかを拾い、誰がどれだけ急いで診るかを揃えるための道具です。離床前だけでなく、離床中の変化(息切れ・顔色・会話量低下)や、介入後(疼痛コントロール後、酸素設定変更後)の再評価にも向きます。

ポイントはスコアそのものより、同じタイミングで繰り返すことです。おすすめは 安静 → 立ち上がり直後 → 介入後の 3 点で、比較できる形(変化量)にしておくと、相談の質が上がります。

5 分で回る標準フロー:測定 → 判定 → 連絡 → 記録

運用の肝は「算出」より、判定と行動を固定することです。病棟で使う観察表や電子カルテの欄に合わせて、置き場所まで決めておくと、チーム内の再現性が上がります。

NEWS2 のトリガーは 合計 0–4(低)/単一項目 3(赤)/合計 5–6(中)/合計 7+(高)が基本です。MEWS を使う施設でも、同じ発想(低・中・高で対応段階を決める)で揃えられます。

表:離床前スクリーニング( NEWS2 / MEWS )の運用ルール(成人・病棟想定)
判定(目安) リスク 離床の扱い(型) 連絡の型 記録の最小セット
合計 0–4 計画どおり実施。
ただし「いつもと違う」があれば変化量を再確認。
通常の報告で OK(変化があれば共有)。 NEWS2 / MEWS、酸素条件、離床レベル、介助量、 RPE / Borg など 1 つ。
単一項目 3(赤) 低〜中 負荷を落として再評価(端座位まで、立位は保留など)。
安静→刺激の差を見て「続行/中止」を決める。
病棟スタッフへ早めに共有(赤の項目と変化量を 1 行で)。 赤の項目(例:呼吸数、意識など)+前回との差(増悪の向き)。
合計 5–6 原則:中止〜延期。実施するなら目的を 1 つに絞り、短時間・低負荷で、再評価を必ず入れる。 院内ルールに従い、医師/当直/急変対応チームへエスカレーション(合計と変化量を添える)。 NEWS2 / MEWS、酸素投与の有無、意識(新規混乱)、症状(息切れ/胸痛/冷汗)。
合計 7 以上 離床は中止。観察継続・急変対応優先。必要なら酸素/体位/呼吸介助など院内手順へ。 緊急対応として即連絡(上位チーム介入が前提)。 直近の推移(いつから悪いか)+介入後の反応(改善/不変/増悪)。

連絡は SBAR に固定:スコアは「状況説明の芯」になります

スコアは「医師に伝える材料」ではなく、状況の優先度を揃える合図として使うと強いです。離床の相談は症状が曖昧になりやすいので、NEWS2 / MEWS+変化量を 1 行で言えるだけで通りが良くなります。

SBAR のテンプレは別ページでまとめています。連絡の詰まりが強い場合は、離床中止の SBAR テンプレを併用すると、病棟との摩擦が減ります。

1 行テンプレ(コピペ用)

離床前に NEWS2 が (合計 ◯、赤:◯)で、直近で 呼吸数/ SpO2 / 意識が悪化しています。離床は中止し、(端座位まで/安静)で再評価しました。指示をお願いします。」

よくある失敗:スコアを使ってるのに安全につながらないパターン

NEWS2 / MEWS を導入しても、運用がズレると「スコアがあるのに迷う」状態になります。現場で多いのは、①測るタイミングがバラバラ②酸素条件が記録されていない③赤 3 を見落とすの 3 つです。スコアは比較が命なので、まずタイミングを固定しましょう。

もう 1 つ大事なのは、臨床的な違和感はスコアより優先することです。NEWS2 は、臨床的懸念がある場合にスコアに関わらずエスカレーションできる前提で整理されています。

表:失敗パターンと対策(離床前スクリーニング)
失敗 なぜ危ない? 対策(型) 記録ポイント
測定が「実施後」だけ ベースが無いので、悪化か元々か判断できない。 安静 → 立ち上がり直後 → 介入後の 3 点固定。 各点の NEWS2 / MEWS と症状(息切れ、会話量)。
酸素条件が抜ける SpO2 だけ見て「安全」と誤判定しやすい。 必ず「室内気/酸素 ◯ L/ HFNC ◯ L ◯ %」までセットで書く。 酸素投与の有無( NEWS2 は加点対象)。
赤 3 を見落とす 合計が低くても、単一の急変所見を見逃す。 「赤 3 は別枠で即対応」をルール化(端座位まで等)。 赤項目と前回との差(増悪の向き)。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

NEWS2 と MEWS はどっちを使うべき?

施設の院内ルールが NEWS2 なら、NEWS2 を優先で OK です。NEWS2 は酸素投与の扱いや、赤 3、合計 5 以上などのトリガーが整理されているので、離床前の共通言語として運用しやすいです。院内で MEWS が運用されている場合は、低・中・高で対応段階を固定する考え方を揃えるのが現実的です。

NEWS2 の「合計 5 以上」は、なぜ重要?

NEWS2 では合計 5–6 を “緊急レビュー” のキー閾値、合計 7 以上を高リスクとしてエスカレーションの目安にします。離床は「体位変換という負荷」をかけるので、合計 5 以上では原則として中止〜延期を基本に、実施する場合は目的を 1 つに絞って最小介入にします。

スコアが低いのに「嫌な感じ」がするときは?

その直感は無視しない方が安全です。スコアが低くても、変化量(前回との差)と症状(会話量、顔色、冷汗、胸痛)を添えて相談すると通りが良くなります。スコアは “判断の補助” で、臨床的懸念は別枠で扱います。

離床前に最低限そろえる記録は?

最低限は ① NEWS2 / MEWS、②酸素条件、③離床レベル、④介助量の 4 点です。ここに 1 つだけ主観指標( Borg / RPE など)を足すと、再評価の比較がしやすくなります。

次の一手:安全に回すために「相談の型」と「機器の型」も揃える

環境要因(教育体制・標準化・人員)も安全性に直結します 無料チェックシートを開く

※記事内の運用(スコア/連絡/記録)と合わせて、体制面も点検すると事故が減ります。


参考文献

  1. Royal College of Physicians. National Early Warning Score ( NEWS ) 2: Standardising the assessment of acute-illness severity in the NHS. Updated report of a working party. London: RCP; 2017. PDF
  2. Royal College of Physicians. National Early Warning Score ( NEWS ) 2. RCP 公式ページ
  3. Subbe CP, Kruger M, Rutherford P, Gemmel L. Validation of a modified Early Warning Score in medical admissions. QJM. 2001;94(10):521-526. doi: 10.1093/qjmed/94.10.521PubMed
  4. NHS England. Patient Safety Alert: Adoption of NEWS2. 2018. PDF
  5. Smith GB, et al. The National Early Warning Score 2 ( NEWS2 ). Clin Med. 2019. PMC

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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