【痛みの評価スケール】VAS・NRS等代表的な疼痛検査5種を解説

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評価法
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リハビリくん
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こんにちは!リハビリくんです!

   

今回は痛みの評価スケールについて解説させて頂きます!

   

痛みの評価については、初回評価時から定期的に実施する必要があります。痛みの評価は主観的な感情となるため、評価にばらつきが出やすい特徴があります。

   

例えば痛みの評価で有名なNRSやVASを測定するにしても、検査者の説明の仕方や振る舞い方次第で、患者の訴えが変わる可能性があります。検査者によって評価結果にばらつきが生じてしまうと、痛みの程度をうまく追えなくなり、鎮痛剤の調整にも支障を来します。

  

この記事では、患者様の痛みを正確に評価することができるように、痛みの評価スケールについて整理していきたいと思います!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!

  

最近気になっている資格なのですが、2023年より、日本急性期ケア協会が主催する急性期ケア専門士認定試験が実施されるようです。急性期ケア専門士は急性期ケア・急変対応におけるスペシャリストです。 状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、 医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格となっています!

      ↓↓↓

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痛みの評価とは

患者が抱えている痛みを的確に評価することは、必要な治療や有効な治療法の選択につながります。

同じように痛みを発生する疾患を持っている患者でも、「どれくらい痛みを強く感じているのか」によって最初に行う治療法は異なります。

また、ストレスなどで痛みに悪影響が出ていることもあり、そのストレス要因を軽減することで痛みの改善に繋がることもあります。

痛みを単なる身体的痛みと判断せず、多角的視点から評価していくことが重要になります。

精神・心理的な苦痛の評価についても、近年重要性が更に高まっております。このテーマについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【HADS(評価法)を徹底解説についての記事はこちらから

痛みは主観的な症状

疼痛は主観的な症状であり、客観的に評価することは難しい部分があります。そもそも疼痛とは、「実際の組織の損傷または潜在的な組織の損傷と関連した、またはそのような損傷によって特徴づけられる情緒的な体験」と定義されています。

すなわち、疼痛には多面性があり1つは身体における痛みの部位・強度・持続性などを識別した痛み感覚の面、もう1つは過去に経験した痛みの記憶・注意・予測などに関連して身体にとっての痛みの意義を分析する認知の面、さらにもう1つはそれを不快に感じる情動・感情の面になります。

この多面性が客観的に評価することを難しくしている要因であり、一元的に評価を行うだけでなく、多元的に評価することが必要となります。

多元的に評価するためには、以下の3項目を適切に捉えることが重要になります。

  1. 患者自身の申告による測定(尺度、質問票、日記など)
  2. 患者を客観的に観察する測定(行動、機能評価など)
  3. 生理的測定(バイタルサインなど)

痛みの客観的評価は難しいということを説明させて頂きましたが、そんな中でも客観的な評価法は実在します。後ほど説明させていただきます。

痛みの評価項目

痛みの評価は、日常生活への影響、痛みのパターン、痛みの強さ、痛みの部位、痛みの経過、痛みの性状、痛みの増悪因子・軽快因子、現在行っている治療の反応、レスキュー・ドーズの効果と副作用に分けて行っていきます。

がん性疼痛の評価については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【がん性疼痛の評価方法についての記事はこちらから

痛みの客観的な評価方法

上述させて頂いた通り、痛みを客観的に評価することは、かなり難しいと思います。しかし、客観的に評価することができれば、患者の負担も抑えることが可能であり、全身状態に関係なく評価することが可能となります。

そこで注目したいのが、英国で開発された評価尺度:Support Team Assessment Schedule(STAS)の日本語版になります。

STAS-J(STAS日本語版)

  1. 「痛みのコントロール」
  2. 「症状が患者に及ぼす影響」
  3. 「患者の不安」
  4. 「家族の不安」
  5. 「患者の病状認識」
  6. 「家族の病状認識」
  7. 「患者と家族のコミュニケーション」
  8. 「医療専門職種間のコミュニケーション」
  9. 「患者・家族に対する医療専門職とのコミュニケーション」

上記9項目を医療者が0~4の5段階で評価します。医療者が評価するところも痛みの評価の中では特異的です。

もともとはclinical audit(臨床監査)のためのツールとして開発されたものであり、患者に負担をかけずに評価を行うことができるという利点があります。

STAS-Jの評価表やマニュアルについては、日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団のホームページに分かりやすくまとまっておりましたので、リンクを貼らせて頂きます☺

いたみの教科書 「疼痛医学」ダイジェスト版 [ 一般財団法人 日本いたみ財団 ]

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痛み(疼痛)の評価:強さや程度

患者の感じる痛みの強さを知ることは重要であり、特定の指標を使用することで、患者も医療者も、痛みの程度を情報として共有することができます。1人の患者の痛みの推移を追跡することで、治療効果がわかりますが、他者と痛みの強さを比べることはできません。

Visual Analogue Scale(VAS)

長さ10cmの黒い線(左端が「痛みなし」、右端が「想像できる最大の痛み」)を患者さんに見せて、現在の痛みがどの程度かを指し示す視覚的なスケールです。

Numerical Rating Scale(NRS)

0が痛みなし、10が想像できる最大の痛みとして、 0~10までの11段階に分けて、現在の痛みがどの程度かを指し示す段階的スケールになります。

Verbal Rating Scale(VRS)

痛みの強さを表す言葉を並べ、順位付けをして答えてもらう段階的スケールになります。認知機能が低下した患者でも使用可能であるところが利点です。回答を得やすい反面、評価の詳細性に欠けるかもしれません。

Face Rating Scale(FRS)

現在の痛みに一番合う顔を選んでもらうことで痛みを評価するものであり、3歳以上の小児の痛みの自己評価において有用性が報告されています。しかし、痛み以外の気分を反映する可能性や段階が少なく痛みを詳細に評価できない可能性があることなどが指摘されています。

VAS、NRS、VRS、FRSの評価法をまとめた用紙をダウンロードできるようにしておきました。必要な方はこちらからどうぞ☺

簡易疼痛質問票(BPI:brief pain inventory)

もともとがん性疼痛の評価のために作成された評価ですが、他の疾患でも使用されるようになりました。痛みの程度や、痛みにより障害される気分や行動について10 段階で評価します。

簡易疼痛質問票の評価表をダウンロードできるようにしておきました!

評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺

その他の方法

痛みの評価は上述した評価スケールを使わないと評価できない訳ではありません。評価スケールに頼らず多角的な視点から痛みを評価するのもいいと思います。下記に例を示します。

  • 痛みの部位、持続時間の変化
  • 「楽になった」のような発言(言葉)
  • 表情の変化
  • 痛みを示す行動、姿勢、態度の変化
  • 痛みによりそれまでできなかった動作ができるようになる

こちらの記事では紹介できませんでしたが、慢性疼痛の評価法として、疼痛生活障害評価尺度(PDAS)というものがございます。このテーマについては、他の記事で詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【疼痛生活障害評価尺度(PDAS)についての記事はこちらから

まとめ

最後までお読み頂きありがとうございます!

この記事では、痛みの評価スケールについてまとめさせて頂きました!

解説した通り、痛みの評価スケールはいくつかありますが、この評価スケールが特別優れているというものは特にないと思います。

痛みに苦しむ方にとって、痛みのことを聞かれるということは苦痛を助長させる可能性があります。そのため、その対象者に合わせて速やかに評価できるものをチョイスするべきです。

そのため、各評価表を日頃から準備して、評価すべきタイミングが来た時に速やかに提示できるような立ち振る舞いが私たちには必要なのではないでしょうか。

近年、慢性疼痛の改善方法の1つとして運動療法に効果があるとされ注目されています。このテーマについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【EIH(疼痛抑制効果)についてについての記事はこちらから

参考文献

  1. 安藤正志.理学療法における痛みの評価.理学療法科学.2000年,第15巻,第3号,p63-72.
  2. 濱口眞輔.痛みの評価法.日臨麻会誌.2011,Vol.31,No.4,p560-569.
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