- FIMとは|18項目の採点方法・評価ポイント・点数の見方
- FIMの18項目|運動13項目と認知5項目
- FIMの採点基準|最初に人的関与の有無を確認する
- FIMの5点と6点の違い|人的関与が必要なら5点
- FIMの18項目|評価内容と採点ポイント
- 採点が難しい運動項目の判断ポイント
- 認知FIM5項目|支援の程度・頻度から採点する
- FIMで混同しやすい項目の違い
- FIMは最大能力ではなく普段の「しているADL」で評価する
- FIM合計点の見方|運動・認知・低得点項目に分ける
- FIMとBIの違い|詳細な介助量か基本ADLの概要か
- 低得点項目から追加評価とアプローチを考える
- FIM記録|点数と採点根拠をセットで残す
- FIM記録補助シート(PDF)
- FIM採点でよくある失敗と回避方法
- FIMでよくある質問
- FIMとADL評価を体系的に学びたい方へ|おすすめ本
- 次に確認したい関連記事
- まとめ|FIMは18項目の対象範囲と介助内容を分けて採点する
- 参考文献
- 著者情報
FIMとは|18項目の採点方法・評価ポイント・点数の見方
FIM(Functional Independence Measure/機能的自立度評価法)は、普段の生活場面で必要となる介助量を、18項目・7段階で整理するADL評価尺度です。運動13項目に加えて、理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶の認知5項目も評価します。
採点の基本は、最初に介助者の関与が必要かを確認することです。他者の関与がなければ7点または6点、見守り・準備・声かけなどの人的関与が必要なら5点、身体介助が必要な運動項目では4〜1点を検討します。ただし、排泄管理、移動、階段、認知項目には個別の判断軸があります。
本記事では、FIMの全体像に加えて、食事・整容・清拭・更衣・トイレ動作・排泄管理・移動・階段などの運動項目と、採点が難しい認知5項目について、何を評価し、どこで介助を得点へ反映するかを整理します。

評価尺度を目的別に探したい方へ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 普段のADLに必要な介助量を共通言語化し、経時変化、介入方針、多職種連携、退院支援に活用する。 |
| 構成 | 運動13項目と認知5項目の合計18項目。 |
| 運動FIM | 13項目・13〜91点。セルフケア、排泄管理、移乗、移動に必要な介助量を確認する。 |
| 認知FIM | 5項目・5〜35点。コミュニケーションと社会的認知に必要な支援を確認する。 |
| 合計点 | 各項目1〜7点で、合計18〜126点。 |
| 評価の原則 | 訓練場面で一度できた最大能力ではなく、自宅や病棟などで普段行っているADLと必要な介助を確認する。 |
| 解釈 | 合計点だけでなく、運動・認知の小計、低得点項目、採点根拠、評価場面を確認する。 |
FIMの18項目|運動13項目と認知5項目
FIMは、運動13項目と認知5項目の計18項目で構成されます。運動項目ではセルフケア、排泄管理、移乗、移動を確認し、認知項目ではコミュニケーションと社会的認知に必要な支援を評価します。
| 領域 | 評価項目 | 得点範囲 |
|---|---|---|
| セルフケア | 食事、整容、清拭、更衣上半身、更衣下半身、トイレ動作 | 6〜42点 |
| 排泄管理 | 排尿管理、排便管理 | 2〜14点 |
| 移乗 | ベッド・椅子・車椅子、トイレ、浴槽・シャワー | 3〜21点 |
| 移動 | 歩行または車椅子、階段 | 2〜14点 |
| コミュニケーション | 理解、表出 | 2〜14点 |
| 社会的認知 | 社会的交流、問題解決、記憶 | 3〜21点 |
同じ7段階でも、運動項目と認知項目では採点の判断軸が異なります。運動項目では補助具、準備、見守り、身体介助、本人が担った動作量などを確認します。認知項目では、日常生活を成立させるために必要な促し、修正、介入、手掛かりの程度や頻度を確認します。
FIMの採点基準|最初に人的関与の有無を確認する
FIMを採点するときは、最初に動作を成立させるための人的関与が必要かを確認します。補助具を使っているかだけではなく、準備から終了まで他者が関与しているかを見ます。

- 人的関与が不要:7点または6点を検討する
- 見守り・準備・声かけなどが必要:5点を検討する
- 身体介助が必要な運動項目:本人が担った動作量から4〜1点を検討する
- 項目固有の条件がある:排泄管理、移動、階段、認知項目などは正式な個別規則を確認する
| 点数 | 区分 | 運動項目における基本的な判断 |
|---|---|---|
| 7点 | 完全自立 | 補助具、時間延長、安全上の配慮、人的関与を必要とせず実施する。 |
| 6点 | 修正自立 | 補助具、装具、通常以上の時間、安全上の配慮などは必要だが、他者の関与なしで実施する。 |
| 5点 | 監視・準備 | 身体介助は不要だが、見守り、声かけ、促し、物品準備などの人的関与を必要とする。 |
| 4点 | 最小介助 | 身体介助が必要だが、本人が動作の75%以上を実施する。 |
| 3点 | 中等度介助 | 身体介助が必要で、本人が動作の50〜74%を実施する。 |
| 2点 | 最大介助 | 身体介助が必要で、本人が動作の25〜49%を実施する。 |
| 1点 | 全介助 | 本人の実施が25%未満、または動作の大部分を介助者が行う。 |
介助割合だけで全18項目を採点しない
75%・50%・25%という区分は、主に運動項目で身体介助量を整理するときの基本的な目安です。認知項目では、理解や行動を成立させるために必要な促し・修正・支援の程度や頻度を確認します。排尿・排便管理、歩行・車椅子、階段などにも項目固有の採点条件があります。
正式な採点には公式教材・講習会を使用してください
FIM®はUDSMRが開発した評価ツールです。本記事は、全体像、評価対象、臨床上の観察ポイントを整理するものであり、公式マニュアルや認定教材を代替するものではありません。項目固有の採点条件や判断に迷う事例は、FIM version 3.0の正式教材、講習会、所属施設の運用基準を確認してください。
FIMの5点と6点の違い|人的関与が必要なら5点
5点と6点を分ける基本は、動作を成立させるために他者が関与しているかどうかです。
| 点数 | 人的関与 | 主な状態 |
|---|---|---|
| 6点 | 不要 | 補助具、装具、自助具、通常以上の時間、安全への配慮などは必要だが、本人だけで完結する。 |
| 5点 | 必要 | 見守り、声かけ、促し、物品の準備、動作前の環境設定などがなければ成立しない。 |
身体へ触れていなくても、毎回の見守りや声かけが必要なら5点を検討します。一方、杖や歩行器、自助具を使用していても、本人が準備から終了まで他者の関与なしで行える場合は6点を検討します。
5点の判断を詳しく確認したい場合は、FIM 5点(監視・準備)の判定ポイントを参照してください。
FIMの18項目|評価内容と採点ポイント
FIMでは、項目ごとに採点対象となる動作範囲を区別します。同じ排泄場面でも、トイレ動作、トイレ移乗、排尿・排便管理は別項目です。以下は正式な採点表の転載ではなく、各項目で何を観察し、どのような関与を記録するかをまとめたものです。
| 項目 | 主に評価する内容 | 採点・記録のポイント |
|---|---|---|
| 食事 | 食事が提供された場面で、食物を口へ運び、咀嚼・嚥下して食べる一連の動作 | 食具、自助具、容器の開閉、配膳後の準備、食形態、食事中の介助、経管栄養の併用を確認する。 |
| 整容 | 口腔ケア、整髪、洗顔、手洗い、ひげそり・化粧など、普段行う身だしなみ | 物品準備、複数活動の実施割合、習慣として行っている活動、自助具や電動機器の必要性を確認する。 |
| 清拭 | 入浴場面で対象となる身体部位を洗い、流し、拭く動作 | 洗う動作だけで判断せず、流す・拭くまで含めた全体の介助量、シャワーチェア、滑り止め、安全管理を確認する。 |
| 更衣上半身 | 社会生活上必要な上衣と、必要な装具などの着脱 | 衣服の準備、前後の判断、袖通し、留め具、着衣・脱衣、装具管理を確認する。 |
| 更衣下半身 | 下着、ズボン、靴下、靴などの着脱 | 衣類ごとの実施割合、足部への到達、衣服の引き上げ、立位中の介助、装具の着脱を確認する。 |
| トイレ動作 | 排泄前後の下衣操作と清拭 | 下衣を下げる、清拭する、下衣を上げる工程を確認する。トイレまでの移動、便器への移乗、排泄コントロールとは分ける。 |
| 排尿管理 | 排尿のコントロール、失敗、器具・パッド・カテーテル等の管理 | 失敗頻度、器具管理、交換、後始末、援助要請、薬剤や処置を確認し、項目固有の規則に従う。 |
| 排便管理 | 排便のコントロール、失敗、薬剤・処置・器具の管理 | 失敗頻度、下剤や浣腸などの管理、器具・人工肛門の管理、介助者の関与を確認する。 |
| ベッド・椅子・車椅子移乗 | ベッドから起き、椅子や車椅子などへ乗り移る一連の動作 | 起き上がり、立ち上がり、方向転換、着座、車椅子設定、ルート管理を確認する。起き上がりだけの独立項目ではない。 |
| トイレ移乗 | 便器やポータブルトイレへの乗り移り | 便器への接近後の移乗を確認し、トイレまでの移動や衣服操作とは分ける。手すりや便座の高さも記録する。 |
| 浴槽・シャワー移乗 | 浴槽、シャワーチェアなどへの乗り移り | 浴槽縁、段差、濡れた床、手すり、シャワーチェア、機械浴など、普段使用する入浴方法で評価する。 |
| 歩行・車椅子 | 普段の主な移動手段による平地移動 | 主な移動手段、距離、補助具、車椅子準備、方向転換、点滴等の管理、見守り・身体介助を確認する。 |
| 階段 | 日常生活で必要となる階段昇降 | 段数、手すり、補助具、昇降方法、見守り、身体介助を確認し、正式な距離・段数条件に従う。 |
| 理解 | 日常生活で必要な音声・非音声情報の意味を理解すること | 基本的・複雑な内容、繰り返し、言い換え、筆談、補聴器、覚醒状態、支援頻度を確認する。 |
| 表出 | 欲求、考え、必要な情報を音声または非音声で相手へ伝えること | 基本的・複雑な内容、聞き返し、推測、筆談、文字盤、人工喉頭などの伝達手段と支援頻度を確認する。 |
| 社会的交流 | 他者と適切に関わり、感情や行動を調整すること | 交流回数ではなく、介入なしで適切な関係を保てるかを見る。不適切行動、制止、環境調整、薬剤を確認する。 |
| 問題解決 | 生活上の問題を認識し、判断・計画・修正・援助要請によって対処すること | 簡単な課題と複雑な課題、安全判断、服薬管理、金銭・予定管理、支援の程度と頻度を確認する。 |
| 記憶 | 日常生活に必要な人物、日課、依頼などを保持し、必要な場面で想起すること | 予定、依頼の実行、人物、日課、外的手掛かり、メモやアラーム、促しの頻度を確認する。 |
採点が難しい運動項目の判断ポイント
運動項目では、採点対象となる工程の範囲と、人的関与が入った時点を明確にします。似た場面を別項目へ重複して反映しないことも重要です。
食事|配膳後の食事動作と介助を確認する
食事では、食事が提供された場面で、食物を口へ運び、咀嚼・嚥下して食べるまでの一連の状態を確認します。
- 食具や自助具を本人だけで扱えるか
- 容器や包装を開ける準備が必要か
- 配膳後に食物を切る、とろみを付けるなどの介助が必要か
- 食事中の見守りや姿勢調整が必要か
- 途中から介助食へ変わるなど、食事中に介助量が変化するか
- 経口摂取と経管栄養など、異なる方法が併用されているか
あらかじめ提供された食形態と、配膳後に介助者が食べやすく調整する行為は分けて考えます。義歯、自助具、食形態、時間延長があるだけで人的関与が必要とは限りませんが、本人のために毎回準備する行為があれば5点以下を検討します。
記録例:「刻み食と太柄スプーンを使用。配膳後の準備は不要で自己摂取可能。通常より時間を要する。」
整容・清拭|複数の活動・工程を全体で評価する
整容は、普段行っている口腔ケア、整髪、洗顔、手洗い、ひげそり・化粧などをまとめて確認します。本人に習慣がない活動を、単純に全介助として追加しないようにします。
清拭では、身体を洗う工程だけでなく、流す・拭くまで含めた一連の入浴動作を確認します。洗体が自立していても、シャワーヘッドの操作や身体を拭く工程に身体介助が入れば、動作全体の介助量として判断します。
| 項目 | 確認すること | よくある誤り |
|---|---|---|
| 整容 | 複数の身だしなみ活動に必要な準備、実施量、自助具、声かけ | 歯磨きだけ、洗顔だけの状態から項目全体を決める |
| 清拭 | 洗う、流す、拭く動作と、安全に入浴するための介助 | 洗体できるという理由だけで自立と判断する |
記録例:「洗体は自立。背部を除く対象部位を洗えるが、シャワーヘッド操作と身体を拭く工程に介助を要する。」
更衣上半身・下半身|衣類ごとの実施量を統合する
更衣では、本人が普段着用する社会生活上適切な衣服を対象に、着衣と脱衣、必要な装具の着脱を確認します。
- 上衣、下着、ズボン、靴下、靴など、衣類ごとの実施状況
- 衣服の準備や前後の判断に人的関与が必要か
- 袖通し、留め具、衣服の引き上げに身体介助が必要か
- 更衣中の姿勢保持や体幹支持に介助が必要か
- 装具を生活場面で実際に使用しているか
衣類によって介助量が異なる場合は、一番難しい衣類だけで決めず、採点対象となる衣類全体で本人が担った割合を整理します。訓練時だけ使用する装具や、訓練室だけで行う更衣は「しているADL」へそのまま反映しません。
記録例:「上衣は自立。下衣は下着・ズボンの着脱は自立、靴下と靴に半介助を要する。」
トイレ動作と排泄管理|同じ排泄場面でも分けて採点する
トイレ動作は衣服操作と清拭、排泄管理は排尿・排便のコントロールと器具管理です。便器への乗り移りはトイレ移乗、トイレまでの移動は歩行・車椅子で評価します。
| 項目 | 評価する内容 | 含めない内容 |
|---|---|---|
| トイレ動作 | 下衣を下げる、排泄後に清拭する、下衣を上げる | トイレまでの移動、便器への移乗、失禁頻度 |
| トイレ移乗 | 便器やポータブルトイレへ乗り移る | 衣服操作、清拭、トイレまでの移動 |
| 排尿管理 | 排尿コントロール、失敗、パッド・器具・処置の管理 | 便器への移乗、通常の衣服操作 |
| 排便管理 | 排便コントロール、失敗、薬剤・処置・器具の管理 | 便器への移乗、通常の衣服操作 |
トイレ動作では、下衣を下げる、清拭する、下衣を上げる各工程の介助量を確認します。清拭後に介助者が拭き残しを確認する、パッド位置を修正するなど、身体へ手を出す関与があれば、単なる見守りではなく身体介助として検討します。
排尿・排便管理では、失敗の頻度だけでなく、パッド、オムツ、尿器、カテーテル、人工肛門、薬剤、処置などの管理と、交換や後始末を本人が行えるかを確認します。
記録例:「トイレ移乗は手すり使用で自立。下衣操作は自立だが、排泄後の清拭確認に身体介助を要する。夜間はパッド交換を看護師へ依頼。」
移乗・移動・階段|対象動作と固有条件を確認する
移乗は支持面から別の支持面へ乗り移る動作を評価します。ベッド・椅子・車椅子移乗には、起き上がりを含む一連の動作が関係しますが、起き上がりだけを独立して採点する項目ではありません。
歩行・車椅子では、訓練室での最大距離ではなく、病棟や生活場面で普段使用している主な移動手段を確認します。規定距離、補助具、車椅子準備、点滴スタンドなどの管理には個別の規則があります。
階段では、昇降できるかだけでなく、段数、手すり、補助具、見守り、身体介助を確認します。訓練用の少ない段数だけで高得点とせず、正式な採点条件に従います。
| 項目 | 主な確認点 | よくある誤り |
|---|---|---|
| 移乗 | 起き上がり、立ち上がり、方向転換、着座、動作中のルート管理 | 立ち上がれることだけで移乗全体を自立とする |
| 歩行・車椅子 | 主な移動手段、距離、補助具、準備、見守り、身体介助 | 訓練室の最大歩行能力だけで採点する |
| 階段 | 段数、手すり、補助具、昇降方法、見守り、身体介助 | 数段の練習結果だけで通常の階段昇降とみなす |
記録例:「病棟では歩行器を使用して主な移動を行う。方向転換時に見守りを要し、長距離は車椅子を併用。訓練室では杖歩行可能。」
認知FIM5項目|支援の程度・頻度から採点する
認知FIMでは、身体動作の実施割合ではなく、日常生活を成立させるために必要な支援の程度や頻度を確認します。一度の会話や検査場面だけで決めず、病棟生活、訓練、食事、服薬、対人交流など複数場面の情報を統合します。
| 項目 | 何を評価するか | 支援として確認すること | 混同しやすい項目 |
|---|---|---|---|
| 理解 | 音声・非音声で伝えられた日常生活上の情報の意味を理解できるか | 繰り返し、言い換え、簡略化、筆談、大きな声、補聴器、注意の誘導 | 内容を理解したあとに忘れる場合は記憶を検討する |
| 表出 | 欲求や考えを、相手が理解できる形で伝えられるか | 聞き返し、推測、選択肢の提示、文字盤、筆談、人工喉頭、伝達内容の確認 | 伝える内容は明確でも対人行動が不適切なら社会的交流を検討する |
| 社会的交流 | 他者と適切に関わり、感情・行動を調整できるか | 制止、仲介、環境調整、不適切行動への介入、薬剤、周囲への配慮 | 自発的に交流しないだけで減点せず、必要場面での介助量を見る |
| 問題解決 | 生活上の問題を認識し、安全な判断、計画、修正、援助要請ができるか | 危険回避、服薬・金銭・予定管理、行動の修正、援助を求めるための促し | 必要な行動を理解しているが実行を忘れる場合は記憶を検討する |
| 記憶 | 日常生活に必要な人物、日課、依頼を保持して想起できるか | 予定の再提示、人物や場所の確認、メモ、アラーム、日課の声かけ、依頼の再確認 | 情報の意味そのものが分からない場合は理解を検討する |
理解と表出|伝わった結果だけでなく支援過程を見る
理解では、本人が返答したかではなく、伝えられた内容の意味を理解できたかを確認します。簡単な日常会話と、治療内容や予定変更などの複雑な情報を分け、繰り返しや言い換えがどの程度必要かを記録します。
表出では、発話の有無ではなく、本人の欲求や考えが相手へ伝わるかを確認します。聞き手が毎回内容を推測する、選択肢を提示する、文字盤を準備するなどの関与が必要な場合は、その支援を反映します。
社会的交流|交流量ではなく介助量を評価する
社会的交流では、会話や交流の回数が少ないという理由だけで減点しません。内向的であっても、必要な場面で適切に関われれば自立を検討します。
一方、不適切な発言、感情調整の困難、他者への迷惑行為などに対して、制止、仲介、環境調整、薬剤などが必要な場合は、生活全体での関与頻度を確認します。
問題解決と記憶|判断できないのか、忘れているのかを分ける
問題解決は、生活上の問題に気づき、安全な方法を選び、必要に応じて他者へ援助を求められるかを確認します。本人がすべて実行できなくても、状況を判断して適切に援助要請できれば、その能力を考慮します。
記憶は、人物、日課、依頼など、日常生活に必要な情報を保持して実行できるかを確認します。服薬を例にすると、薬の管理方法を判断できない場合は問題解決、服用すること自体を忘れて毎回声かけが必要な場合は記憶の問題として整理します。
認知FIMはチームで採点する
認知項目は、評価者と会話した一場面だけでは判断できません。看護師が把握する病棟生活、PT・OTが確認する移動やセルフケア、STが確認するコミュニケーション、介護職が把握する日常行動などを統合し、生活全体で必要な支援を採点します。
FIMで混同しやすい項目の違い
同じ生活場面に複数のFIM項目が関係しても、それぞれの採点対象を分けて判断します。
| 組み合わせ | 区別するポイント |
|---|---|
| トイレ動作/トイレ移乗 | 衣服操作・清拭をみるか、便器への乗り移りをみるか。 |
| トイレ動作/排尿・排便管理 | 排泄前後の衣服・清拭をみるか、失敗や器具・処置の管理をみるか。 |
| ベッド移乗/歩行・車椅子 | 支持面間の乗り移りをみるか、場所から場所への移動をみるか。 |
| 理解/記憶 | 情報の意味を理解できないのか、理解した情報を保持できないのか。 |
| 問題解決/記憶 | 適切な判断・対処方法を選べないのか、必要な行動を忘れているのか。 |
| 表出/社会的交流 | 内容を相手へ伝える能力か、対人場面で行動・感情を適切に調整する能力か。 |
| 問題解決/社会的交流 | 問題への判断・対応か、対人関係における行動の適切さか。 |
FIMは最大能力ではなく普段の「しているADL」で評価する
FIMでは、訓練室で一度だけできた最良の動作ではなく、自宅や病棟で通常必要となっている介助を評価します。
- 病棟で普段行っている動作と介助量
- 日中と夜間で介助量が異なるか
- 疲労や覚醒状態による日内変動
- 補助具・装具・環境設定が常に使用できるか
- 見守りや声かけが恒常的に必要か
- 訓練室と病棟で介助量が異なる理由
日内変動がある場合は、良い時間帯だけを取り出して採点しません。ただし、移動手段など項目によって扱いが異なるため、単純に全項目で最低点を採用するのではなく、正式な一般原則と個別規則を確認します。
一人の評価者が全18項目を単独で決める必要はありません。食事、排泄、夜間の状態、移動、コミュニケーションなど、実際の生活場面を把握している職種から情報を集め、評価場面と採点根拠をそろえます。
FIM合計点の見方|運動・認知・低得点項目に分ける
FIMの合計点はADL全体の介助量を示しますが、同じ合計点でも必要な支援内容は異なります。
移乗や階段が低い場合と、問題解決や記憶が低い場合では、必要な環境調整、家族支援、安全管理、多職種連携が異なります。合計点を確認した後は、運動FIM、認知FIM、領域別得点、低得点項目へ分けて解釈します。
| 確認する視点 | 見る内容 |
|---|---|
| 合計FIM | ADL全体の介助量と初回から再評価までの変化を確認する。 |
| 運動FIM | セルフケア、排泄、移乗、移動に必要な身体介助と人的関与を確認する。 |
| 認知FIM | 理解、表出、対人行動、判断、記憶に必要な支援を確認する。 |
| 低得点項目 | 介入や退院支援のボトルネックとなる生活場面を特定する。 |
| 採点根拠 | 補助具、準備、見守り、声かけ、身体介助が必要となった工程を確認する。 |
| 場面差 | 病棟、訓練室、昼夜、退院先環境による介助量の違いを確認する。 |
FIM利得とFIM効率
FIM利得は、退院時などのFIM得点から入院時得点を引いた変化量です。合計FIMだけでなく、運動FIMや認知FIMの利得を分けて確認する場合があります。
FIM効率は、FIM利得を在院日数などで割った期間あたりの変化です。ただし、入院期間、初期得点、疾患、年齢、退院先などの影響を受けるため、個人の改善や施設の質を単独で断定する指標として使用しません。
FIMとBIの違い|詳細な介助量か基本ADLの概要か
FIMとBI(Barthel Index)は、どちらもADLを整理する代表的な評価尺度です。主な違いは、項目数、採点段階、認知項目の有無です。
| 比較項目 | FIM | BI |
|---|---|---|
| 項目数 | 18項目 | 10項目 |
| 合計点 | 18〜126点 | 0〜100点 |
| 認知項目 | 理解、表出、社会的交流、問題解決、記憶を含む。 | 独立した認知項目は含まない。 |
| 介助量 | 7段階で細かく整理する。 | 項目ごとに定められた選択肢で整理する。 |
| 使い分け | 介助量や認知面を含め、詳細な経時変化を確認したい場合。 | 基本ADLの全体像を比較的短時間で把握したい場合。 |
FIMとBIは評価項目と採点方法が異なるため、点数を直接置き換えることはできません。評価目的、施設の運用、必要な情報の細かさから選択します。
低得点項目から追加評価とアプローチを考える
FIMでは、点数だけで介入内容を決めず、どの工程で、なぜ介助が必要になったかを確認します。身体機能だけでなく、認知機能、環境、補助具、介助方法、生活時間帯も含めて整理します。
| 領域 | 主な追加評価 | アプローチの方向 |
|---|---|---|
| セルフケア | 上肢・手指機能、感覚、姿勢、バランス、嚥下、認知機能、動作手順、物品配置 | 工程練習、自助具、座位化、物品配置、衣服・食具の変更、手順の単純化 |
| 排泄管理 | 排泄パターン、認知、移動能力、薬剤、器具管理、援助要請、夜間の状態 | 排泄スケジュール、器具変更、動線調整、看護師・医師との連携、家族指導 |
| 移乗 | 下肢・体幹機能、起居動作、バランス、支持物、座面高、介助者の方法 | 介助工程の練習、手すり、座面高調整、移乗補助具、介助方法の統一 |
| 移動 | 歩行、車椅子、持久力、注意、視野、補助具、生活経路、階段環境 | 主な移動手段の選択、経路練習、補助具、車椅子設定、段差・階段調整 |
| コミュニケーション | 聴覚、視覚、覚醒、失語、構音、注意、情報量、伝達手段 | 短文化、情報量調整、文字・絵・機器、伝達方法の統一、STとの連携 |
| 社会的認知 | 注意、記憶、遂行機能、病識、気分、行動、危険認識、生活環境 | 外的手掛かり、環境構造化、リスク管理、日課の固定、家族指導、多職種連携 |
たとえば移乗が4点でも、起き上がり、立ち上がり、方向転換、着座のどこに介助が入るかによって、必要な評価と介入は変わります。「移乗4点」だけで終わらせず、介助が入った工程を記録します。
FIM記録|点数と採点根拠をセットで残す
評価者間のばらつきを減らすには、点数だけでなく、評価場面、使用物品、人的関与、介助工程を記録します。
| 記録項目 | 記録例 |
|---|---|
| 評価場面 | 病棟での朝の更衣、食事、トイレ、夜間、訓練室など。 |
| 使用物品 | 杖、歩行器、車椅子、手すり、装具、自助具、文字盤など。 |
| 人的関与 | 物品準備、見守り、声かけ、促し、修正、身体介助の有無。 |
| 介助工程 | 立ち上がり、方向転換、着座、下衣操作、清拭、手順確認など。 |
| 安全面 | ふらつき、転倒、誤嚥、誤操作、危険判断、行動面の問題など。 |
| 場面差 | 病棟では見守り、訓練室では自立など、環境や時間帯による違い。 |
| 情報源 | 本人、PT、OT、ST、看護師、介護職、家族など。 |
FIMの記録例
記録例
FIM合計82/126点(運動58/91点、認知24/35点)。病棟での普段のADLを多職種で確認。ベッド・車椅子移乗は、立ち上がり時に骨盤前方移動を軽介助し、方向転換・着座は自力。トイレ動作は下衣操作自立、清拭後の確認に介助を要する。理解は短い日常会話で成立するが、治療予定の変更には言い換えと反復が必要。
FIM記録補助シート(PDF)
FIMの点数と採点根拠を整理できるように、A4印刷用の記録補助シートを用意しています。評価場面、補助具、見守り、声かけ、身体介助などを記録し、カンファレンス前の情報整理や再評価時の比較に使用できます。
利用時の注意:このPDFは臨床記録を補助するための自作シートです。公式評価用紙、公式マニュアル、認定教材の代替ではありません。正式な採点基準と施設の運用ルールに沿って使用してください。
PDFプレビューを表示する
FIM採点でよくある失敗と回避方法
| よくある失敗 | 問題点 | 回避策 |
|---|---|---|
| 5点と6点を混同する | 身体介助がないことだけで6点と判断する。 | 見守り、声かけ、促し、準備など、人的関与の有無を確認する。 |
| 最大能力で採点する | 訓練室で可能な動作と、普段行っている動作が混在する。 | 病棟・自宅で通常必要な介助を確認し、最大能力は別に記録する。 |
| 全項目を介助割合だけで採点する | 排泄管理、移動、階段、認知項目の個別規則を見落とす。 | 一般的な7段階構造に加えて、項目固有の採点基準を確認する。 |
| 似た項目を重複して減点する | 排泄やコミュニケーションの同じ問題を複数項目へ誤って反映する。 | 各項目の採点対象を分け、どの能力・工程の問題かを確認する。 |
| 日中の良い状態だけで決める | 夜間や疲労時に必要な介助が反映されない。 | 日内変動を確認し、一般原則と項目固有の規則に従う。 |
| 認知項目を一場面で決める | 生活全体で必要な支援頻度を反映できない。 | 複数職種・複数場面の情報を統合して採点する。 |
| 合計点だけを共有する | 介入・退院支援のボトルネックとなる項目を見落とす。 | 運動・認知の小計、低得点項目、介助工程を共有する。 |
| 採点根拠を残さない | 再評価時や評価者変更時に同じ基準で比較できない。 | 評価場面、補助具、人的関与、介助工程を短く記録する。 |
FIMでよくある質問
各項目をタップすると回答が開きます。
FIMは何点満点ですか?
18項目を各1〜7点で採点し、合計18〜126点です。運動FIMは13〜91点、認知FIMは5〜35点です。
FIMは「できるADL」と「しているADL」のどちらで採点しますか?
自宅や病棟などの普段の生活場面で、実際にどの程度の介助を必要としているかを評価します。訓練室での最大能力は別の情報として記録してください。
FIMの5点と6点の違いは何ですか?
5点では見守り、声かけ、促し、準備などの人的関与が必要です。6点では補助具、装具、時間延長などがあっても、他者の関与なしで動作が完結します。
FIMの4点、3点、2点、1点はどう判断しますか?
身体介助が必要な運動項目では、本人が動作全体のどの程度を担っているかを確認します。基本的な目安は、4点が75%以上、3点が50〜74%、2点が25〜49%、1点が25%未満です。ただし、項目固有の採点規則を優先してください。
認知FIMはどのように採点しますか?
理解、表出、社会的交流、問題解決、記憶を成立させるために必要な支援の程度や頻度を、生活全体から判断します。身体動作の介助割合だけでは採点しません。
階段を実施していない場合はどう採点しますか?
実施していないという理由だけで独自に点数を決めず、正式な採点基準と施設の運用を確認します。退院先で必要か、実施機会があるか、普段のADLとして確認できるかも記録してください。
FIMとADL評価を体系的に学びたい方へ|おすすめ本
FIMの採点基準を個別に覚えるだけでなく、ADL評価全体の考え方と介助方法まで整理すると、点数の背景を理解しやすくなります。ここでは、FIMを含むADL評価を学びたい方に向けて、役割の異なる2冊を紹介します。
まず読むなら|日常生活活動学実習テキスト
基本動作・応用動作の評価から、誘導、介助、指導までを実習形式で確認したい方に向いています。FIMやBIを単なる点数としてではなく、実際の動作観察と結び付けて学ぶ入口として使いやすい1冊です。
さらに深く学ぶなら|新版 日常生活活動(ADL)第2版
ADL評価だけでなく、生活動作への支援や臨床での考え方まで深く確認したい方に向いています。FIMの下位項目を介入方針や環境調整へつなげる視点を整理したい場合におすすめです。
選び方の目安:動作観察と介助方法から学びたい場合は「日常生活活動学実習テキスト」、評価から支援まで体系的に深めたい場合は「新版 日常生活活動(ADL)第2版」が向いています。
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まとめ|FIMは18項目の対象範囲と介助内容を分けて採点する
FIMは、運動13項目と認知5項目の計18項目を7段階で評価し、普段のADLに必要な介助量を整理する尺度です。運動FIMは13〜91点、認知FIMは5〜35点、合計は18〜126点です。
採点では、最初に人的関与の有無を確認します。他者の関与がなければ7点または6点、見守り・準備・声かけが必要なら5点、身体介助が必要な運動項目では4〜1点を検討します。ただし、排泄管理、移動、階段、認知項目では個別の採点規則を優先してください。
食事、整容、清拭、更衣、トイレ動作などでは、採点対象となる工程を明確にします。認知5項目では、理解、表出、社会的交流、問題解決、記憶の違いを整理し、生活全体で必要な支援の頻度を多職種で確認します。
参考文献
- Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The Functional Independence Measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6-18. PubMed.
- Ottenbacher KJ, Hsu Y, Granger CV, Fiedler RC. The reliability of the Functional Independence Measure: a quantitative review. Arch Phys Med Rehabil. 1996;77(12):1226-1232. doi:10.1016/S0003-9993(96)90184-7. PubMed.
- 厚生労働省. 日常生活動作(ADL)の指標 FIMの概要. 資料.
- 慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室. FIM 機能的自立度評価法. 公式ページ.
- リハビリテーション機能評価研究会. ADL評価法FIM講習会:FIMに関するFAQ. FAQ.
- Uniform Data System for Medical Rehabilitation. FIM® Instrument. 公式サイト.
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

