ロンベルグ試験のやり方と陽性の意味|判定フローと記録のコツ

評価
記事内に広告が含まれています。

ロンベルグ試験( Romberg )のやり方|陽性の意味と鑑別のコツ

ロンベルグ試験( Romberg )は、立位保持における固有感覚(後索)・前庭・視覚の寄与を、開眼と閉眼の差で推定するベッドサイド評価です。開眼で保てるのに閉眼で破綻する場合、視覚代償が外れた条件で入力不足が表面化している可能性を考えます。

本記事は手順( 30–60 秒)→ 判定と解釈 → 失敗回避 → 記録までを、再評価しやすい形で整理しています。

同ジャンルを最短で回遊(おすすめ)

評価ハブで全体像を確認する

関連:PT 評価の全体像(総論)
まず深掘り:静的バランス評価の使い分け(比較)

ロンベルグ試験とは

両足をそろえた立位で、開眼閉眼を比較し、閉眼で動揺が急増するかを観察します。評価の本質は「できた/できない」ではなく、条件差でどの入力が弱いかを推定する点にあります。

一方で、小脳性失調では開眼から不安定なことがあり、閉眼での差が小さいパターンを示すことがあります。単独で断定せず、協調性や眼振など周辺所見を合わせて判断します。

やり方(手順)| 30–60 秒で実施

再現性の要点は、足位・上肢位置・視線・見守り位置を固定することです。評価者は後方〜側方で転倒予防ができる位置を取ります。

ロンベルグ試験の標準手順(施設 SOP があれば優先)
手順 やること ポイント 目安時間
1 両足をそろえて立位(閉脚) 踵の位置と足先角度を固定する 準備
2 開眼で保持 体幹動揺、踏み出し、介助要否を観察 約 30 秒
3 閉眼で保持 揺れ急増、踏み出し、転倒傾向の有無を観察 約 30 秒(最大 60 秒)

判定と解釈|「陽性」の意味を 1 行で

陽性:開眼では保持できるのに、閉眼で著明な動揺・踏み出し・転倒傾向が出る状態です。

解釈:固有感覚(後索)や前庭入力の低下を示唆します。開眼から不安定な場合は小脳性失調などを疑い、追加所見で整理します。

ロンベルグ試験の判定フロー図。開始条件をそろえ、開眼と閉眼を比較し、陽性判定と記録6点、次アクションを示した図。
ロンベルグ試験 判定フロー(開眼→閉眼)
ロンベルグの見方(開眼/閉眼の差で整理)
観察 示唆 次に追加しやすい確認
開眼は安定 → 閉眼で崩れる 固有感覚(後索)・前庭の関与 足底感覚、関節位置覚、頭部回旋での変化
開眼から不安定(閉眼でも同程度) 小脳性失調など 協調性検査、眼振、体幹失調の有無

現場の詰まりどころ|よくある失敗(無効試行)

結果のばらつきは、手技そのものより条件の不一致で起こることが多いです。先に固定項目を決めると、再評価の一致率が上がります。

失敗パターンと対策

ロンベルグ試験の失敗パターンと対策
よくある失敗 起きること 対策 記録に残す
足位が毎回違う 揺れ・保持時間が変動 閉脚の定義(踵接触/足先角度)を統一 足位
上肢位置がばらばら 代償で安定して見える 体側・腰当てなどをルール化 上肢位置
見守り位置・声かけが一定でない 注意配分で結果が変わる 見守り位置と声かけ方針を固定 見守り位置/介助量

安全管理|中止基準と注意点

転倒リスクがあるため、次の状況では中止または段階を下げる判断を優先します。

  • 開始時点で明らかなふらつきがあり介助を要する
  • 閉眼で急な踏み出し・転倒傾向が強い
  • めまい・悪心・強い恐怖心が出現する

記録のコツ|再評価できる 5 点セット

  • 足位(閉脚の定義)
  • 上肢位置/視線
  • 開眼・閉眼の保持時間(上限 60 秒など)
  • 破綻の形(揺れ増大/踏み出し/介助)
  • 見守り位置・介助量

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

何秒できたら正常と考えますか?

臨床ではまず 30 秒を観察枠にし、必要に応じて最大 60 秒まで確認する運用が実践的です。重要なのは秒数の絶対値より、開眼と閉眼の差、そして破綻の形(踏み出し・介助要否)をそろえて比較することです。

閉眼で少し揺れるだけでも陽性ですか?

軽度の揺れは起こり得るため、臨床では「揺れの急増」「保持不能」「介助が必要」といった明確な差を重視します。軽い揺れのみで即陽性としない運用が、過判定を避けるうえで有効です。

小脳性失調との見分け方は?

小脳性失調では開眼から不安定なことが多く、閉眼での差が相対的に小さい場合があります。ロンベルグ単独で決めず、協調性検査や眼振などの周辺所見と合わせて判断してください。

高齢者では結果をどう解釈すればよいですか?

加齢に伴う感覚入力の低下で揺れが増えることはあります。単回判定よりも、同一条件での再評価、歩行・転倒歴・他バランステストとの合わせ読みで解釈すると実用的です。

最低限どこまで記録すれば再評価に使えますか?

足位、上肢位置、視線、保持時間、破綻様式、介助量の 6 点が最小セットです。ここが揃うと、担当者が変わっても比較しやすくなります。

次の一手

教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

無料チェックシートで職場環境を見える化

チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。


参考文献

  • Forbes J, et al. Romberg Test. StatPearls Publishing; 2023. NCBI Bookshelf.
  • Romberg Sign. Life in the Fast Lane ( LITFL ). 2025. Web.

著者情報

rehabilikun プロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

運営者について編集・引用ポリシーお問い合わせ

タイトルとURLをコピーしました