NDIとは?10項目・50点満点で頸部痛による生活障害を評価する
NDI(Neck Disability Index)は、頸部痛が日常生活へどの程度影響しているかを本人が回答する自己記入式の評価尺度です。10項目を各0〜5点で採点し、すべて回答した場合は0〜50点で評価します。点数が高いほど、頸部痛に関連する生活上の障害が大きいことを示します。
実際に迷いやすいのは、50点満点という基本よりも、未回答があるときの計算、日本語版の回答条件、再評価で何点変われば測定誤差を超えた変化と考えられるかです。この記事では設問全文は転載せず、NDIの点数計算、欠損対応、日本語版の注意点、再評価までを臨床で確認しやすい順に整理します。
NDIの要点
- 10項目、各0〜5点、合計0〜50点
- 点数が高いほど頸部痛に関連する障害が大きい
- 未回答を0点として計算しない
- 日本語版は「今の状態」に最も近い回答を選ぶ
- 日本語版NDI-JではMDC 6.8点が報告されている

NDIの点数計算|10項目を合計して0〜50点で評価する
NDIの採点は、10項目それぞれを0〜5点で評価し、その点数を合計します。10項目すべてに回答していれば最大50点で、点数が高いほど頸部痛に関連する障害が大きいと解釈します。
必要に応じて、合計点を0〜100%へ換算できます。10項目すべて回答している場合は、次の式で計算できます。
NDI(%)= 合計点 ÷ 50 × 100
| 合計点 | 計算 | %換算 |
|---|---|---|
| 10点 | 10 ÷ 50 × 100 | 20% |
| 18点 | 18 ÷ 50 × 100 | 36% |
| 20点 | 20 ÷ 50 × 100 | 40% |
| 25点 | 25 ÷ 50 × 100 | 50% |
再評価では、「18点から11点になった」のような合計点だけでなく、回答項目数や欠損の有無も確認します。前回と今回で分母が違えば、生の合計点だけを並べても正しく比較できないためです。
欠損があるときの計算|未回答を0点扱いしない
NDIで未回答項目がある場合は、未回答を0点として合計しません。0点はその項目で障害が小さいことを示す得点であり、未回答を0点にすると実際より低いスコアになる可能性があります。
回答済み項目で補正して%表示する場合は、次の式で計算します。
NDI(%)= 合計点 ÷(5 × 回答項目数)× 100
| 回答項目数 | 欠損数 | 分母 | %換算 |
|---|---|---|---|
| 10項目 | 0 | 50点 | 合計点 ÷ 50 × 100 |
| 9項目 | 1 | 45点 | 合計点 ÷ 45 × 100 |
| 8項目 | 2 | 40点 | 合計点 ÷ 40 × 100 |
| 7項目以下 | 3項目以上 | ― | 回答内容の再確認を優先 |
たとえば1項目が未回答で、残り9項目の合計が14点なら、14 ÷ 45 × 100=約31.1%です。2項目が未回答で、残り8項目の合計が12点なら、12 ÷ 40 × 100=30%となります。
欠損時の処理方法には複数の運用が報告されていますが、1〜2項目までの欠損を回答済み項目から補正する方法が用いられています。3項目以上が未回答の場合は、そのまま総得点を比較するより、まず回答できなかった理由や原票の記入状況を確認するほうが安全です。
欠損時の記録ポイント:「NDI 14点/9項目回答、1項目未回答」のように、合計点だけでなく回答項目数も残しておくと、再評価時の比較ミスを防ぎやすくなります。
日本語版NDIの実施|独自の想起期間を設定しない
公開されている日本語版NDIでは、各質問について「今の状態に一番近いもの」を選ぶよう示されています。そのため、NDI本来の回答条件として「過去1週間」「過去2週間」などの想起期間を独自に追加する必要はありません。
再評価では、新しい想起期間を設定することよりも、同じ日本語版を使用し、できるだけ同じ方法で回答してもらうことを優先します。自己記入が難しく、読み上げなどの支援を行った場合は、その事実も記録しておくと前回との条件差を確認しやすくなります。
| 確認項目 | 揃えたい内容 |
|---|---|
| 使用する版 | 初回と再評価で同じ日本語版を使用する |
| 回答条件 | 日本語版原票に沿って「今の状態」で回答する |
| 回答方法 | 自己記入か、読み上げなどの支援があったかを確認する |
| 欠損 | 未回答項目数と補正方法を記録する |
日本語版NDIは、原版を日本語へ翻訳・文化適応した版について信頼性・妥当性が検証されています。設問文は著作権で保護されているため、この記事では全文を転載していません。実際に使用するときは、公開されている日本語版原票と提供元の利用条件を確認してください。
NDIの点数の見方|現在の障害と前回からの変化を分けて読む
NDIを解釈するときは、現在の点数がどの程度かと、前回からどの程度変化したかを分けて考えます。点数区分だけを見て、疾患の重症度や治療の必要性を決める尺度ではありません。
| 合計点 | 障害の程度の目安 | 臨床で確認すること |
|---|---|---|
| 0〜4点 | 障害なし | NDIで捉えにくい個別の困りごとがないか確認する |
| 5〜14点 | 軽度 | どの活動で支障が出ているか確認する |
| 15〜24点 | 中等度 | 生活・仕事で制限されている活動を整理する |
| 25〜34点 | 重度 | 生活への影響が大きい項目と関連所見を確認する |
| 35〜50点 | 非常に大きい障害 | NDIだけで判断せず、他の臨床所見と合わせて評価する |
この区分はNDIの点数を整理するための目安です。診断基準、中止基準、受診基準ではありません。NDIが低得点でも神経学的異常などが否定されるわけではなく、高得点だから特定の疾患と診断できるわけでもありません。
日本語版NDI-JではMDC 6.8点が報告されている
日本語版NDI-Jの検証研究では、測定標準誤差(SEM)が2.9点、最小検知変化(MDC)が6.8点と報告されています。したがって、その研究対象と同様の頸部痛患者で経過をみる際には、約7点の変化が測定誤差を超えた変化かどうかを考える一つの目安になります。
たとえば18点から11点へ変化した場合は7点の改善です。点数だけを見るのではなく、前後で回答条件や欠損の有無が同じかを確認したうえで、実際の生活上の変化と合わせて解釈します。
MDCとMCIDは同じではありません。 MDCは測定誤差を超えた変化を考える指標であり、患者本人にとって意味のある改善量を直接示すMCIDとは区別して扱います。「7点変化した=必ず臨床的に改善した」と断定しないことが重要です。
NDIを使う場面|頸部痛による生活への影響を追う
NDIは、頸部痛が日常生活へどの程度影響しているかを標準化して把握し、経過を追いたい場面に向いています。痛みの強さだけではなく、生活上の障害を患者報告アウトカムとして確認できる点が特徴です。
| 観点 | NDIで確認できること | 注意点 |
|---|---|---|
| 初回評価 | 頸部痛に関連する生活障害の大きさ | 原因疾患を診断する検査ではない |
| 再評価 | 前回からの障害の変化 | 同じ版・回答方法・欠損条件を確認する |
| 患者説明 | 症状が生活へ与える影響を数値で共有できる | 合計点だけでなく実際の困りごとも確認する |
| 介入計画 | 支障が残っている生活領域を整理できる | 身体所見や個別活動の評価を併用する |
自己記入式尺度であるため、質問内容を理解して回答することが難しい場合は、その結果だけに依存しません。また、神経学的異常やその他の重要な臨床所見が疑われる場合は、NDIの点数とは別に必要な評価を行います。
NDIの再評価|間隔を一律に決めるより比較条件を揃える
NDIには、すべての症例に共通する「2週間ごと」「4週間ごと」といった再評価間隔が定められているわけではありません。再評価時期は症状や介入計画に合わせて決め、前回と比較できる条件を揃えることを優先します。
| 記録項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 評価日 | いつ実施した結果か |
| 使用した版 | 前回と同じ日本語版か |
| 回答項目数 | 欠損が何項目あったか |
| NDI得点 | 合計点と必要に応じた%換算 |
| 回答方法 | 自己記入か、支援があったか |
| 生活上の変化 | 点数の変化と実際の活動変化が一致しているか |
記録例|点数だけで終わらせない
記録は、次のように点数・回答条件・生活上の変化をまとめると、再評価時に比較しやすくなります。
記録例:NDI 18/50点 → 11/50点。7点改善。欠損なし。同一の日本語版を自己記入で実施。読書とデスクワーク時の支障も軽減。
逆に、「NDI 11点」のように合計点だけを残すと、前回と同じ条件だったのか、欠損があったのか、実際の生活がどう変わったのかを後から確認できません。NDIを介入へつなげるには、得点と実生活の変化を一緒に記録することがポイントです。
NDIだけで判断しない|痛み・神経所見・個別活動を補完する
NDIは頸部痛に関連する生活障害を評価する尺度であり、原因疾患を診断するための検査ではありません。そのため、NDIの点数だけで評価を完結させず、目的に応じて疼痛、神経学的所見、身体機能、患者本人が困っている活動を組み合わせます。
特に、NDIの固定された項目だけでは患者本人の最重要課題を十分に拾えない場合があります。たとえば「特定のスポーツ動作」「長時間のパソコン作業」「育児中の動作」など、患者固有の課題を追いたい場合は、個別活動を別に確認すると介入目標につなげやすくなります。
NDIでは、「点数が何点になったか」だけでなく、「何ができるようになったか」「何がまだ難しいか」まで確認して、再評価の結果を実生活へ落とし込みます。
NDIでよくある質問
各質問をタップすると回答を確認できます。
Q1. NDIは何点満点ですか?
10項目を各0〜5点で採点するため、すべて回答した場合は50点満点です。0〜50点で、点数が高いほど頸部痛に関連する生活上の障害が大きいことを示します。必要に応じて0〜100%へ換算できます。
Q2. NDIで1項目が未回答の場合はどう計算しますか?
未回答を0点にはしません。9項目に回答している場合は最大45点として、合計点÷45×100で%換算できます。2項目欠損なら最大40点です。3項目以上の欠損では、得点をそのまま比較する前に回答内容や使用条件を再確認します。
Q3. NDIは7点変われば改善と考えてよいですか?
日本語版NDI-Jの検証研究ではMDCが6.8点と報告されており、約7点は測定誤差を超えた変化を考える目安になります。ただし、MDCはMCIDとは異なります。7点変化したことだけで臨床的改善を断定せず、症状や実際の生活活動の変化と合わせて判断します。
次の一手|NDIを再評価まで使える形にする
NDIを使うときは、まず①10項目・50点満点、②未回答を0点にしない、③同じ日本語版・回答方法で比較する、④再評価では約7点の変化も確認する、の4点を押さえておくと採点と解釈が整理しやすくなります。
そのうえで、NDIの固定項目だけでは患者本人の重要な生活課題を拾いきれない場合は、個別活動を補完します。NDIを単独で完結させるのではなく、標準化された生活障害の評価と、患者固有の課題を役割分担すると臨床で使いやすくなります。
運動器PROMの使い分けを確認する
NDI・DASH・RDQ・ODI・PSFSなど、部位や目的に応じた選び方を整理しています。
患者固有の活動をPSFSで追う
NDIでは拾いにくい「本人が困っている活動」を個別に評価したい場合に確認できます。
参考文献
- Vernon H, Mior S. The Neck Disability Index: a study of reliability and validity. J Manipulative Physiol Ther. 1991;14(7):409-415. PubMed
- Vernon H. The Neck Disability Index: state-of-the-art, 1991-2008. J Manipulative Physiol Ther. 2008;31(7):491-502. doi:10.1016/j.jmpt.2008.08.006. PubMed
- Nakamaru K, Vernon H, Aizawa J, Koyama T, Nitta O. Crosscultural adaptation, reliability, and validity of the Japanese version of the Neck Disability Index. Spine (Phila Pa 1976). 2012;37(21):E1343-E1347. doi:10.1097/BRS.0b013e318267f7f5. PubMed
- Takeshita K, Hosono N, Kawaguchi Y, et al. Validity, reliability and responsiveness of the Japanese version of the Neck Disability Index. J Orthop Sci. 2013;18(1):14-21. doi:10.1007/s00776-012-0304-y. PubMed
- Joelson A, Fritzell P, Hägg O. Handling of missing items in the Oswestry disability index and the neck disability index: a study from Swespine, the National Swedish spine register. Eur Spine J. 2022;31:3484-3491. doi:10.1007/s00586-022-07425-2. PubMed
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

