TCT( Trunk Control Test )とは?体幹機能の評価手順と採点

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TCT( Trunk Control Test )とは?体幹機能を 4 動作で標準化する

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TCT( Trunk Control Test )は、寝返り・起き上がり・端座位保持といった「ベッドサイドの基本 4 動作」を、 0・12・25 点でそろえて評価する体幹機能テストです。短時間で実施できるため、急性期〜回復期の経時変化を “同じ条件” で追いやすいのが強みです。

一方で、点数は「できた/できない」の側面が強く、条件がズレると再現性が落ちやすい評価でもあります。本記事では、実施条件の固定、 12 点と 25 点の境界、記録の残し方まで、臨床でブレない運用に絞って整理します。

結論・早見(まずこれだけ)

TCT は「体幹の土台(寝返り・起き上がり・端座位保持)」を短時間で標準化するのに向きます。迷ったら、条件固定 → 迷ったら 12 点 → 代償を 1 行で所見化、の 3 点を守ると再評価が楽になります。

TCT の要点(対象:脳卒中など中枢疾患の体幹機能/単位:点)
項目 内容 臨床での使いどころ 注意点
所要時間 約 3〜5 分 初期評価・経時変化の追跡 条件がズレると点数が動きやすい
構成 寝返り 2 項目/起き上がり 1 項目/端座位保持 1 項目 ベッド上動作の “土台” をそろえる 代償(柵把持・シーツ牽引・上肢支持)を見落とさない
点数 各項目 0・12・25 点(合計 0〜100 点) 記録と再評価(点数+所見) 迷ったら 12 点に寄せて再現性を優先

TCT で見ているもの(何がわかる?)

TCT が拾いやすいのは、ベッド上での体幹コントロール(分節運動・支持性・協調)と、基本動作に必要な “最低限の体幹出力” です。歩行や ADL を直接測る尺度ではありませんが、初期に体幹の土台を点数化することで、介入の優先順位(起き上がりの分解・端座位の支持面づくり等)を決めやすくなります。

ただし、点数だけで予後を断定しないことが大切です。 TCT は「歩行の必要条件の一部」を見ているため、下肢筋力・感覚障害・注意障害・疲労や循環動態など、非体幹要因もセットで点検すると判断が安定します。

評価手順(準備 → 実施 → 記録)

1)準備(条件固定が 8 割)

再現性を上げるコツは、評価のたびに条件を固定することです。最低限、ベッド高さ、枕の有無、端座位の足部条件(床接地の可否)、柵やシーツを “使ってよいか” の扱いを、チームでそろえます。

2) 4 項目の実施(安全確保 → 観察)

各項目は「介助なしでできるか」「代償があるか」を観察し、 0・12・25 点で採点します。安全確保(転落・血圧変動・疼痛)を優先し、必要なら中止基準も事前に共有します。

3)記録(点数+ 1 行所見)

点数だけだと次回評価で迷いやすいので、「何を使って代償したか」を 1 行で残します(例:右上肢で柵把持/端座位で両手支持/体幹回旋が乏しい等)。この 1 行が介入の再現性を上げます。

採点( 0・12・25 点)と解釈

TCT は各項目を 3 段階で採点し、合計 0〜100 点です。迷いやすいのは 12 点と 25 点の境界で、「代償があるが遂行はできた」場合は 12 点に寄せると評価者間のブレを減らせます。

TCT の採点基準の整理(目安:迷ったら 12 点)
点数 意味 よくある代償(例) 記録のコツ
0 点 介助なしでは遂行困難 介助が必要/途中で崩れる どこで止まるか(開始・中盤・終盤)を残す
12 点 遂行できるが “正常ではない” 柵把持/シーツ牽引/上肢支持で保持 使った支持(柵・上肢・足部)を 1 行で所見化
25 点 代償が目立たず遂行できる 上肢に頼らず、動作がまとまる 左右差や速度など、次の介入ヒントだけ追記

現場の詰まりどころ(よくある失敗と対策)

TCT はシンプルな分、評価条件のズレが点数に直結します。特に「 12 点と 25 点の境界」「端座位で足を床に着ける扱い」「柵把持を “補助なし” と誤認」の 3 点がブレやすいポイントです。

TCT のよくある失敗( NG )と対策( OK )
NG(起きがち) なぜズレる? OK(そろえ方) 記録に残す一言
柵把持ありでも 25 点にする 代償の定義が曖昧 “支持を使った” 時点で 12 点に寄せる 「右上肢で柵把持」
端座位で足部条件が毎回違う 支持基底面が変わる 足部(床接地の可否)を固定して評価する 「足底接地あり/なし」
寝返りの “勢い” で合否を決める 質の観察が抜ける 体幹回旋・分節性・上肢依存を観察して採点 「体幹回旋乏しい」
点数だけ記録して所見がない 再評価で迷い、介入に繋がらない 点数+代償を 1 行で残す 「両手支持で 30 秒」

臨床での使いどころ:歩行・ ADL ・予後の読み方

TCT は、脳卒中後の運動機能評価の中でも「短時間で体幹の土台を数値化できる」点が評価され、歩行や機能転帰との関連が報告されています。たとえば、急性期〜亜急性期の TCT が、その後の歩行自立や ADL と関連することが示されています。

ただし、点数は万能ではありません。 TCT が高くても、感覚障害・注意障害・下肢筋力不足・起立耐性(循環)などで歩行が伸びないケースは普通にあります。点数の “意味” を外さないために、予後に使うときの落とし穴と追加評価は、別記事で具体化しています:TCT の落とし穴:歩行予後を点数だけで決めない

TCT 記録シート(転記しやすい形)

下の表は、電子カルテや紙に転記しやすい “記録の型” です。点数に加えて、代償(支持・把持・分節性)を 1 行で残す運用にすると、再評価と介入のつながりが良くなります。

TCT 記録テンプレ(点数+所見をセットで残す)
項目 点数( 0 / 12 / 25 ) 所見(代償・質) 安全・中止基準メモ
寝返り(麻痺側方向)      
寝返り(非麻痺側方向)      
起き上がり(背臥位 → 端座位)      
端座位保持( 30 秒の安定性)      
合計  / 100 点

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 12 点と 25 点の境界は、どう揃えればいいですか?

A. いちばん確実なのは「支持を使ったか」を基準にすることです。柵把持、シーツ牽引、端座位での手支持など、 “補助になる支持” が入ったら 12 点に寄せ、所見に何を使ったかを 1 行で残します。迷ったら 12 点に寄せる運用のほうが、評価者間の一致と経時変化の解釈が安定します。

Q2. 急性期でも実施して大丈夫ですか?

A. ベッドサイドで短時間に行えるため実施しやすい一方、急性期は循環動態・疼痛・意識レベルの変動が大きい時期です。転落リスク、起立性低血圧、強い疼痛などがあれば中止基準を優先し、可能な範囲で “同じ条件” を固定して評価します。

Q3. TCT だけで歩行予後を決めていいですか?

A. 決め打ちは避けたほうが安全です。 TCT は歩行の土台となる体幹の一部を見ていますが、下肢筋力・感覚・注意障害・疲労・循環などの非体幹要因も強く影響します。点数は “判断材料の 1 つ” として扱い、追加評価と合わせて臨床判断を揃えるのがおすすめです。

Q4. TCT の天井効果が気になります。次に何を使う?

A. TCT が満点近くでも動作の質に課題が残ることは多いです。介入の方向づけまで含めたい場合は、端座位での静的・動的・協調性を見られる尺度(例: TIS )や、段階課題で体幹の詰まりどころを分解できる評価(例: FACT )が候補になります。

まとめ

TCT は、体幹の “土台” を短時間でそろえて評価できる便利なテストです。条件固定 → 段階的に実施 → 点数+所見で記録 → 再評価、のリズムで回すと、介入の優先順位と経時変化が読み取りやすくなります。

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参考文献

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著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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