SCPとは?プッシャー症候群の評価方法|採点・判定・PDF・自動計算

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SCPとは|座位・立位でA・B・Cを評価する尺度

SCP(Scale for Contraversive Pushing)は、脳卒中後のlateropulsion(Pusher behavior)を、座位と立位におけるA:自発姿勢、B:非麻痺側上下肢の使用、C:他動的な姿勢修正への抵抗の3セクションで整理する評価尺度です。

採点では、座位と立位を合わせたA・B・Cの各セクションが、それぞれ0点を超えるかを確認します。この記事では、各項目の配点、実施手順、判定基準、把持・疼痛・恐怖との切り分け、記録方法を、PDF記録シートと自動計算ツール付きで解説します。

Pusher評価全体から確認する方へ

このページはSCP単体の実施・採点・記録に絞った子記事です。尺度を導入する順番や再評価の全体設計は、親記事で整理しています。

Pusher評価の進め方を確認する

SCPの採点方法|A・B・Cを座位と立位で評価する

SCPは、A・B・Cの3セクションを座位と立位でそれぞれ採点します。最初に、各項目で選択できる点数と、どの単位で判定するのかを確認しておくことが重要です。

SCPの採点方法。A・B・Cを座位と立位で評価し、各セクションの合計が0点より大きいか確認する図
SCPは、座位と立位の点数をセクション別に合計し、A・B・Cがそれぞれ0点を超えるか確認します。
SCPの構成と採点可能値
セクション 主に確認すること 座位の点数 立位の点数 セクション合計
A 自発姿勢の傾斜 0 / 0.25 / 0.75 / 1 0 / 0.25 / 0.75 / 1 0〜2点
B 非麻痺側上下肢を使った押し 0 / 0.5 / 1 0 / 0.5 / 1 0〜2点
C 正中方向への修正に対する抵抗 0 / 1 0 / 1 0〜2点

A・B・Cをすべて合計すると0〜6点になります。ただし、SCPの陽性判定では総合計だけを見るのではなく、座位と立位を合計したA・B・Cの各セクションを分けて確認します。

「各セクション>0」の意味

座位A・座位B・座位C・立位A・立位B・立位Cの6項目すべてが0点を超える、という意味ではありません。座位と立位を合計したAセクション、Bセクション、Cセクションが、それぞれ0点を超えることを指します。

SCPの判定基準|各セクション>0を基本に確認する

SCPでは複数の判定基準が検討されています。臨床で用いやすいのは、A・B・Cの各セクションがすべて0点を超える基準です。総合計だけが0点を超える基準では、3徴候の一部しか確認できていない症例も陽性に含まれます。

SCPで検討されている3つの判定基準
判定基準 具体的な見方 解釈
総合計 > 0 6項目の合計が0点を超える A・B・Cの一部だけでも該当するため、陽性例を広く拾いすぎる可能性がある
各セクション > 0 座位と立位を合算したA・B・Cが、すべて0点を超える 初回の判定で使いやすく、臨床所見との一致が良好だった基準
各セクション ≧ 1 座位と立位を合算したA・B・Cが、すべて1点以上 より厳格だが、軽度例を拾いにくくなる

自動計算ツールでは、この3基準を混同しないように、各セクション>0、各セクション≧1、総合計>0を分けて表示します。最終判断では点数だけでなく、評価条件、疼痛、恐怖、痙縮、覚醒状態なども併記してください。

SCPの実施手順|条件固定から判定までの5分フロー

SCPは、採点を始める前に座位・立位の条件をそろえることが重要です。座面、足底接地、支持物、介助方法が変わると、本人の変化ではなく評価条件によって点数が動く可能性があります。

  1. 安全性を確認する:転倒リスク、覚醒、疲労、疼痛、めまい、循環動態を確認します。
  2. 評価条件を固定する:座面高さ、足底接地、上肢支持、靴・装具、介助者の位置を記録します。
  3. 座位を採点する:自然な姿勢でAとBを観察し、正中方向への修正でCを確認します。
  4. 立位を採点する:安全を確保したうえで、同じA・B・Cを確認します。
  5. セクション別に集計する:座位と立位を合計し、A・B・Cがそれぞれ0点を超えるか確認します。
  6. 別要因を記録する:疼痛、恐怖、痙縮、把持、足底接地不良などを残します。
  7. 再評価条件を決める:次回も同じ条件で実施できるように、場所、姿勢、介助量を共有します。

鏡、視覚的な垂直指標、口頭指示などを用いた介入効果を確認したい場合も、まず介入前のSCPを採点してから条件を変更します。介入と評価を同時に行うと、自然に出現する所見と修正後の反応を区別しにくくなります。

A・B・Cの採点ポイント|迷いやすい境界を整理する

SCPの採点では、公式の点数区分と、臨床で観察する補助情報を分けて扱います。肩や骨盤の位置、表情、疼痛などは判断を支える情報ですが、それ自体をSCPの点数へ直接置き換えるものではありません。

A:自発姿勢の傾斜

Aは、外部から正中へ誘導していない状態で、身体が麻痺側へどの程度傾くかを確認します。座位と立位で、それぞれ0・0.25・0.75・1点から選択します。

Aの採点境界を確認する早見表
点数 観察の目安 記録へ残すこと
0 lateropulsionとして扱う自発的な傾斜を認めない 支持物、姿勢条件
0.25 軽度の麻痺側傾斜を認めるが、姿勢は保持できる 傾斜が持続するか、課題時だけか
0.75 明らかな麻痺側傾斜があるが、その姿勢を保っている 胸郭・骨盤の偏位、支持の有無
1 傾斜が強く、外部からの支持なしでは姿勢保持が難しい 必要な支持量と安全対策

胸骨、肩峰、骨盤などの位置は傾斜を確認する補助になります。ただし、筋力低下、感覚障害、疼痛、めまい、覚醒低下だけでも傾斜は生じるため、Aの点数と別要因を分けて記録します。

B:非麻痺側上下肢を使った押し

Bは、非麻痺側の上肢または下肢を用いて支持面を押し、身体を麻痺側へ移動させる動きがあるかを確認します。座位と立位で、それぞれ0・0.5・1点から選択します。

Bの採点境界を確認する早見表
点数 観察の目安 迷いやすい所見
0 非麻痺側上下肢による押しを認めない 手を置いているだけの支持
0.5 姿勢を変える課題や動作中に押しが出現する 移乗時だけ出る防御的な把持
1 安静姿勢の時点から押しが確認できる 支持面を強く把持しているだけの状態

手をベッドや手すりへ置いているだけでは、Bの「押し」とは限りません。支持と同時に体幹や骨盤が麻痺側へ移動しているか、非麻痺側下肢の外転・伸展が連動しているかを確認します。

C:正中方向への修正に対する抵抗

Cは、麻痺側へ傾いた姿勢を検者が正中方向へ修正したとき、抵抗が生じるかを確認します。座位と立位で、それぞれ0点または1点を選択します。

Cの採点境界を確認する早見表
点数 観察の目安 併記したい別要因
0 正中方向への他動的な修正を受け入れる 介助量、修正方法
1 正中方向への修正に対して押し返しや明らかな抵抗が生じる 疼痛、恐怖、痙縮、過緊張、理解の程度

Cは検者の触れ方による影響を受けます。毎回異なる部位を強く引いたり持ち上げたりすると、疼痛や防御反応を誘発する可能性があります。触れる部位、修正方向、介助量をあらかじめそろえてください。

SCPの誤判定を減らす|押しに見える別要因を切り分ける

SCPで迷いやすいのは、lateropulsionとは異なる姿勢反応がA・B・Cの陽性所見に見える場面です。迷った場合は無理に点数だけで確定せず、別要因と再評価条件を併記します。

SCPで起こりやすい誤判定と確認方法
状況 誤認しやすい項目 切り分けるポイント 記録例
転倒が怖くて手すりを把持する B 把持と同時に体幹・骨盤が麻痺側へ移動するか 「非麻痺側上肢で把持あり。麻痺側への体幹移動は認めず」
疼痛のある方向への修正を拒否する C 疼痛訴え、表情変化、特定方向だけの抵抗か 「正中修正時に肩痛あり。抵抗は疼痛防御の影響を含む」
座面が高く足底が接地していない A 足底接地後も同じ傾斜が持続するか 「足底非接地で傾斜増大。座面調整後に再評価」
検者によって触れ方が異なる C 触れる部位、修正方向、介助量が同じか 「胸郭前後から正中方向へ修正。軽介助で統一」
立位で非麻痺側下肢を強く伸展する B 支持のための伸展か、麻痺側への身体移動を生む押しか 「非麻痺側下肢伸展あり。麻痺側への骨盤移動を伴う」

判定が揺れた場合の戻り方

  1. 座面、足底、支持物、介助者位置をそろえる
  2. A・B・Cを一度に判断せず、セクションごとに観察する
  3. 疼痛、恐怖、痙縮、理解不足を別欄へ記録する
  4. 同条件でも所見が再現するか確認する

SCPの結果をどう記録するか|点数・根拠・次回条件を残す

SCPは総合計だけを記録すると、どの徴候が変化したのか分かりません。A・B・Cのセクション別合計と、点数を付けた根拠、評価条件をセットで残します。

SCPの結果から次に確認すること
目立つ所見 記録する内容 次回確認すること
Aが高い 傾斜方向、程度、姿勢保持の可否、座面・足底条件 同条件で傾斜の程度が変化したか
Bが高い 押しに使用した上肢・下肢、安静時か動作時か どの課題・支持物で押しが出るか
Cが高い 触れた部位、修正方向、抵抗、疼痛・恐怖の有無 同じ修正方法でも抵抗が再現するか

SCPの1行記録例

「午前・端座位・足底全面接地・上肢支持なし。SCP:座位A 0.25、B 0.5、C 1、立位A 0.75、B 1、C 1。各セクション>0。正中修正時に恐怖表情あり。次回も同条件でCと恐怖反応を確認する。」

記録では「陽性」とだけ書かず、点数の根拠と迷った別要因を残します。立位を安全に実施できなかった場合も、未実施を0点として処理せず、評価不能または未実施であることを明記してください。

SCP記録シートPDF

SCPは、点数だけでなく評価条件をそろえることが重要です。以下のA4記録シートでは、患者情報、座面・足底・支持物・介助条件、座位と立位のA・B・C、判定根拠、再評価メモを1枚で整理できます。

SCP記録シートPDFを開く

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プレビューが表示されない場合は、こちらからPDFを開いてください

SCP自動計算ツール

自動計算ツールでは、座位・立位のA・B・Cを入力すると、座位合計、立位合計、総合計、A・B・Cのセクション別合計を表示します。

さらに、各セクション>0、各セクション≧1、総合計>0を分けて確認できます。未入力がある場合は結果を確定しないため、未実施項目を誤って0点として集計することを防ぎやすい設計です。

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SCPを再評価するときの条件メモ

再評価では、前回と同じ条件を再現できることが重要です。点数が変わっていても、座面、足底、支持物、介助方法が異なれば、本人の変化と条件差を分けて解釈できません。

SCP再評価で固定・記録する条件
場面 固定する項目 記録例
座位 座面高さ、足底接地、骨盤位置、上肢支持 「端座位、足底全面接地、手は膝上」
立位 靴、装具、支持物、介助者の位置 「AFO使用、平行棒内、右前方から介助」
姿勢修正 触れる部位、修正方向、介助量 「胸郭前後から正中へ軽介助」
身体状態 覚醒、疲労、疼痛、恐怖、めまい 「肩痛なし、立位時に恐怖表情あり」
再評価時期 施設内で定めた定期評価と状態変化時 「週1回および移乗介助量の変化時」

SCPに一律の再評価間隔を当てはめるのではなく、評価目的と病期、状態変化の速さ、チームのカンファレンス時期に合わせて決めます。少なくとも、介助量、姿勢保持、移乗・立位能力が変化した場合は、同条件で再確認できるようにしておきます。

SCPのよくある質問

Q1. 「各セクション>0」は6項目すべてが陽性という意味ですか?

A. いいえ。座位と立位を合計したA・B・Cの3セクションが、それぞれ0点を超えるという意味です。座位A、座位B、座位C、立位A、立位B、立位Cの6項目すべてが0点を超える必要はありません。

Q2. SCPの合計点だけでPusher behaviorを判定できますか?

A. 総合計だけでは、A・B・Cのどの徴候が確認されたか分かりません。判定では各セクションを分けて確認し、総合計は重症度や経過を見る補助情報として扱います。

Q3. 手すりをつかんだらBは陽性ですか?

A. 把持だけではBの押しと確定できません。非麻痺側上下肢による支持と同時に、体幹や骨盤が麻痺側へ移動しているかを確認します。恐怖による把持の場合は、その影響を別に記録します。

Q4. 疼痛がある状態で正中修正を拒否した場合、Cは1点ですか?

A. 観察された抵抗と、疼痛による防御反応を分けて記録する必要があります。疼痛や特定方向での拒否が強い場合は、lateropulsionによる抵抗と断定せず、疼痛条件を整えて再評価します。

Q5. SCPとBLSはどちらを使えばよいですか?

A. SCPは座位・立位でA・B・Cの3徴候を確認する場合に向きます。寝返り、移乗、歩行を含めて場面別の重症度や軽度の変化を追いたい場合は、BLSも候補になります。

Q6. 自動計算ツールの結果だけで判定してよいですか?

A. ツールは集計と入力漏れの確認を補助するものです。最終判断では、実際の姿勢、押し、修正抵抗、疼痛、恐怖、評価条件を合わせて確認してください。

次の一手

SCPの採点方法を確認した後は、評価目的に応じて尺度を選びます。SCP・BLS・4PPSの違いから選びたい場合は比較記事、寝返り・移乗・歩行まで含めて経過を追いたい場合はBLSの記事へ進んでください。


参考文献

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  3. Baccini M, Paci M, Nannetti L, Biricolti C, Rinaldi LA. Scale for contraversive pushing: cutoff scores for diagnosing “pusher behavior” and construct validity. Phys Ther. 2008;88(8):947-955. doi: 10.2522/ptj.20070179. PubMed
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著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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