2 ステップテストは「安全設計・無効判定・記録の型」を固定すると再現性が上がります
2 ステップテストは、できるだけ大股で 2 歩進んだ距離( 2 歩幅)を身長で割って、移動能力を評価する検査です。手順はシンプルですが、現場では「ジャンプ化」「着地時のふらつき」「測定点のズレ」で値がぶれやすくなります。
結論は明確で、①スタート条件 ②無効判定 ③測定点 ④記録様式を先に固定すると、同一患者の前後比較がしやすくなります。評価設計の全体はPT 評価の全体像で整理しつつ、本記事では実装手順に絞って解説します。
2 ステップテストとは
2 ステップテストはロコモ度テストの構成要素の 1 つで、下肢機能・バランス・歩行能力を簡便に把握できます。臨床では「数値」だけでなく、着地時の安定性や恐怖感などの「質的所見」を同時に残すと、介入方針が立てやすくなります。
運用上は、単回の絶対値よりも同条件での経時比較を重視してください。比較可能な記録を残せるかどうかが、評価の価値を左右します。
準備と安全管理
まずは転倒しにくい実施条件を作ります。大股歩行は想像以上に不安定になりやすいため、環境整備を先行させることが重要です。
| 項目 | अछि標準 | よくある失敗 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 床面 | 滑りにくい平坦床 | 段差・滑りやすい床で実施 | 段差回避・靴底確認・滑り止め |
| スタート | 両足つま先を揃える | 左右のつま先位置が毎回違う | テープで開始位置を固定 |
| 見守り | 側方〜後方で転倒回避 | 検者が歩幅を“手伝う” | 介助は転倒回避のみに限定 |
| 服装 | 動きやすい靴・服装 | スリッパ・裾の引っかかり | 靴で実施・裾を整理 |
中止・延期の目安
| 状況 | 判断 | 対応 | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| ふらつきが強い | 中止 | 座位誘導・状態確認 | 発生場面と症状 |
| 疼痛が強く増悪 | 中止 | 疼痛評価へ切替 | 部位・誘因・動作相 |
| 指示理解が困難 | 延期 | 安全な代替評価へ | 延期理由と再評価条件 |
やり方(標準手順)
距離は「スタートラインから 2 歩目着地点のつま先まで」で統一し、踵や足中央での計測は行いません。無効試行の基準を先に共有してから開始すると、やり直し時の判断がぶれません。
- スタートラインで両足のつま先を揃える
- できるだけ大股で 2 歩歩く(ジャンプは禁止)
- 2 歩目で両足を揃えて静止する
- スタートラインから着地点のつま先までを測る
- 2 回実施し、良い方を採用する
無効試行(やり直し)を統一する
「何を無効にするか」が曖昧だと、チームで数値の意味が変わってしまいます。判定ルールを表で固定してください。
| 無効の例 | なぜ無効か | 修正の声かけ | 記録 |
|---|---|---|---|
| 着地で大きくふらつく | 転倒回避動作が主となる | 「無理せず、歩いて 2 歩で止まりましょう」 | 無効理由(ふらつき) |
| ジャンプ・跳躍になる | 歩行評価にならない | 「跳ばずに、2 歩とも歩いてください」 | 無効理由(ジャンプ) |
| 2 歩目で足が揃わない | 着地条件が不一致 | 「最後は両足を揃えて止まります」 | 無効理由(着地条件) |
| 測定点が混在 | 値の比較が不能 | 「毎回、着地点のつま先までで統一します」 | 測定基準の再確認 |
計算(2 ステップ値)
計算式は「2 歩幅( cm )÷ 身長( cm )」です。単位をそろえ、小数第 2 位程度で記録すると比較しやすくなります。
| 項目 | 内容 | 単位 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 2 歩幅 | スタートライン〜着地点つま先 | cm | 基準点を統一 |
| 身長 | 本人身長 | cm | 同単位で除算 |
| 2 ステップ値 | 2 歩幅 ÷ 身長 | なし | 小数 2 桁で記録 |
記録テンプレ(比較できる形)
値と質を同時に残すと、次回介入の優先順位が明確になります。特に「ふらつき」「着地」「恐怖感」は改善介入に直結します。
| 試行 | 2 歩幅( cm ) | 2 ステップ値 | 所見(質) |
|---|---|---|---|
| 1 回目 | 240 | 1.41(身長 170 cm ) | 2 歩目で軽いふらつき |
| 2 回目 | 252 | 1.48(身長 170 cm ) | 着地安定・ジャンプなし |
| 採用 | 252 | 1.48 | 良い方を採用 |
現場の詰まりどころ
つまずきやすいポイントは、先に運用ルールへ落とし込むと改善が早くなります。
ジャンプっぽくなる
「大股」と「跳躍」が混同されやすい場面です。声かけは短く固定し、ジャンプ試行は無効として統一します。
測定点が毎回違う
つま先・踵・足外側が混在すると比較不能になります。測定点は「着地点のつま先まで」で固定します。
恐怖感で歩幅が伸びない
能力より不安が結果を決めるケースです。見守り位置を調整し、最大歩幅より再現性を優先してください。
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
2 回測ったら、どちらを採用しますか?
原則は 2 回実施して良い方を採用します。無効試行が出た場合は、無効理由を記録して再試行してください。
バランスを崩した場合はどう扱いますか?
安全を最優先に中止または無効扱いとし、必要なら別評価へ切り替えます。転倒リスクが高いときは継続しません。
測る場所は「つま先」で統一ですか?
はい。スタートラインから着地点のつま先までで統一します。基準点が変わると前後比較ができません。
身長が不明なときに実施してよいですか?
2 ステップ値の算出に身長が必要です。身長確認後に実施するほうが計算ミスを防げます。
次の一手
- 運用を整える:評価ハブで全体像を確認する(全体像)
- 共有の型を作る:PT 評価の標準フローをそろえる(すぐ実装)
教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- ロコモチャレンジ!推進協議会. ロコモ度テスト 2 ステップテスト. 公式ページ
- Ogata T, et al. Development of a screening program to assess motor function in the adult population: a cross-sectional observational study. J Orthop Sci. 2015. doi:10.1007/s00776-015-0737-1
- Yamada K, et al. Reference values for the locomotive syndrome risk test quantifying mobility of 8681 adults aged 20–89 years: A cross-sectional nationwide study in Japan. J Orthop Sci. 2020;25(6):1084-1092. doi:10.1016/j.jos.2020.01.011
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


