【心不全評価方法】おすすめ2選【NYHA心機能分類とSAS分類】

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リハビリくん
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この記事の内容
  1. この記事は「心不全評価方法」をキーワードに内容を構成しています。
  2. 心不全は高齢化社会において増加傾向にあり、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が関わるリハビリテーションにおいても、適切な重症度評価は必須です。
  3. 評価法の中でも広く臨床で用いられるのが NYHA 心機能分類と SAS(Specific Activity Scale)分類です。
  4. NYHA 分類は症状と日常生活動作に基づき重症度を段階的に把握でき、SAS 分類は運動負荷能力をより具体的に示す点で有用です。
  5. 本記事では両者の特徴と活用方法を解説します。
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理学療法士として以下の経験と実績を持つリハビリくんが解説します♪

リハビリくんの実績
  1. rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設
  2. 2025 年 8 月時点:185 記事公開(月間 3 万 PV)
  3. 実務経験(医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリ等)
  4. 講師活動(脳卒中、褥瘡等をテーマに複数回講演)
  5. 脳卒中 認定理学療法士
  6. 褥瘡 創傷ケア 認定理学療法士
  7. 3 学会合同呼吸療法認定士
  8. 福祉住環境コーディネーター 2 級
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心不全パンデミックとは

65 歳以上の人口比率は高齢化率と呼ばれ、本邦では 1990 年の 12.1 %から 2019 年には 28.4 %と倍以上に増加しています。高齢化は世界各国でみられる現象であり、社会が高齢化するにつれて心不全の罹患者数が増える傾向があります。

日本は世界のなかでも高齢化が進んでおり、心不全の患者数増加、その社会的インパクトの増大はより深刻になります。

過去の研究により、80 歳を超えると心不全の罹患率が急増することが予測され、団塊の世代が 80 歳代を迎える 2030 年には心不全患者が溢れかえる「心不全パンデミック」が到来すると考えられています。

心不全の定義

急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017 年改訂版)によると心不全とは「なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義されています。

近年、社会の高齢化に伴い、心不全が世界中で増加しており、その管理の臨床的重要性は日増しに高まっています。

日本における心不全患者数は、2005 年に約 100 万人、2020 年に 120 万人、2030 年には 130 万人に達すると推計されています。高齢化とともに心不全の患者数は年々増え続け、がんを大きく上回るまでの患者数となっております。

※厚生労働省と国立がん研究センターにより 2022 年 5 月に公表された「2019 年の全国がん登録」によると、新たにがんと診断された罹患数は 99 万 9,075 人

心不全の有病率は加齢と共に増加し、欧州のロッテルダムでは、65 〜 74 歳の心不全有病率は 4 %、75 〜 84 歳では 9.7 %、85 歳以上では 17.4 %と報告されています。

心不全の評価方法

心不全の診断や評価において、構造機能異常を精査するための方法として、心エコー検査、BNP濃度測定、心臓MRI検査を挙げることができます。

また、心臓、肺や筋肉の働きを調べるためには、その人がどれくらいまでの運動に耐えられるかの限界を指す運動耐容能を自覚症状や 6 分間歩行、CPX から評価することができます。

このように、心機能を精密に検査するためには、機器や血液検査が必要になりますが、こちらの記事では日常の診療で簡便に心不全の状態を判定する方法(NYHA 心機能分類、SAS 分類)を紹介します。

NYHA心機能分類

NYHA 心機能分類は、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association:NYHA)により 1928 年に発表され、その後数回の改訂がなされているスケールになります。

NYHA 心機能分類は心疾患、特に慢性心不全安定期に汎用されており、その有用性は高く運動耐容能との関連、予後との関連が多く報告されています。

欠点としては分類が大まかであり、細かい症状の変化が反映されにくく客観性に乏しい傾向があります。しかし、何よりも簡便であることがNYHA心機能分類の最大の利点であります。安定期心不全患者においては、治療への応用、リハビリテーションの効果判定などのために、NYHA 心機能分類を用いて評価することが求められます。

  • I 度:心疾患はあるが、日常生活における身体活動では症状がない
  • II 度:安静時には症状はない。日常生活における身体活動(坂道や階段をのぼるなど)で症状がある
  • Ⅲ 度:安静時には症状はない。日常生活以下の身体活動(平地を歩くなど)で症状がある
  • Ⅳ 度:いかなる身体活動を行うにも症状がある。安静にしていても症状がある

※症状:疲労、動悸、呼吸困難または狭心痛

SAS分類(Specific Activity Scale)

NYHA 心機能分類は簡便で有用ですが、判断の基準となる活動の内容がはっきりとしないため、それを補う目的で SAS 分類が開発されております。

NYHA 心機能分類は症状が明らかに出現していれば客観的に捉えることもできますが、基本的には症状の有無を自覚症状に基づいて確認する尺度になります。そのため、患者の主観的な感覚に左右されるところがあります。

一方 SAS 分類は、Metsで区分された活動能力があるか、ないかによって心不全の自覚症状を運動耐容能の面からある程度定量的に評価することができます。

予め、運動強度がほぼわかっている各種日常活動を列挙し、それらが可能かどうかを質問し、不可能であった活動レベルのうち最も低い運動強度をもって判定します。

  • I 度:7Mets(24.5ml/kg/min)以上の活動能力をもつ
  • II 度:5Mets(17.5ml/kg/min)以上 7Mets(24.5ml/kg/min)未満の活動能力をもつ
  • Ⅲ 度:2Mets(7.0ml/kg/min)以上 5Mets(17.5ml/kg/min)未満の活動能力をもつ
  • Ⅳ 度:2Mets(7.0ml/kg/min)未満の活動能力しかもたない

心不全パンデミックに備えて

迫り来る心不全パンデミックの対策として最も効果的であると考えられるのは、心不全になってからの治療よりも、心不全になる前からの予防の継続になります。

心不全はあらゆる心臓疾患の終末像になります。そのため、まずは心臓疾患を発症しないことが重要であり、そのためには心臓疾患のリスクを早期から予防・治療する必要があります。

高血圧、脂質異常症、喫煙、糖尿病、肥満等はいずれも心疾患のリスクとなります。血圧・脂質のコントロール、禁煙、糖尿病の適切な治療、肥満の是正等は心疾患の発症を防ぐうえで極めて有用であり、最終的には心不全の予防として大きく貢献します。

心臓の機能は、一度低下してしまうと元通りの正常な状態に改善するということは難しいものになります。心臓の機能が低下してからでは遅く、ましてや心不全の症状が出てからでは手遅れであるといえます。

心不全の治療法は進歩していますが、何よりも重要なのは心不全を発症しないことであり、器質的心疾患の予防が重要となります。

日本脳卒中学会と日本循環器学会は、2016年に「脳卒中と循環器病克服 5 カ年計画」を発表しております。そのなかで、重要 3 疾患に心不全を取り上げており、5 戦略の 1 つが「予防・国民 への啓発」となります。

循環器疾患では予防が重要且つ有効になります。まずは 0次予防として、生活習慣の改善により高血圧、脂質異常症、肥満等の器質的心疾患リスクの発症を予防し、既にこれらのリスクが存在する場合には、1 次予防としてその改善を目指すことが極めて重要になります。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「心不全の評価方法」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事が心不全の病態理解、診療での評価や効果判定に少しでもお力添えになれば幸いです。

心臓リハビリテーションでは心臓、肺や筋肉の働きを調べるために運動耐用能の評価として歩行テストを行うことがあります。歩行テストについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【歩行におけるアウトカム評価についての記事はこちらから

参考文献

  1. 網谷英介.心不全パンデミック.理学療法ジャーナル.2022年,56巻,10号,p1204-1207.
  2. 瀬在明,高山忠輝.心不全パンデミックに向けての心不全地域連携における大学病院の役割.日大医誌.2020年,79巻,4号,p241–245.
  3. 相方由香理,越智裕介.慢性心不全患者における理学療法の視点.理学療法の臨床と研究.2021年,第30号,p9-15.

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