モーターフィットネススケール(MFS)14項目で運動機能評価

評価
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MFS(モーターフィットネススケール)とは

MFS(Motor Fitness Scale)は、高齢者の運動機能を本人の自己申告で 0–14 点に可視化する 14 項目の質問紙です。下位尺度は「移動性(1–6)」「筋力(7–10)」「平衡性(11–14)」で、短時間・用具不要のためスクリーニングやモニタリングに適しています。信頼性は高く、報告では内部一貫性と再検査信頼性はいずれも 0.92 とされています(参考文献)。

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実施対象と手順(現場メモ)

対象は主に地域在住高齢者です。本人の自己記入が基本ですが、失語・視覚障害などで代読・代理回答を行う場合は「普段の状態」に基づく回答であることを確認し、回答者(本人/家族)・補助具の使用・当日の体調をカルテ側に必ず記録します。所要は約 5 分。同条件で再評価し、サブスコアの変化を見ることで介入効果の説明責任が高まります。

初回評価の設計は、評価→仮説→実測→目標設定の流れを意識すると運用しやすいです。

採点と解釈(0–14 点+サブスコア)

採点は「はい=1 点/いいえ=0 点」。移動性・筋力・平衡性の小計と合計点を記録します。前向き研究では、男性 ≤11・女性 ≤9 を低スコアの目安とした際、満点群(14 点)に比べて要介護認定の新規発生リスクが有意に高いことが示されています。臨床では絶対閾値に固定せず、サブスコアの弱点に応じて転倒リスク対策や筋力・バランス訓練を優先します。

ミニケース:地域在住 78 歳、初回 MFS は合計 9 点(移動性 3/筋力 3/平衡性 3)。 2 週間の下肢レジスタンスと立位バランス課題後、再評価で 11 点(移動性 4/筋力 4/平衡性 3)。同時実施の SPPB は 8→9 点、 5 回椅子立ち が改善。MFS のサブスコア変化が介入効果の説明に有用でした。

他指標との使い分け

MFS は自己評価式で導入障壁が低い一方、客観的な変化検出には実測テストの併用が有効です。下表を目安に、評価の目的に応じて組み合わせましょう(内部リンクは同一タブ)。

自己評価式と実測式の使い分け(成人・臨床高齢者/2025年版)
指標 方式 所要 強み 注意点
MFS 自己評価( 14 項目 ) 約 5 分 用具不要・下位尺度で課題抽出・集団運用◎ 回答バイアスへ配慮(代読時の記録徹底)
SPPB 実測(立位バランス・歩行・椅子立ち) 約 10 分 予後予測・反応性に優れる 安全管理・スペース確保が必要
TUG 実測(起立→歩行→方向転換→着座) 約 3 分 簡便で縦断モニターに向く 補助具条件を揃えて再検
BBS 実測( 14 課題の静的・動的バランス ) 約 15–20 分 バランス障害の層別化に有効 学習効果・天井効果に注意

ダウンロード|記録用紙(自動採点/手書き)

※ 公式 14 項目の原文は本記事には掲載しません(著作権配慮)。原著の項目文を参照のうえ、以下の記録用紙でスコアリングしてください。

使い方:評価前にリンクを開き、氏名・ID 等を記入 → 回答を入力(自動採点版は小計と合計が自動更新)→ 印刷または PDF 保存。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q. 代読や代理回答のときの注意点は?

A. 「普段の状態」に基づく回答であることを再確認し、回答者(本人/家族)・補助具の使用状況・当日の体調を記録に残します。

Q. サブスコア(移動・筋力・平衡性)は具体的にどう活用しますか?

A. 低い領域を優先的な介入ターゲットにします。たとえば筋力が弱い場合はレジスタンストレーニング、平衡性が低い場合は立位課題や外乱バランス訓練を計画し、同条件で再評価して変化量を確認します。

Q. 実測テストは何を合わせるべきですか?

A. 初回は SPPB TUG が汎用的です。バランス課題を詳しく見るなら BBS、歩行能力の変化を追うなら 10m 歩行や 6MWT も候補です。

評価の全体像や他尺度との使い分けは、以下もご参照ください(同一タブ)。

参考文献

  1. Kinugasa T, Nagasaki H. Reliability and validity of the Motor Fitness Scale for older adults in the community. Aging Clin Exp Res. 1998;10:295–302. DOI: 10.1007/BF03339791 / PubMed: 9825020
  2. Hoshi M, Hozawa A, Kuriyama S, et al. Predictive power of questionnaire-based and performance-based physical function for subsequent disability in the elderly: The Tsurugaya Project. Aging Clin Exp Res. 2012;24(4):—. DOI: 10.3275/8104
  3. Tohoku Univ. Dept. of Public Health. Motor Fitness Scale と要介護認定リスクの関連(解説資料). 2011. PDF
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