- BBS(FBS)とは?14項目・56点でバランス能力を評価する
- BBS・FBSの早見表|項目数・点数・実施時間
- BBS評価・再評価記録シート|A4・PDF
- BBS自動計算ツール|14項目の合計点を確認する
- BBSの14項目|どのようなバランス課題を評価するか
- 実施方法|準備・環境・安全管理をそろえる
- BBSの採点方法|各項目0〜4点・合計56点
- 結果の見方|合計点・低得点項目・生活場面を組み合わせる
- BBSの記録例|点数だけでなく崩れ方を残す
- BBSのカットオフ値|45点は何を意味するか
- 再評価|点数の変化をどう読むか
- 高得点でも安心できない理由|BBSの天井効果
- よくある失敗|BBSの点数が臨床につながらない原因
- よくある質問
- 次の一手
- 参考文献
- 著者情報
BBS(FBS)とは?14項目・56点でバランス能力を評価する
BBS(Berg Balance Scale)は、立ち上がり、立位保持、移乗、前方リーチ、方向転換、片脚立位など、日常生活に近い14課題からバランス能力を評価する尺度です。各項目を0〜4点で採点し、合計は0〜56点です。臨床ではFBS(Functional Balance Scale)と表記されることもあります。
重要なのは、合計点だけで転倒リスクや歩行自立を決めないことです。カットオフ値は対象、時期、環境、判断したいアウトカムによって変わります。この記事では、BBS・FBSの違い、14項目、実施方法、採点、カットオフ、記録例、安全管理、PDF記録シートと自動計算ツールまで整理します。
バランス評価の全体像を見る
関連:評価ハブ /
BBSとMini-BESTestの違い
BBS・FBSの早見表|項目数・点数・実施時間
BBSは、静的な姿勢保持だけでなく、立ち上がり、移乗、リーチ、回転、段差踏み替えなどを含むパフォーマンス評価です。実施時間は対象者の能力や休息の有無によって変わりますが、おおむね15〜20分が目安です。
| 項目 | 内容 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 正式名称 | Berg Balance Scale | 初出でBBS(FBS)と併記すると院内で共有しやすい |
| 評価項目 | 14項目 | 座位、立位、移乗、リーチ、回転、支持基底面の縮小などを評価する |
| 配点 | 各項目0〜4点 | 得点が高いほど、課題を自立して安定して遂行できる |
| 合計点 | 0〜56点 | 合計点だけでなく項目別の低下を確認する |
| 実施時間 | おおむね15〜20分 | 休息、安全確認、対象者の理解によって前後する |
| 主な対象 | 高齢者、脳卒中など | 対象疾患や評価目的に合った解釈基準を選ぶ |
| 主な用途 | バランス能力の把握、経時比較、介入計画 | 転倒や歩行自立を単独で決定する尺度ではない |
BBSとFBSの表記:日本の臨床や文献では、Berg Balance ScaleをFBSと呼ぶことがあります。本記事では国際的に一般的なBBSを基本表記とし、検索や院内文書との対応のためFBSを併記します。
BBS評価・再評価記録シート|A4・PDF
BBSの14項目について、前回と今回の得点を比較しながら、実施条件、低得点項目、動作の崩れ方、生活場面、次の介入、再評価予定まで1枚で整理できるA4記録シートです。
設問文や採点基準の全文は掲載せず、使用する公式資料や施設内手順を参照しながら、得点と臨床所見を記録するための補助シートとして作成しています。
記事内でPDFプレビューを見る
再評価では、靴、装具、補助具、介助方法、説明方法、実施環境を可能な範囲でそろえてください。条件が異なる場合は、得点と一緒に変更内容を記録します。
BBS自動計算ツール|14項目の合計点を確認する
14項目の得点を入力すると、BBSの合計点を自動計算できます。未入力項目がある状態では合計点を確定しない仕様です。低得点項目の整理や、前回評価との比較にも使用できます。
BBS自動計算ツールを開く
自動計算結果は集計の補助です。歩行自立、転倒リスク、見守りの必要性は、項目プロフィール、動作観察、認知機能、筋力、感覚、生活環境などを含めて判断します。
BBSの14項目|どのようなバランス課題を評価するか
BBSの14項目は、単純な静的立位だけではありません。基本動作、静的姿勢保持、随意的な重心移動、方向転換、支持基底面を狭くした姿勢保持まで、難易度が異なる課題で構成されます。
| No. | 評価項目 | 主にみる能力 | 所見に残したいこと |
|---|---|---|---|
| 1 | 椅子からの立ち上がり | 立ち上がり時の支持と安定性 | 上肢支持、離殿、膝折れ、前後方向のふらつき |
| 2 | 立位保持 | 静的立位 | 見守り・支持の有無、姿勢動揺、荷重の左右差 |
| 3 | 座位保持 | 背もたれのない座位 | 体幹保持、足底接地、上肢支持 |
| 4 | 立位からの着座 | 下降動作の制御 | 上肢支持、臀部接地の速度、膝折れ |
| 5 | 移乗 | 方向転換を伴う移乗 | 介助量、上肢支持、足の運び、方向による差 |
| 6 | 閉眼立位 | 視覚情報を減らした立位制御 | 閉眼直後の動揺、支持接触、開眼の有無 |
| 7 | 閉脚立位 | 支持基底面を狭くした静的立位 | 足部位置、姿勢動揺、保持時間 |
| 8 | 前方リーチ | 前方への安定限界 | 到達距離、踵離地、体幹代償、踏み出し |
| 9 | 床から物を拾う | 下方への重心移動 | 支持接触、膝・股関節戦略、立ち直り |
| 10 | 肩越しに後方を見る | 体幹回旋を伴う重心移動 | 左右差、足部の動き、ふらつき、支持接触 |
| 11 | 360度回転 | 連続した方向転換 | 左右の所要時間、歩数、停止、方向による差 |
| 12 | 段差への交互足乗せ | 片脚支持と連続的な荷重移動 | 支持接触、リズム、足部の引っ掛かり、疲労 |
| 13 | 継ぎ足位保持 | 前後方向に狭い支持基底面での制御 | 足部位置、保持時間、荷重の偏り、支持接触 |
| 14 | 片脚立位 | 片脚支持での姿勢制御 | 左右の保持時間、骨盤・体幹代償、上肢反応 |
各項目の正式な実施手順と0〜4点の判定は、使用するマニュアルや施設内手順に従ってください。独自に課題条件や制限時間を変更すると、過去の結果や文献値と比較しにくくなります。
実施方法|準備・環境・安全管理をそろえる
BBSは立位、回転、段差踏み替え、片脚立位などを含むため、対象者の能力によって転倒リスクがあります。得点を取ることより、転倒を防ぎながら本来の能力を観察できる環境を優先します。
| 確認項目 | 実施前に決めること | 記録例 |
|---|---|---|
| 椅子 | 座面高、背もたれ、肘掛けの条件 | 座面高42cm、背もたれあり |
| 踏み台 | 高さと安定性 | 高さ15cm、滑り止めあり |
| 靴・装具 | 普段の条件で行うか、裸足で行うか | 靴あり、右短下肢装具あり |
| 補助具 | 使用の可否と置き場所 | T字杖使用、課題中の扱いを記録 |
| 介助・確保 | 検者の位置、接触の有無 | 右後方で近接見守り |
| 説明 | 言語指示、デモ、再説明のルール | 短い一段階指示、必要時にデモ |
| 再試行 | 練習と再試行の扱い | 施設手順に従い、実施回数を記録 |
BBSを中止・中断する目安
- 転倒または転落の危険が高く、安全を確保できない
- 胸痛、強い息切れ、めまい、失神前駆症状が出現した
- 顔色不良、冷汗、意識状態の変化などを認めた
- 血圧、脈拍、SpO2などに臨床上問題となる変化を認めた
- 疼痛や疲労によって継続が困難になった
- 本人が中止を希望した
中断した場合は、実施できなかった項目と理由を記録します。無理に14項目を完遂するより、安全確保と再評価可能な記録を優先してください。
BBSの採点方法|各項目0〜4点・合計56点
各項目は0〜4点の5段階で評価します。一般に、介助が必要、課題を遂行できない、安全性を保てない場合ほど低得点となり、所定の条件で自立して安定して遂行できるほど高得点になります。
| 得点の方向 | 一般的な意味 | 所見で補足すること |
|---|---|---|
| 低得点 | 介助、支持、短い保持時間などを要する | 必要な介助量、支持部位、遂行できなかった理由 |
| 中間得点 | 課題は可能だが、時間、距離、安定性などが不十分 | ふらつき、代償、左右差、見守りの必要性 |
| 高得点 | 所定条件で自立して安定して遂行できる | 実生活で残る不安定場面や天井効果 |
合計点が同じ患者でも、低得点となった項目は異なります。静的立位は安定していても回転や片脚支持で崩れる患者と、立ち上がりや移乗から介助が必要な患者では、介入内容と生活上のリスクが異なります。
結果の見方|合計点・低得点項目・生活場面を組み合わせる
BBSの結果は、次の3段階で整理すると臨床につなげやすくなります。
- 合計点:全体的なバランス能力と前回からの変化を確認する。
- 低得点項目:どの課題で点数を落としたかを確認する。
- 生活場面:低得点項目が移乗、トイレ、方向転換、段差、夜間動線などにどう影響するか考える。

| 低得点となった課題 | 考えられる問題 | 追加評価・介入の例 |
|---|---|---|
| 立ち上がり・着座 | 下肢筋力、前方重心移動、下降制御 | 筋力、座面高、動作戦略を確認する |
| 閉眼立位 | 視覚依存、体性感覚・前庭情報の利用 | 感覚障害、視覚条件、支持面の影響を確認する |
| 前方リーチ | 安定限界、足関節・股関節戦略 | リーチ方向、踵離地、体幹代償を確認する |
| 回転・後方確認 | 方向転換、体幹回旋、注意配分 | TUG、歩数、左右差、実生活の方向転換を確認する |
| 段差・片脚立位 | 片脚支持、荷重移動、下肢協調 | 階段、足部クリアランス、支持脚機能を確認する |
BBSの記録例|点数だけでなく崩れ方を残す
記録は「BBS 46点」の一言で終わらせず、条件、低得点項目、崩れ方、生活上のリスク、再評価予定まで残します。
記録例
BBS 46/56点。靴・右短下肢装具を使用し、近接見守りで実施した。閉眼立位では右後方への動揺、360度回転では左回りで一時停止、片脚立位は右2秒・左5秒であった。病棟内直線歩行は安定しているが、夜間トイレ時の方向転換に転倒リスクが残る。動線と照明を調整し、方向転換および右片脚支持課題を実施する。2週間後に同一条件で再評価する。
| 記録項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施条件 | 靴、装具、補助具、介助、環境 |
| 合計点 | 今回得点、前回得点、評価日 |
| 低得点項目 | 臨床上重要な2〜3項目 |
| 崩れ方 | 支持接触、代償、左右差、保持時間、停止 |
| 生活場面 | 移乗、トイレ、方向転換、段差、屋外歩行との関連 |
| 次の対応 | 追加評価、練習、環境調整、福祉用具 |
| 再評価 | 再評価日とそろえる条件 |
BBSのカットオフ値|45点は何を意味するか
BBSでは「45点」がよく知られていますが、すべての患者に共通する絶対的な転倒基準ではありません。対象疾患、発症時期、生活環境、転倒歴、判断するアウトカムによって適切な閾値は変わります。
| 対象・研究 | 判断目的 | 報告された値 | 使い方 |
|---|---|---|---|
| 回復期・初発脳卒中片麻痺 | 病棟での歩行自立 | 45.5点 | 歩行自立を検討する一材料として使う |
| 脳卒中後の転倒リスクに関する研究群 | 転倒リスクのスクリーニング | 研究によって異なる | 転倒歴、認知機能、歩行、環境と併用する |
| 一般的な臨床運用 | 経時変化・介入効果 | 単一のカットオフに固定しない | 同一条件で合計点と項目別変化を比較する |
45点以上=安全、44点以下=危険とは限りません。45点前後は判断材料の一つです。BBSが高得点でも、急な方向転換、二重課題、外乱への反応、屋外歩行などに問題が残る場合があります。
脳卒中後の歩行自立を検討した国内研究では、回復期病棟の初発片麻痺者におけるFBSのカットオフとして45.5点が報告されています。ただし、異なる対象や施設へそのまま適用できるとは限りません。
再評価|点数の変化をどう読むか
BBSは経時変化の確認にも使用されます。ただし、数点の変化が必ずしも真の能力変化とは限りません。最小検出可能変化や測定誤差は、対象疾患、重症度、評価間隔、測定条件などによって異なります。
- 前回と同じ靴、装具、補助具、環境で評価する
- 合計点だけでなく、変化した項目を確認する
- 介助や言語指示の変更を記録する
- 疲労、疼痛、注意、服薬、体調の影響を確認する
- 得点変化が実生活の改善につながったか確認する
例えば合計点が3点上がっても、静的立位項目のみの改善で、方向転換や段差に変化がなければ、生活上の転倒リスクが大きく変化していない可能性があります。
高得点でも安心できない理由|BBSの天井効果
BBSは、座位や静的立位から比較的難しい片脚立位までを評価できます。一方、高機能者では満点付近に得点が集中し、動的歩行、外乱に対する反応、二重課題、素早い方向転換などの問題を十分に捉えにくい場合があります。
次のような場合は、BBS以外の評価を追加します。
- BBSは高得点だが、実生活で転倒している
- 屋外歩行や人混みで不安定になる
- 方向転換や歩行速度の変更で崩れる
- 二重課題で歩行が不安定になる
- 外乱への反応や反応性姿勢制御を確認したい
評価目的に応じた使い分けは、BBSとMini-BESTestの違いで整理しています。
よくある失敗|BBSの点数が臨床につながらない原因
| よくある失敗 | 問題点 | 改善方法 |
|---|---|---|
| BBSとFBSを別尺度として扱う | 院内文書や申し送りで混乱する | 表記をBBSに統一し、初出でFBSを併記する |
| 合計点だけ記録する | どの課題が改善・悪化したか分からない | 低得点項目と崩れ方を併記する |
| 45点を絶対基準にする | 対象・目的・生活環境の違いを無視する | 研究対象と判断目的を確認して使用する |
| 実施条件が毎回違う | 点数変化の原因を判断できない | 靴、装具、補助具、介助、環境を記録する |
| 高得点なら転倒リスクなしと判断する | 天井効果や実生活の複雑な課題を見逃す | 転倒歴、歩行、二重課題、生活場面を追加評価する |
| 安全確保のため過剰に支える | 対象者本来の能力を観察できない | 近接して確保しつつ、接触した場合は採点と所見へ反映する |
| 採点基準を自己流に変える | 過去評価や文献値との比較が難しくなる | マニュアルと施設内手順を統一する |
評価尺度は、採点方法だけでなく、所見の残し方や介入へのつなげ方を相談できる環境が重要です。教育体制や臨床支援を含めて職場環境を整理したい場合は、キャリアガイドも参考にしてください。
よくある質問
各質問をタップすると回答が開きます。
Q1.BBSとFBSの違いは何ですか?
BBSはBerg Balance Scaleの略です。日本の臨床や文献ではFunctional Balance Scale、FBSと表記されることがあります。本記事では同じ14項目・56点満点の評価を指す表記として扱い、院内ではBBSなど一つの名称へ統一することを推奨します。
Q2.BBSは何項目、何点満点ですか?
14項目で構成され、各項目を0〜4点で採点します。合計は0〜56点です。高得点ほど各課題を自立して安定して遂行できます。
Q3.BBSの実施時間はどのくらいですか?
おおむね15〜20分が目安です。対象者の能力、説明、休息、安全確認によって前後します。疲労や体調によって結果が変わる可能性があるため、実施条件を記録してください。
Q4.BBSは45点以上なら歩行自立ですか?
45点だけで歩行自立を決めることはできません。国内の回復期脳卒中片麻痺者を対象とした研究では45.5点が報告されていますが、対象、時期、病棟環境、補助具、認知機能などによって判断は変わります。
Q5.装具や杖を使って評価してよいですか?
使用条件は、採用するマニュアルや施設内手順に従います。再評価で比較する場合は、靴、装具、補助具の条件をそろえ、使用状況を必ず記録してください。
Q6.BBSが高得点でも転倒することはありますか?
あります。BBSでは、急な方向転換、外乱への反応、二重課題、複雑な屋外歩行などを十分に捉えにくい場合があります。転倒歴と生活場面を確認し、必要に応じてMini-BESTestなどを追加します。
次の一手
- バランス評価全体の選び方を確認する:バランス評価のまとめ
- 高得点者や動的バランスの評価を検討する:BBSとMini-BESTestの違い
参考文献
- Berg KO, Wood-Dauphinee SL, Williams JI, Maki B. Measuring balance in the elderly: validation of an instrument. Can J Public Health. 1992;83 Suppl 2:S7-S11. PubMed
- Blum L, Korner-Bitensky N. Usefulness of the Berg Balance Scale in stroke rehabilitation: a systematic review. Phys Ther. 2008;88(5):559-566. PubMed
- Stevenson TJ. Detecting change in patients with stroke using the Berg Balance Scale. Aust J Physiother. 2001;47(1):29-38. DOI
- Miyata K, Tamura S, Kobayashi S, Takeda R, Iwamoto H. Berg Balance Scale is a valid measure for plan interventions and for assessing changes in postural balance in patients with stroke. J Rehabil Med. 2022;54:jrm00359. DOI
- Park SH, Lee YS. The diagnostic accuracy of the Berg Balance Scale in predicting falls. West J Nurs Res. 2017;39(11):1502-1525. PubMed
- 北地雄, 原辰成, 佐藤優史, ほか. 回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳血管疾患後片麻痺を対象とした歩行自立判断のためのパフォーマンステストのカットオフ値. 理学療法学. 2011;38(7):481-488. J-STAGE
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養・リハ栄養、シーティング、摂食・嚥下

