低栄養スクリーニング8選:PTの使い分けガイド

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リハ栄養
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低栄養スクリーニング 8 選:PTの使い分け

入院・回復期・在宅での低栄養スクリーニングを、臨床の“使いどころ”で整理しました。先に結論:急性期は NRS 2002、回復期は MST/MNA-SF、地域・在宅は MUST/MNA-SF を軸に、採血がある場面では GNRI/CONUT/PNI を予後補助として使います。診断は GLIM で統一します。

評価フロー:Screen → Assess → Diagnose(GLIM)

低栄養対応は「スクリーニング → 詳細アセスメント → GLIM 診断 → 介入 → 週次モニタリング」の順で運用します。スクリーニングはセッティングに適したツールを選び、陽性の場合は体重変化・摂取量・身体計測・臨床徴候を深掘りします。GLIM は表現型(体重・筋量・BMI)と病因(摂取不足・炎症/侵襲)の両軸で診断・重症度をそろえることができ、職種間の連携と記録が統一されます。

PT は機能回復の頭打ち要因として栄養を常に点検します。初回 3〜5 分でスクリーニング→陽性なら翌週の再評価を前提化し、歩行、TUG、FIM など機能指標と栄養指標の並行改善を確認しましょう。


働き方に迷ったら「PTキャリアガイド」もどうぞ

セッティング別の基本セット(PT向け)

急性期(入院)は侵襲度を加味できる NRS 2002 を標準化します。回復期・外来は MST(最速トリアージ)と MNA-SF(高齢者の取りこぼし防止)を併用。在宅・施設では採血なしで運用できる MUST/MNA-SF が実用的です。採血がある場面では GNRI(Alb+体重/IBW)・CONUT(Alb・TLC・T-Cho)・PNI(Alb・TLC)を予後補助として位置づけ、スクリーニングの代替にしないことがポイントです。

いずれも週次で再評価し、体重・摂取量・浮腫・褥瘡・筋量低下のサインと、歩行・ADL 指標の変化を 1 枚に集約して追跡します。詳細は 高齢者の栄養設定ガイド もご覧ください。

スクリーニング使い分け早見表

低栄養スクリーニング ツール比較(成人・2025年版)
ツール 主な場面 所要 入力 強み/留意 院内解説
NRS 2002 急性期入院 3–5 分 病勢×栄養状態 2 段階構成で標準化しやすい 詳しく
MST 回復期/外来のトリアージ 1 分 体重減少・摂取量 最短で拾える/偽陽性は後段で整理 詳しく
MUST 地域・在宅 3 分 BMI・体重減少・急性疾患 採血不要で運用◎ 詳しく
MNA-SF 高齢者全般 3–5 分 6 項目 高齢者での妥当性が豊富 詳しく
GNRI 採血あり/予後補助 1 分 Alb・体重/IBW Alb 依存性に留意 詳しく
CONUT 採血あり/予後補助 1 分 Alb・TLC・T-Cho 院内自動算出も可 詳しく
PNI 外科/腫瘍の周術期 1 分 Alb・TLC 術後合併症リスクの補助 詳しく
NSI 一次予防・地域把握 3–5 分 10 項目 高齢者以外では注意 詳しく

よくあるミスと対策(PT視点)

スクリーニング運用の NG/OK 対応
NG 理由 OK(対策)
採血なし場面で GNRI/CONUT を要求 データ未取得で遅延 MUST/MNA-SF から開始、採血後に GNRI を上書き
“スクリーニング=診断”の混同 介入優先度がぶれる GLIM で診断・重症度を確定して記録
週次の再評価がない 改善停滞に気づけない 1 枚シートで体重・摂取量・機能を追跡

まとめ

急性期は NRS 2002、回復期は MST/MNA-SF、在宅は MUST/MNA-SF を軸に、採血がある場面では GNRI/CONUT/PNI を予後補助として使えば、短時間で漏れなく拾えます。診断は GLIM で統一し、週次で再評価。PT は機能回復の頭打ち要因として栄養を常に点検し、歩行や ADL の改善を加速させましょう。

参考文献

  1. Cederholm T, et al. GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2019;10(1):207–217. DOI / PubMed
  2. Kaiser MJ, et al. Validation of the MNA-SF. J Nutr Health Aging. 2009;13(9):782–788. PubMed
  3. Bouillanne O, et al. GNRI original paper. Nutrition. 2005;21(3):295–302. PubMed
  4. de Ulíbarri JI, et al. CONUT first validation. Nutr Hosp. 2005;20(1):38–45. PDF
  5. Singer P, et al. ESPEN practical guideline (2023). Clin Nutr. 2023;42(9):1545–1568. Link
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