動的歩行指数( DGI )の評価|手順・採点・解釈

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動的歩行指数( DGI )とは?評価のやり方・採点・解釈を臨床で迷わない形に整理

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動的歩行指数( Dynamic Gait Index: DGI )は、歩行中に「速度変更」「頭部運動」「障害物」「方向転換」などの課題を加え、動的バランスと転倒リスクをまとめて把握するパフォーマンステストです。数字(総得点)で残せるので、介入前後の変化歩行課題の弱点を短時間で可視化できます。

一方で、採点がブレたり、環境設定が雑だと結果の解釈が一気に難しくなります。この記事では、 DGI を「今日の現場でそのまま回せる」ように、準備・実施・採点・解釈の要点を手順化して整理します。

この記事の位置づけ(ハブ/親記事/小記事)

ハブ:運動機能評価まとめ(歩行・バランス)

親記事:歩行アウトカム評価の使い分け(まとめ)

小記事(このページ): DGI(動的歩行指数)

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DGI を使う場面

DGI は「平地は歩けるが、条件が変わると不安定になる」ケースで真価を発揮します。たとえば、回復期〜生活期の脳卒中、パーキンソン病、前庭障害などで、課題歩行の転倒リスクを短時間で評価したいときに相性が良いです。

一方、より難易度の高い課題や天井効果(高得点で頭打ち)を避けたい場合は、同系統の拡張版として FGA の検討も有用です(項目が増え、難易度が上がる設計)。

評価前の準備(環境・道具)

結果の再現性を上げるには、環境を固定するのがコツです。最低限「歩行路(目安 6〜10 m 程度)」「障害物(コーン等)」「段差(安全な階段)」を用意し、可能なら同じ場所・同じ条件で再評価します。

見守りの位置(左右・後方)と、介助の有無をあらかじめ決めておくと採点がブレにくくなります。転倒リスクが高い場合は、歩行補助具や介助を優先し、安全第一で実施します。

DGI のやり方(ざっくり手順)

DGI は「通常歩行に課題を足していく」流れで進めます。ポイントは、課題の“難しさ”をこちらが勝手に下げないことです(例:速度変更の幅が小さすぎる、頭部運動が小さすぎるなど)。

実施中は「ふらつき」「速度低下」「停止・再開のためらい」「接触・つまずき」などを観察し、必要なら動画で残すと、再評価や多職種共有が楽になります。

採点の考え方( 0〜24 点 )

DGI は合計 24 点( 8 項目× 0〜3 点)で、得点が高いほど動的バランスが良好と解釈します。重要なのは「合計点」だけでなく、どの課題で落ちたか(方向転換、視線/頭部運動、障害物、段差など)を臨床推論につなげることです。

DGI の点数イメージ(臨床での目安)
点数 状態(言い換え) 記録のコツ
3 課題を安全に実施でき、ふらつきや代償が少ない 「何が良かったか」も残す(速度・歩隔・安定性)
2 軽度の不安定さや代償があるが、介助なしで完遂できる 不安定が出る“瞬間”を具体化(切替時/段差前など)
1 明らかな不安定・停止・介助が必要、または完遂が難しい 介助量・補助具・中止理由を必ず併記
0 安全に実施できない/実施困難 「できない」根拠(転倒リスク・疼痛・認知など)を書く

解釈のポイント(カットオフは“目安”)

臨床では、総得点が低いほど転倒リスクが高い方向に傾く、と理解しておくと実装しやすいです。文献では「 19 点以下」などが目安として扱われることがありますが、対象(疾患、補助具、環境)でズレるので、点数だけで結論を出さず、観察所見とセットで解釈します。

おすすめは、(1)合計点(2)失点が集中した課題(3)その課題の原因仮説(筋力・視覚/前庭・注意・歩行戦略)までを 1 セットで記録することです。

よくある失敗(詰まりどころ)

DGI は「課題歩行」なので、実施の微妙な差が点数に直結します。採点の前に、まず手順の固定だけでも効果が出ます。

DGI で起きやすいミスと対策(再現性を上げる)
よくあるミス 起きる理由 対策
速度変更の幅が小さくなる 安全配慮で無意識に課題を軽くしてしまう 事前に「どの程度変えるか」を決め、同条件で実施する
頭部運動が“頷く程度”で終わる 患者が小さく動かしても止めずに進めてしまう 可動域・リズムを先に練習し、実施中も声かけで修正する
障害物の高さ・位置が毎回違う 道具が固定されず、その場で適当に置く 床の目印を作る(テープ等)。配置を記録する
介助の有無が毎回変わる 評価者が変わる/転倒不安が増減する 「見守り」「最小介助」などルールを決め、記録にも残す

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. DGI と FGA はどう使い分けますか?

ざっくり言うと、 DGI は「課題歩行の基本セット」、 FGA は「より難しい課題まで拾いやすい拡張版」です。高得点で頭打ちになりやすい(天井効果が気になる)ケースでは、 FGA を検討すると評価の解像度が上がりやすいです。

Q2. 補助具(杖・歩行器)を使っていても実施していい?

安全が担保できるなら実施は可能です。ただし、補助具の有無で点数は変わるので、再評価では条件をそろえ、記録にも「補助具」「介助量」を必ず書きます。

Q3. どのくらいの頻度で再評価するのが良いですか?

介入目的によりますが、回復期なら 2〜4 週、生活期なら 1〜3 か月など「臨床で方針が変わるタイミング」に合わせると運用しやすいです。短期で変化を追う場合は、同条件(場所・靴・補助具・介助)を固定するほど解釈が楽になります。

記録のコツ(カルテに残す最小セット)

DGI は「合計点」だけ残すと次の介入につながりにくいです。おすすめは、(1)合計点(2)失点課題(3)失点の理由(観察)の 3 点セットです。時間があれば、課題別に「つまずき」「停止」「速度低下」「注意の抜け」など、臨床的に意味のある所見を 1 行で足すと再評価が楽になります。

スタッフ間で共通言語にしたい場合は、動画・図・環境条件(歩行路の長さ、障害物配置)まで合わせて残すと、評価者が変わってもズレにくくなります。

おわりに

DGI は「安全の確保 → 環境を固定 → 課題歩行で弱点を抽出 → 得点と所見を記録 → 再評価」のリズムで回すと、介入の狙いがブレにくくなります。面談準備チェックと職場評価シートをまとめて整えたい方は、こちら(無料ダウンロード)もあわせてどうぞ。

参考文献

  1. Shumway-Cook A, Baldwin M, Polissar NL, Gruber W. Predicting the probability for falls in community-dwelling older adults. Phys Ther. 1997;77(8):812-819. DOI: 10.1093/ptj/77.8.812 / PubMed: PMID: 9256869
  2. Jonsdottir J, Cattaneo D. Reliability and validity of the dynamic gait index in persons with chronic stroke. Arch Phys Med Rehabil. 2007;88(11):1410-1415. DOI: 10.1016/j.apmr.2007.08.109 / PubMed: PMID: 17964880
  3. Shumway-Cook A, Taylor CS, Matsuda PN, Studer MT, Whetten BK. Expanding the scoring system for the Dynamic Gait Index. Phys Ther. 2013;93(11):1493-1506. DOI: 10.2522/ptj.20130035 / PubMed: PMID: 23813090
  4. Marchetti GF, Lin CC, Alghadir A, Whitney SL. Responsiveness and minimal detectable change of the dynamic gait index and functional gait index in persons with balance and vestibular disorders. J Neurol Phys Ther. 2014;38(2):119-124. DOI: 10.1097/NPT.0000000000000015 / PubMed: PMID: 24637931
  5. Wrisley DM, Kumar NA. Functional gait assessment: concurrent, discriminative, and predictive validity in community-dwelling older adults. Phys Ther. 2010;90(5):761-773. DOI: 10.2522/ptj.20090069 / PubMed: PMID: 20360052

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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