CNS( Canadian Neurological Scale )とは?脳卒中重症度を短時間で評価する方法

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CNS( Canadian Neurological Scale )とは?短時間で「変化」を追える脳卒中重症度スケール

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CNS( Canadian Neurological Scale )は、脳卒中の重症度を「意識・見当識」「言語(理解/表出)」「顔面/上肢/下肢の運動」から短時間で整理し、経時変化(前回比)を追いやすい評価スケールです。特に、病棟や回復期で “ 反復モニタ ” が必要な場面と相性が良いのが特徴です。

本記事では、設問の逐語掲示ではなく、CNS を実務で回すための「流れ」「詰まりどころ」「記録の型」を中心にまとめます。併せて、 NIHSS 換算(参考値)と、 NIHSS/CNS/JSS の役割分担も整理します。

この記事の位置づけ(親記事・小記事)

本記事( CNS )は、脳卒中の重症度スケールを “ 目的で使い分ける ” シリーズの小記事(各論)です。全体の使い分けは、親記事で 5 分で俯瞰できます。

関連:NIHSS・CNS・JSS の使い分け(総論)

CNS を使うと良い場面

CNS の強みは、短時間で回しやすく、同じ条件で繰り返したときに “ 変化 ” を拾いやすい点です。急性期で NIHSS が標準運用になっている施設でも、病棟・回復期・外来/訪問の文脈では CNS が役立つ場面があります。

具体的には、①病棟での悪化の早期検知、②離床前後のオン/オフ評価、③回復期のトレンド把握、④多職種カンファでの共通言語づくり、などです。CNS で変化を捉え、必要に応じて NIHSS で詳細化する二段構えが実務的です。

実施の流れ:5 ステップで「毎回同じ型」で回す

運用のコツは、採点の巧拙よりも「条件を揃える → 同じ順で観察する → 前回比で残す」にあります。疼痛・固定具・眠気・薬剤などの外乱が混ざると、点数が “ 神経症候 ” を表していない日が起きます。

まずは下表の 5 ステップをチームの型にして、評価者差を減らしましょう。

表 1:CNS を実務で回す 5 ステップ(病棟・回復期向け)
手順 やること チェック 記録の一言
1 評価条件を統一 体位、支持量、補助具(装具・固定具)、疼痛、眠気 「端座位/支持 1 名/装具あり」
2 意識・見当識と反応性を確認 反応の速さ、一貫性、途中で崩れるか 「眠気あり、反応遅延」
3 言語(理解/表出)を把握 単純指示の通り、模倣で改善するか 「口頭より模倣で反応良好」
4 顔面 → 上肢 → 下肢を同じ順で観察 左右差、抗重力、努力性、疲労の影響 「右上肢:抗重力保持低下」
5 合計スコア+前回比で残す 同条件で比較できるか(できない日は理由を残す) 「前回比 ↓(眠気・疼痛の影響)」

スコアの読み方:1.5〜11.5 と「前回比」が本体

CNS は一般に、スコアが高いほど良好、低いほど重症と解釈します。文献や運用資料では、合計スコアの範囲を 1.5 〜 11.5 として扱うことがあります(満点に近いほど神経学的所見が軽いイメージです)。 [oai_citation:0‡tostroke.com](https://www.tostroke.com/wp-content/uploads/2020/04/Canadian-Neurological-Scale.pdf?utm_source=chatgpt.com)

ただし臨床で効くのは “ 単回の点数 ” ではなく、同じ条件で反復したときの “ 前回比( ↑/→/↓ )” です。前回比が動いたときは、神経症候の変化か、疼痛・眠気・固定具など条件の変化かを切り分けるために、条件の一言メモをセットにします。

現場の詰まりどころ(原因 → 対処 → 記録)

CNS は回しやすい一方で「外乱の取り違え」が起きやすいのが落とし穴です。特に、疼痛・固定具・可動域制限・眠気・せん妄などは、運動低下に見えても “ 神経症候そのもの ” とは限りません。

下表は、病棟・回復期で止まりやすいポイントを「原因 → 対処 → 記録の型」でまとめたものです。

表 2:CNS でよく止まるポイント(原因 → 対処 → 記録)
詰まりどころ 起きやすい原因 対処(現場の打ち手) 記録ポイント
動けない=悪化? 疼痛、固定具、 ROM 制限 疼痛と可動域を先に確認し、条件として明示して比較する 疼痛部位、固定具、 ROM 制限
反応が日内で揺れる 眠気、鎮静、せん妄 評価時刻を固定し、覚醒水準の差を “ 情報 ” として残す 眠気、投薬変更、夜間帯
口頭だと動かない 失語、注意低下、失行 模倣・視覚提示を併用し、提示法を毎回揃える 提示法(口頭/模倣)、反応差
点数は同じだが違和感 代償増、疲労増、反応遅延 点数+ 1 行所見(何が変わったか)をセットにする 反応遅延、疲労、代償の増減

CNS・NIHSS・JSS の違い(使い分け早見)

重症度スケールは “ 目的 ” が違います。詳細な神経症候の分解が必要なら NIHSS、変化検知と反復運用なら CNS、重み付きで全体像を数値化して共有したいなら JSS、という整理がしやすいです(施設ルールがある場合はそれを優先します)。

NIHSS の手順・採点のコツを確認したい場合は、既存の各論記事も併用してください:NIHSS の評価方法| 11 項目の手順と採点

表 3:CNS/NIHSS/JSS の実務的な役割分担(成人・急性期〜回復期)
指標 主目的 強み 注意点
CNS 短時間の重症度把握と経時モニタ 反復評価で変化を拾いやすい 外乱(疼痛・眠気)を条件として残さないと解釈がズレる
NIHSS 急性期標準の共通言語(詳細化) エビデンスと汎用性が高い 手順遵守と評価者差の管理が要る
JSS 重み付きで全体像を定量共有 数値でトレンドを示しやすい 施設運用(評価条件)を揃えないと比較が難しくなる

NIHSS 換算(参考):CNS から “ ざっくり ” 橋渡しする

研究では、 CNS と NIHSS の関係を利用して、 NIHSS を推定する換算モデルが提案されています。代表的な式として、 NIHSS = 23 − 2 × CNS が示され、相関が高いことが報告されています。 [oai_citation:1‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20501997/?utm_source=chatgpt.com)

ただし、換算は “ 参考値 ” です。個別症例では、失語・注意障害・疲労・せん妄などで誤差が出ます。臨床では「院内の共通言語に寄せる」「研究間比較の補助に使う」程度に留め、意思決定は原スケール+所見で行うのが安全です。

よくある質問( FAQ )

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Q1. CNS は誰が実施するのが向いていますか?

A. CNS は短時間で回しやすく、病棟の反復モニタに向きます。実務では、評価の条件を固定しやすい職種(病棟スタッフ、リハ担当者)が “ 同じ型 ” で繰り返すほど価値が出ます。

Q2. 点数が下がったとき、すぐ悪化と判断していいですか?

A. まず “ 条件 ” を確認します。疼痛・固定具・眠気・投薬変更などで出力が落ちる日があります。点数だけで決めず、「条件メモ」と「所見の一言」をセットにして解釈するのがコツです。

Q3. 口頭指示だと動かないのに、模倣だと動くのはどう書けばいい?

A. その差自体が重要な情報です。提示法(口頭/模倣)を毎回揃えて反復し、記録にも「提示法」と「反応差」を残すと、再評価でブレにくくなります。

Q4. CNS と NIHSS はどちらを優先すべきですか?

A. 施設ルールが最優先です。急性期で詳細化が必要なら NIHSS が軸になりやすく、病棟・回復期で変化検知が目的なら CNS がハマります。実務では、 CNS で変化を拾い、必要時に NIHSS で詳細化する二段構えが扱いやすいです。

参考文献

  1. Côté R, Hachinski VC, Shurvell BL, Norris JW, Wolfson C. The Canadian Neurological Scale: a preliminary study in acute stroke. Stroke. 1986;17(4):731-737. doi:10.1161/01.str.17.4.731(PubMed / DOI
  2. Côté R, Battista RN, Wolfson C, Boucher J, Adam J, Hachinski V. The Canadian Neurological Scale: validation and reliability assessment. Neurology. 1989;39(5):638-643. doi:10.1212/WNL.39.5.638(DOI
  3. Brott T, Adams HP Jr, Olinger CP, et al. Measurements of acute cerebral infarction: a clinical examination scale. Stroke. 1989;20(7):864-870. doi:10.1161/01.STR.20.7.864(PubMed / DOI
  4. Nilanont Y, et al. The Canadian Neurological Scale and the NIHSS: Development and Validation of a Simple Conversion Model. Cerebrovasc Dis. 2010;30(2):120-126. doi:10.1159/000313637(PubMed
  5. Bushnell CD, Johnston DC, Goldstein LB. Retrospective assessment of initial stroke severity: comparison of the NIH Stroke Scale and the Canadian Neurological Scale. Stroke. 2001;32(3):656-660. doi:10.1161/01.STR.32.3.656(PubMed / DOI

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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おわりに

CNS は「条件を揃える → 同じ順で観察 → スコア+ 1 行所見 → 前回比で再評価」のリズムにすると、病棟・回復期で変化を拾う力が一気に上がります。点数だけで完結させず、外乱(疼痛・眠気・固定具など)を短く残すほど、チームの解釈が揃いやすくなります。

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