【EIH:疼痛抑制効果とは】運動療法で運動器慢性疼痛が改善する

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病態理解を深める
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リハビリくん
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こんにちは!リハビリくんです!

  

こちらでは「疼痛を抑制する効果(EIH)」をキーワードに記事を書いていきます!

  

超高齢社会となった日本では高齢者における医療および福祉が大きな問題となっております。高齢者では運動器の機能障害を抱える人が多く、肩や腰、膝などに生じる運動器慢性疼痛を抱えている方も少なくありません。

  

運動器慢性疼痛は根本的解決が難しい厄介な症状になると思いますが、近年、運動療法自体に慢性疼痛を改善させる効果が期待できると考えられています。

  

  • EIHとは何か?
  • 運動療法と疼痛改善効果の関係性について
  • 運動器慢性疼痛ってどんな症状なの?
  • 運動器慢性疼痛に対する運動療法について
  • 運動療法の処方におけるポイント

    

疼痛抑制効果(EIH)について様々な疑問を抱えることがあると思います!そんな方のために、こちらの記事を読むことで上記の疑問が解決できるようにしたいと思います!是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
リハビリくん

【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!

  

最近気になっている資格なのですが、2023年より、日本急性期ケア協会が主催する急性期ケア専門士認定試験が実施されるようです。急性期ケア専門士は急性期ケア・急変対応におけるスペシャリストです。 状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、 医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格となっています!

      ↓↓↓

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運動療法×疼痛軽減効果について

運動療法によって得られる効果は、筋力や全身持久力の向上、認知機能や気分の改善等多岐にわたります。更に近年では、EIH(exercise-induced hypoalgesia)と呼ばれるような、運動による疼痛抑制効果が注目されています。これは、運動療法によって運動器慢性疼痛患者の疼痛が軽減するという現象になります。

EIHがどういうことなのかについて、近年悩みを抱える人が多い腰痛を例にして考えます。腰痛に対する1つの治療法として運動療法が挙げられます。腰痛に対する運動療法は実際に疼痛軽減効果を期待できる治療法になります。

それでは、運動療法がどのように疼痛軽減効果として作用するのでしょうか。以前は筋骨格系の変化や身体機能の向上により疼痛が軽減されると考えられていました。

しかし、運動療法による疼痛軽減の要因は単純に筋骨格系の変化や身体機能の向上によるものだけの効果ではないことが判明してきました。疼痛軽減の要因の1つとして、運動療法そのものに疼痛を抑える働きがあることが示されています。この現象をEIHといいます。

このような背景から、運動器慢性疼痛のマネージメントにおいて、運動療法の重要性は増しており、現在では運動療法は慢性疼痛治療の第一選択治療法に位置づけられております。

運動器慢性疼痛とは

運動器とは骨・関節・筋肉などの組織で構成される器官になります。運動器における痛みのメカニズムは侵害受容性疼痛の慢性化と神経障害性疼痛に大別され、混合性疼痛のケースも多くみられます。

さらに、心理社会的因子を含めた機能性疼痛も少なからず関与するため、多角的視点で痛みを理解し診療にあたることが重要になります。

器官別では関節の痛み(関節リウマチや変形性関節症など)、神経障害の痛み(脊椎・脊髄神経・脳神経系の障害)、筋性の痛み(筋性・筋膜性疼痛)に分類され,それぞれの病態に応じ治療法は異なります。

さらに、運動器慢性痛は通常の慢性痛メカニズムに加え、不安や恐怖からくる不動化や運動制限が廃用症候群や機能障害を引き起こします。結果として二次的にさらなる痛みの悪化を誘引し、それにより痛みの悪循環を招く可能性もあります。

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EIHのメカニズム

運動による疼痛抑制(鎮痛)は EIHと呼ばれ、1970年代より報告されています。メカニズムについては完全に解明されているわけではありませんが、ヒトおよび動物を対象とした基礎研究の結果から、オピオイドやノルアドレナリン・セロトニン・エンドカンナビノイドが関与して内因性疼痛抑制システムを作動させると考えられています。

運動器慢性疼痛に対する運動療法のエビデンス

運動療法や身体活動の増加を慢性疼痛への介入方法として実施することの有用性については、痛みの強さや身体機能、QOLを改善させると多くの報告がなされています。

また、運動療法を行うことのメリットとして、副反応がほとんどない点は非常に重要と考えられます。運動によって筋肉の痛みや張りが発生することはありますが、それは数日から数週間で治まる症状であり、その他の重篤な副反応の報告はありません。運動療法は慢性疼痛患者に安全に実施できる介入方法といえます。

一方で、その効果量については現状では「低い」から「中等度」という評価になっています。これは運動器慢性疼痛を呈する患者に対して、運動療法の効果を検証している研究のサンプルサイズが十分でないことや、慢性疼痛の病態が非常に多様であることが要因と考えられます。

また、難治性の慢性疼痛患者では下行性疼痛調整系の機能異常が生じています。その結果、運動によって疼痛が抑制されないばかりか、かえって運動によって痛覚過敏が生じ、疼痛が誘発されることも報告されています。

ただし、この運動による痛覚過敏はウォーキングやサイクリングや水泳などの定期的な有酸素運動や日常生活の活動量・活動性を増やすことで改善し、疼痛抑制効果が得られることが示されています。

そのため、運動療法を導入する場合には一時的に疼痛が増悪する可能性について十分に説明を行うことも必要になります。

運動療法が運動器慢性疼痛患者に有用であることが示されている一方で、どのような疼痛に対して、どの運動を選択すれば、他の運動と比較して有効であるのかについては明確なエビデンスは存在しません。理由としては運動器慢性疼痛に含まれる病態が広範であることが大きく影響しています。

運動療法が運動器慢性疼痛に有用であることがわかりましたが、疼痛軽減効果を正確に判定していくためには、痛みの評価法を適切に選定して適宜アセスメントしていくことが重要になります。痛みの評価法については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【完全版:痛みの評価方法についての記事はこちらから

運動療法の処方におけるポイント

疼痛、特に運動器慢性疼痛に対する運動療法においては「セルフケア」と「アドヒアランス」が重要になります。※セルフケアとアドヒアランスについては後述します。

つまり、ポイントは患者自身が自宅などで継続的に運動を行えるように、患者自身が納得したホームエクササイズを処方および指導することになります。

運動を指導する際には、運動の種類や回数、時間はもとより、運動のスピードや範囲・正確性など
運動の特徴や詳細を患者に伝えることが必要となります。

セルフケアとは

セルフケアというと、FIMの運動項目の一部分を連想する方が多いのではないでしょうか。ここでいうセルフケアとは、「対象がよい健康状態を維持するために、自ら実施する日常生活上および健康管理上の行動」意味します。

要するに、運動器慢性疼痛患者が運動療法をセラピストがいなくても自ら実践できるようにマネジメントすることが重要になります。

アドヒアランスとは

治療や服薬に対して患者が積極的に関わり、その決定に沿った治療を受けることになります。一般的に、服薬に対して用いることが多いですが、ここでは運動療法に対するアドヒアランスを考えます。

アドヒアランスと似た用語に「コンプライアンス」がありますが、コンプライアンスは医師の処方通りに患者が服薬することを指すため、アドヒアランスと比べると、患者の能動性という意味で大きく異なります。

以前はコンプライアンスの考え方がメジャーでしたが、2001年にWHO(世界保健機構)でアドヒアランスを推奨すると定められたこともあり、現在では『服薬遵守=アドヒアランス』という考え方が広まってきています。

運動療法の目安

前述した通り、どのような疼痛に対して、どの運動を選択すれば、他の運動と比較して有効であるのかについては明確なエビデンスは存在しません。

具体的な運動療法の内容は患者によって異なりますが、運動療法のなかで代表的な有酸素運動と筋力増強運動について目安を以下に記載します。

有酸素運動

1回当たり20分〜60分で週2回以上の有酸素運動を6週間以上継続すると症状改善や機能向上が十分見込まれることが報告されています。

有酸素運動は精神心理的な健康問題、認知や代謝機能の改善にも有効であることが知られています。運動器慢性疼痛患者ではこれらの合併症を有していることが多く、その点からも有酸素運動の処方が推奨されています。

有酸素運動の中で歩行(ウォーキング)は最も代表的なエクササイズであり、特別な機器やスキルも不要であり、強度の調節も容易なことから導入しやすいエクササイズとなります。

筋力増強運動

筋力増強運動は身体の一部分に一定以上の負荷をかけて行う運動であるため、有酸素運動と比較すると導入に抵抗を示す方もいると考えられます。

そのため、必ずしも運動療法導入初期から筋力増強運動を行うのでななく、他の運動によって運動に対する心理的抵抗が減り、安心して実施できる自信がついてからの導入が必要になることもあります。

筋力増強運動の具体的方法は様々でありますが、ホームエクササイズとして行う場合には、自重を用いた運動が広く用いられています。適切に回数や方法を調整することで負荷量を段階的に上げていくことも容易となります。

また、痛みを訴える部位とは別の部位の筋力増強運動を行うことでも全身的に疼痛抑制効果を得られることが報告されています。

運動の強度

運動の強度については、有酸素運動および筋力増強運動ともに低強度〜中等度の強度の運動で痛みや機能の改善が得られることが示されています。

慢性の痛みのために長期間不活動となっていたような患者では、健常者で通常推奨されるような強度よりも低い強度で運動を開始することが必要になる場合があります。

ただし、高強度の運動を行った場合にも副反応を伴わずに痛みや機能の改善が得られている報告もあることから、高い身体機能が要求される仕事への復職やスポーツやレジャー活動への復帰を目指す場合には段階的に強度を上げていき、最終的には高強度の運動を処方することが適切となる場合もあります。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「疼痛抑制効果(EIH)」をキーワードにまとめさせていただきました!

運動療法は疼痛軽減効果を期待することができ、かつ副作用が少ない治療方法になります。患者自身が自己管理できるのであれば、ホームエクササイズとして実施することができることも強みであります。

一方、患者自身で継続することが難しいこともあり、「セルフケア」と「アドヒアランス」が重要になると考えられます。

運動療法の選択や患者教育においては、様々な引き出しがあるリハビリテーション専門職の得意分野でありますので、今後疼痛コントロールにおいて、私たちの活躍の場が更に拡大していくのではないかと考えております。

今回、運動器慢性疼痛をテーマにさせて頂きましたが、痛みの原因は多岐にわたります。そして、そのうちの原因のひとつが精神・心理面になります。そのため、ときには痛みの解決のために精神・心理面の評価が必要になるわけです。このテーマについては、他の記事で詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【HADS(評価法)についての記事はこちらから

リハビリくん
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